リンディ・ハラオウン達との会話を終えたお姉様。
しばらくは情報の確認をしたいというハラオウン親子の希望により、お姉様には高町家経由で連絡が来ることに。
と言うわけで、お姉様は主の部屋へと戻ってきた。
既に外は暗くなっていて、主は別荘で魔法の練習を行ってる。
主はだいぶ飛行にも慣れ、念のために体術、主に護身系の柔術の練習も開始済み。
攻撃してくる相手を車椅子に座ったまま捌くのは、意外性があって面白い。
そんな頃、主の部屋の中に小ネズミが現れた。
「ん? チクァーブか?」
「お久しぶりでございます、エヴァ様。
この部屋は通信機器が少なすぎでございます」
「いや、通信機器は何も無いはずだが……どこから入った?」
「電波時計でございます。
場所の割出しには苦労いたしました」
通信機器?
確かに受信はしてる。
それを経由した?
「……そうか。私の電子精霊よりも随分と優秀だな」
「それだけが取り柄でございますので」
とてもそうは思えない。
何時でも好きな場所に侵入出来るとしか思えない性能。
「それで、何か用事か? 一応ここは若い女の部屋だ。ただの
「未接触の転生者についてでございます。
話をしたいという伝言を持って参りましてございます」
「未接触、か。未知ではないんだな?」
「成瀬カイゼでございます。エヴァ様達は殺人者と呼んでおられる人物でございますな」
昼間、成瀬カイゼがこそこそと何かをしている気配はあった。
例の洞窟から出る気配は無かったから、放置してた。
小ネズミが侵入していたのは予想外。
「ほう、お前から接触したのか?」
「はい。真鶴亜美嬢との会談時に仕掛けられていた盗聴器の電波を追いましてございます」
うそ?
主と真鶴亜美の会話中は洞窟内部を監視してたけど、その時は居る様子がなかった。
その後もチクァーブが正面から入ってない事は、自信を持って断言出来る。成瀬カイゼが洞窟を出入りする際も、電子精霊が入れそうな機器は持っていなかったはず。
本人の申告。嘘を言ってるとも思えない。
電波時計を経由して移動する程度の能力。盗聴器の電波を使えない理由は無い?
「……そうか。あそこにもいたのか……随分と優秀だな。
それで、話とは何だ? 転生者を殺した事か?」
「それも在る様でございますが、簡単に言えば、仲間になりたそうにこちらを見ている、でございますな」
「ほう……逃亡に疲れたのか? それとも、私やアコノが優しい人間だとでも思ったか?
アコノの外見に惚れたなどと抜かすような
お姉様、自分自分。
でも、殺人者がお姉様を見る機会は無かったはず。
主だけが候補?
お姉様の発言で正しいと思えてきた。
「どれも不正解でございます。
我等もそうですが、エヴァ様の人柄や手腕に惚れた、というのが最大の理由でございます。
成瀬カイゼは、エヴァ様やアコノ様のお姿を見ておりませんよ。
良いですな、自らの目的のために手段を選ばず、それでいて優しく筋が通っている方は」
「ふん、そう見えているだけだ。
それほど高尚な人間ではないぞ」
「そう謙遜なさらずとも、我等がそう思えただけで充分でございます。
特に、アースラでの会談は惹かれるものがございました。
成瀬カイゼと2人で、感心しながら聞いておりましたよ」
「アースラの中の話も転送していたのか。大したものだが……どうやって行った?」
「高町なのは嬢が使用した、携帯電話の電波に乗って移動を行ったのでございます。
家族と話せるようにと世話を焼いたようでございますが、我等から見たら大穴があいたのと同じでございます」
「そうか、その経路なのか……。
それで、お前はともかく、殺人者の望みは何だ?
殺人の隠蔽など、やる気は無いぞ」
「それについては望んでいないようでございます。
望みは、エヴァ様の協力者としてアースラに行く事の様でございます」
協力者?
殺人犯が、意外な提案。
殺人以外に目立った行動をしていないため、未だ人物像が不明。
要警戒。
「アースラに、か。
私の協力者というのは、どの様な意味で言っている?」
「いつでも捨てられる、好きに使える駒として、と言っておりました。
地球に戸籍は無く、他にも殺人の罪があるそうでございます。
元々魔法を使う暗殺集団で育てられていたそうでございますから、過去に色々とあったのでございましょう。
最近その集団を逃げ出し、何の努力もせずに得た能力を使って傍若無人に振舞う転生者に切れたようでございますな」
「それが、殺した2人か。
保育士は傍若無人じゃなかったから殺さなかった、という事だな?」
「その様でございますな。
今はだいぶ落ち着き、いきなり殺した事は反省しております。
ここで殺した事を後悔しない辺り、実に我等の好みに合っているのでございます」
微妙な評価。
殺人について、反省はしても後悔しない。
判断基準や反省内容によっては、低評価。
「なるほどな。それで、お前は仲間に引き込んでも問題ないと判断したわけだな?」
「その通りでございます。
綺麗事に流されず、反省しても後悔はしない生き方を貫く。
良き人材かと考える次第でございます」
「そうか、わかった。
アースラに行くのは連中からの連絡以降で、更に話が付いてからだ。
少々先になるだろうが、構わんな?」
あれ?
お姉様は受け入れる?
詳細を聞かない?
「おや、本人に会わなくても良いのでございますか?」
「お前がそこまで言うんだ、信用してやる。
失望させるなよ?」
責任を丸投げした?
お姉様の行動基準的に、意外。
普段はもっと警戒するのに。
「もちろんでございます。
成瀬カイゼ共々、全力でお仕えする所存でございます」
「さて、ついでだ。少々頼みがある」
「頼み、でございますか?」
「管理局の本局に侵入出来るか?
私の配下では電子精霊がそのうち何とかなるか、といった所でな。
正直、情報不足感が否めん」
思ったよりも信用しちゃってる?
チクァーブ共々、手駒として使う気が満々?
あれ?
「なるほど、役目は情報収集でございますか。
侵入できれば、何とでもなりましょう。
どの様な情報をお望みでございましょうか?」
「ギル・グレアムの性格や実情、それに管理局の動向だな。
闇の書を何とかするためには、確実に協力か牽制が必要になる相手だ。なるべく多くの情報が欲しい」
「なるほど、確かに重要な情報でございますな。
レジアスや最高評議会は重視なさらないのでございますか?」
「本人より、実際に動く連中の方が問題だ。
裏側の犯罪担当の連中が、お上の指示通りに動くとは限らん」
「確かにそうでございますな。
侵入については、チャチャ様と相談の上で速やかに行う事に致しましょう」
「相手が点ではない分大変だとは思うが、私の電子精霊を大きく超える能力を持つお前だ。
頼りにするぞ?」
「光栄の極みでございます」
頼りにしちゃった。
最悪使い捨て?
お姉様の言い方的に、そう思えない。
情報収集を優先?
「ついでだ、お前達にデバイスを渡しておく。
入門用だからさほど高度な魔法は使えないが、まずはこれを使いこなせる様になれ。
インテリジェントデバイスで指導能力強化型だ」
「有り難き幸せでございます」
◇◆◇ ◇◆◇
あれから、2晩が開けた。
主の家族は、それぞれで出かけたり、家族で出かけたりで、昼間は基本的に家にいない。
そのため、主はかなりの時間を別荘で過ごしてる。
お姉様は、主の魔法の練習に付き合ったり、纏めた情報の確認をしたり、八神はやてに会いに行ったり。
アースラからの連絡は、まだ無い。
独自に調査した情報を纏めつつ、お姉様をどう扱おうか迷っている模様。
アースラで思考支援を使い過ぎたお姉様にとって、丁度いい休息期間。
手土産の情報は入手済み。これが使えるかどうかは、アースラからの連絡次第。
その間に、成瀬カイゼからの情報で新たに転生者2名を捕捉。
ついでに、上条当麻似の死亡済み転生者が
手を組むことにしたお姉様の選択は、これらの情報入手も理由だった模様。
今後も注意は必要だけど、今の所は協力的な姿勢。
現状で問題は発生してない。
外見はFate/Zeroのウェイバー・ベルベットを更にもやし化した感じ。
気弱な優男と言う表現がぴったりな外見で、病弱体質の模様。
父親がボディービルダー。よく比較されるようで、色々と居た堪れない。
魔力量は辛うじてA。近くにいれば見付けられた可能性がある程度。
原作知識は既にある様だけど、不介入を決め込んでる? 原作開始に気付いてない?
家にあるボディービルのトロフィー2個から、弱いジュエルシードの気配。
解析出来ないため、これが特典の魔導具かデバイスと予想。
これ以上の特典はよく分からない。
こんなに遠くにいると思わなかった。
外見はとある魔術の禁書目録のステイル・マグヌスに似てる気がする。
魔力量は既にオーバーS。但し制御能力はとても低い。
魔力を
これが幽閉の理由の模様。犯罪者組織の金蔓。
現時点ではあまり踏み込めていない。危うく見付かりそうだった。
犬に。
幽閉場所は妙に犬が多い。動物の感覚は侮れない。
やけに犬に懐かれている。何らかの歪んだ転生特典の影響と予想。
2人とも、放置でも影響が無さそう。
当面は様子見。
これで、補足済みの転生者は18人。残るは3人。
2人はよく分からないけどかなり遠い感じとの事。
恐らく地球外。別世界と予想。
1人は全く分からない、殺した2人と同じ感じ、との事。
既に死亡済みの可能性が高い。
真鶴亜美には、近場には他に居ない様だと連絡済み。必要以上の負担は良くない。
私達の作業は、増員の甲斐があった。
幾つかの世界で使い魔を確保。簡易的ではあるものの、情報と魔力の中継が可能に。
時空管理局の本局に手が届いた。
チクァーブの分体と電子精霊の送り込みに成功。
近いうちに、ミッドチルダの地上本部にも手を届かせる。
但し、中継の安定性が優先課題。早急に補強する必要がある。
本局で私達を無理なく維持できる水準への強化が、次の目標。
昨日は、高町なのはがジュエルシードを1つ封印。
シリアルは9。発見済みの転生者は誰も対応してない。
別世界にいる未発見の人物? 死亡済みの可能性がある人物?
今後の接触を警戒する必要はある。
封印時にフェイト・テスタロッサが近くにいたけど、手出ししなかった。
原作の結果と同じく、競合は避ける模様。
高町なのはやアースラからは見付かってなかった。
アルフとフェイト・テスタロッサの隠蔽技術は称賛すべき水準。
残りのジュエルシードは、地上に2個、海中に6個の計8個。
流れ的に、地上の2個の封印作業が先になる。
現在見付けている転生者は、地上にあるものに対応していない事は確認済み。
つまり、別世界の2人の制限が先に解除になるはず。
どの様に関与してくるのか、それとも関与してこないのか。見えないだけにもどかしい。
そして、今。
フェイト・テスタロッサが、ビル街で発動直後のジュエルシード、シリアル2を鮮やかに封印。
速やかに多重転移で逃走したところ。
高町なのはが、アースラから出る時間も無かった。
発動に偶然遭遇する運の強さに驚愕。
(あーあー、テステス。
こちらクーネ。エヴァちゃん、聞こえていますか?)
知らない人の声?
空耳だと思いたい。
空耳だといいな。
うん、きっと空耳。
(おかしいですね。管制通信なんて初めて使いますけど、これでいいはずなんですが。
あーあーあー、聞こえていませんか?
アルハザードの空間魔導師兼時間魔導師でエヴァンジェリンズ・リゾートもどきを作った、私と同じ世界から来た
(やっぱり転生者か宵天!
貴様からの情報は何なんだこのロリコン!!)
2500年分の幼女情報。
私達の怒りがリミットブレイク。
今なら全員で浪漫砲が撃てる気がする。
むしろ撃ちたい。全力で撃ちたい。
(よかった、聞こえていたんですね。
実はですね、今からそちらに行こうと思っているのですよ)
(人の質問に答えろこの阿呆!)
答えなくていいから、このまま消えてほしい。
来てほしくない。
(あと5分もしないうちに転移が終わっちゃうんですよ。
アースラの中に)
(……はあ!?)
(ようやく原作に登場する人物の近くでも自由に動けるようになった様ですし、今度の主はユーノ君にしようかと思いまして。
楽しそうでしょう?)
(ちょっと待て! 今までどんな状況だったんだ!?)
(待てませんよ、既に転移中ですから。
それで、せっかくキティちゃんが起きているのですから、今の状況を教えてもらおうと思いまして)
(ああもう、とりあえずお前は原作とアルハザードについて何も喋るな!
ベルカの魔法も少し送ってやるから、とりあえず古代ベルカ製という事にしておけ!)
魔法の選定?
やだなぁ。
腐れ魔法を送る?
それも、少しでいい。
お姉様もそう言ってる。
嫌がらせ。
採用。
(ふむふむ、キティちゃんは闇の書に関係している事を明らかにする気があるか、既にしているという事ですね。
ユーノ君がアースラにいるという事はだいぶ話も進んでいる様ですが、ブレイクはしましたか?)
(状況ぐらい自分で確認しろ!
そもそもそれが貴様の役目だろう!!
それに私はエヴァンジュだ! キティと呼ぶな!!)
(はっはっは、これは痛いところを突かれてしまいましたね。
なるほど、確かにミドルネームやファミリーネームは無いようでしたし、キティちゃんと呼ぶのは適切ではありませんね。
それでは、改めて自己紹介をしましょう。
私は、宵天の歴史書の管制人格、クーネ・ルアソーブです)
(アホかーーーー!
誰だそんな名前を付けたのは!?)
アホだ。
アホですね。
本人なら驚愕。
(もちろん自分で、ですよ。
元のままだと、世界のサンダースさんに失礼じゃないですか)
本人だった。
ダメ人間一直線を自認する変態。
死ねばいいのに。
(そりゃあ失礼だろうよ!
名前ではなくその人格を叩き直せ!)
(えー、人格を直してしまったら、アイデンティティを失ってしまうじゃないですか。
ただでさえ転生で人外になっているのですよ?)
(元々その性格か!? 最悪だな!
貴様は焼く! 管制特権を駆使してでも焼き去ってくれるわ!!)
全面的に賛成。
焼き去る術式の調査を開始。
(熱いのは嫌ですよ。
ああ、ベッドの上でしたら大歓迎です)
(黙れ
(おや、もうすぐ転移が終わりますね。
また会いましょう、子猫ちゃん)
(黙れぇぇぇぇぇ!!!)
エヴァの影の部隊が形成されるようです。
そして、グレアムの秘密が……これ以上あるのか?
むしろ、こんなチクァーブに侵入される管理局がピンチ。
渡していたデバイスは、10話で作っていた入門用のものです。
最初に渡した相手は、予想の範囲でしたか?
千晴や亜美にまだ渡していないのは、説明が必要と本人達には説明していましたが、実際は「どこまで協力的か見極められていないから」ですよ。特に千晴は未だに高町家の道場にも来てませんし。
ちなみに、エヴァ謹製のインテリジェントデバイスは、その気になればVividのレイハよりも饒舌です。入門用は指導以外で喋る気にならないだけで。
そして、やっとで宵天が登場。みんなが予想していた、彼です。
なんだか、エヴァが生き生きしている気がします。
私もノリノリでした。ここしばらくの話と比べて、宵天の書きやすい事といったらもう。アリサや千晴の時も、会話の内容的にここまで何も考えずにノリで走る事が出来なかったので。
その分
なお、エヴァは夜天や宵天の「構造情報」を持っていますが、「管制人格の人格や外見の情報」は持っていません。書の機能を満たすという意味では不要な情報ですので。「リインフォース」についての情報は原作依存です。
2013/04/19 以下を変更
正面からの侵入が無かった事は、自信を持って断言出来る。
主と真鶴亜美の会話中は洞窟内部も監視してた。
その時には居なかった。
↓
主と真鶴亜美の会話中は洞窟内部を監視してたけど、その時は居る様子がなかった。
その後もチクァーブが正面から入ってない事は、自信を持って断言出来る。成瀬カイゼが洞窟を出入りする際も、電子精霊が入れそうな機器は持っていなかったはず。