青の悪意と曙の意思   作:deckstick

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テレビ版の第9話前半にある1分程のシーンに対応する部分があります。


無印編23話 連休開始

 4月29日。日本は、全国的に黄金週間(ゴールデンウィーク)と呼ばれる期間に突入。

 当然、学生達も休みになる。

 それは転生者の多くも自由に動き回れるという事に繋がる。

 つまり、問題が多発する可能性があるという事。

 

「だけど、接触も出来ないのは予想外」

 

「そうだな。どうやって避けているのやら」

 

 そんな中、主とお姉様は、制限が解除されていない転生者への平和的接触に挑戦中。

 お姉様が主の車椅子を押して、街中を移動している状態。

 標的は夜月ツバサ。アンナ・ユーリ……本名長い。アーニャの外見で人間不信の小学3年生。

 居場所は特定できる。

 ある程度偶然的な出会いに見せるために先回りしてみても、その度に夜月ツバサの行動が変化。

 変化の理由はどれも偶発的。こちらの動きを察知したからとは思えない。

 

「制限とは、接触を回避する効果もあるという事か?」

 

「だけど、突破できた例もある。

 絶対的なものではないはず」

 

 突破と言うか、そのまま命を砕いたと言うか。

 どこまで参考にしていいか不明。

 

「だが、敵対したいわけじゃないからな。人間不信の様だし、強引に接触すると後が面倒そうだ。

 現時点での接触は諦めた方が良さそうだな」

 

「手遅れになる前に接触できればいいけど」

 

「制限が無くなってからの行動次第だろう。

 遅くとも1か月以内には接触できるだろうし、焦らず行くしかないか」

 

 

 ◇◆◇ ◇◆◇

 

 

 黄金週間(ゴールデンウィーク)3日目。

 とは言っても、2日目は平日。主は普通に学校へ行き、フェイト・テスタロッサが発動直後のジュエルシード、シリアル5を鮮やかに回収した程度で、比較的平穏な日が続いてる。

 

「平穏か?」

 

 お姉様が心配しなくていい程度には。

 対応していたのは、下出来人。

 既に発見済みの、オリ主様。

 制限が解除になったと思われるため、接触の可能性がかなり高まった。

 元々警戒対象。対応に変化は無い。

 関わってくる可能性が上がっただけ。問題ない。

 

 昨日、学校で主を見付けたらしいアースラのサーチャーは自動監視だったため、当初は放置。

 主は放課後に翠屋に顔を出し、月村すずかやアリサ・バニングスとお茶。

 高町なのはの状況説明と、普通の雑談を少々。八神はやてに関する話題は自動監視が反応しない程度に誤魔化して対処。

 その後、サーチャーには穏便な方法で(じこをよそおって)退散(たにんのかんしを)してもらった上で、帰宅。

 とても平和な1日。

 

「平穏。でも、今からは?」

 

 主は、真鶴亜美と待ち合わせ。

 表面上は、平穏。

 

「本当に表面上だけだがな。女狐じゃなきゃいいが……

 本当に1人で行くつもりか?」

 

 お姉様の過保護再び?

 

「大丈夫。言い争いになる事はあっても、暴力的な争いになる相手ではなさそう。

 それよりも、エヴァは他の転生者の方をお願い。

 昨日の封印解除もあるから、今日にも動く可能性がある」

 

「それはそうなんだが。

 それで、アコノは昼過ぎにはやてと会う予定だったな?」

 

「今日の結果次第で、はやてにどう手を出すかを決めるつもり。

 出来れば早めに家に行く約束も取り付ける」

 

「そろそろ、どうするか決めないといけない時期か。

 はやての考えが判明して、問題ないようなら私も行くぞ」

 

「その時はよろしく。

 だけど、本当に思考支援は禁止?」

 

「駄目だ。アコノの場合、本当に脳が使い物にならなくなるまで使いそうだからな。

 いくら直せても、本当の体はそれだけなんだ。頼むから粗末に扱わないでくれ」

 

「わかった」

 

 ここで空気を読まずに緊急速報。

 ジュエルシードの発動を確認。シリアルは8。

 付近にいたギル・ガーメスと下出来人が接近中。

 

「はぁ? あいつら、デバイスを持っていたか?」

 

 ギル・ガーメスは持ってない。

 下出来人は持っていても、封印するには性能不足。

 敗北または取り込まれる未来しか想像出来ない。

 アースラのサーチャーはいい反応。ジュエルシードと転生者2名の監視に入った模様。

 ジュエルシードに辿り着く前に、2人が接触。

 睨み合ってる。

 

「2人の目的は、ジュエルシード?」

 

「だろうな。ただ、あいつらが出てきても何も出来ないが」

 

 2人とも自分のものだと主張している間に、ジュエルシードの状態が若干安定。

 鳥が鳳凰っぽいものになった。

 現地入り直後のユーノ・スクライアが封時結界を展開、鳥の姿が消えた。

 下出来人とギル・ガーメスをうまく外した封時結界の展開技術は見事。

 2人は呆然としてる。

 

「……間抜け過ぎるだろう」

 

 お前のせいで逃げられたと激しく口論。

 下出来人がポケットから割り箸にも見える細く短い棒を取り出した。これがデバイス。

 ギル・ガーメスが懐から出刃包丁を取り出した。明らかに凶器。

 戦闘開始。

 

「低レベルとはいえ、デバイス持ちに包丁で挑むとは……無謀にも程がある」

 

「だけど、相手が魔法を使えないと舐めていると」

 

 刺された。

 2人とも魔法を使ってない。

 主が言い終る時間すらなかった。

 2本目の包丁が、胸にさっくり。

 どう見ても致命傷。

 

「……やってしまったのか」

 

 お姉様がため息をついてる。

 ギル・ガーメス本人は呆然としてる。

 手法的に、日本の警察で対処できる範囲の殺人事件。

 通報する?

 付近の通行人の意識を誘導、目撃者に?

 目撃者が次の犠牲者になる可能性も。非推奨。

 ギル・ガーメスが下出来人の持っていた割り箸(デバイス)を奪い、逃走開始。

 逃走する姿が普通に見られた。

 返り血で真っ赤。明らかに怪しい。無駄に美形なため印象にも残りやすい。

 目的者多数。目撃者を排除すると確実に大量虐殺者認定。

 携帯電話のカメラを向けられてる。

 銀行入り口に防犯カメラの存在を確認。

 撮影していればばっちり記録可能な角度。

 

「うわぁ……」

 

 お姉様が呆れてる。

 主も呆れてる。

 るーるる、るるーるー。

 今日も、いい天気。

 げんじつとうひ ここまで。

 

「間抜けにも程がある。

 後は、日本の警察に任せる?」

 

「魔法を使われると、不必要な犠牲者が出るな。魔法の秘匿にも問題がある……

 とりあえず、デバイスを壊しておくのが無難か?

 アースラには……まあ、見られても仕方ない」

 

「可能?」

 

 がんばる。

 デバイスの構造は単純に見える。

 解析対策も碌にされてない?

 使用者消失により、なけなしのロックも解除状態。

 内部構造の解析に成功。

 驚きのノーガード・フルオープン戦法。

 使用者登録に必要な機能を狙い撃ち。劣化と衝撃による破損を偽装。

 臨時使用者機能の無い低機能ストレージデバイス。登録抹消状態なので無力化可能。

 でも、クロノ・ハラオウンが見てる。何をしたのか見破られる可能性は高い。

 魔法の行使部分に大きな問題が無ければ、管理局の調査が入っても疑問に思われにくい。

 明確な証拠は残さない。執務官とはいえ推測の証言だけなら大きな問題にはならないと予想。

 と言うわけで、遠慮なく実行。

 成功。

 

「ずいぶんあっさり」

 

「いや、物理的に潰すつもりで言ったんだが……

 遠隔解析なんて、無茶し過ぎだ」

 

 あとは必要に応じて、匿名で警察に情報提供。

 犯罪者として捕まれば、当分は私達への干渉は不可能になる。

 とりあえず望ましい状態になりそう。

 

「まあいい、これで現実を知れば、少しはましになってくれるだろう。

 もしくは、社会からドロップアウトだな」

 

 追加報告。

 鳥は高町なのはが封印完了。

 ユーノ・スクライアのバインドに関する説明も健在。

 真鶴亜美との対応を確認済み。恐らく制限が解除された。

 この場に及んで事態が急変。

 

「つまり、制限のない状態で話が出来るという事。

 好都合」

 

「だが、あまりにもタイミングがおかしい。

 私達は今もジュエルシードの掌で踊っているのか……?」

 

「例えそうでも、掌を踏み砕くくらい強く踊ればいい。

 この世界のジュエルシードを改造できる技術を持つエヴァなら、可能なはず」

 

「……そう、だな」

 

 

 ◇◆◇ ◇◆◇

 

 

 11時頃になり、主は1人で喫茶店へ来た。

 探知魔法の妨害も万全の態勢。

 ここにいること自体、アースラには知られてないはず。

 でも、成瀬カイゼの盗聴器が存在している事は把握済み。

 奥の方の席には既に真鶴亜美が座ってる。

 のんびりと紅茶を飲んでる。

 

「お待たせ」

 

「いえ、さっき来たところよ。

 だけど、どう見ても木乃香ちゃんね」

 

 真鶴亜美の笑みは優しい。

 今のところ、狸や狐や猫の気配は見えない。

 

「那波千鶴そのもの。人の事は言えない。

 私は小野アコノ。好きに呼んで」

 

「あらあら、話すと見た目とはだいぶ印象が変わるわね。

 私は真鶴亜美。保育士をしているわ。

 話だけど……ここで大丈夫? 別の場所に移動する?」

 

「しばらくなら大丈夫」

 

 主はそう言いながら店員に椅子を片付けてもらい、ジュースを注文。

 店員が離れたところで、テーブルの上に猫の形をした飾りを置いた。

 

「これは?」

 

「限定的だけど、ネギまの認識阻害を再現した物だと聞いている。

 録音とか盗聴とかされていなければ、問題ないはず」

(妹達、低水準の思考支援を。

 エヴァに心配させない程度に、情報転送は最小限でアドバイスをお願い)

 

 やっぱりやるつもりだった。

 あれ以上速度を落とすと、相談がし辛くなる。

 効果がだいぶ落ちる。結果的に、今とあまり変わらない。

 

(最適と判断した結果を教えてくれればいい。

 私はそれに従う)

 

 それだと主の意思が反映出来ない。

 従者として、認められない。

 

(エヴァと私にとって最善の答えを導いてくれる、と信じる私も認められない?)

 

 心意気は理解。

 でも、その言い方は卑怯。

 盗聴は気にしなくていい。聞かれたくない情報は遮断する準備もしてる。

 私達の考えは、いつもの様に話せる。

 思考支援もあくまで助言。その案に従う必要はない。

 主の負荷は予想以上に大きい。

 主だからこそ譲れない。

 

(わかった)

 

「そう。それなら、少しぐらいは大丈夫そうね。

 さてと、何処から話しましょうか?」

 

「知識の摺合せのために、ある程度こちらで把握している事を話す。

 分からない事や疑問に思った事、他に気付いている事があったら言ってほしい」

 

「そうね、分かったわ」

 

 真鶴亜美の雰囲気が変わった。

 でも、やっぱり狸や狐じゃなさそう。

 真剣になっただけ。

 

「まず、聞いていると思うけれど、ここはリリカルなのはの世界。

 私は3作目まで大体把握している。

 その辺をどの程度知っているか聞いてもいい?」

 

「いわゆる原作についてね。少しくらいは知ってるけれど、見た事があるのは1作目だけで、2作目は概要くらいね。

 主人公は高町なのはだとか、1作目はジュエルシードを集めるとか、その程度は分かるわ」

 

「今は1作目だから、ある程度知っている前提で説明する。

 なのはは今、ジュエルシードを集めている。

 状況としては、管理局との協力中で、アースラに行ったところ」

 

「あら、管理局も来ているの? 結構進んでいるのね。

 でも、内容を思い出したのがついさっきなのよ。随分と覚醒の遅い転生だと思うけど……」

 

 制限解除の効果はこれだけ?

 有効な制限だけど、弱い制限でもある。

 

「転生の原因はジュエルシード。

 自身に対応するジュエルシードが封印されると、原作に係わることが出来るようになるみたい」

 

「そういう事なの?

 それなら遅いのも納得だけど、未だに係われない人もいるという事ね?」

 

「そう。転生者もまだ16人しか見付けていない」

 

「そうなの? でも、ジュエルシードね……その割には、特に歪んだ叶え方はされていないけど、他の人はどうなの?」

 

 真鶴亜美の特典は、歪んでない?

 罠を回避した?

 

「歪んでいる人も多い。望んだのは何?」

 

「健康な体と、探し物と、怪我の治療ね。

 今まで病気らしい病気にかかった事は無いし、探し物と治療は普通に出来るみたいだし。

 歪んでいるとは思えないわよ」

 

 何て幸せな結果。

 同じジュエルシード転生とは思えない素直さ。

 

「探し物の能力で、襲われそうになった事や監視に気付いた?」

 

「ええ、そうよ。

 歪んだ人って、どんな感じなのかしら?」

 

「私は、冷静さを望んで感情を感じなくなった。

 望んだ能力が期待通りに動いていない人もそれなりにいる。

 ニコポやナデポが壊滅状態みたいだから少し安心だけど、警戒は必要。

 人間じゃなくなった人もいる。

 望んだ能力の影響に耐えられなくなって、なのはの所に相談に来た人もいる。

 まだ接触していないけれど、人間不信になっている人もいるみたい」

 

 夜月ツバサも伝える?

 そもそも、歪んだ結果かも不明。特典も不明。

 だから主は“みたい”とぼかしてる。問題ない。

 

「あらあら、随分と大変なことになってるのね。

 助けられる人なら、助けたいけれど……警戒という事は、あまり好ましくない人もいるという事かしら?」

 

「ニコポやナデポは、惚れ薬の様なもの。

 そんな能力を欲しがる人は、他人を人と認めていないような行動を取りがち。

 助けるより、矯正すべき」

 

「そうなの。それも歪んだ結果なのかしら?」

 

「分からない。

 元々の本人の気質かもしれない。

 何らかの歪みの結果なのかもしれない。

 本人が不満に思っているかどうかも分からない」

 

「そう……歪みが本人にとって不満とも限らないという事ね。

 確かに、私はあまり不満も無いし。その点は納得出来るかしら」

 

 不満が無い?

 能力は素直に与えられてる。

 生活状況的にも名前的にも、おかしな点は見えない。

 

「本当に不満は無い?」

 

「そうね……私が不満なのは原作の内容を忘れていた事くらいかしら?」

 

「どう不満?」

 

「いくら物語だったと言っても、子供に全てを任せ切りになるのは、大人としてダメでしょう?

 何故か少し早くこの世界に来ていた様だし、何か手伝えることもあったんじゃないかと思って」

 

 真鶴亜美は、本当にいい人?

 介入自体が目的じゃない。

 目的が真っ当に聞こえる。

 

「探知能力での捜索?」

 

「それもあるけど、大人として子供を甘えさせたりとかも、ね。

 ほら、私は保育士だから、子供の扱いも少しは慣れているし」

 

「なのはは子供だけど、大人でもある。

 それに、子供を甘えさせるのは、まずは家族であるべき。

 そのことについての忠告も家族にしてある。当面は様子見」

 

「あら、そうなの?

 随分と手回しが良いわね」

 

 感心された。

 どことなく安心した雰囲気。

 

「意図的ではなかったけれど、結果的になのは達と知り合った。

 手助けできる部分はするつもり」

 

「そうなの。それなら、私に出来る事は、あまり無いのかしら?

 そうならちょっと肩の荷が下りた気分だけど、少し残念かな」

 

「無理に関与する必要は無いはず。それよりも、2作目への対処をしておいて欲しい」

 

「闇の書、だったかしら……そちらも現実になるという事でいいのかしら?」

 

 2作目の知識は、概要だけと言っていた。

 長宗我部千晴と同じく、知識はあやふやな状態と思われる。

 

「まだわからない。可能な限り安全かつ平和裏に事を進めるための準備はしてる。

 だけど、2作目については、知っていてもあまり話さないでほしい。

 特に翠屋は管理局の保護と言う名の監視があるはず。認識阻害でも盗聴は防げない。

 それに、何もしなくても原作との乖離が色々と発生している。闇の書自体も私は見ていないから、本当に事件が起こるのかも未確認。

 管理局も、アースラだけでは2兎を追えない。早い段階で管理局に大掛かりな介入を決意されたら、危険性が跳ね上がる」

 

「そう。探し物の能力でお手伝いは必要?」

 

 闇の書関係で探し物は、特に無い。

 ジュエルシードは主やお姉様が見つける必要が無いはず。

 現時点で隠れてるものは、未発見の転生者以外は今のところ無い。

 という事は、転生者の情報が一番有益?

 

「ジュエルシードは必要があったら改めてお願いするかもしれない。

 それより、他の転生した人を探してもらえると助かる。

 普通の人もいれば、危険な人もいる。危険な人物なら対処が必要かもしれないし、少なくとも警戒はしておく方が無難」

 

「なるほどね。でも、探し物はそれほど範囲が広くないし……どこにどんな人がいるか、摺合せをしておきましょうか。

 探し物は、それくらい?」

 

「多分これくらい。闇の書も場所の目処は付いている。

 友好的に接触して、解決に導くための準備をしている段階のはず」

 

「それならいいのだけど……少し不安ね。

 詳しい話を聞くわけにはいかないのかしら?」

 

「アースラに話をした後であれば、話せる。

 遅くとも2か月、多分1か月以内」

 

「あら、随分早い段階で対処出来そうなの?

 それなら安心かな」

 

「話が出来るのがその頃。最終的な解決は、もっと先になるかもしれない。

 場合によっては守護騎士と敵対する可能性もある。

 身を守り、敵から逃れる技術があった方がいい。

 多少なりと魔力があれば、狙われる可能性が否定できない」

 

 この際に勧誘開始?

 話した感じでは、悪い人には思えない。

 長宗我部千晴とチクァーブに続き、3名目。

 

「なるほど……それはそうね。

 だけど、探し物の能力で守護騎士のいる場所はわかると思うけど、戦ったり逃げたりは無理よ?

 他に出来る事は治療だけだし」

 

「それなら、相談してみる。

 私達に協力してくれるならデバイスの準備もしてくれると思うし、魔法の練習方法も教えてくれる」

 

 それはもう、ばっちり指導予定。

 担当は私達。

 お姉様が、入門用のデバイスを準備済み。

 練習場所も高町家の道場を確保済み。

 でも、長宗我部千晴とチクァーブにはまだデバイスも渡してない。

 手ぐすねを引いて待ってるのに。

 

「それは有り難いけど、大丈夫?

 準備の邪魔になるなら、遠慮しておくけれど」

 

「どうして? 魔法は使いたくない?」

 

「はやてちゃんが力を求めなければ、襲われても死ぬ可能性はかなり低いでしょうし。

 それに、私への指導で時間を取られて準備が間に合わなかったら、本末転倒でしょう?

 そんな事態になるくらいなら、魔法を使いたいという気持ちを抑える方が良いわよ」

 

 予想以上に、真鶴亜美がいい人。

 これで狸狐猫のどれかなら、驚くしかない。

 

「そう。でも、きっと大丈夫。

 それに、これは他の転生者への対策でもある。

 似た境遇のまともそうな人を失うのは、私達としても避けたい。

 まともそうじゃない人だけど、既に3人死んでいるのは確実。

 転生者であろうと、何かあれば死ぬという事は間違いない」

 

「あらあら、それは大変ね。

 分かったわ。どの程度対処できるようになるか分からないけれど、改めて相談しましょう」

 

「それと、アースラに転生者の事も伝えてある。

 監視される可能性もあるけど、存在を伝えていい?」

 

「私の? 別に構わないわよ。

 やましいことをするつもりは無いし、アースラの人達がいい人のままなら、無害な人の監視は保護と同義になりそうだしね」

 

 真鶴亜美は、色々信用しすぎ?

 微妙に心配。

 お姉様の過保護が発動しそう。

 

「わかった。なら、私への連絡は翠屋にしてほしい。

 私や対策に動いている人は携帯電話を持っていないし、私はこの足。

 連絡用に1人常駐しているから、その人に伝えれば必ず私や動いている人にも伝わる。

 それと、高町家の道場で、魔法の練習をさせてもらえることになっている。

 練習したいときは、いつでも行っていい」

 

「了解よ。あ、私の携帯番号は教えておくわね。

 翠屋や道場にはたまに行くようにするけれど、急ぎの用事があればよろしくね?」

 

 その後は、詳細な打ち合わせや相談。

 残念ながら、新たな転生者の情報は無し。

 捜索には協力してもらえるものの、仕事の合間や出掛けた際に気に掛ける程度。

 連休中も仕事がある模様。魔法の練習開始もちょっと先に。

 でも、協力者関係は作れた。問題ない。




ちづ姉(もどき)の口調が……(汗)
そして、原作(鳥になったジュエルシードの封印作業)に直接対応するのは2行で終了という投げっぱなしっぷり。今に始まった事ではありませんが。


あとですね、当分はテレビ版第9話の範囲です。
だって仕方ないじゃない、テレビ版だと5分で9日進むんだもの。闇の書やら転生者やらで、うちの主人公達は忙しいんです。
温泉の2日で7話使ったので、それに比べれば(7÷2×9=31.5よりは)短いですよ。

なお、この先は原作と比べると細かいイベントの日程に若干の違いがあります。
ジュエルシードを見付けるタイミングとか。
基本的にイベントの前後関係が変わっているだけのものが多いですので、その辺はあまり気にせずに流してください。

というか、こんな説明してる時点でブレイクしてない事を自白しているような……あれー?
ちゃ、ちゃんと無印編でブレイクするんだからねっ!

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