◇◆◇ 2014年(新暦75年)05月 ◇◆◇
「何というか……このタイミングで来るか?」
お姉様は珍しく、教導の生徒達を迎えるためにクラウディアを訪れてる。
そして、目的の人物が現れた時に言ったのが、これ。
「お久しぶりです。ギンガ・ナカジマ、着任します」
「同じく、ティアナ・ランスターです」
「同じく、スバル・ナカジマです」
「同じく、エリオ・モンディアルです」
「ルーテシア・アルピーノと、召喚獣のガリューです」
この5人+
今年は改革10年目。教導の生徒達も記念式典の警備に使って成果をアピールするという事で、研究者や指導者を含まない若手前線メンバーだけになってる。
どうやら、5人はそこにうまく割り込んだらしい。
ちなみにクイント・ナカジマは、あまり歓迎してない。警備任務の際に娘や娘の様な存在に対して“非情な命令”を出したくないかららしい。
「何か問題がありますでしょうか?」
「ああ、いや、こっちの話だ。
先に言っておくが、特別扱いはせん。それと、生活面は親衛隊の管轄になるから、リンディの指示に従えよ」
「了解です」
そんな感じで、今年の若い生徒達はアルフとザフィーラに連れられて案内の時間。
「エヴァさんは、今年に何かあると思ってるのでしょう?」
その姿が見えなくなった後で、一緒に残ってたリンディ・ハラオウンが真面目な顔で問いかけてきた。
実際、StrikerSの年に機動6課関係の主要メンバーが多く集まるってどういう事だってばよ?
高町なのはは日本で学生をしているし、はやてとフェイトも同様。守護騎士達がはやてから離れるはずも無く、キャロ・ル・ルシエはすっかりテスタロッサ家のマスコットになってて、後ろ盾や後見人の内、リンディ・ハラオウン、クロノ・ハラオウン、カリム・グラシアの3人がいる。
敵役を見ても、ジェイル・スカリエッティと戦闘機人12人が勢揃いで、アギトもいる。
「これで無邪気に何もないと思えるなら、いつでも気楽に暮らせるのだろうな」
「全くね。
だけど、直接的な原因は全て排除済みでしょう? レリックも研究用に集めてしまっているし、敵役は全員が対処済み。
エヴァさんが敵に回らない限り、あんな騒動は起きないと思うのだけれど」
確かに腐れ脳味噌は排除済みだし、レジアス・ゲイズは元気に犯罪者相手の大鉈を振るってる。
ゼスト・グランガイツは第一線からは引退気味だけど、英雄として祭り上げられたまま後進の指導に当たってる。
健やかに成長中と思ってたルーテシア・アルピーノは、何故かこっちに来た。
地下に潜った連中が集まるには、求心力やカリスマを持つ人物が足りない。
お姉様の心配は、杞憂だろう(フラグ)。
「……絶対に、何かあるな」
なんでー。
◇◆◇ 2014年(新暦75年)06月 ◇◆◇
もうすぐ、梅雨の季節になる、とある日曜日。
でも、今日はいい天気。
月村家の庭には様々な花が咲き、多くの関係者と料理が並んでる。
「やけに人が多いが、要するに親睦会的な何かだ。
この家の住人は魔法を知っているが、あくまでもこの地の協力者であって、管理局との直接的な関係は無いからな。騒ぎ過ぎて迷惑をかけるようなことはするなよ」
そんなお姉様の言葉で始まる、お花見。紫陽花なんかが見頃だけど、まあ、それは口実的な。
お姉様の言葉通り、招待客を含めた参加者はとても多い。
例えば。
「わりぃな、俺達まで呼んでもらっちまって」
「訓練やらシフトやらで、全員が集まる時間は意外に短いだろう?
少々うるさいかもしれんが、家族とゆっくり過ごせる場面くらいはあってもいい」
ナカジマ家全員with元居候のティアナ・ランスター、な集団が居たり。
「ケーキは自分達で配らなくていいのかい?」
「タイミングはお任せだし、作るのを手伝ったなのはの方が適任だから。
私は運んだだけだし……うう、どうして上手に作ろうとするとダメになるんだろ……」
「シャマルさんも、レシピに無い事をしようとすると何故か失敗するけどね。
あれだけ注意して練習しても駄目なのは、どうしてだろうね?」
「ううう……」
相変わらず生暖かい感じの、成瀬カイゼと高町美由希がいたり。
この2人は、大学生と社会人になっても全然変わってない。
「今まで招待された事など無かったのだが。
やはり君の手回しだったか」
「たまには故郷に戻るのもいいだろう?
こっちも色々な伝手が出来ているし、お互い損はしない話だと思うが」
「確かにそうなのだがね」
イギリス女王の誕生日パレードに招待という名目で、地球に戻ったギル・グレアムがいたり。
日英の移動は魔法ですぐだし、招待状も政府関係組織から送られた本物。もちろん、イギリスの組織にお姉様が入れ知恵した結果だったりはするけど、局員上層部で英雄的人物との伝手の強化というエサには抗えなかった模様。
そして、ギル・グレアムがいるという事は。
「このまま嫁に(むしゃむしゃ)お持ち帰りすれば(ぱくぱく)」
「ああ、それはいい考えね」
「何馬鹿な事を言ってるんですか。他の人の迷惑になるので、食べるのも自重してください」
「家庭に1人(もぐもぐ)料理上手が(はぐ)んーーーーーー!?」
「ちょ、ロッテ!?」
「お仕置きです」
リニスが握る寿司をがっつきながら、よからぬ相談を始めてたリーゼ姉妹もいる。
たっぷりわさびでリーゼロッテが撃沈してるのは、食べ過ぎに対する嫌がらせだけじゃない。
「チャーハン作るよ!」
「出来たよー!」
その横では黒羽早苗が中華鍋を振り、アリシアが配ってたりする。
直前の会話が聞こえてたとはいえ、悶絶してるリーゼロッテを気にしてないあたり、随分黒くなったというか馴染んだというか。
「揚げ餅とかコロッケとかは、動きに派手さが無いなぁ。
選択を失敗したやろか?」
「揚げ物に派手さは要らないですよっ!」
「確かに、調理中のシャマルに芸をさせると、どっちも失敗しそうやし」
「そういう意味じゃないですっ!」
はやてとシャマルが、天然でボケとツッコミの応酬をしてたり。
「話は聞いてたけど、管理世界ってやっぱり就業年齢低すぎよね。
ナカジマな娘さんは私達より年下だし、妹分みたいに思ってたんだけど」
「うん、そうだね。
なのはちゃんは小学校の間から働きそうだったし、ユーノくんは司書長になってたかな」
「私はちゃんと大学に行く予定なの!」
「でも、まだ学部で迷ってるんだよね?」
「うう……そうなんだけど、フェイトちゃんの意地悪……」
今のところ、固まって喋ってる原作娘達がいたり。
既に高校3年生だし、そろそろ真面目に将来について考えてもいい頃だけど。
特に、大学に行くかどうか、行くならどんな学部に行くかを。
「ママ、ごはんー!」
「ごはんー!」
「はいはーい、ちょっと待ってねー」
「スープとごはんですよー」
「熱いからな、気を付けて食べるんだぞ?」
「駄目よ、もう少し冷ましてあげないと」
それを構おうとするルーナとアギトに加えて、真鶴亜美もいる。
もちろん、会場が月村家でゲンヤ・ナカジマがいるという事は。
「相変わらず、俺達は場違い感が半端ないよな……」
「だよね……」
隅の方で大人しくしてる、馬場鹿乃と上羽天牙もいるし。
「いくらなんでも、あの翼はコスプレって言っていいのか……?」
「しかも、物凄い値段だったじゃない。
誰が何で作ったのよあんなの」
「作ったのは別荘の人達で、コスプレと言い張ってましたよ。
しかも、売れちゃったらしいんですよね……恐ろしい事に」
長宗我部千晴と夜月ツバサとセツナが、最近公開された写真について話をしてたりもする。
特に秘密にしてない以前に広告を意図したサイトだから、知られるのは別に不思議じゃない。
でも、セツナはもうちょっと出るのを嫌がると思ってた。
翼を見られた時の言い訳に良いという売り文句にあっさり釣られたセツナは、きっとチョロイン。
「それにしても、平和ですね。
イクスも来れたら良かったのですが」
「本体が別荘にあると、別荘以外での維持が大変だそうですから。
この世界であれば危険は無いと思うのですが、手間を掛けさせる事への忌避感が消えないようなのです。どう説得すれば良いでしょう?」
「ゆっくり、時間をかけるしかありませんよ。
念話を応用した会話装置も出来たのですから、後は誠意をもって話し、互いの理解を深めるしかないでしょう」
「はい。頑張ります。
でも、イクス様に姉と慕われているのですから、ヴィヴィオ様も説得して下さってもいいのではありませんか?」
「私よりイクスの方が先輩なのですが……どうしてこうなってしまったのでしょう。
平和のために行動したと言われても、私も周囲に流されていたと思うのですが」
ヴィヴィオとカリム・グラシアが、物理的と気分的な問題で参加してないイクスヴェリアについて話してる。
その隣を見ると。
「なんだかんだ言いつつ、ロストロギアやらの研究ならぶっちぎりだねぇ」
「おや、そうかね?」
「そうですよ。機械式AMFの量産化で重要施設の魔法防御能力が上がった代わりに、質量兵器が実質的に解禁になっちゃいましたし」
「質量兵器に関しては、今でも禁止のままにするという選択肢は残されているよ。
それに、ミッド式やベルカ式のデバイスに関しては、君達の方が詳しいだろう」
「そりゃまあ、私らはそれが専門だし」
「でも、熱心な後輩に追い付かれないか、冷や冷やしてるんですよね……
あの子は本局の技術部にいるから、メーカーや研究所からの情報が早いですし」
シルフィ・カルマン、ジェイル・スカリエッティ、マリエル・アテンザの技術系3人が駄弁ってたり。
ある意味で、混ぜるな危険。
ちなみに本局の後輩ことシャリオ・フィニーノは、マリエル・アテンザが本局に戻った時には補佐役的な仕事をしてる。そして、ここの3人やプレシアと同じく、性根は技術オタク。
うん、お姉様の同類。はっきりわかんだね。
「子供って大変でしょ?」
「全くだ。
だが、以前の様に次元航行部隊にいるわけじゃないから、顔も覚えてもらえないような状況にはならないで済む。その点は喜んでいい事だとエヴァンジュには言われているんだが」
「確かにそういう話は、聞いた事があるわ。
また来てねおじさんって子供が言っちゃうのは、まだ平和な方らしいし」
「それ程か……」
子持ち繋がりで、クロノ・ハラオウンとクイント・ナカジマが子供を見ながら話をしてたり。
また来てねという事は、顔を覚えていて歓迎してるのだから、まだ平和と言える。
来るなと拒否されるとか、原作クロノ・ハラオウンみたいに覚えてもらえないとかよりは。
「キャロちゃん、はい、これ」
「ありがとう、エリオくん」
「どう見ても最高評議会の護衛役ってより、その家族のお世話係よね?」
「そ、そりゃあ、まあ……」
「はいはい、会いたい一心でここまでやったんだし、行動力だけは認めるわよ。
でも、立場ってのは忘れない方がいいんじゃない?」
「えっと……はい」
エリオ・モンディアルがキャロ・ル・ルシエの世話を焼き、ルーテシア・アルピーノに突っ込まれる姿もある。
10歳相当のお子様軍団は原作キャラらしく、年相応の行動力や態度じゃないらしい。
「……何というか、平和だな」
「うん、平和」
そんな様子を見ながら嬉しそうなお姉様と、恋人繋ぎで幸せそうにしてる主。
これも、お姉様が目指した風景ではあるはず。
身分と性別を気にしなければ、きっと、お姉様の望みは叶ってる。
◇◆◇ 2014年(新暦75年)11月 ◇◆◇
「やれやれ、予想以上の反応と言うか……ある意味で大物が釣れたと言うべきか」
「どうも、そうらしい」
12月に行われる予定の、10周年記念式典。
当然、お姉様も呼ばれてる。
当然の様に、お姉様を狙うネズミも現れる。ここまでは予想通り。
ただ、規模と内容と首謀者が、予想を超えてた。
と言う流れで、クロノ・ハラオウンがお姉様と話をしに来てる。
「まさか、ルネッサとはなぁ……ここで出るのか」
「知っているのか?」
「懐かしの、原作関係者だ。
StrikerSまでは見せたな? あれの後日談的なドラマCD……音声だけで作られた話があるんだが、その黒幕役だ」
「危険人物なのか?」
「一応そうなるだろうが、昔捕らえたトレディアに育てられた時期があるとか、その理想をどーのとか、典型的な、道を踏み間違えた優秀な奴といった感じだったはずだ。
確か、カイゼがトレディア絡みで介入した時、オルセアで保護された中にいたとかいう話を聞いた気はするし、この世界でも同じ考え方かは知らんぞ」
あの時は、成瀬カイゼから結果報告の資料を受け取る時に、口頭で伝えられたはず。
最終的には時空管理局でも解放戦線でもない、現地住民による自治組織が安定して機能し始めたところまでは確認してる。ルネッサ・マグナスはその頃設立された孤児院という名の養成所で発見したわけだし。
蝙蝠と揶揄されながらも時空管理局と解放戦線の両方から支援と協力を引き出し、急速に安定させたのは、成瀬カイゼもやり過ぎと言うかなんというか。
本人は意外に何とかなるもんだねとか、涼しい顔をして言ってたけど。
「反時空管理局の様な教育をされた可能性はどうだろう。
保護された後の教育に、時空管理局がどの程度関与しているのかによるのだろうが」
「可能性は低いだろう。私達が存在を確認したのは蝙蝠的組織の人材育成機関だが、敵だろうと利益を引き出すのが最上という教育方針だそうだ。
少なくとも、考えなしの破壊行動は是とならんらしい」
「つまり、襲撃から利を得る事が可能と判断している可能性が高いという事か。
ところで、トレディアという人物の理想とは? 今でもそれを追っている可能性は考慮すべきだろう」
「原作のルネッサの言葉だと確か、管理世界の平和は人が多いだけで空っぽ、人は争って傷付けあうばかり、戦いの意味や空しさを知ってほしい……だったか?
その手段として原作のルネッサが使おうとしていたのが、トレディアが見付けたマリアージュ、つまりはイクスだ」
「……そんな繋がりが。
だが、現時点で把握出来ている襲撃の規模は、警告ですら無い。最早戦争だ」
「資料を見る限り、その様だな」
クロノ・ハラオウンが出してきた資料は、無限書庫の情報と比べても、間違ってるとは言えないレベル。
AMFを装備するガジェット・ドローン(仮称)が、1万程度。
次元震を起こせるレベルのロストロギア、複数。
これらを多数の次元航行艦に乗せて、ミッドチルダを強襲。
世界の住人を人質に取って、交渉する……らしい。
この計画のほぼ中心に、ルネッサ・マグナスの影が見える。
「少なくとも、地球を襲わないという事は、君達の抹殺を目標にしているわけではないらしい。
それに、君達との交渉でも無いのだろう」
「わざわざ警戒が厳しくなるミッドでの式典を狙うくらいだから、そうなるだろうな。
標的が私達なら地球を奇襲すべきだし、地球全体を人質に取る事も選択に入るだろう。
そうなると問題は強襲方法と要求内容だが、この2点に関する情報は無しか」
「探ってはいるんだが、確定出来ていない。
だが、可能性としては、君達の捕獲もしくは破壊を目指しているという話もあるらしい。明らかに手段と矛盾しているが」
「つまりは力に魅せられたルネッサが、大衆の面前で私達をどうにかするのが目的か……?
だが、本当にミッドチルダを強襲出来る程の力があるなら、私を標的にする理由がパフォーマンス以外に思い付かんな。
手段を問わないなら、襲撃自体はそこまで難しくないと思うが」
「……いや、君達の感覚でそうでも、一般的には違うだろう」
「そうか?
格納領域に特化したデバイスがあれば、個人でもガジェットの数十や数百を簡単に運べるんだ。次元世界間の移動が多い組織が関われば、大して難しくも無い。
式典に向けて各地から集まる客を運ぶ旅客船や輸送船も、次元航行が可能な船だろうに」
「それはそうだが……」
「事実上の戦争を始める構えの相手だ。それに、以前の襲撃時は地上部隊の連中が内通していたんだから、民間企業や各地の連中が相手側に協力しないと考える方がどうかしている。
そもそも、統治や治安組織、多くの企業もグルでなければ、作る事も隠す事も不可能な数だ」
「やはり、その結論しかないのか。
無限書庫にも手段や理由に関連する情報が入ってこないのは、収集の範囲外だからだろうか?」
可能性1。クロノ・ハラオウンも考えてる、収集範囲外で活動されてる。
無限書庫もある程度公開されてるから、情報がある世界と無い世界を見分けるのは難しくない。
可能性2。書面に残してない。
音声での連絡や電子媒体であれば、無限書庫の収集対象から外れる。これも、無限書庫の特性を調査すれば、さほど苦労せずに判明する事。
可能性3。襲撃やガジェット・ドローン(仮称)の準備自体がブラフ。
生産や計画に関する情報の一部しか見付かってないない以上、これも無視出来ない程度には可能性がある。
「いずれにせよ、充分な警戒が必要になる。
どうせスカリエッティ達も呼ばれるだろうし、こちらでも戦力を整えてから乗り込むさ」
「周囲への被害は程々にしてくれ」
「善処はする。だが、相手の行動次第だから、保証はしかねる」
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