青の悪意と曙の意思   作:deckstick

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無印編13話 迷探偵アコノ

「最もジュエルシードの動向を把握していて、かつ、事故発生時にも近くにいる。

 疑いだせば切りがない立場」

 

「そ、それは、そう……なの、かな?」

 

「なのはも納得しないで!」

 

 高町なのはが納得しかけた。

 ユーノ・スクライアが、疑われないと思っていた事の方が不思議。

 むしろ納得する要素しかない。

 

「でも、詰めが甘すぎる。

 単独犯としては、現時点で回収できていない時点で失敗。

 現地の協力者や他の魔導師との接触、時空管理局の本格的な回収開始までの時間を考えると、既に詰む寸前に見える。

 犯人なら、そろそろ逃走を考えるべき」

 

「僕は逃げないよ!

 ジュエルシードをきちんと封印しないといけないから」

 

 むしろ、主がユーノ・スクライアの逃亡を封印。

 

「というわけで、主張が正しいとすれば、ユーノ単独犯説は可能性があまり高くない。

 次、犯人はフェイト」

 

「やっぱり、その可能性はあるよね……」

 

 高町なのはは、何だか言われたことを全部信じてる?

 いくら大人びていても、小学3年生には難しい話かも。

 

「行動を考えれば、その可能性は高いと思うよ」

 

 ユーノ・スクライアとしても、別の生贄が欲しいところ?

 フェイト・テスタロッサを見る限り、犯人じゃないと言える要素が全くない。

 生贄と言うより、明らかに容疑者。

 

「輸送船を攻撃、その後回収のために地球へ。

 地球にいつ来たかにもよるけど、行動を考えれば疑う余地は充分」

 

「でも、何だか寂しそうな目をしていたの。

 そんな悪いことをする様には見えなかったし……」

 

 高町なのはは、色々と信じすぎ?

 だからこそフェイト・テスタロッサを救えると予想。

 

「フェイトの後ろに、何らかの組織か主犯がいる可能性。

 犯罪行為を強制されていて、本人が気に病んでいるなら、寂しそうな目も説明できる」

 

「そ、そっか。それなら、フェイトちゃんを助けないと!」

 

「そして、その犯行組織の一員がユーノである可能性」

 

「また僕!?」

 

 ユーノ・スクライア弄り、再び。

 叫んでも痛そうにしていない。

 だいぶ回復してきた模様。

 

「発掘後、情報を犯行組織に渡す。

 その後、犯行組織から送られてくる回収員がジュエルシードを集められるように動く。

 回収員が来てから見付けていない上に、襲われて奪われたという点を考えると、否定できない」

 

「う……」

 

「で、でも、今回あんなに怪我してたし!」

 

 ユーノ・スクライアは言葉に詰まった。

 反論する要素が見付からなかった模様。

 高町なのは、初反論。

 でも、理論的じゃない。

 

「なのはや時空管理局の目を誤魔化すための偽装の可能性。

 そもそも、命に係わるどころか、障害が残るような傷も無かったように見えた」

 

「あぅ……でも、でもー」

 

 高町なのはが、反論しようとしている?

 超空振り。思考が空転している模様。

 

「ジュエルシードの一部を確保できればよいと割り切れば、現実的。

 一部を時空管理局に渡し、残りを組織の回収員が持ち去る。

 単独で回収に向かう事で時空管理局の介入が遅れる可能性があり、公式な許可を持つ者が回収員に協力可能になる。

 魔法バレの危険がある場合はユーノが動くことで時空管理局の目を誤魔化せる。

 許可が出なくても、関係者として時空管理局の動向を聞く事ぐらいは出来るかもしれない。スパイとして疑われにくいから、とても良い。

 

 ……自分で言っておいて何だけど、ここまで組織に都合のいい解釈になるとは思わなかった」

 

「え、本気で言ってたわけじゃ……」

 

 ユーノ・スクライアは、唖然としている。

 高町なのはは言葉も出ない模様。

 ここでひっくり返すのは意外過ぎた?

 

「犯行組織の一員なら、なのはに時空管理局の事を話す必要が無い。

 偽装にしては過剰な情報提供に思える。

 時空管理局の話自体が虚構だった場合は、ユーノが犯人、または犯行組織の一員であることが確実」

 

「全部、本当だよ……」

 

 ユーノ・スクライアが力尽きて項垂れている。

 疑いが晴れたわけではないと再びひっくり返された衝撃は大きい模様。

 

「少なくとも、なのははそれを判断できない。

 知らない世界の知らない組織の話。

 疑って信じないか、鵜呑みにして信じるか。

 極端に分ければ、この2択」

 

「そ、そうだ。過保護って言っていた人がデバイスを作れるほどの魔導師なら、知ってるはず!」

 

 ユーノ・スクライアが、お姉様の事を思い出した模様。

 原作と言う意味では知っている。

 この世界の時空管理局はよく知らない。

 色々と情報不足。

 

「ちょっと冷えてきた。

 そろそろ戻らないと」

 

「思いっきりはぐらかした!?」

 

「その前に聞いておきたいんだけど、結局犯人って……?」

 

 主の誤魔化し方がおかしい。

 ユーノ・スクライアの顎が落ちかけてる。

 高町なのはが気になるのは、やっぱり時空管理局よりフェイト・テスタロッサの模様。

 

「フェイト及び背後にいる組織、という可能性が濃厚。

 組織に時空管理局またはその職員を含む可能性は否定しない」

 

「時空管理局が!?」

 

 ユーノ・スクライア、驚愕。

 自分が犯人だと言われていないだけ、改善したかもしれない。

 だけど、頼っていた組織に犯人がいると言われても、普通は喜べない。

 

「ジュエルシードが見付かってから犯行に至るまでの情報の動きを考えると、発掘に係わった人、輸送に係わった人、時空管理局のいずれかの、詳しい情報を知り得る地位にいる人物に共犯者がいる可能性が極めて高い。

 内2つに該当するのがユーノ」

 

「発掘に係わって、輸送の付き添いをした、詳しい情報を知っている人、だもんね……」

 

「なのは!?」

 

 高町なのはの中で、ユーノ・スクライアが容疑者に認定された模様。

 主がやりすぎた?

 

「少なくとも、発掘の下っ端に詳細な輸送計画が伝えられると思えない。

 輸送の下っ端に何を運ぶかが伝えられるとも思えない。

 何が見付かって、どう運ぶかを知る事が出来る人は、かなり少ないはず。

 蒸し返すようだけど、疑わないという選択は難しい」

 

「うう……わ、わかったよ。

 これから、行動で信頼を勝ち取るしかないって事だから」

 

 ユーノ・スクライアは項垂れている。

 やるべきことは変わらないはずなのに。

 

「がんばれ、少年。

 と、ここまでが建前の話」

 

 ここから本題。

 もう少し時間に余裕がある?

 先ほどのジュエルシードは、情報取得がもうすぐ完了しそう。

 お姉様との対応も確認済み。

 

(わかった。出来ればもう1つ見せてもらう)

 

「た、建前!?」

 

「まだ、何かあるの!?」

 

 ユーノ・スクライアと高町なのはは、話に付いてこれていない。

 9歳児と8歳児には、色々と衝撃的過ぎる?

 

「ここからは、冗談で流していい話じゃないから、心して聞いてほしい。

 きっと、なのはが初めて魔法を見た時と同じくらい衝撃的な内容になる」

 

「そ、そんなに、すごいの……?」

 

 高町なのはが、息をのんでいる。

 魔法に出会った時の驚きは忘れていない模様。

 

「私達は、恐らくジュエルシードで他の世界から飛ばされてきた、転生者」

 

「……へ? 転生??」

 

「ジュエルシード、で……?」

 

 ユーノ・スクライアと高町なのはの目が点になった?

 フェレットの表情は、やっぱり分かり辛い。

 

「なのはが初めて、動物病院で封印した時のジュエルシードを見せてもらっていい?」

 

「え……? う、うん」

 

『Put out』

 

(妹達、解析をお願い)

 

 ジュエルシード、シリアル21。

 原作ではユーノ・スクライアを襲っていた毛玉。

 これが主に対応する可能性が極めて高い。

 こちらも防壁突破に挑戦。

 成功した場合、構造の複写や解析へ。

 

「うーん、やっぱり、封印されているとよく解らない。

 もう少し見てみたいから、話が終わるまで出していてもらっていい?」

 

「うん、いいよ。

 だけど、私達って、ひょっとしてはやてちゃんも?」

 

「はやては違う。

 私が直接会ったことがある転生者は、過保護な人だけ。

 あと、さっき見せてもらったシリアル16が過保護な人に対応しているみたい」

 

「出歩かないみたいなのに知り合ったのは、そんな理由が。

 確かに、ジュエルシードの特殊さを考えると有り得ないとは……」

 

 ユーノ・スクライアは、ジュエルシードで、の部分が気になる様子。

 

「でも、それってそんなに衝撃的……なのかな?

 転生って、えーと、生まれ変わりとか、そんな感じ、だよね?

 漫画とかゲームで見た事あるし、魔法があるならあってもおかしくないんじゃ……」

 

 高町なのはは、転生の方が気になっている?

 物語で見かける題材。

 空想上だと思っていた物がまた現実にあった、みたいな感じ?

 

「衝撃的なのは、ここから。

 私達のいた元の世界では、この世界はアニメの世界として描かれている」

 

「へ?」

 

「つまり、物語の中に来た、という事?

 いくらジュエルシードが願望を叶えると言っても、そんな無茶苦茶な……」

 

 2人の目が、再び点に。

 ユーノ・スクライアはまだ考察を続けているけど、納得は出来ていない様子。

 

「だけど、これを否定する材料が無い。

 ジュエルシードが原因らしいと気付いたのは最近。

 これが正しければ、21人の転生者がいる事になる。

 そして、転生者は何らかの願いを叶えてもらっている可能性が高い。

 例えば、私は冷静さを望んで、感情を失った」

 

「そ、そんな理由で感情を感じられなくなっちゃったんだ……」

 

「ジュエルシードが、そんな風に働くなんて……」

 

 高町なのはとユーノ・スクライアが絶句してる。

 だけど、これが現実。

 理解出来るけど、納得出来ない様子。

 

「私はこの世界を描いたアニメを知っていて、この世界に来ることも知らされていた。

 そして、元々は魔法が無いか、知られていない世界。

 ジュエルシードがあったという事は知られていなかっただけの可能性は高いけど、それはここでは問題じゃない。

 私は魔法を使いたいとも望んで、今は魔力を持っている。

 だから、魔法が使えている」

 

「そ、そうなんだ……という事は、私の事も知ってたの!?」

 

「僕の事も!?」

 

 やっと気付いた。

 2人にとっては、一番重要な点なのに。

 

「アニメだから、語られていない部分は知らない。

 それに、私が知るアニメとは異なる部分も色々ある。

 アニメの情報が全て正しいと思うと、判断を誤る可能性が高い。

 だから、フェイトの事情について、今は何も言えない。

 仮にアニメと同じだったとしても、フェイトの事が気になるなら本人に聞いた方が良い。

 アニメと同じ事情であれば、2人が思っている以上に重い話になる。

 聞くときは覚悟を決めてからの方が良い」

 

「そ、そう、なんだ……」

 

 高町なのはは、ちょっと落ち込んだ。

 重い話と言われたから?

 覚悟不足?

 

「私の知る情報とさっきの話を比較すると、ジュエルシードの情報は、概ね一致してる。

 ユーノが発掘して、輸送中に何かあって、海鳴市付近に散らばったという点は同じ。

 その間の詳細な情報は、アニメでは描かれてない。

 だから、管理局に通報済みだとか、渡航許可を取っているとか、今管理局が何をしているかとか。

 この辺は初耳」

 

「つまり、アニメの情報は大体正しくて、細かい情報は抜けていると見ていいって事になるんだね?」

 

 ユーノ・スクライアが、妙に落ち着いた。

 自分が犯人じゃないと確信される根拠を持ってると思えたからかも?

 

「今までの事件で相違点を言うと……

 例えば、今日の戦い。

 フェイトが使ったフォトンランサーの軌道反転は2作目の技で、今はまだ1作目の時期。

 そもそも、その前に上空から攻撃された時点で勝負が決していたはずだった。

 なのはもユーノも、負傷しないはずだった」

 

「僕が弱くなってるか、アルフって使い魔が強くなってるって事!?」

 

「フェイトちゃんが強くなって……でもでも、私も強くなってる!?」

 

 今日の戦闘だけを見れば、正しい認識。

 ユーノ・スクライアの負傷は、捜索の負荷が上がっていることが原因かも。

 

「だから、アニメの話が全て真実だとは思わない方が良い。

 他に、レイジングハートやバルディッシュ、バリアジャケットの形は、テレビ版ではなく映画版という差もある。

 だけど、一応希望的な情報を。

 アニメでは、テレビ版も映画版も、最終的になのははフェイトと敵対関係ではなくなっている。

 辛い事もあるけれど、乗り越えれば未来はきっと掴める」

 

「そっか……うん、がんばる!」

 

 主は、だいぶぼかした。

 それでも、高町なのはのやる気が急上昇。

 

「でも、一応って言う事は、悲観的な情報もある、という事だよね?

 何に気を付けるべきなのか、知っていたら教えてほしいんだ」

 

 ユーノ・スクライアが、快調に考察を深めている?

 男らしいフェレット。

 外見と中身が違い過ぎて、何だか違和感。

 

「それを伝えるために、会いに来た。

 一番気を付けるべきは、転生者」

 

「へ? つまり、アコノちゃんたち?」

 

「自分で自分に気を付けろと言いに来た、という事になるんだけど」

 

 再び、高町なのはとユーノ・スクライアの目が点に。

 主は自分達が不審者と主張。

 いろんな意味で怪しい。

 

「ここをアニメの世界だと思っている人がいる事に警戒しろ、という事。

 物語の中だから何をしてもいいと思っている人がいるかもしれない。

 自分が主人公になるんだと思っている人がいるかもしれない。

 アニメの人物、つまり、なのはやアリサ、すずか達に異様に執着する人がいるかもしれない。

 ここを現実だと思っていない人の暴走は、きっと怖い。

 私自身もアニメの設定に惑わされて、普通ならしない選択をしてしまう可能性がある」

 

「そ、そういえば、お店に嫁とか言い始める変な人が来たことが……」

 

 高町なのはは、間宮萬太の事を忘れていないらしい。

 微鬱イベント回避の立役者。

 でも、それは原作を知らなければ分からない。

 

「多分、その人も転生者。

 心を操ったりする能力を希望していた場合、悲劇的な事になる可能性が高い」

 

「そ、それは嫌だ」

 

 高町なのはの顔が引きつった。

 操られる事が碌な結果にならないという理解はある模様。

 

「何か、そういう能力に心当たりがある?」

 

 ユーノ・スクライアは、ものすごく心配そうな雰囲気。

 ショタコンや薔薇(ウホッ)の存在を知らない?

 

「元の世界で有名なのは、ニコポとナデポ。

 ニコポは、笑みを向ける事で相手を惚れさせる能力。

 ナデポは、頭を撫でる事で以下同じ」

 

「そ、そういえば、こっちに手を伸ばしてきてた……あぅぅ~~~~」

 

「うわっ!? なのは、いきなり手を離さないで!

 だけど、何か、対策は……!?」

 

 高町なのはが頭を抱えた。

 それでは防げない。

 今防いでも意味が無い。

 むしろ、放り出されたユーノ・スクライアが犠牲に。

 

「分からない。ジュエルシードが叶えた結果次第だから。

 どんな形で実現しているか、想像もつかない」

 

「正常に働かない事に期待するしかないのか……」

 

「だ、大丈夫かなぁ」

 

 ユーノ・スクライアは落ち込んでいる。

 高町なのはは不安そう。

 不安は理解出来る。

 むしろ、お姉様に効いたら危険。

 明確な脅威と成り得る。

 下衆の笑顔(ニコポ)で宇宙がヤバイ。

 

「知っていれば、撫でられるのを避ける事は出来る。

 笑みは……正常じゃない事に期待するしかない。

 あと、これは他の人達にも伝えた方が良いと思う。

 アニメの登場人物のファンが転生したなら、何らかの行動に出てもおかしくない」

 

「うん、すぐにでも!」

 

「ちょ、ちょっと待って!

 これを教えると、魔法とかにも気付かれる可能性が……」

 

 走り出しそうな高町なのはの足に、ユーノ・スクライアが纏わりついた。

 フェレットの姿でなければ、セクハラ認定。

 

「転生者の特殊な力は魔法と似たようなもの。

 それに、魔法が使える転生者も多いはず。

 一緒に教えてしまった方が、トラブルを回避しやすい」

 

「ま、魔法の秘匿が……」

 

 ユーノ・スクライア、がっくり。

 今までの秘匿の努力が、一部水の泡に。

 でも、言ってしまえば後が少し楽になる。

 

「魔法以上の問題が発生している以上、些細な事。

 アニメでも2作目の最後で教えていたはず。

 ユーノは時期が早まっただけだと思って諦めた方が良い」

 

「そ、そうなんだ……いずれ言っちゃうのか…………」

 

「うん、わかった。

 それで、登場人物って、誰がそうなの?」

 

 高町なのはは、晴れ晴れとしている?

 秘密を打ち明ける口実。

 小学生に隠し事は辛い。

 ぼろも出ていた。

 

「高町家は5人全員。

 月村家は姉妹とメイド2人。

 後は、今のところアリサとユーノ。

 分かりやすく言えば、旅行に来ている全員がそう。

 この旅行も、アニメで描写されていた」

 

「フェイトちゃんとアルフさんも、だよね……」

 

 高町なのはは、やっぱりフェイト・テスタロッサが気になる模様。

 どんな時も忘れない。

 流石未来の嫁。

 

「そう。今後まだ増えるはずだけど、それは追々。

 例えば、管理局の人は来るだろうけど、アニメの人物が来るとは限らないから、変な先入観は無い方が良いと思う。

 細かいところでは、ユーノを治療した動物病院の医院長もそう。

 あと、はやては2作目で登場する人物。なのはと知り合うのはもっと先のはずだった」

 

「そ、そうなの!?」

 

「そう。そもそも、転生者とは関係のないところでも物語は変化してる。

 旅館内でアルフがなのはを見に来なかった事もそう。

 アニメでは、それがアルフとの初接触のはずだった」

 

「そうか……未来をより良いものに変えることが出来る、という事でもあるんだよね?」

 

 ユーノ・スクライアが立ち直った。

 あえて前向きに考えるようにした模様。

 

「そうとも言える。

 でも、はやてにはまだ教えないでほしいし、はやての事は管理局の人に会っても言わないでおいてほしい」

 

「え、そうなの?

 一緒に教えた方がいいんじゃ……」

 

 高町なのはは、意外そう。

 自分には教えたのに何故、と言う感じ?

 

「はやては、分かりやすく言えばロストロギアの犠牲者。

 私は、はやてを守るために動いている」

 

「それなら、管理局に協力を求めて……」

 

 ユーノ・スクライアの提案は、本来は正しい。

 裏の事情なんて知らない以上、これ以上は踏み込ませない方が良さそう。

 無限書庫に関するまでは、部外者扱いが無難?

 

「詳しい事はまだ言えない。

 でも、近いうちに間違いなく協力を求める事になるから、その時に全てを話す。

 管理局は、アニメと同じなら、ある提督が既にこの情報を知った上で動き始めているはず。

 これは、地球を巻き込んで破滅する可能性すらある、ある意味ジュエルシードより危険な事件。

 管理局でも過激な人に知られれば、問答無用でこの近くにアルカンシェルを打ち込まれかねない情報もある。

 迂闊に動くわけにはいかない」

 

「う、うん、わかった……」

 

「そんなに大変な秘密なんだ……わかった。僕に出来る事なら協力する。

 だけど、アニメの最後は悲劇になったという事?

 それなら、守りたいというのもわかるんだけど」

 

 高町なのはは、微妙に納得していない。

 でも、やっぱりユーノ・スクライアは優しい。

 この時点で協力を申し出るのは意外。

 

「ほとんどの人は助かる。

 だけど、助からない人もいる。

 過保護な人は、その助からない人を助けたい。

 私は、はやてに仲間意識を持った。

 未来を変えたい理由は、この程度」

 

「でも、未来を変えるという事は……」

 

 ユーノ・スクライアが前向きじゃなくなった。

 地球の破滅は重すぎた?

 

「最悪の場合、もっと悪い結果になる可能性もあるのは分かる。

 だけど、転生者の私達がいる。

 手出しをしなくてもアニメとは異なる部分も発生している。

 私と過保護な人だけが関わらなければアニメ通りになると、無邪気に信じられない。

 それなら、望ましい未来を掴みとる」

 

「アコノちゃんって、意外に熱血?」

 

「そうだね。感情が無いっていうのが嘘みたいだ」

 

 高町なのはとユーノ・スクライアが驚いてる。

 熱血系無感情という主の本性を理解していなかった模様。

 普通は理解出来ないから仕方ない。

 

「私の行動は、理性と打算。

 はやて達がいる未来の方が良いと考えているだけ」

 

 主に報告。

 ジュエルシード2個、構造及び記録情報の複写が完了。

 シリアル21が主と対応していることも確認済み。

 後は、取得した情報で解析可能。

 

(ありがとう)

 

「そろそろ宿に戻る方がいい。本当に体が冷えてきたし、睡眠も大切なはず」

 

「え……うん、そうだね。だいぶ冷えちゃった」




主人公勢による積極的原作介入、始まりました。
でも、まだブレイクはしていません……よね?

介入は、現状ではアコノだけです。
フェイト&アルフや、猫にはそれすら気付かれていませんが。


そして、アコノは、冗談(ユーノいじり)以外では明確な嘘は言っていませんよ?
冗談も、こう推測できると言っているだけなので、厳密には嘘じゃないですし。
肝心な事を言っていなかったり、おかしな態度をしてみたり、話題や認識を誘導したりしただけで、“言っている事”は本当(の一部や歪曲表現)です。
明らかな矛盾があったら設定ミスで作者の力量不足です。
見付けた場合は遠慮なく指摘してください。何とかします。



なお、今年の投稿(公開)はこれで終了です。通常(木曜)より2日早いですが、作業に失敗するより良いので、前倒しです。
作者的には今から投稿(予約)の作業がありますが。
正月の企画です。あえて言います、無茶しました(笑)

明日や明後日は作業できるか微妙、明々後日以降はしばらくパソコンの無い生活です。
修正や返信等は年明け(早くて4日?6日や7日以降かも?)になりますので、ご了承ください。

それでは、良いお年を。


2013/01/04 はやて隠しの脅し文句を追加

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