その後、主と八神はやては3人娘に加えて高町家と月村家の年長組にも構われまくり、艶々に疲れ果てて部屋に戻ってきた。
日本語としておかしいが、状況説明としては正しいはず。
二人は年長組に磨かれまくって肌は艶々。
八神はやては、年長組との触れ合いに大はしゃぎ。
主に、母性との触れ合い的な意味で。
だけど、はしゃぎ過ぎて疲れ切った様子。
満足気な顔でベッドに倒れている。
主は特に問題無さそうにも見えるけど、車椅子にもたれかかっている。
構われた疲れはある様子。
なお、淫獣ことユーノ・スクライアは高町なのはにより男性陣に預けられた。
本人も安心して風呂に入っていた。
むしろ、年長組の胸を遠慮なく揉んでいた八神はやての方が淫獣と呼ぶにふさわしい。
温泉を出た後、高町なのは、アリサ・バニングス、月村すずかの原作3人娘は、主達と一緒に部屋まで来ている。
「それにしても、よ。
アコノは元が良いんだから、もうちょっとオシャレしなさいよ」
アリサ・バニングスが自分の服を持ち込み、主を着せ替え人形の様にしている。
身長差が大きいからサイズが合わず、着せる事は出来てない。
「無理。特にしたいと思わないし、何が綺麗かよくわからないから。
それに、買い物に行く事も服を買うお金も無い」
「それって……虐待とか、じゃないの?」
ぽいぽい渡される服を畳みながら、月村すずかが首を傾げている。
手付きは、律儀かつ丁寧。
「虐待と言うより、徹底した無干渉。
嫌いの反対は好きじゃなくて無関心、みたいな感じ?」
「そんなの……悲しいよ」
「悲しいという事も解らない。
だから、不幸という表現は正しくない」
「どんだけずれてれば気が済むのよ、あんたは。
感情が無いって、こうなるもんなの?」
持ち込んだ服が終了したアリサ・バニングスは、今度は主の髪を弄り始めた。
主のツインテールは初めて見る。
大戦期アスナのイメージっぽい?
「わからない。満足というのもよく解らないし、他にこんな人は知らないから比べられない。
でも、ここにいるみんなが優しい人だというのは解る」
「あたし達は、ほとんど何もしてないわよ。
お風呂も結局、なのはやすずかのお姉さんたちに構われてたでしょ?」
「私達を手助けしてくれた上に、私の事を知っても普通に人として扱ってくれている。
これだけでも、充分珍しい。
そんな人達と出会えて、今も同じ部屋に4人もいるなんて、奇跡に近い」
「4人?
ああ、はやても含むわけね」
「はやてちゃんも、優しいよね」
服を畳み終った月村すずかは、八神はやての傍に移動している。
八神はやての寝顔は、淫獣とは思えない可愛さ。
「優しすぎて、将来悪い人に騙されないか心配だけど。
今回の旅行の費用も、はやてが出してくれてる」
「え、そうなの……?
手助けも頼んでるみたいだし、結構高いんじゃ……」
月村すずかは机の方に行って、サービスの料金表を見始めた。
残念、車椅子の人の手助けは載ってない。
「会って2週間の私を、自腹を切って旅行に連れ出す。
きっと、優しさを突き抜けた何かがあるはず」
「あんたは、少しくらい予想できてるんでしょ?」
「この年齢で一人暮らしは異常事態だと思う。
友達もいなかったみたいだから、寂しかった可能性が高い。
足の件で仲間だと思った事も無関係ではないはず」
「なんだ、多少は感情の事を理解してるんじゃない」
「でも、ここまで。
どれくらい堪えるものか、分からない。
感情を知っていれば、想像出来る?」
「ちょっと無理……かな?」
「あたしも無理ね。なのはは、少しぐらいならわかるんじゃない?」
「え……うん、ちょっとぐらいなら」
そういった経験のない月村すずかとアリサ・バニングスには、わからないらしい。
高町なのはの幼少期の孤独を思い出している?
理由があったとはいえ、家で一人過ごした期間がある。
「家族は一緒に旅行に来ているし、何か……ん?
これは一般的に禁則事項と言われる質問?」
「あ……そ、そうかも?」
高町なのはは、何だか焦っている?
親友には言えても、他の人には余り聞かれたくない話ではある模様。
「なら、聞かない。
秘密にしたい事は無理に聞かない方がいいはず」
「あんたは、大っぴらにし過ぎよ」
「大っぴらに突っ込むアリサが言うのはどうかと思う。
それに、私も伝えていない事は色々ある」
「会ってから、まだ半日も経ってないわよ。
こんな時間で全部喋れるわけないじゃない」
「それはそう。
だから、これからもたまにでもいいから、はやてを構ってあげてほしい」
「それは、こうやって知っちゃたわけだし、ほっとけないからいいんだけど。
あんたも人の事言えないじゃない」
「私は、寂しいと思っていない」
「思えないだけだよ……」
月村すずかは、主の状態を正しく認識している。
むしろ、主の矛先の向けさせ方に違和感。
無理に自分を外す必要が無い。
「そうだと仮定しても、はやては明らかに私よりも重傷。
むしろ重体と言っていいレベルに見える」
「あーもう、お父さんに相談して、施設か里親でも探した方が良いんじゃないのって気がしてきたわ」
「アリサの両親がどんなに早く預ける先を見付けられても、話に出てきたおじさんとやらを説得するための時間も必要なはず。
小学生に一人暮らしをさせているのを見ると幸せにする気は無いと判断出来るけど、すぐに環境を変えるのは難しい」
「そうだね……私もみんなに相談してみるね」
「うん、私もお父さんやお兄ちゃんにも相談してみる。
喫茶店のお客さんにいい人がいるかもしれないし」
「でも、あんたも何か考えた方が良いんじゃないの?
あんまり幸せそうに見えないけど」
「私は、両親と同居してる。
それに、はやて以外の友達もいる」
「いるの!?」
「アリサちゃん、失礼だよ……」
アリサ・バニングスの驚きは仕方ない。
だけど、月村すずかに同意。
確かに叫ぶのは失礼。
「はやてと出会う少し前に知り合った。
過保護な変人?」
変人の評価は初めて。
主も、意外にお姉様に対して容赦が無い。
「想像できないわね。
特に、あんたに変って言われるあたりが」
「多分、そのうち紹介できるはず。
あまり表に出たがらない人だから、少し先かもしれないけど」
「ちゃんと紹介しなさいよ?
なんか最近、なのはも付き合い悪いし。よそよそしいのは好きじゃないわ。
ねぇ、な・の・は?」
「あぅ……ご、ごめんなさい」
アリサ・バニングスの矛先が、高町なのはに向いた。
高町なのはは、こそっと主の後ろに隠れて、主を盾にしようとしている。
「きっと、なのはにも色々ある。
でも、隠し事が上手そうに見えないから、多分すぐにぼろを出す」
「だ、出さないよっ!」
盾が役に立たなかった。
むしろ、罠付き。
高町なのはは、隠し事がある事を自爆。
「でも、なのはちゃんが何かに悩んでるのは、見ていて分かりやすかったよ」
「授業は何か上の空だし、学校が終わってからも用事があるとかですぐ帰っちゃうし、この間から話してても上の空でぼーっとしてるし。
これで何もないって方がおかしいわよ」
「もう、だいぶぼろが出てる?」
「ふぇぇ~~?」
高町なのは、ふるぼっこ。
「この際だから、全部吐いちゃいなさい!」
「ふぇ!? ご、ごめん!」
「ごめんじゃなーい! 困ってるんだったら、相談くらいしなさいよ!
歯痒いったらありゃしないのよ、このすっとこどっこい!!」
「ご、ごめんなさーい!!」
「アリサもなのはも静かに。はやてが起きる。
なのはは事情があるみたいだけど、一人で抱えるのは良くない」
「で、でも、でも……」
高町なのは、ちょっと涙目。
流石に魔法については言えない模様。
「どんな事で悩んでいるかだけでも人に話すと、それだけで答えが見つかる事もある。
周りの人に心配させなくて済むかもしれない。
何も分からない事が、きっと一番の心配する原因」
「う、うん……」
「あんたは何で人の事は的確なのよ!
自分の事はあんなボケボケのくせにっ!」
アリサ・バニングスの矛先が主に戻った。
指摘は正しい。
だけど、目の前の人を指さしながら叫ぶのは良くない。
「アリサちゃん、落ち着いて……」
月村すずか制動装置。
体力的には一番の月村すずかに抑えられ、アリサ・バニングスも少しは落ち着いた?
「話せない事は隠してもいい。
でも、全てを話せなくても、話していいことは話すべき」
「まったく、あんたの頭はどうなってんのよ。
それで、なのははどうなのよ。少しは話す気になった?」
「私も、出来れば話してほしいな」
「うん……ちょっと待って。
どこまで話していいかも、よく分かんないんだ」
確かにどこまで話すかは難しい。
ジュエルシードについて話すと、芋蔓で魔法がばれそう。
「ちょっとって、どれくらいよ。
10分? 1時間? 1日? まさか、1週間とか1か月ってことは無いでしょうね?」
「にゃはは、さすがにそこまでは……
うん、どこまで話せるか、考えてみる。
多分、連休までに」
「1週間以内って事ね。約束だからね?」
「うん!」
「一件落着?」
「まだ、始まったところ、かな?」
アリサ・バニングスと高町なのはが話している間に、こっそり主に近付いていた月村すずか。
とりあえず落ち着いた様子の2人を見て、何だか嬉しそう。
「そろそろ食事の時間。家族のところへ行くべき」
「随分と唐突ね。でも、もうそんな時間かぁ……」
アリサ・バニングスが、時計を確認している。
もうすぐ、6時。
早めに食事をするなら、そろそろ頃合い。
「アコノちゃんは?
はやてちゃん、眠っちゃってるけど……」
「私達は、部屋に持ってきてもらう事になってる。
少し時間を遅らせてもらう様に、連絡済み」
「そう。なら、そろそろ部屋に戻るわ。
明日の朝に来るから、またお風呂にでも行きましょ」
「わかった。はやてにも伝えておく」
◇◆◇ ◇◆◇
(なかなか、面白い方向に誘導していたな。
猫が随分と慌てていたぞ)
3人娘が部屋を出た後。
はやてはまだ眠っていて、主とお姉様はチャチャネットワークを使って話をしている。
ちなみに、猫は既に本局への帰還を始めている。
主が魔導師だとはばれた様子は無い。
認識阻害が効き辛い体質と思われた可能性はある。
アリサ・バニングスと月村すずかも一般人だと認識した上で、必要以上の人間関係を持ってしまったと判断したと思われる。
その意味では、主は八神はやてと共に封印しても問題ないと思われていた可能性が高い。
(考えた結論を言っただけ。
結果的に、なのはとアリサの喧嘩フラグを叩き折ったように思える。
それに、守護騎士が現れた時に問題がありそうな方向に行ったかもしれない)
本当に施設や里親が見付かった場合は、色々面倒な事に。
認識阻害がどこまで有効か不明。
(現状なら問題ないだろう。
施設や里親は、それこそグレアムと猫が全力で暗躍するだろうからな)
(随分人任せ)
(最悪の場合は、私も動く。
まあ、当面はグレアムと猫の目を逸らしておきたいという気持ちはあるし、問題は無いな。
これからも地球にいるなら月村家やバニングス家の協力は得た方がいろいろと便利だろうし、そうなれば3人娘とその家族にきちんと話をする気はあるぞ)
(エヴァや守護騎士の戸籍も?
でも、不老という点は、地球では隠し辛い)
(数十年くらいまでなら、大人モードや幻影で誤魔化すことも出来るだろう。
その間に、どうするかゆっくり考えるさ。
色々考えている事もあるからな)
(なるべく、穏便に。
ところで、アルフがなのはに会いに来なかった。理由はわかる?)
(多分、猫と警戒し合っていたからだろう。
猫はフェイトとアルフを認識してるし、フェイトとアルフは何か実力者がいる気配は感じていた様だからな。
おかげで、アコノの魔力ばれはより安全に避けられたわけだ。
なのはとユーノの存在は両方に知られているし、目的もジュエルシードだとはっきりしているから問題ないしな)
(そんなにはっきりしてる?)
(フェイトは闇の書を知らないから、ジュエルシードを狙う競合者だと見ている。
猫は、ユーノがジュエルシード回収で渡航許可を取っていた事も知っていた様だからな。その現地協力者だと認識しているぞ。
アルフが探るような目でなのは達……アコノも含む5人を見ていたが、問題は無いだろう。会話の盗聴もしていたから、なのはの協力者だとは認識されていないはずだ)
(そう。でも、今夜の戦闘の後で、無理が無ければなのはに会うつもり)
(魔導師として、か?
介入するにはいいタイミングだが)
(その場合、転生者についても話す。
そろそろオリ主様の事を教えておかないと、危ない事態になりやすいと思える)
(そうか、わかった)
お姉様の実質的な許可が出た。
主に、調べた限りの原作知識を公開。
原作の原典、とらいあんぐるハートの情報も公開。
高町家や月村家の情報が有効か確認を推奨。
魔法先生ネギまの人物知識を公開。
とある魔術の禁書目録の人物知識を公開。
Fate/stay night、Fate/Zeroの人物知識を公開。
(……とらいあんぐるハート?)
(そんなものまであったのか!?)
主は知らない?
リリカルなのはの前に、とらいあんぐるハートと言う作品があった。
とらいあんぐるハートから派生した作品から設定を流用したのが、テレビ版の魔法少女リリカルなのは。
この辺は色々ややこしい。
お姉様が二次創作やWiki等で見た設定をまとめたもの。
信憑性、関連性が低い点は注意。
お姉様は実物を見たことが無い。
18禁のゲームだからと言って引く必要はない。
お姉様の前世は成人男性。仮に現物に触れていても問題ない。
(……優秀過ぎるだろ、お前達)
またお姉様に呆れられた。
何故。
頑張ったのに。
(成人男性?)
(そういえば、言ってなかったか?)
(聞いていない。妹達も言っていなかった)
(そうか、悪かったな。
嫌だったか?)
(問題ない。私と繋がりたい?)
百合フラグ来た?
主から言い始めるのは予想外。
(阿呆! 今の私は曲がりなりにも女だぞ!
それに、意識がある期間だけ考えても、女として生きてきた時間の方が長くなっているんだ。
今更女と大人の付き合いなどとは思えんよ)
(男と付き合う事は?)
(勘弁してくれ。一応男の記憶やらが基本でな。
考え方や感性はその頃をまだ引きずっている部分も多いんだ)
(つまり、当面は恋愛する要素が無い?)
(無い。これは断言出来る)
(そう、わかった。
それと、機会があればジュエルシードも見せてもらうつもり。
解析出来る?)
かなり困難。
レイジングハートの封印処理は優秀。
少なくとも、魔力は漏れてない。
封印を解かずに魔力を調べるには、ジュエルシード自体の解析が必要。
デバイスや魔導具は、解析出来ないよう
突破は、簡単じゃない。
(プロテクトの強度は分かるか?)
以前高町なのはがジュエルシードを出して見ていた際に解析を試した事がある。
あの時は個別認識の必要性を知らなかった。
ユーノ・スクライアやレイジングハートの実力も不明だった。
簡易調査で、
アルハザードでも良く使われていた、基本的な手法。
全くの未知ではない、単純なもの。
だけど、単純だからこそ厄介。
ユーノ・スクライアやレイジングハートに気付かれずに突破出来るとはとても言えない。
(そうか。接触の時には封時結界を使うつもりか?
その時に各種妨害も……いや、解析の邪魔になるか…………?)
邪魔になっても、各種妨害処置を行いながらの解析が現実的。
事前準備可能。手を打ってみる。
突破や解析には時間が必要。
どれくらいの時間解析出来るかで、成否の確率が大きく変わる。
(わかった。なるべく話を引き延ばしてみる)
(頼んだぞ)
アリサちゃん無双。
テレビ版第6話前半の、喧嘩イベントを消化してしまったようです。
その横では、はやてが空気と化していました。というか、寝ていました。
普段、人と関わらない生活をしていて、一気に8人(高町家3人、月村家4人、アリサ)に構われまくるというのはかなり疲れると思います。
でも、母性に触れまくって、本人は幸せだったんじゃないかと。
以前説明した通り、妹達は、エヴァの前世の記憶を
少なくともネギまに関しては、マンガ全巻サルベージ済みです。だから合わせ鏡は2012年。
マンガでは不要な情報も多いため、ここでは人物情報を抜粋した資料を渡しています。
エヴァの前世に関する話。主従でのGLフラグなんてなかった。
無感情のアコノと、性的な感性や考え方は男が基本だけど
この設定で恋愛関係が成立する方法があるなら、作者が知りたいです。
魔力やらは、既に繋がっちゃってますけどね。
妹達が言っている「解析対策」は、有り体に言えば、パソコンだとファイアウォールや暗号化、アンチウイルスソフト等に相当する物です。
勝手に中身を調べられたり改変されたりしたら困るので、通常は何らかの防衛策を取っています。
防護策が無く簡単に解析可能なら、少なくとも「デバイスを調べて、相手が使うであろう魔法の情報を奪う」事が可能になります。改変まで可能なら「問答無用でデバイスを無力化、または、暴走させて自爆を狙う」といった戦術が可能になってしまいます。
解析や改変を行うには専用の設備が必要でしょうが、環境さえ整えれば簡単なら、絶対に
そうなれば、ルーテシアはガジェットの強化なんてやってる場合じゃなくなります。敵対魔導師のデバイスにAMFエミュレートを仕込んだり、アルカンシェルやアインヘリアルを勝手に起動したりとかの鬼畜な悪戯も可能という事になるでしょうから。
2012/12/17 以下を修正
あまり表に出ない人→あまり表に出たがらない人
主は実物を見たことが→お姉様は実物を見たことが