月村家でのお茶会の話です。
翌日。つまり日曜。
主の家族は、それぞれ出かけている。
主は、別荘で魔法の練習中。
高町なのはは兄の高町恭也と共に、月村すずか宅へお茶会に出掛けた。
アリサ・バニングスは現地で合流。
高町恭也は月村すずかの姉である月村忍との逢瀬を楽しんでいる。
お姉様はその様子を見ているが、原作同様に進む話よりも、ノエルとファリンと呼ばれている、二人のメイドが気になる模様。
「どう見ても、魔力反応がおかしいのだが?」
生体としてのリンカーコアは無い。
明確に魔力の反応がある。
魔力を生成する魔導具か、劣化版の人工リンカーコアに近いものを内蔵している?
お姉様も以前使用していた護衛用自動人形の動力を電力依存にして、不足する魔力を補う構造?
各種行動は電力で維持しているが、瞬間的には魔力で能力を増強する可能性あり。
「やはり、そうか……
とらハも混じっていると見るべきか?」
原作で語られていない部分。
とらいあんぐるハートは、リリカルなのはの原典に相当。
元々混じっていると言っても過言でない。
裏設定として維持している可能性も十分。
「くそっ、原作やら立場やら転生者やらの問題が無ければ、行って解析したい……」
未知の自動人形。
実運用に耐える水準。
研究者としての血が騒ぐ?
現時点では、自重が必要。
「この世界は、気になるものが多すぎる。
ここは、少々無理してでも自由に動ける環境を目指すべきか?」
お姉様の望むままに。
最大の問題は、恐らく時空管理局。
将来的には、対策を考える必要がある。
だけど、そろそろ事態が動く。
子猫がジュエルシードに接近。
「……名残惜しいが、また今度か。
もう発動したのか」
ユーノ・スクライアが封時結界を展開。
近くにフェイト・テスタロッサの姿を確認。
バルディッシュの刃が丸く、防護服のパレオも短めで前が空いていないため、やはり映画版の模様。
猫が巨大化。攻撃性は確認出来ない。
高町なのはとユーノ・スクライアが呆けている間に、フェイト・テスタロッサが攻撃。
2回目の攻撃を高町なのはが防御。
3回目の攻撃は猫の足元に。猫は転倒、高町なのはは飛翔魔法で着地。
テレビ版と同様の展開。
空中戦開始。
巨大化猫は健在。絶賛放置中。
「……おや?
随分と戦えているな」
フェイト・テスタロッサが優勢。
高町なのはは防御主体。牽制程度の攻撃しかしていない。
戦闘の意思も弱い。
それでも機動戦に見える戦いとなっている。
原作の初戦では、テレビ版も映画版もあっさりと敗北していた。
「今週の訓練の成果は出ていると見るべきか?
フェイトもそれほど本気で倒そうとしていない様だが……」
高町なのはが本気で戦おうとしていないため、戦意を削がれている?
何度も話しかけられる事に、戸惑ってもいる?
フェイト・テスタロッサが、関わらないでと警告している。会話は映画版に近い。
アークセイバーからのセイバーエクスプロードで、高町なのは撃墜。
追撃にフォトンランサー。
フェイト・テスタロッサの、ごめんね、の発言を確認。
高町なのはとフェイト・テスタロッサの戦闘の終結は映画版に相当。
双方に大きな負傷は無い。
高町なのはも、意識は維持している。
フェイト・テスタロッサは高町なのはに対し、ジュエルシードは諦めてと宣告。
改めて、巨大化猫に対して攻撃、無事封印。
ジュエルシードを確保して、フェイト・テスタロッサは退却。
「ふむ……これは、どう見るべきか。
フェイトが原作同様の、話を聞かない頑固娘だという確認は出来たが」
物語の基本部分は、現時点でもテレビ版に相当。
部分的に、映画版が混入。
「だが、今回はユーノの治療を受けた上で、自力帰還だ。
テレビ版では、気絶したまま回収されていたはずだな?」
原作では、ユーノ・スクライアが高町恭也達を呼んできたという描写があった。
ユーノ・スクライアと相談して、転んで汚れたと言い訳する事にした模様。
心配させるとは思っている様子。
気絶しているところを回収された原作程の大事にはなっていない。
「うーむ……どうも、なのはの負の面を回避する傾向にあるか?
今回といい、大樹の時といい……そういえば、士郎の入院はあったのか?」
怪我による入院記録は確認済み。
怪我の原因についての記録は発見出来ず。
時期としては、高町なのはの小学校入学前。
翠屋は既に開店していた模様。
原作同様、寂しい思いをしていた可能性は極めて高い。
フェイト・テスタロッサを構おうとする原動力でもあると予想。
これの回避は物語を大きく崩す危険がある。
「物語開始後の負の面を回避、となるのか……?」
フェイト・テスタロッサについて、追加報告。
アルフとビルの屋上で合流。お互いの出来事を報告。
アルフが、高町なのはと時空管理局の繋がりを警戒。
フェイト・テスタロッサは、戦闘中に高町なのはから管理局の人か尋ねられていた際の会話で、可能性は低いと判断した模様。
ジュエルシードを狙う者、つまり自分と競合する存在と認識している。
テレビ版と同様、高町なのはがいくつか所持している可能性を考えている。
但し、魔力量に比べて技術が劣っていると思えるため、正体が掴めず困惑している。
「他の世界から来たにしては未熟、しかしこの世界にいるはずの無い魔導師。
魔力の残滓も困惑の理由か……」
時空管理局の認識に誤りがあることも候補に挙がっている。
この地だけを見れば、かなり正しい認識。
複数の転生者。八神はやて。高町なのは。
もしかすると、高町家と月村家も。
一般人の枠の外にいる人物が不自然なほど多い。
「転生者が直接関わらなくても、乖離が激しいな。
このままでは、原作と同じ流れにはなりにくいかもしれん」
現時点では、乖離は決定的ではない。
フェイト・テスタロッサ側は警戒のみ。
戦闘後の表情を見る限り、高町なのはは困惑が強めと予想。
心理状況だけで見れば、大差は無い。
「それでも、いつ状況が変わってもおかしくない状況だ。
神もどきの悪意で、介入を前提としている可能性も高いか?
いや、それにしては自然になのはの鬱展開を回避している……
介入しなくても、良い方向に行っているなら放置すべきなのか?」
「出会うなら必然。
出会わないなら必要になるまで関わらない。
来週の温泉旅行はそのつもりで話を受けた」
主が別荘から帰還。
もうすぐ家族も帰ってくる時間。
「来週が試金石、という事か。
偶然に身を任せるのは好きではないが……神もどきの悪意を確認する意味では、悪くないか」
「少々強引でも、確認はしておいた方が無難なはず」
「そうだな。
ところで、魔法はどの程度使えるようになった?」
「まだまだ訓練不足」
戦闘では、現在の高町なのはにも分が悪いと予想。
適性と戦術の相性の問題。
高町なのはが突撃砲として動けば勝てない。
近接戦は主に不利な条件が多い。
遠距離砲撃戦であれば、何とか戦いになる。
「特に飛行が難しい。
飛びながら魔法を使うのも、もっと慣れが必要」
「今まで、走ったり跳ねたりしていない分のハンデもあるか」
体調が万全でない上に、戦闘向きの素質でない事も大きい。
一番の得手は、やはり治癒。
結界もかなり広範囲に、強力な物を用意できる。
この二つは、現状でも高水準。落ち着いて使用できる魔法と言う点も大きい。
攻撃や防御に関しては、やはり広域、遠隔、遠距離の適性。
原作の八神はやてと同じ傾向。
補助については、補助すべき前衛がいない点が最大の問題。
結論としては、後衛としてとても優秀になれる。
強力な攻性後衛として絶大な攻撃力を誇る事も可能。
強力な補助後衛として力強く仲間を支える事も可能。
現時点で足りないものは多い。
練習期間が短すぎる。咄嗟に使うには慣れが不足。
「飛行能力。全体を俯瞰する力。判断力。瞬間的な行使力。
安定して戦えるとは考えにくい」
「その辺は、慣れていくしかない。
私も随分手古摺ったものだ」
「どれくらい訓練した?」
「アルハザード時代は、基本的に他人が寝ている時間はずっと訓練していたな。
1日に7時間前後くらいだったか?
ある程度納得できる水準になるのに、数年かかった。
今の水準と言う意味なら、ずっとだから20年と少々か」
「道は遠い」
「簡単に頂点には至れんよ。
努力あるのみだ」
「才能は?」
「私に戦闘の才能は無い。
ただ、腐るほど時間を使える。
努力で才能を補う事でしか高みを目指せない以上、そうするしか無いだろう?」
お姉様の才能は、研究寄り。
魔法の行使や感知、解析については高水準。
戦闘に対する適性は低い。
特に空間認識に苦戦。
瞬間的な判断力も課題が多い。
今でも弱点となっている。
得意戦術は飽和攻撃による圧殺。
空間認識も瞬間的な判断も不要。
大魔力と行使能力にモノを言わせる。
要するに、想定外の事に弱い。
想定内でも、たまにうっかり。
「仕方ないだろう。
元々戦いに縁のない、日本の一般人だ」
「高町なのはも、本来はそのはず」
「裏設定……というか、とらいあんぐるハートの設定が有効なら、裏の戦士の血筋だからな。
普段は運動神経が切れていても、認識力や判断力は高いのだろう。
そもそも、良くある二次小説ほど運動神経が無いとも思えないが」
「それは確かに。
本当に運動神経が切れていたら、空中で機動戦をやりながらデバイスで殴り合うなんて芸当は不可能なはず」
「フェイトとジュエルシードを掛けて戦う最終戦は、テレビ版でも運動神経が切れた状態で行える内容じゃない。
映画版だと、異様な戦闘力を持つと言っていい。
しかも、戦闘内容が映画版の影響を強く受けているようだ。なのはが現状のまま成長した場合、映画版の水準に到達する可能性も否定はできないぞ?」
「つまり、フェイトは現時点で映画版最終戦レベルの戦闘力を持っている可能性がある、ということ?」
「そうなる。
はっきり言えば、現時点では私以外の転生者が戦える相手とは思えん。アコノを含めてもな。
少なくとも、見付けているオリ主様には無理だ。無印の間に追いつけるレベルを超え過ぎている」
「睡眠が不要という前提を満たせたとして、私が夜も訓練した場合は?」
時の庭園突入の頃に、同水準の戦闘力に到達するのは難しい。
適性の問題。
純粋な攻撃力だけで見れば、高町なのはを超える事は可能。
「一応人間として生活しているんだ。
生活のリズムを維持する目的もある。
睡眠は大事だぞ?」
「つまり、睡眠を不要にすることも可能?」
「不可能ではないが、しない。
人としては色々捨てすぎた私からの忠告だ」
「わかった。ゆっくりいく」
うちのフェイトは、テレビ版より映画版に近い強さの様です。
なのはも、テレビ版よりは強いみたいです。フェイトほどではありませんが。
テレビ版も映画版も、なのはの成長速度は異常です。
特に映画版。初戦闘・初飛行であの機動って、どこのニュータイプですか?
テレビ版であっても、普通の一般人だった転生者が簡単に追従できるとは思えません。
魔法を知って1か月程のなのはが、素質がある上に1~3年ほどリニスに鍛えられたフェイトに勝利するんですよ。
幼少からみっちり鍛えているならともかく、現在登場済みのへっぽこ転生者達では太刀打ちできないでしょう。
次話は、かなり急展開。今後への影響が大きいネタの投入です。
それは、とても大きな種明かし。
2024/09/19 適正→適性