青の悪意と曙の意思   作:deckstick

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番外:小話ズ その2

 ◇◆◇ 高町なのはの質問(無印編15.5話) ◇◆◇

 

 

 旅館の部屋の中は、数組に分かれて相談や大騒ぎ中。

 そんな中、高町なのはがお姉様に近付いてきた。

 その肩には、フェレットが乗ってる。

 

「どうした?」

 

「えっとね、はやてちゃんの事で、ちょっと質問が……」

 

「気になる事でもあったか。答えられる範囲の質問なら答えるぞ?」

 

「うん。えっと、昨日言ってた、あるかんしぇる?って……なに?

 なんだか危険な物みたいだけど」

 

 高町なのはが、不安そうな顔をしてる。

 単語の使われ方として、あまり良い形ではなかった。

 地球の破滅と並べられたら、怖そうなものだと思っても仕方ない。

 

「まだ説明を聞いていないのか?

 だが、私も正確な性能は知らないんだ。

 そうだな……ユーノ、さっきの汚名返上だ。説明してみろ」

 

「え? えっと、発動地点を中心に百数十キロ範囲の空間を歪曲させながら、反応消滅を起こさせる魔導砲……って言うと、大体わかる?」

 

「う、うん……何だか、物凄ーく危険な物だっていうのは……」

 

 ユーノ・スクライアの説明はA’sそのままだった。

 まだ魔法に触れてから短く、かなりやばいものだという雰囲気じゃないからか、高町なのはの反応は残念気味。

 子供の想像の範疇を超えちゃった?

 原作では、自分達の家や家族、友人達が巻き込まれる事に反応していただけ?

 ユーノ・スクライアは汚名を返上できなかった。

 むしろ挽回しちゃった?

 

「平和な国の子供に、何を求めているんだお前は。

 そうだな……ユーノの言った範囲が半径であれば、四国や九州が一発で壊滅する可能性がある兵器、だな。

 東京に撃ち込めば関東が無くなる、の方が分かりやすいか?

 空間歪曲に反応消滅なら物理的な盾はほぼ意味をなさなさいだろうから、地上の物が吹き飛ぶどころか、余波で何が起こるかも分からんくらい抉れるはずだ」

 

「そ、そんなにすごいの!?」

 

「実際の威力は知らんが、原作とここのユーノの説明が同じだったからな。

 その内容が正しいと仮定して、半径130キロの円を日本に当てはめるとだいたいこれくらいだ。

 核シェルター程度は存在した場所ごと消し飛ぶと思える攻撃内容だし、直接影響する範囲も広い。その意味では核爆弾程度では比べ物にもならんな。

 と言うわけだから、ユーノは、相手のレベルを考えた説明をすべきだな。

 魔法を知って1か月の子供が、魔法文化で育った大人と同じレベルで理解できるわけがないだろう?」

 

「は、はい……」

 

 思ったよりもいじりが弱い。

 むしろ、ユーノ・スクライアの魔改造開始?

 でも、司書長にはあまり必要ない技術かも。

 あまり苛めなかっただけ?

 残念。

 

 

 ◇◆◇ フェイト・テスタロッサの夕食(無印編18.5話) ◇◆◇

 

 

 マンションの屋上から、アルフと黒羽早苗に拉致……もとい、連行されたフェイト・テスタロッサ。

 今は、普通のダイニングテーブルに座らされてる。

 

「あの……やっぱり、あまりこういうのは……」

 

「駄目だって、そんな顔色じゃ。

 帰る前にしっかり食べる事。いいね?」

 

 居辛そうなフェイト・テスタロッサは、言い辛そうに、台所に立つ黒羽早苗に声をかける。

 だけど、黒羽早苗は全く気にしてない。

 手際のいい包丁捌きで人参を切りつつ答える声は、反論を許さないと言わんばかりの口調。

 既に油が加熱中、鍋でお湯も沸かしてる。

 煮物も温め始めてる。

 

「いいじゃないかフェイト、いい匂いだよ」

 

 フェイト・テスタロッサとは対照的に、アルフは涎を垂らさんばかりの勢い。

 尻尾が出てたら、きっと全力で振ってる。

 

「で、でも、初対面の人の家で食事と言うのは、えっと、その……」

 

「本人がいいって言ってるんだし、アタシはフェイトに元気になってほしいんだよ。

 元気のないフェイトは見たくないんだよ」

 

 アルフの泣き落とし!

 フェイト・テスタロッサは動揺した!

 

「ただいま~……あら、またお友達を連れてきてお食事?

 可愛い女の子なんて初めてじゃない。好きな娘なのかしら?」

 

 黒羽早苗の母、帰宅。

 何というか、ネギまの四葉五月を大きくしたような容姿。

 そして、驚異的な胸囲。

 要するに、大きさと大きさ以外、2人はそっくり。

 

「あ、お帰り母さん。

 さっきここの屋上で見かけた人なんだけどね。会ったのは初めてだよ」

 

「そう。でも、初対面の女の子を連れてきたという事は、一目惚れでもしたのかしら?」

 

「あはは、違うよ。

 こんなヒョロヒョロで顔色悪い子はほっとけないでしょ?」

 

 黒羽早苗は笑ってる。

 でも、フェイト・テスタロッサとアルフは固まってる。

 

「あらあら、どうかした?」

 

 固まっている2人を見て、黒羽早苗の母が面白そうに笑ってる。

 きっと、こんな光景を見慣れてる。

 

「ア、アンタ……男だったのかい?」

 

 アルフの質問が、何だかぎこちない。

 動きが今も固い。

 ギギギギギ、という擬音が良く似合いそう。

 

「ん? そうだよ。

 なんで誰も気付いてくれないかなぁ」

 

「あはは、私に似て美人だから仕方ないわね」

 

 ……美人?

 愛嬌のある顔ではある。

 不細工ではない。

 ふとましいけどピザじゃない。

 ある意味絶妙。

 

「母さんがそれを言う?

 僕達は、美しさじゃなくて愛嬌路線のはずだよ」

 

 とまあ、こんな感じで母子の漫才がひとしきりあり。

 フェイト・テスタロッサとアルフが目を丸くしている間に、一通りの料理が目の前に並べられた。

 ごはん、わかめの味噌汁、野菜を中心とした天ぷら色々、温野菜のサラダ、大根や蓮根の煮物。この辺は一般的。

 小女子の佃煮の様なものと、たくあんの煮物の様なものが謎。

 

「さあ、召し上がれ……って、箸は使える?」

 

 黒羽早苗が食器類を並べながら、思い出したように質問。

 どう見ても外人。

 日本語が上手でも、食生活に馴染んでない脳内設定。

 箸が使えないだろうと考えても仕方ない。

 

「え……ええと…………」

 

「あー、ごめんよ、日本語は勉強したんだけどさ、箸はまだ慣れてないんだよ」

 

 助けを求めるような、フェイト・テスタロッサの視線。

 アルフは、無難な答え。

 本当に慣れてないらしい。

 

「ここまで自然に話せるほど言葉を練習する前に、箸にも慣れておくべきだよ。

 スプーンとかフォークもあるけど、箸じゃないと食べにくいものも多いしさ」

 

 そう言いながらも、手際良く食器類を並べていく黒羽早苗。

 翻訳魔法の超性能が、微妙に立場を悪くする原因に。

 この場に及んで、フェイト・テスタロッサは困ったように料理を見て、黒羽早苗を見て、アルフを見た。

 だけど、アルフは料理に夢中。

 涎を垂らさんばかりの勢いで見詰めてる。

 

「……ん? どうしたんだいフェイト?」

 

 やっと気付いた。

 忠犬が台無し。

 フェイト・テスタロッサは、ちょっと涙目になりかけてる。

 

「あー、うん、えっと……

 こ、ここまで用意してもらったんだからさ、美味しく食べるのが礼儀ってもんだよ」

 

「そうそう。料理人にとっては、美味しいって言ってもらえるのが一番嬉しくて、食べてもらえないのが一番悲しいんだ」

 

 ちょっと引き攣り気味のアルフの言い訳に、見事に乗ってきた黒羽早苗。

 その様子に諦めたのか覚悟を決めたのか、フェイト・テスタロッサが恐る恐ると言った感じで、味噌汁を口にした。

 

「…………おいしい……」

 

 たっぷり時間をかけてそれを飲み込むと、驚いたような表情で呟いてる。

 今までどんな食生活をしていたのかと問い詰めるべき?

 アルフに家事技能を仕込んだはずのリニスが不憫。

 嬉しそうに犬の餌を食べる狼。味覚に期待してはいけない?

 

 それからしばらくは、フェイト・テスタロッサは静かに、アルフは全力で食事。

 食べながら、食べ方を教えてもらったりはしてた。

 天ぷら色々は、荒塩、抹茶塩、天つゆをお好みで。フェイト・テスタロッサが塩を付け過ぎて涙目になってた。

 小女子の佃煮改め、いかなごの釘煮。普通にご飯に乗っけてた。

 たくあんの煮物は、本当にそのままだった。食べ方も煮物扱い。

 黒羽早苗はニコニコと食べている様子を見てる。

 そのうちに、アルフ完食。

 

「ふぅ、美味しかったよ。

 だけど、凄いねぇ。こーんな美味しい料理作れるなんてさ」

 

「あはは、その辺は色々な秘密と努力があるんだ。

 味噌とかたくあんとかも手作りだから、色々工夫のし甲斐もあるしさ。

 たくあんはちょっと酸味が出ちゃってるから、煮てあるけどね」

 

「へー、色々やってるんだねぇ。

 って、あれ? フェイト、どうしたんだい?」

 

 静かに食べていたフェイト・テスタロッサが、食器を置いた。

 まだ、料理は残ってる。

 

「……もう、食べれない」

 

 本人は、なんだか悲しそうにおなかを押さえてる。

 口に合わないわけではない様子だった。

 

「あれ? ひょっとして口に合わなかった?」

 

「ううん……もう、おなかが…………」

 

「もう、普段から小食過ぎるんだよ。

 暴食しろっては言わないけどさ、もうちょっと食べようよフェイト」

 

「う、うん……」

 

 頷いた!?

 恐るべし黒羽早苗の料理。

 

「食べられないなら仕方ないけど、今度はもっとちゃんと食べなよ?」

 

「え……こ、今度?」

 

「お姉さんに心配させてる自覚ある?

 僕の料理なら食べれるって事なら、嬉しい事だしさ。

 いつでも食わせてやるから、また来なよ。というか、また来て食え!」

 

 再び現れた、おサルのオーラ。

 今度はリンゴ食べてる。

 

「う、うん……」

 

 フェイト・テスタロッサが圧倒されつつも、頷いちゃった。

 それを見てたアルフは驚愕の表情。

 まさかの餌付け展開?

 

「そうだ、こんな事でしかお礼できないけどさ。

 受け取っておくれよ」

 

 我に返ったアルフが、いそいそとポケットから財布を出してきた。

 お金を持ってる?

 そういえば、犬の餌とかフェイト・テスタロッサの食事は、普通に店で買ってる。

 ……何故?

 

「お金? 駄目だよ、ここは店じゃないんだ。

 受け取れないよ」

 

「そうそう。うちの子の料理で元気になる子を見るのは嬉しいのよ?」

 

 黒羽親子、受け取りを拒否。

 でも、アルフは万札を摘まんでいた気が。

 どれだけ嬉しかったのかと小一時間問い詰めるべき?

 

「でもさ、アタシは嬉しいんだよ。

 せめて材料費くらいは受け取ってもらわないと、また連れてきにくいしさ。

 そうだ、次来た時の食材の購入費って事でどうだい?

 またおいしいものを食べさせるって約束の意味でさ」

 

「うーん……まあ、そういう事なら。

 あ、先に連絡を貰えると、もっと時間のかかる料理も作れるからさ。

 必ず来ること。約束だよ?」

 

「おっけー」

 

 

 ◇◆◇ ギル・ガーメスの逃亡(無印編23.5話) ◇◆◇

 

 

 大慌てで街中を駆け抜ける、ギル・ガーメス。

 その姿は返り血で赤い。明らかに不審者。

 明らか過ぎて、気味の悪い悪戯か何かだと思ってる人もいる模様?

 

「クソッ、俺様が主人公だろ! 美少女は全部俺様のものだ!

 俺様がハーレムを作るってのに、なんでクルトが割り箸持って襲ってくるんだよ!!」

 

 警察の人ー、ここにアブナイ事を呟くように叫ぶ変人がいますー。

 ついでに、ハーレムオリ主様志望証言入りましたー。

 というか、割り箸……?

 まさか、これが何かわかってないのに、武器っぽかったから奪っただけ?

 

「だけど、この姿は……って、忘れてた!?

 血まみれはまずい。どこか人気の少ないトイレ……公園、公園は!? ってさっきいたとこだよ! 何やってんだよ俺様!!」

 

 なんて残念な思考回路。

 むしろ俺様と言う一人称だけが独り歩き状態。

 どうして自分で様付け?

 元キャラの“我と書いてオレと読む”のとも違う。

 唯我独尊のイメージで暴発?

 

「た、確かその辺に……」

 

 割と近くに公園があった事に気付いた模様。

 大急ぎで向かうと、和式のあまりきれいじゃないトイレに突撃。

 

「えーと、確かこの辺に……」

 

 空中から服を取り出した?

 王の財宝?

 黒いライダースーツの様なデザインは元キャラのイメージかも。

 でも、コスプレ用の安物に見える。

 本物のライディングウェアやレーシングスーツよりは、普段着に見えなくもない……?

 

 その後、ウエットティッシュや鏡も取り出して血を何とかしたりして、外を歩ける程度の体裁を整えて、大きめのちょっと草臥れたボストンバッグを取り出して、脱いだ服とかを全部入れて。

 ……取り出すだけで、返せない?

 

「……やっちまったし、あれだけ歩いてたんだから、見られてるよな。

 逃げるには……やっぱ、金か。

 変装もしておいた方がいいか……ばれるだろうけど。

 まさか、押し付けられたパーティーグッズが役に立つとは……」

 

 財布や通帳も取り出して、これもボストンバッグに。

 全体的に安物に見える。金運は微妙な可能性も?

 そして、カツラを取り出して頭に乗っけて……うん、ないわー。

 金髪のつんつん頭を、パーティーグッズのカツラで隠せると思う方がどうかしてる。

 パーティー用鼻メガネサングラス仕様と、花粉用のマスクも装備。

 黒いライダースーツ着用で。

 どう見ても変質者です。本当に残念な思考回路でございました。

 

「よし、これで完璧だ」

 

 嘘だッ!!

 

「さて……行くか」

 

 行くってどこへだろう。

 逃亡生活覚悟完了?

 むしろコメディ路線に行くべきだった。

 

 現時点で確認できた能力は、王の財宝。これは確定、但し劣化の度合いが未確定。

 中身も怪しいし、取り出すだけで戻せない模様?

 自分の所有物を手元に呼ぶ能力になっていると予想。

 召喚能力の部分を抽出した感じと思える。

 これまでの行動から、ニコポを要求していた可能性は高い。

 魔力は割と高め。これはギルガメッシュ的な意味なのか、別途要求か不明。

 でも、金運的に考えてギルガメッシュ自体になったわけではなさそう?

 転生特典の仕組み解明への、本人への遠慮も無用の実験動物。

 お姉様は人を実験動物扱いする事を好まない。

 しばらくは泳がせた方が研究しやすい。

 警察には適度に情報を渡して、追いつめてもらえば問題ない。

 周囲に人が居ない状態で、本人も精神的に余裕が無い方が、実験もしやすい。

 というか、留置所や刑務所では実験しにくい。

 お姉様には何て説明?

 実験以外はありのままに。能力も解明出来てないから、緊急事態対応を名目に張り付く。

 前世の記憶もあるせいか、逃げ方を心得ているようです……とか?

 本人の能力で逃げ切るのは、無理が大きい。

 いくらなんでも、お姉様でも気付きそう。

 留置所等で王の財宝を乱用しそうなので、隔離の方が無難と判断しました……とか?

 まだ無難そう?

 とりあえず、それで。

 方針決定。行動開始。

 

 

 ◇◆◇ 八神はやての独り言(無印編25.5話) ◇◆◇

 

 

 魔法やグレアムの事情や、様々な説明などなどが一通り終わる頃には夕暮れ時。

 そして、夜になった。

 主は帰宅し、八神家のチャチャも夕食や入浴の後で撤収済み。

 つまり、今は八神はやてが一人の状態。

 

「闇の書。本当の名前は夜天の魔導書。

 多くの世界を破滅に導いた、呪われた本。

 そんなに大層なもんやったんか?」

 

 八神はやてはベッドの上に寝転がっていて、夜天の魔導書を手に語り掛けてる。

 事情を知らない人から見れば、危ない妄想少女の域。

 

「悲劇を防ぐために封印しようとしているグレアムおじさん。

 夜天の魔導書の呪いを解いて、結果的に悲劇がなくなるアコノさんたち。

 やり方的には、アコノさんの方に賛成やな。

 私ごと封印ってのやなければ……うん、やっぱアコノさんやな。

 元をどうにかできるなら、臭い物に蓋をするだけってのはあかん」

 

 主とお姉様、大勝利。

 でも、情報収集魔法への介入を継続していて良かった。

 現時点でギル・グレアムに聞かれるわけにはいかない。

 

「名前を付けてやってくれって言われたなぁ。

 夜天の魔導書の管理者で、主になる私を補佐してくれる人。

 確か、一見クールやけど優しくて意外に涙もろい、外見は20歳手前くらいの銀髪美女さん、やったな。

 夜天にちなんで……夜はなんか暗いイメージやな。却下や却下。

 エヴァさんのお姉さんやし、似た感じの名前がええやろか? 福音って意味のエヴァンジェル(evangel)が元やゆうてたし、外人さんみたいな外見やろうから、英語っぽいのがええな。

 英語、エイゴ、えいご……ダメや、思いつかへん」

 

 八神はやての元気が、一気に萎れてく。

 犬耳がついてたら、確実に耳が寝てる。

 

「うん、今度本とか辞書とか、いろいろ見てみよか。

 早くてもまだ1月以上あるんやから、慌てんでもええし。じっくり考えていい名前付けなあかん。

 んで、夜天の魔導書の封印が解けて、まずは守護騎士って人らが4人現れて。

 部屋の用意をしといた方がええな。

 それに、アコノさんに、エヴァさんに、チャチャマルさんに、チャチャちゃんに。

 チャチャちゃんは、ちょくちょく来てくれるゆうてたな。

 いっそ、アコノさんやチャチャちゃんの部屋もあった方がええか?

 エヴァさんは、本やからアコノさんと同じ部屋でいいとか言いそうやな」

 

 一人で住むには、無駄過ぎる程広い家。

 特に2階の部屋は全て空いていると言っていい。

 空き部屋、多数。

 部屋を貰えるなら常駐したい。

 猫の問題が無ければ、間違いなく常駐する。

 

「アコノさんは、2階はあかんな。

 守護騎士って人らも、出来れば近い方がええやろか?

 となると、部屋割りは……って、なんでアコノさんも住む前提なん!?

 まだそんな関係ちゃう!

 まだってなんや、まだって!?」

 

 一人ボケツッコミ?

 むしろ、ボケボケ。

 主の言葉が効きすぎ?

 

「あかん、なんか幸せすぎて暴走しとる。

 静まれ、私の右腕……って、それは温泉旅行の時や!

 あれはいくらなんでも暴走しすぎや。

 あかんな、色々反省せんと。

 はい、反省~」

 

 手をついて項垂れる姿?

 猿でもできる?

 

「やけど後悔はしてへんっ! お姉さんたちの揉みごたえは至福やったし!

 うん、反省はこんなもんでええか。

 守護騎士って人らが来るのは誕生日やから、まだ先やな。

 

 …………待てるやろか?」

 

 

 ◇◆◇ ハラオウン親子の常識破壊(無印編27.5話) ◇◆◇

 

 

 アースラでの話を終え、お姉様はそろそろ帰ろうかという事になった。

 全員が問題なく立ち上がり、お疲れ様、等と言いあってる。

 ずっと正座で話していたのに、ひっそりと魔法で体を浮かせたりしていたから、誰も足が痺れてない。

 残念。

 

「ああ、そういえば、一つ言い忘れていたことがあったな。

 可能性は思い切り低いが、もしそうなら予想がひっくり返る様な内容なんだが……伝えておいた方がいいか?」

 

「そんなに重要な事を、どうして言い忘れていたんだ?」

 

 そんな中、お姉様がハラオウン親子に声をかけた。

 結構もったいぶった言い方。

 クロノ・ハラオウンは、明らかに不満そうな表情。

 

「いや、普通に話すには荒唐無稽な内容だ。

 根拠についてはそれなりに可能性が高いんだが、そこから導いた結論はまずあり得ないと思ってしまってな。

 もしあり得た場合は、私も色々と驚くことになる」

 

「それほど突飛な内容、という事ね?」

 

 リンディ・ハラオウンは、内容が気になる様子。

 本当にあり得ないと思えるかどうかは、重要な点。

 

「そうだな。

 虚数空間内を移動する魔法、虚数空間内でアルハザードを探すための捜索魔法、虚数空間内で命を繋ぐ保護魔法。

 これらをプレシアが持っている可能性がゼロとは言えないと言ったら、信じるか?」

 

「……いや、あり得ないはずだ。

 それがあり得るとすれば、虚数空間内で魔法が使えるという事になる」

 

「そうね。普通に考えればあり得ない、という結論に達するわね。

 だけど、それがあり得る根拠があるのでしょう?」

 

「虚数空間内で使える魔法が存在し得るのは、ほぼ間違いないと思っている。

 ああクロノ。なんだってー、はもういいからな」

 

「いや、今回は予想できるというか、そうだから話をしているとしか思えなかった。

 流石にそう何度も叫べない」

 

 なんだ、残念。

 みんなでΩ(ひとかげ)の準備をしてたのに。

 

(何をやってるんだお前達は……)

 

 大事な場面じゃなくなったから、ネタの準備。

 息抜きも必要。

 

「ちなみに、根拠は闇の書だ。

 過去にアレを虚数空間に落として処分しようとしたことが1度も無いとは、とても思えん。

 私ならあれが姉でなければ大真面目で対処法の候補に挙げるし、法を犯してでも悲劇の終焉を目指しているグレアムが考え付かないとも思えんからな。実際に落とした記録でもあるんじゃないか?

 それに、アルカンシェルは空間歪曲に反応消滅、だったな。中心部で空間崩壊が起こり、虚数空間が口を開く可能性は無いのか?

 この仮定が片方でも正しければ、少なくとも闇の書の無限転生は虚数空間でも機能する可能性が高い、という事になる。つまり、虚数空間は魔法が一切使えない空間ではない、という証拠になってしまうわけだ」

 

「……確かに、あり得ない、と切り捨てられはしない話だが…………」

 

「あり得ると言ってしまうには、憶測が多くて根拠が薄いわね。

 だから、先ほどは話さなかったという事ね?」

 

「そうだな。だが、おとぎ話の様なアルハザードが存在したのは事実で、プレシアはそれについて確信を持てるだけの情報を掴んだはずだ。

 となると、夢物語の様な“虚数空間内で使える魔法”が実在して、プレシアがその情報も掴んでいる可能性は、否定出来んだろう?」

 

 というか、お姉様はランダム転移と無限転生を虚数空間内で実際に使用。

 虚数空間に対応するための情報が流出していて、それを参考に新しい魔法が開発されている可能性が、無いわけじゃない。

 

「だが、エヴァンジュ。君の製作者は闇の書の製作者と同一人物なんだろう?

 何か聞いていないのか?」

 

「製作者からは特に何も聞いていないな。

 私にも無限転生はあるらしいんだが……私の構造を見ても複雑怪奇すぎて、どこが無限転生の術式で、何がどうなっているから虚数空間でも使えると言えるようになるのか、全く解らん。

 実際に使えるか試すにしても、無限転生が発動するという事は一度死ぬという事で、しかも虚数空間に落ちてからだからな。自殺する気は無いし、発動しなければ永遠に虚数空間の中だ。そんな実験はする気になれん。

 仮に実験を敢行して発動したとしても、虚数空間内で観測するのは恐らく不可能だ。観測用の魔法は機能しないだろうし、自分で感じ取るにしても、死ぬ間際や死んだ後に可能だとは思えん」

 

 お姉様に説明したのは、私達。主様は能力の説明すらまともにしてない。

 ちなみに虚数空間での魔法実験時は、宇宙服を着た研究者が虚数空間にロープ付きバンジー。

 流石、人権の無い時代。

 無茶しやがって。

 何がどうなってと言うより、全体的なノイズが整合性を取る奇跡の可能性を可能な限り高め、その奇跡の間に如何にして魔法を発動完了まで持ち込むかが鍵。恐らく、執念と偶然と奇跡の結晶。

 無限転生に至っては、原理すら不明な“何故かそうなる”としか言えない術式。これを基盤とし、その上への組み上げに成功しているお姉様や夜天は、まさに奇跡の産物。

 でも、自由な移動や探知はともかく、保護魔法なら割と簡単。虚数空間に落ちる前に対虚数空間用結界で固めれば、維持できる間は中で魔法が使える。

 お姉様の非公開魔法だけど。

 

「そ、そうか……」

 

「確証は無いし、普通は信じられないけど、という感じかしら。

 だけど、これも広まると厄介事になりそうね。私達に話して良かったのかしら?」

 

「そもそも闇の書の無限転生はそれなりに有名な話だろうし、過去に虚数空間に落としたという記録があれば立証できてしまう内容だ。公になっていない、もしくは立証が難しいだけで、気付いている者がいないとはとても思えん。

 私が夜天の妹だと言った以上、この辺も話して協力者になってもらった方が色々と動き易そうだと思っただけだ。例えば、無限書庫の調査とかな?」

 

「そういう事ね。そうやって人を共犯者にしていくのは、過去の経験のなせる業かしら?」

 

「そうだな。散々貴族連中とやりあってきたから、その癖が抜けん。

 ただ、自分から騒動を起こす気は無いから、その点は安心してもらっていいぞ。

 私は、あいつらと平和に暮らしたいだけだ」

 

「今の闇の書が含まれている事を考えると、騒動が起きないとはとても思えないわね。

 大事にならなければいいのだけれど」

 

「なるべく穏便に済むよう努力はするさ。そのために色々と隠していたんだ。

 後はまあ、管理局やらがどう私達に係わってくるか次第か。犯罪者共は遠慮なく焼くとしても、管理局まで焼くと後が面倒だからな。私の事を報告するにしても、なるべく穏便な結果になる様に頼むぞ?」

 

「どう報告すれば穏便になると言うんだ……?」

 

 クロノ・ハラオウンが困った顔をしてる。

 リンディ・ハラオウンも似たような表情。

 頑張れ、提督と執務官。

 

 

 ◇◆◇ その夜のアースラ2(無印編27.9話) ◇◆◇

 

 

「エヴァさんは色々隠していると思っていたけれど、こんな話が出て来るなんてね」

 

 集めた情報を元に、主殺しの書だろうという所までは当たりを付けていたのだけれど。

 ここまで話してもらえたのは予想以上の収穫、と言っていいのかしらね。

 

「まさか、主殺しの書が闇の書の妹とは思いませんでした。

 本来は本の姿で、主を必要とする古代ベルカ製の魔導具、使っているのは真正古代(エンシェント)ベルカ式の魔法……少なくとも言動や判明している情報に、それを否定する様な矛盾点は無いと思えます」

 

「そうね。だけど、あの過保護ぶりや眠っていたという事を考えると、意図的に殺していたとは認められないわね。

 主殺しの書の事例を見る限り、殆どの人は長い時間をかけて衰弱で死亡しているし。主になる際に感情が暴走するとエヴァさんが言っていたのをユーノさんが聞いているけれど、それで廃人にしたり、殺してしまったりする事は避けていたんじゃないかしら?」

 

 何もしないまま、静かに魔力を奪っていく魔導書。調査や改変を受け付けず、破壊してもまた別の所に現れる、ゆっくりと命を吸い取っていくだけのロストロギア。主は夢の中で、眠る少女や小人の様な少女に出会う事がある。

 主殺しの書についてはこの程度の情報しか公開されていないけれど、眠る少女がきっとエヴァさんね。エヴァさんがずっと眠っていた以上、恐らく小人の様な少女の役目が主の選定。過去の主は実際には候補の状態で、エヴァさんを目覚めさせるためには本当の主になってもらう必要あるけれど、それは主候補を殺す事に繋がってしまう。だから、ずっと何もしなかった……いえ、出来なかった、と言った方が正しいのでしょうね。

 そして、ようやく見つけた、主になり得る、そして、恐らく危険を承知した上でそれを受け入れた人物……アコノさん。過保護になるのも解る気がするわ。

 

「エヴァンジュの本質的な優しさ、でしょうか」

 

「それは解らないわ。

 でも、アコノさんがいる限り、新しい犠牲者は出ないでしょう。不老は確実、死なせるつもりは無いと断言していたもの。

 でも、人を極端に選ぶとはいえ、主を殺す書の主になる事が不老不死に近付く事に繋がるなんて、皮肉もいいところね」

 

「物語の様な表現をすれば、死ぬのは主になる為の試練の結果、といった感じでしょう。

 迂闊に引き離すと何をしでかすか分かりませんし、主……アコノが死ぬようなことがあれば、闇の書と共に暴走するのは間違いありません。

 地球から移動する気は無いようですし、主殺しの書としての対応は、静観が正しいでしょう」

 

「そうね。ただの道具と違って意思のある存在だもの。下手に刺激するのは避けるべきね」

 

 人格を持って行動している以上、道具として封印するのは倫理的に問題があるわね。

 そもそも、闇の書と同程度の能力を持っている可能性を考えると、時空管理局の技術でも封印する事が出来るか怪しいわ。アコノさんが死んでしまえば新しい犠牲者が出始めるのでしょうし、本人達が納得している以上、言い方は悪いけれど、アコノさんに人柱になってもらう事が最善なのでしょう。

 

「しかし、指令書という名が体を表しているなら、夜天の魔導書の上位に位置付けられる管制用の魔導具という事になります。

 もしそうなら確かに後方に配置されるでしょうし、集めた情報を管理する事が主要な役目になっても不思議ではありません。情報が有益か検証する役目を与えられた研究者、といった立ち位置だったのでしょう。

 魔力が少ないのは、中枢にいる事が前提だからかもしれません。普段は暴走しても大事にならない水準に抑えても、研究等で必要な場合には魔力の供給を受ける体制が出来ていれば役目に支障はありませんし、研究者と言っても主任務が情報管理であれば、魔力は必要ではなかったのかも知れません。

 話で聞いたチャチャマルと、なのはやなのはの友人の家にいるチャチャが守護騎士や防衛プログラムに相当する存在で間違いありません。それに、チャチャは人前に出る時以外は小型の魔導炉のようなものを装着しているそうですし、チャチャマルも似た物を頭部に装備していると言っていました。素の魔力は随分小さい事も、普段は抑えておく必要がある環境にいたという推測と矛盾しません」

 

 確かに、その予想で矛盾点は無いわね。

 でも、これでもまだ違和感はあるわ。まだ何かあるのかしらね。

 

「問題は、研究所や魔導炉等の設備を失い、魔力をカートリッジシステムに頼る現状で、本当に闇の書に対処出来るかです。こちらのサーチャーに気付いていましたし、デバイスの一部機能を遠隔破壊したのもエヴァンジュ以外に候補が居ません。かなり高い技術を持つ事だけは確かなのですが」

 

「現時点では難しいと言っていたけれど、その理由は語らなかったわね。設備や魔導炉の準備でもしているのかしら? これだとプレシア女史を欲しがる理由も説明できそうだし。アコノさんの魔力が今までの主殺しの書の犠牲者と比べて極端に小さい事も気になるから、魔力を可能な限りカートリッジに蓄積している可能性もあるわね。

 ただ……姉である夜天の魔導書も過保護の対象に入っている事は怖いわ。

 本当にエヴァさんが上位に位置している場合、今の闇の書を全力で使う事ができる可能性があるという事だもの。既に本局の位置も特定しているようだし、襲撃に必要なものは全て揃えてあると言っているようなものよ」

 

 管理局として、一番厄介なのはこれね。

 闇の書の存在は確実で、エヴァさんも使用できる可能性が濃厚。本局の位置も特定済み。

 位置の特定が出来たのだから、そこへ行く事が可能なだけの能力もあるでしょうし。本当にアリアさんに気付かれなかったのであれば、こっそりと侵入されたら分からないかも知れないわね。

 

「僕達に対する圧力……ですね。ブラフの可能性はありますが、間違いなくロストロギア、それも暴走するようなら1級指定が間違いない相手です。判断を間違えるわけにはいきません。

 要求は、事を大きくするな、という感じでしょうか」

 

「目標が悪い事ではないのだから見逃せ、出来る範囲は協力しろ、でしょうね。

 プレシア女史の過去についての話も、助ける理由よりも、時空管理局が綺麗な組織ではない事を言いたかった様に思えるわ。

 それに、なのはさんはすっかり協力する気になってしまっているし。はやてさんとフェイトさんも助けると言われてしまうと、協力するなとは言いにくいわ」

 

 プレシア女史については同情していると言うより、時空管理局と慣れ合わないためと言った方が適切かもしれないわね。

 だけど話を聞く限りでは、プレシア女史を助ける事はフェイトさんを救う事に繋がる可能性は高いし、闇の書を修復する事がはやてさんの家族を死なせない事に繋がる事も嘘だと言えないわ。

 

「ですが、あの話は信じられません。

 確かにレジアス中将は黒い噂が絶えないようですが……」

 

「だけど、噂は私達も聞いたことがあるくらいだし、頭から否定する事は出来ないわね。

 犯罪者に過剰反応する傾向がある事は確かだから、詳細な経緯が公開されなければ、闇の書の主という点からはやてさんを犯罪者と呼ぶ可能性も否定出来そうにないし。

 管理局が、管理対象が多すぎるせいで人手不足に悩んでいる事も事実。

 随分と痛いところを突いてくれるわ」

 

「だからと言って、プレシアの保護に協力する必要は無かったのでは?

 優秀な技術者と言っても闇の書対策に直接役立つ分野ではありませんから、対外的にも不自然だと思われる可能性はあります。

 条件付きとはいえSSの魔導師ですから戦力としては充分かもしれませんし、魔導炉が欲しいのであれば良い人材ですが……」

 

「エヴァさんは、表に立つわけにいかないと言っていたわ。確かに、闇の書の妹という事が広まってしまえば、ひと騒動では済まないでしょう。

 まだグレアム提督を説得出来る材料が無いと言っていたのだから、管理局そのものを説得する事も無理ね。その状況で、表に立たせる事が可能な人物を探した結果じゃないかしら?

 違法研究を行っていた犯罪者ではあるけれど、だからこそ交渉もしやすいでしょう」

 

 闇の書の改変という大仕事が可能な技術者なんて、そうそういるものじゃないし。

 そういう意味では、大魔導師としての名声も持っているプレシア女史は適任かしらね。

 

「ですが……」

 

「平和に暮らしたいと言っていたのだから、その方がお互い幸せになりそうよ。迂闊に表舞台に立たせたら、別の意味で暴走しそうだもの。法を守る事は大切だけれど、それは平和や人々を護る為。法の為に危機を招いては本末転倒よ。

 それに、何と言うか……目的の為に必死になっている姿を見ると、誰かさんを思い出すと言うか」

 

 どうしてかしらね。どことなくクロノに似た雰囲気があると言うか……目的に向かって全力で進む姿が重なるから、かしら?

 

「か、母さん!? どうしてそんな微笑ましいものを見る様な目で!」

 

「ちょっとした母心の様なもの、かもしれないわね。

 まだ全てを見せてもらえるほど信頼されていないけれど、今回は随分多くの手札を見せてもらえたでしょう? 悪気や邪気無く、目的の為に動いている事は間違いないわ。

 実力を見せてくれるのは……闇の書に対処する時まで待たないといけないかしらね」

 

「しかし、その手札も本人が言っているだけでしょう。

 いくら悪気や邪気が無いと言っても、無闇に信用するわけにもいきません」

 

「それを言ったら、闇の書の話自体もそうよ。どこまで信じるかが問題だけれど……広い意味の嘘は多いけれど、厳密な意味での嘘は無い気がするわ。

 あれだけ自信がある様に言っていて実は実力が足りませんでした、と言うような性格でもなさそうだし。対処自体を押し付ける様子は無いのだから、手札が嘘なら闇の書について私達に話す理由も無いでしょう? リーゼさん達が頻繁に来ている事を知らせるだけで、グレアム提督の足を引っ張る事くらいは出来るもの」

 

 もっとも、そんな事をすれば、グレアム提督がどう動くか分からないのだけれど。

 平穏に済ませるのは、なかなか難しそうね。

 

「随分とエヴァンジュを気に入っている様ですが、艦長で提督なんです。

 私情は程々にしてください」

 

「うーん、何だか憎めないのよ。それに、目的というか、その結果は望ましいものだし。

 なのはさんのお友達……はやてさんがが本当に闇の書の主なのか。その性格が本当に言っている通りなのか。本当にグレアム提督の監視があるのか。闇の書は本物なのか。

 私達が確認していない情報は多いわ。ほとんどエヴァさんから話を聞いただけの状態だもの。

 当面はジュエルシードの対処が優先になるから、しばらくは静かに調査を続けましょう」

 

「……分かりました」




世間の春休みを妬む企画的な何か? 特に意味無く、 微妙な日に番外投入です。
本来は昨日投稿しようと思っていましたが、ハーメルンが不調だったようなので1日延期になりました。おかげで余計に微妙さがアップ。


アルカンシェルの範囲ですが、「発動地点を中心に百数十キロ範囲」という事なので、半径130km(直径260km)の円と仮定してグーグルマップで測ってみたら、こんな感じでした。
 九州の、北九州市の市役所から桜島南端までが約260km
 四国の西端から東端までが約260km(岬の先から先まで。広島や岡山辺りも危ない)
 JR東京駅を起点に
  東京都、埼玉県、神奈川県、千葉県は離島を除き全域が100km以内
  太田、つくば、伊勢崎も100km以内
  銚子、水戸、宇都宮、前橋、高崎、富士山山頂あたりが100km前後
  甲府、伊豆、大島が110km前後(主要都市はこの辺までに存在)
  茨城の日立、群馬の沼田、長野の佐久が130km前後(この辺までが想定範囲)
  ついでに、名古屋駅までが260km。
要するに、四国の全域、九州の大部分、関東の主要都市(Wikipediaの「関東地方」で主要都市に挙げられているもの)全てを範囲に収める事が可能の様です。東京駅と名古屋駅の間を丸ごと粉砕する事も夢じゃないようですね。
こうして考えると、核などの地球産物理兵器なんて鼻で笑える威力に思えます。20メガトン級核爆弾を上空5.4kmで爆発させた際に、爆風で平均的な民間建築物に被害が出る半径が47km(Wikipediaより)だそうですし。

というか、質量兵器・物理兵器の禁止理由
「一度作ってしまえばスイッチ一つで使えて、子供でも簡単に都市や世界を滅ぼせる」
 →A’sではチャージ完了&ロック解除後にリンディがキーをひねっただけ。管理体制は核兵器も相当厳密なはずですし、大きな差がある様には見えません。
「生物・建造物・環境を無差別に破壊する」
 →はやての家までぶっ飛んじゃうbyヴィータ、空間歪曲の被害は出るbyシグナム=差別できないと思えます。
に、ばっちり該当すると思うのですが……魔法技術だからっていいのかコレ?
なお、禁止理由はNanohaWikiの“魔法技術関連/StrikerS”のページ、“質量兵器”の項目より引用しました。


原作でのフェイトの食事は、少なくとも無印の6話ではスプーンとバターナイフを使っていました。ロールパンとスープだったので、日本人でも箸は使わないと思いますが。
無印の13話のアースラでの食事風景はスプーンだけでしたし。この時はフェイトを含みません(なのは・ユーノ・リンディ・クロノ・エイミィの5人でした)が、管理局の文化的な意味で箸が一般的だとは言えない様です。というか、肉とかサラダとか果物とかがあるのにスプーンだけって……? せめてフォークも欲しいと思います。ま、まさかインド風に手で摘むのかっ!?
というわけで、無印の頃のフェイトが箸を使えるか不明だったので、箸は使い慣れていないことになってもらいました。A’sの夢の中だとナイフとフォークでしたから基本は欧米系でしょうし、別に日本の文化に馴染みに来たわけじゃないですから、箸が使えなくても問題は無いと思います。
STSに登場したクラナガンの店が箸だったのは、はやて&ナカジマ家が日系で、日本料理の店に行ったからだと信じます。外国で仕事してる日本人や日系人が、日本料理の店に行く感じで。


ギルについては、「何でさっさと捕まえない(捕まえさせない)の?」という質問が来る前の予防線的な。エヴァに内緒で暗躍する妹達の図、その2でもあります。
どうしてだろう、書けば書く程妹達が黒くなっていくぞ?


はやては……うん、なんだか小話のコメディ担当になりつつある気がします。
いいよね、大阪弁だし。原作はやての大阪弁とはだいぶ違うものになってる気がしますが、テレビ版は「声優が修正して喋ってた」らしいので、元の脚本のイメージと言い張れば問題ないよね。
……ないよね?


常識破壊は、設定垂れ流しタグに該当、ですかね。
次元震の時点で虚数空間が大々的に見えるという事は、闇の書を放り込むだけならもっと小規模でもいけるでしょう。それこそベルカの戦乱期なら「永遠に現れないように出来るなら」と考えて実行する王様とかがいても不思議ではないんじゃないかと。「敵国に現れたから、その排除のために」とかの理由もこじつけて。
こう考えると、原作でも無限転生は虚数空間から脱出できる可能性が高いと思うのです。うちのエヴァがアルハザードと一緒に虚数空間に落ちた後で出てきたりしているのは、この辺が根拠です。


その夜のアースラ2は、うーん……勢い余って?
誰も知らない裏設定部分を行動で表現するのは、難しいです。元々ご都合主義的な設定の影響部分の描写については、何だこれと思われそうです。
そして、相変わらず空回りするクロノ。エヴァやアコノの本当の魔力量(無印編02話参照)を知る日は来ますかねぇ(笑)


2013/03/27 フェイト・ハラオウン→フェイト・テスタロッサ に修正
2013/05/09 以下を変更
衰弱で死亡しているし。感情の暴走で廃人にしたり、殺してしまう事
  ↓
衰弱で死亡しているし。主になる際に感情が暴走するとエヴァさんが言っていたのをユーノさんが聞いているけれど、それで廃人にしたり、殺してしまったりする事
2013/11/15 無暗→無闇 に修正
2016/06/06 分かりいい→分かりやすい に変更
2020/01/29 ―(横線)→ー(長音符) に修正

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