「さて、そろそろ俺の……曙天の指令書の、になるのか?
把握しておいた方がいい能力の詳細を聞いていいか?」
半日で目覚めた、お姉様の能力。
昨日伝えた内容が基本。併せて詳細説明。
「先ずは、強靭な体って、スペックはどれくらいになるんだ?」
溶岩の中、深海、宇宙空間。活動可能。
全力で動けば音速突破。
拳で鉄板を打ち抜ける。
「……生物じゃありえないだろ」
巨大な魔力に裏打ちされた魔法生命体だからこそ。
厳密には、生物じゃない。
「魔導具だから、って事か。
となると、魔法については?」
お姉様がデバイス。魔法の行使も問題無いはず。
外部デバイスを使ったり、私達が補佐したりすれば、魔法の同時行使も可能。
魔力量は、莫大。外部からの供給で、更に大出力化も可能。
全員での同時魔法行使も可能。
100発以上のスターライトブレイカー級直射型砲撃魔法同時発動は浪漫。
「……まあ、強大な、って言ってたな。
不老とか不死とかは?」
姿形は固定。魔法生命体の基本形態として登録されている。
いくら食べても太らない。そもそも、食事は可能だけど必要ではない。
魔導具としての劣化も、無限再生の一環で修復。
お姉様が活動停止状態になると、転生機能が働く。
これらを合わせて、不老不死を実現。
「デメリット、とかは?」
無限再生は、魔力を使用する。外見は、変化させている場合は再生対象外。
転生時、防衛プログラムと私達も活動停止して追従。任務の継続は不可。
転生後は、チャチャゼロ似の防衛プログラム、主がいる場合は主の順で起動。
その後、必要な魔力が確保できた後で、茶々丸似の防衛プログラムとお姉様が起動。逆に言えば、魔力が無いと起動出来ない。
私達は、お姉様からの魔力供給が必要。起動は最後。
「大したデメリットじゃないな。
えーと、吸血とか眷属とかも、似たようなのがあるんだよな?」
魂やリンカーコアを剥奪する事が可能。吸血行為に相当、片方だけでも相手は死ぬ。無駄にしないためにも同時に行う事を推奨。
リンカーコアなら、魔法的資質と魔法に関する知識を奪う。
魂なら、心や記憶全般を奪う。
それをどう使うかの問題。
私達の増員等に使う、つまり、エネルギーや材料として使う事が可能。
お姉様や防衛プログラムを、これ以上強化するのは難しい。やるなら私達や、補助的な存在を対象に。
リンカーコアと魂を同時に剥奪した上で支配下に置き、それを使って人の意思と姿を維持するのが眷属。
意識する必要は無いけど、本体はお姉様の中に移り、体を遠隔操作する構造。
体は本人の魔力で維持する作り物。いつでも再構築可能だけど、お姉様から離れすぎると維持出来ない。
再生や転生の対象になる。実質的に不老不死。
支配下に置くのではなく、お姉様と直接繋がるのが主。
お姉様とチャチャゼロ似の防衛プログラムが、強めのリンカーコアを持つ生物を眷属や主に出来る。
魂を剥奪した上で支配下に置き、お姉様が作成した体で行動するのが従者。
魔力資質を失うのは前提。同時にリンカーコアを奪う事は可能で、別の用途に流用出来る。
眷属同様、本体はお姉様の中で、作り物の体を遠隔操作。
再構築も維持可能な距離も不老不死も眷属と同じ。だけど肉体強化や回復力は弱め。
お姉様、防衛プログラム、私達が、生物を従者に出来る。
魂を剥奪した上で支配下に置き、それを貸し与えて生物として生きるのが、使い魔。
精神面だけを従属させる。肉体の強化等は別の技術が必要で、不老でも不死でもない。リンカーコアも死んでしまうから奪えない。
魔力が枯渇すると魂を維持出来ずに死亡する。強いリンカーコアを持つなら完全自立型で、お姉様から離れても大丈夫。
お姉様、防衛プログラム、私達が、生物を使い魔に出来る。
「色々だけど、要するに、本人のリンカーコアを使う眷属や主にするのは俺とチャチャゼロ似のしか無理で、魂だけを使うならお前達でも可能、って事でいいんだな?」
それで正しい。
茶々丸似の防衛プログラムや私達も“リンカーコアの剥奪”までは一応可能。だけど、本人に使わせるための権限が無い。そもそもお姉様以外は、奪う力や範囲がかなり制限される。
「何か、面倒な事になってるんだな。
だけど、必ず殺すのか……」
夜天や宵天と違い、一部の取得が出来ない。必ず全て奪ってしまう。
代わりに、お姉様は広域の一括剥奪が可能。
強力化の方向に魔改造。
「……何考えてんだか。
えーと、夜天っていうと、確かユニゾンデバイス……だったよな?」
疑似的だけど、主とユニゾン可能。
元々、主のリンカーコアはお姉様と接続する上、本体はお姉様の一部。
書の主の姿を本体と見なし、お姉様から魔力の直接提供が可能。
普通のユニゾンデバイスと異なり、意識の直結は出来ない。あくまでも共有領域を経由した接続。
反応に遅れは出るけれど、ユニゾン事故は起こり得ない。
「ずいぶんと物凄いことになってるな。
それで、俺の記憶は何で見られてるんだ?
俺からお前達の記憶は見えないみたいだけど」
初期構造が原因。
本来は、全員の魂が連結して、個人用の記憶領域は無いはずだった。
お姉様の潜在記憶が流入後、個人別領域、全員共有領域、私達専用領域の3種に分離した模様。
個人別領域は、人数分存在。各々の容量はあまり大きくない。
全員共有領域は小さい。でも、お姉様、防衛プログラム、私達、書の主が使える。連絡や作業用。
私達専用領域は、私達だけが使える。容量は巨大。本来はこれが書の記憶領域になるはずだった。
お姉様の今の記憶は、お姉様個人の領域にあるもの。
私達が見ているのは、私達用領域に残された、お姉様の過去の記憶。
お姉様が忘れたと思っている情報も含んでいる。
お姉様が新しく知った情報は含んでいない。
書に与えられた情報も、私達専用領域にある。お姉様は直接参照出来ない。
「なるほどな。
それで、本来は俺も知ってるはずの情報、ここの常識やら自分の能力やらについて知らないわけか」
正しい認識。
「それで、書の主ってのは?
闇の書は結構自由に動けてた気がするし、絶対的な支配者ってわけじゃなさそうだけど」
書に対して管理者権限を持つのはお姉様のみ。
書の主は、書に対して命令権を持つ。
書は主を守り、従う責任を負う。
書の主は書に対して、使用者として意識共有による接続が可能。
現在の会話と同様の会話、全員共有領域の使用が可能。
これが、現状の曙天の指令書。
「うーん……あんまり主っぽくないけど、本当にこうなのか?」
書の主も、書に対して管理者権限を持つはずだった。
書は主を守り、従う義務があるはずだった。
書の主は書に対して、管理者として意識共有による接続が可能なはずだった。
現在の会話と同様の会話、書が持つ全データの使用が可能なはずだった。
守るべき優先度は、主の保護、書の維持、主の命令の順のはずだった。
そうなるよう魂が改変され、権限も設定されるはずだった。
「イレギュラー……なんだな?」
恐らく。
変化が無いのは、主の不死性。
曙天の指令書の主は、書の支配下には無いけど、保護下に入る。
主が死ぬ方法は、リンカーコアの再剥奪による絶命か、書そのものの崩壊のみ。
故に、主が死を望み、それが叶うまでは、書の主が変わることは無い。
本来は、主が死を望むまでは、条件が満たされるはずが無かった。
今なら命令を回避すれば、お姉様の意思で主を殺す事が出来そう。
お姉様は改変の影響を受けていない可能性がある。
間違いなくイレギュラー。最悪、お姉様の魂が殺される可能性も。
私達が守る。
お姉様も早急に自分を守る力を得るべき。
「でも、相手は俺やお前達を作った相手だろ?
強制停止とか、仕込んでないとは思えないけどな。
それに、本当にイレギュラーだからって排除されるなら、とっくに消し飛ばされてるんじゃないか?」
許容範囲か検討中という可能性も考慮すべき。
与えられた知識の範囲にある制約系魔法であれば、多くは対処可能。
使用予定魔法の知識は与えられていない可能性を考慮すべき。
最終手段は、強制停止前に自滅。
転生での脱出。
転生機能に制限はない様子。
「うーん、なかなか物騒だな。
もうじき話をすることになるんだろうし、その様子を見ながら考えるべきか?」
お姉様がそれでいいなら、そうする。
2014/06/02 大幅改定。くどさを軽減したつもり。