青の悪意と曙の意思   作:deckstick

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無印編20話 倍増計画

「……と、言うわけなの。

 いろんな話を聞いてるけど、どこまで話していいの?」

 

 お姉様は今、高町家にいる。

 アースラのサーチャーは、放置を継続。

 主は現在入浴の時間。アースラへの顔見せは断念。

 

 リビングに高町家の全員とお姉様、それに高町家のチャチャがいる状態。

 高町恭也は帰ってきたし、高町桃子も料理が終了済み。

 だけど、話をする気があるのは、高町士郎に高町なのは、それにユーノ・スクライアくらい。

 他の人達は、少し離れて様子を見てる。

 今は高町なのはが高町家を代表して、そしてアースラに行く本人として、今日の出来事と自身の希望を説明したところ。

 

「私達や転生者、それに原作の事か。隠さない方がいいだろうな。

 むしろ、転生者対策はアースラでもやってほしいくらいだ。積極的に説明した方がいい」

 

「え、全部いいの!?」

 

「厄介な形で目を付けられる可能性もあるけれど、本当に隠さなくてもいいのかい?」

 

 全解禁は予想外?

 高町なのは、驚愕。

 高町士郎は、心配してくれてる。

 流石優しいお父さん。

 

「現状の管理局側が原作通りの様だから、アースラのクルー狙いの阿呆もいるかもしれん。

 年上好きなら美人で後家のリンディは狙い目に見えるだろうし、エイミィのファンがいる可能性も否定出来ん……っと、まだエイミィには会っていないんだったか?

 簡単に説明すると、アースラのナンバー3で、実態は知らんがどう見てもクロノの彼女だ。

 まあ、そういう言う事だから、隠す方が大きな問題になる可能性がある以上はやむを得ない。

 そうだな……説明は、ユーノ。頼めるか?」

 

「僕、ですか?

 いえ、説明は構わないのですが……」

 

 ユーノ・スクライアが困ってる。

 どこまで言っていいのか迷ってる?

 任された事自体が意外?

 

「私についての説明も、してもらっても構わん。

 ユーノの立場だと、管理局に隠し事をする方が問題だろう?」

 

「やはり、管理局が関わる世界の人間だから、という事だね?」

 

 高町士郎は、やっぱり裏側の人間。

 誰がどの様な関係にいるかを、きちんと考えてる。

 

「ここにいるユーノ以外の人間は、管理外世界……要するに地球の住人だからな。少なくとも地球にいる限りは、管理局の法に従う義務は無いぞ。

 だが、ユーノはミッドチルダか、どこかの管理世界の人間だろう?

 黙認される程度や現地なら何の問題も無い違反ならいいが、下手をすれば帰れなくなるからな。管理局との関係は、私達とは明確に異なる。

 私は見付かれば何か言われる可能性はあるが……まあ、いつか通る道だ。

 そもそも、私は何かをした覚えは無いからな。

 変な言いがかりをつけてくるなら全力で抵抗するが、友好的や不干渉なら別に何もせんよ」

 

 確かに、お姉様は何もしてない。

 主候補の魔力を吸収して負荷をかけていたのは、構造の問題。

 感情暴走はチャチャゼロのせい。

 お姉様自身は、寝てただけ。

 意図的には、してない。

 

「は、はあ……そういう事なら、ついでに管理局に何か情報が無いか調べてもらった方がいいと思いますけど、何か手掛かりは無いですか?」

 

 ユーノ・スクライアは、とりあえずお姉様の事を伝える件は納得した模様。

 でも、根本的な部分を聞いていないことに気付いた。

 

「そういえば、言ってなかったか?

 魔導具としては、曙天の指令書という名だ」

 

「曙天の指令書、ですか……聞いた事は無いですね」

 

「だろうな。大昔に主要機能が停止した魔導具の名など、知られている方がおかしい。

 私の名がある文献でも見付かれば奇跡だろう」

 

「そうかもしれません」

 

 主殺しの書と言う名前で、ごくごく一部の人は知ってるはず。

 でも、その程度。

 アルハザードの流出資料にも、曙天の指令書の名がある可能性は低い。

 きっと、情報は見付からない。

 とにかく、ユーノ・スクライアは知られて無いという事で納得した。

 

「その辺の話も、一度アースラの連中としておくべきか……

 そうだな、来月の6日に話をしたいと伝えておいてくれないか?」

 

「6日ですか?」

 

 ユーノ・スクライアは不思議そう。

 大型連休について理解していないと予想。

 

「連休が終わって、最初の平日だね。

 やはり、連休中は転生者の様子を見るという事かな?」

 

 やっぱり、高町士郎が優秀。

 理由まで言われた。

 

「ああ。アースラの協力があれば、今までよりは回収のペースも上がるはずだ。

 そうなれば、おかしな形で原作に関わろうとする阿呆が増える可能性もあるからな。

 転生者は学生が多いようだし、自由に動きやすい休みの間は特に注意するべきだろう。

 それに、問題がどう転ぶにせよ、話をする前にもう少し情報を集めたい」

 

「そうですか。分かりました、必ず伝えておきます」

 

 ユーノ・スクライアは、事態をそれなりに把握した模様。

 とりあえず、日本の暦で6日に話をしたいという希望は伝わった。

 

「それと、この件で高町家には悪い情報だ。

 今も言ったが、阿呆が増える可能性がある。その警戒はしておいた方がいい。

 逆に、助けを求めてくる事もあり得るだろう。原作に登場する場所で所在地を調べやすく、主要人物や関係者がいる確率が高いのは、翠屋と学校くらいだからな。

 私やアコノも店に行くようにするが、いない場合はチャチャに判断を任せていい。必要なら私やアコノに連絡してくるはずだ」

 

「ああ、解った。

 質の悪い人物の場合は、遠慮は無用だね?」

 

 高町士郎がヤる気になった?

 怪しい方向で、目が輝いてる。

 

「程度にもよるだろうが……必要以上の遠慮はいらん。

 悪質なら警察なり病院なり草葉の陰なり、責任が取れる範囲で好きなところへ送ってやるといい。

 現実とはままならないものだと思い知らせてやるといいさ。

 ああ、なのはが居なくなるところを悪いが、道場は今後も使っていいだろうか?

 まともな転生者が来て助けを求められた場合は、きちんと指導してやりたい。

 その場合は、指導の為にチャチャをもう一人送るつもりだ」

 

「それは構わないよ。なのはを助ける事にも繋がるだろう?」

 

「結果的にその可能性はある。

 それに、直接の助けにならなくとも、魔法について話せる仲間は多い方がいい。

 魔法なんて重大な秘密を気にせずに話せる相手の存在は貴重だ」

 

「そうだね。気兼ねなく話せる友人が多いのはいい事だ」

 

 

 ◇◆◇ ◇◆◇

 

 

 その後、お姉様は主の元へ戻った。

 高町なのはとユーノ・スクライアはアースラへ搭乗。

 この辺は原作からの乖離は無い。

 高町なのはとユーノ・スクライアの2名は、ほぼ原作通りの内容でリンディ・ハラオウンを説得。

 クロノ・ハラオウンが微妙に納得していない点、エイミィ・リミエッタが通信担当で話を聞いていて参加を歓迎気味だった点も、相違点は無い。

 

「それで、2人はきちんと説明できていたか?」

 

 問題ない。

 説明に立ち会っていたのは、ハラオウン親子とエイミィ・リミエッタ。

 

 転生者の事や原作については、伝えた事は概ね説明。転生者の危険性について概ね意図通りに伝わった模様。

 リンディ・ハラオウンが夫を亡くしている事や、高町なのは達も会っていなかった「エイミィ」の事も話していたため、信じられないけど全くの絵空事ではないだろうと判断された。

 だけど、管理局からの情報流出も可能性として考えてた。

 やはり、原作での描かれ方については気になる様子。

 

 お姉様の事は、最近まで停止していた古代ベルカ製の魔導具と、出身を誤解した状態で頑張って説明。

 主の事は、お姉様から魔法を教わっている転生者だという程度の認識。

 カートリッジを多発していたせいで、主の魔力はあまり多くないと思われた。計画通り。

 レイジングハートが記録の一部を提出。お姉様は過保護でうっかり風という認識。

 

 助けたい人がいる事、高町なのはと主の友人に危うい人がいる事も伝わった。

 

 ある程度約束通りに、八神はやての個人情報は伝わってない。

 こちらの説明時も、レイジングハートが記録の一部を提出。

 八神はやての特定に繋がる様な、名前や生活状況等の情報は伏せられてた。

 高町なのはの様に事件に巻き込まれて、もっと悪い状況に陥る人物ではないかと思われた模様。

 

 助けたい人が助からない事情について、少々深読みする傾向。

 何らかの理由があると推測し、そちらに対しての警戒はする模様。

 これらを総合して、同じベルカ製の本という事で、お姉様と闇の書との関連も疑ってた。

 やはり、管理局でも闇の書がベルカ製とされている事は確実。

 

 いずれにせよ、お姉様が近いうちに話をする事や、協力が必要になる際に情報を明かすと言っている事もあるため、当面は知らないという事にする模様。

 提督が知っているという事で、探りはしても手出し不要という事に。

 当面はこの5名の胸に留め、他のアースラスタッフにも知らせないと決定。

 エイミィ・リミエッタが、ジュエルシードの捜索と併せて調査を行う事に。

 

「概ね予想の範疇だな。

 警戒は当然だろうし、警戒していないと事情を話してからの動きが遅れかねない。

 大きな問題は無いだろう」

 

 話が終わった後は、部屋を与えられて就寝。

 未だ8歳と9歳。遅い時間まで良く頑張った。

 

「明日は、実際にどう動くかの打ち合わせからか。

 アースラ自体は、捜索を開始しているか?」

 

 捜索開始済み。

 現時点では、高町なのはが持ち込んだジュエルシードを解析中。

 回収済みのジュエルシードを全て渡してた。

 並行して、地上の魔力反応を探している模様。

 この手法では未発動のジュエルシードは見付け辛いと理解はしてる。

 ジュエルシードの解析が終わるまで何もしないよりは良いと判断。

 

「アースラのメインシステムへの侵入は?」

 

 電子精霊の送り込みには成功。

 但し、全体的に堅牢。端末の一部掌握に留まる。

 時空管理局本局との常時情報通信は行っていない模様。

 それに、遠距離通信の制御系は堅牢。通信内容の傍受や電子精霊の送り込みは困難と予想。

 時空管理局本局やミッドチルダへの足掛かりとしては難易度が高い。

 中継ポートを使用しての通信中継や魔力供給の準備は難航中。

 人手不足。

 人数増強を提案。

 

「お前達の……か?」

 

 私達と、自立型使い魔を推奨。

 中継ポート付近の拠点を構築するために、数人の私達が候補地で実体化。

 候補地での身分を持つ自立型使い魔を現地調達、協力して中継拠点の確保を行う。

 これを繰り返して活動可能な範囲を広げる。

 現在では、各種調査や情報処理で手一杯。

 夜天から送られていた情報の処理や、各種調査に手間取ってる。

 宵天の古いものはほぼ後回し。

 お姉様が幼女や少女の寝顔を見たいなら優先処理。

 2500年分の情報量は半端ない。

 

「幼女や少女の、寝顔……?」

 

 例えば、ベルカの“最後の聖王”オリヴィエ・ゼーゲブレヒトの成長記録を発見済み。

 何故か5才頃から15歳頃の寝顔や寝室での姿ばかり。

 質の悪い幼女趣味としか言いようがない。

 お姉様と主の姿を知れば、付き纏われる可能性が否定出来ない。

 宵天は、今はミッドチルダにいる。そのため、最近の情報は一応解析中。

 やっぱり幼女率と少女率と寝室率が半端ない。

 少し前はオーリス・ゲイズ。

 今はカリム・グラシア。

 時空管理局や聖王教会についての情報が混じっているから質が悪い。

 

「……最悪だ。カリムは、アコノより少し上くらいか?」

 

 現在、13歳。

 教会騎士団及び時空管理局に所属。

 未来予知に目覚めているが、まだまだ不安定。

 身分は低いが実力や影響力は高め。

 原作3作目を支える人物。情報自体は無下に出来ない。

 情報の方向性が問題。

 

「はあ……宵天の性根を叩き直す必要がありそうだ。

 ミッド方面は、自力での調査は可能か?」

 

 ミッドチルダの調査を行う余裕はあまり無い。

 原作の内容を考慮すると、ジェイル・スカリエッティや最高評議会の動向も掴みたい。

 電子精霊だけでは不安。

 別荘の従者達は、食事関係に加え、情報処理を手伝ってもらってる。

 2500年の平和で、諜報を任せるには狡猾さが足りない。

 よって、増員を希望。

 

「……増員の材料は?」

 

 アルハザード時代の後期に増員を止めた。

 それ以降の確保分は大量にある。

 私達の人数を10倍にしてもまだまだ余裕。

 但し、一気に増やす事は難しい。構築に多少の時間は必要。

 2倍であれば、夜天の起動までには完了と予想。

 その後はきっと、夜天や管理局対策に奔走する事になる。

 人数が欲しい状況は続く。

 

「…………分かった。とりあえず、2倍を目処に増員だ。

 それ以上は、状況を見て考えよう」

 

 許可が出た。

 早速増員を開始。

 

「早いな。準備済みだったか?」

 

 もちろん。

 限界を感じていた。

 情報は大事。

 対策も大事。

 やりたい事は多数。

 やらなければならない事も多数。

 

「そう、だな」

 

 今度の主も、いい人。

 助けられる事があれば、助けたい。

 感情はきっと、感じないだけ。

 精神と魔力の揺らぎを見る限り、無いわけではないと予想。

 冷静による感情消失は、人格改変ではなく常時抑制型と思える。

 特典の封印か除去により、感情が戻る可能性がある。

 

「本当か?

 いや、それでも……あんな事は、二度と御免だ」

 

 封印や除去が可能か、継続調査。可能だった場合は主の最終的な判断次第。

 特典無効化の能力を持つ東渚が鍵?

 ジュエルシードの情報解析も行っているけど、よく分からない点が多い。

 追加されていた魔法が謎すぎる。

 実験室どころか、妄想の産物並の低品質。

 使用されている超小型魔導炉は、出力だけは規格外。

 次元干渉型と言う点を除いても、異常な出力。

 欠点は安定性に欠けるところ。不安定さも規格外。

 低品質魔法を不安定な状態で並行動作させた場合の結果は想像もつかない。

 祈願型のインテリジェンスデバイスとしての制御部分を修正してきちんとした魔法を設定すれば、お姉様なら使い物になる。

 お姉様への魔力供給源として、それなりに便利そう。

 可能であれば、確保を推奨。

 緊急停止を想定した強制介入用の裏口(バックドア)がそのまま残ってる。

 強引に使用する事も可能な状態。

 

「……カートリッジ一択よりも、融通は利くという事か。

 それにしても、アコノの感情、か……」

 

 まだ深く考える程ではない。

 封印や削除が可能か不明。

 可能性の話。

 研究はするべき。

 主は、友として傍に在ると言っていた。

 友として生きるには感情が必要だとも言っていた。

 きっと、希望する。

 他の転生者との交渉でも切り札になり得る。

 

「そう、だな……」




増員は、概ね1日150人のペース。5月末に倍増完了予定です。
5000人でも足りない理由は、夜天や宵天が集めた2500年分の情報の解析に手間取っている事が大きいです。それに、エヴァやアコノの補佐や護衛、フェイトや転生者の監視や捜索、保護対象(はやて、高町家、月村家、バニングス家等)の護衛、(リーゼ)対策、はやて救済用の手札の準備、地球の現状の確認と生活環境構築、時空管理局本局への足掛かり構築、社会貢献(アレなそしきのこうせい)、別荘の維持管理、各種情報収集や食物関係などなど。結構業務過多です。
でも、人数が増えたことに対して、今後も直接の描写はありません。現時点で5000人という設定を意識する様な描写もありませんし。


なお、「夜天からの情報の処理に手間取っている」のは、取り込んで整理するだけじゃないからです。夜天の情報の「取り込み」自体は完了しています。
問題は、「情報にある魔法の、特性や用途の解析、判別方法の理解、対策の考案」です。
どんな魔法なのか、エヴァ達や他の人が使ってよいものか、使う場合はどういう時か、それによる影響はどの程度か、副作用は無いか、使われたらどう見分けるか、どう対策するか。
魔法戦では重要な情報です。
これを更に纏めて、日常使いやすいのはどの魔法か、ありがちな場面ではどの魔法を使うのが適切か、も考えます。要するにデバイスに入れて使う魔法の選定作業ですね。
大事ですが、恐ろしく手間がかかります。
優秀な妹達ですが、約20日で助け(ぞういん)求め(ようきゅうす)る事にしたようです。


2013/02/06 以下を修正
 管理局→時空管理局 (妹達の発言なので、省略形を正式名称に)
 非干渉→不干渉
 求め(ようきゅうす)る→求める(ようきゅうする) (これは、どちらの方が見やすいでしょう?)
2017/03/28 宵天の根性→宵天の性根 に修正
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