長い時間が過ぎた。
その間にも、色々な事があった。
歴史は繰り返すの言葉通り、人と人が争う事もあった。
その中でもお姉様達は、勢力を維持し、支持者を増やして。
「……その結果が、アレだぞ?」
増えすぎた。
「いやぁ、まさかここまで大きな勢力になるとは思いませんでしたよ」
「
「諦めるにゃ、現実はこんなもんにゃ」
「お前が言うな。
だいたいどうして私の巫女が猫耳で、にゃーにゃー言うのが直らないんだ?」
「お、今のをもう少しかわいぶしっ!?」
「諦めるにゃ。名前が“えばんにゅ”の時点で、私はネタキャラが確定してるにゃ」
周囲を放置して騒いでるのは、お姉様と
そして福音教は、お姉様を神格化して、現実を生きろと突き放しつつ医療や教育を施すツンデレな宗教団体。神のお姉様にはほとんど放置(ごく稀に実験と称する技術提供あり)され、えばんにゅは冷めた目で毒を吐くキャラなのに、何故か人気が衰えない謎宗教。
「今じゃこうなっちゃったけど、それでも聖王教会や次元世界広域協力協定機構が暴走しないための重石としては、重要な位置にあるわ。
その偶像役をやり切った事は高く評価出来るし、お母様は偶像役を代行してくれていたえばんにゅに感謝すべきよ」
「だったら口調ぐらい何とかしてやれ、アルク。
こんな細工をしおって」
「嫌よ、可愛いじゃない」
「母様の説得は、とっくの昔に諦めたにゃ」
「全く……同じように王族設定のない玉藻は、異常な尻尾のボリュームと鼻から出る忠誠心以外まだマシなのに、なんでこいつは……」
「玉藻は私の補佐官だし、真面目さと忠誠心が重要じゃない。
九尾も魔力の制御機関なんだから、これも重要。何も間違ってないわ」
「……何度聞いても、藍とキャス狐だな……」
お姉様は脱力してるけど、えばんにゅも大変だった。
主に、愛でようとする女性と、萌える男性の対処が。
「というか、お前はよくこっちに来れたな。
あの連中がお前を簡単に手放すとは思えんが」
「出会いも別れも突然だけど必然とか、子はいつか親離れするものだとか言ったら、勝手に納得されたにゃ」
「それでいいのか福音教……」
それでーいいのだー。
「それよりも私としては、エヴァちゃんが移動に踏み切った事の方が驚きですよ。
あの地位も便利でしたし、関係も悪くなかったと思うのですが」
「便利ではあるが、私は神と呼ばれて喜べるほどおめでたい頭をしていない。集まってくる連中だって、私達を崇拝するか利用しようとするかのどっちかだけになって久しいぞ。
だいたい、どうして管理局やらの主導権を争う連中は、悉く私を神輿にしようとするんだ」
「そりゃあ、エヴァちゃんが第2位の宗教で崇められる神で、トップの宗教で崇められる聖王の家族で、平穏を重視するからですよ。
表立って権力を争う連中も平和を標榜していましたし、戦力的にも国力的にも支持率的にも、エヴァちゃんとの敵対は避けたいでしょうからね。
それでも、大きな変革がある度に権限を削ったじゃないですか」
「だが、そう頻繁にあるものでもないからな……1回目までに、友人として接してくれたなのはやアリサ、クロノ達への義理も充分に果たせたとは思うが。
それに結局、実質的に不滅だという確信が強くなる一方だ。だから、今までは“私が再生する世界”の増加を避けていたが、リリカルなのはが主軸でない世界でも同じ事が起こるのか確認してみたくなった」
「殴り込みですね解ります」
「違うわ阿呆! 乱入狙いなら、ある程度条件を絞るとはいえランダム転移などするか!」
「いえいえ、別荘の住人もいるのですから、神と天使軍の殴り込みと言っても差し支えないでしょう。加えて、我々もいますし」
「どの様な世界かにもよるのだろうが、超常的な存在が跋扈する世界でもない限りは、過剰な戦力を抱えている事になるのだ。
世界に不幸があると判っているなら、それを防ぐ事に吝かでない」
でも、リインフォースや
その辺の確認も兼ねる移動、なんだけど。
「何が不思議?」
主は、お姉様と一緒だからいいとして。
「新しい世界にも興味があるわ。それに、不測の事態で往来が途絶える可能性もあるのだから、一緒に行動した方がいいわ」
「そうや。家族なんやし、今更危ないからってのは無しや」
プレシアとはやてがついてくることを決めたから、より大所帯での移動が確定したわけで。
曙天、夜天、宵天の3冊と主。及び、それぞれの眷属や配下等全員になるわけだし。
最大人数は別荘を抱える曙天組だし、お姉様も置いていくのは反対されそうだと言ってたから、問題無いといえば、ない。のかな?
「にしても、一応ある程度の人類と文明が存在しているという条件を付けると言っても、どんな世界か予想出来ないんだぞ?」
「誰かさんが言っとったよ、世界はこんなはずじゃない事ばっかりやって。
ここしばらくは惰性に近くなっとったし、ここで1つ、気合を入れるのもええよ」
「そろそろ、新しい研究材料も欲しかったところよ。
やっぱり必要以上の富や名声は駄目ね。人を腐らせるわ」
「豊かになろうという意思が、人類の力でもあるんだがな。
ま、私には別荘だけでも過剰になっているし、他の組織にまで手を伸ばしたいとも思わん。
新しい世界を適当に楽しむさ」
「エヴァ、それはフラグ?」
「そんなフラグは要らんぞ。普通の平穏が必要以上に難しいなら、再移動も考えるしな」
「不義理はあかんよ?」
「移動先が滅亡寸前とかなら、即再移動する自信がある。
条件やタイミング的に、色々面倒な状況も考えられるからな」
世紀末でヒャッハー中だとか。
銀河の中心でなんてこったと叫ぶ髭オヤジがいるとか。
人類を補完しながら騎乗位で重なってるとか。
「んー、まあ、そういうのならしゃあないか」
「そんな世界でも、研究対象としては面白味がある事もあるのだけれど」
「そこまで貪欲にいくか?」
プレシアがなんだか楽しそうだけど、そろそろ予定時間。
巨大な積層型魔法陣は完成してるし、魔力の充填も間もなく終わる。
ランダム転移する方が多大な労力がかかるのに敢えてそれを選ぶ辺り、お姉様も趣味人。
「もうすぐ準備が完了する。予定通り、全員別荘へ行っておいてくれ。
サーチャーの情報は流したままにしておくから、様子は見れるからな」
「解った」
「そうね。
アコノを置いていくことは無いでしょうから、しばらくは様子を見させてもらうわ」
「どれだけ信用が無いんだ私は。
さあ、行った行った」
さてと、全員別荘に収容完了。
魔力も充分。
いつでもいける。
「さてと。行くか」
見知らぬ地、見知らぬ世界へ。
鬼が出るか、蛇が出るか。
何が出るかな?
「縁起でもない。まあ、それも行ってのお楽しみだ。
並行世界間ランダム転移、発動」
魔法陣が銀色に輝いて。
いざ行かん、約束の出来ない地へ────
これで、蛇足も最終話となります。
どんな世界に行くか、この話で出なかった人がどうなったかは、想像にお任せします。
次話として番外(小話ズ8)を用意していますが、全て「移動前」のものです。
「別の世界に行ってから」の話を書く予定はありません。
そして、番外と同時に金色の凍結が解除となります。
おまけ情報:
アルクが作った「王族でない眷属」の2人は九尾関係。ノワ@犬日々はナインテイル(ryという技持ち。
2016/05/07 サーチャーは生かせておくから→サーチャーの情報は流したままにしておくから に変更
2024/09/19 果たせとは思う→果たせたとは思う