青の悪意と曙の意思   作:deckstick

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無印編34話 次への一手

 その後も色々と話をして、日本が夕方になる頃、お開きという事に。

 7人の転生者の内、セツナ・チェブルーと成瀬カイゼはアースラに滞在する事が決定。

 お姉様は2人に魔法の指導をするため、このまま共に訓練場へ。

 チクァーブは、長宗我部千晴の携帯電話に入って姿を消した。

 

 主、長宗我部千晴、真鶴亜美の3人は、来た時の公園に転送してもらう事に。

 公園に、東渚の姿がある。

 要注意。

 

(大丈夫か?)

 

 お姉様の過保護が発動?

 だけど、確かに危険そう。

 

(問題ない。いざとなれば魔法も使うし、妹達もいる。

 敵対心を私に集めておけば、2人に危険が及びにくくもなる)

 

(だが、それなら私が出た方がより安全だ)

 

(私には戸籍がある。

 日本の警察に捕まえてもらう可能性がある以上、私に矛先を向けさせた方が処理しやすい)

 

(それはそうだが……クソッ、ままならん)

 

「転送の準備が終わりました。いつでも転送出来ます」

 

 アースラの乗務員、アレックス・オーラムが相変わらず転送の作業を行ってる。

 準備完了。もうすぐ転移。

 

「転移が終わったら、少し話がある。

 普通に話していいから、少し付き合って」

 

 転移直前、主が長宗我部千晴と真鶴亜美に声をかけた。

 でも、説明不足感が漂ってる。

 

「ん? なんか問題でもあんのか?」

 

 長宗我部千晴の勘が鋭かった。

 概ね言いたいことの前提くらいが伝わってる?

 

「転移先に気になる人がいる。様子を見たいし、何かあった場合の対処は私がする。

 だから、しばらく普通に話をするだけでいい。

 認識阻害もするから、魔法の話題でも大丈夫」

 

「そうか、分かった」

 

「了解よ。話だけでいいのね?」

 

 2人が頷くと、アレックス・オーラムから再び声がかかる。

 

「それでは、転送します。

 千晴ちゃんは、2人のどちらかに捕まっていて下さいね」

 

「あ、ああ……転移で迷子なんて嫌だしな」

 

 長宗我部千晴は、主の車椅子を押すような形で握った。

 直後、転送完了。

 東渚に見られた。

 出てくる様子は無い。様子見?

 認識阻害は、準備だけ。

 付近に一般人がいないから、東渚が抵抗出来ない可能性を考慮して、発動無し。

 

「さてと、今日は貴重な体験が出来たわね。

 アコノちゃん、ありがとうね」

 

「どーなる事かと思ったけど、やっぱあの人達はいい人だな。

 そーいや、魔法少女達は何をやってたんだ?

 ジュエルシード探してたのか?」

 

 長宗我部千晴、ナイス。

 話題的に、敵対心を煽るにもちょうど良さそう。

 

「地上のジュエルシードは集め終わっている。

 あと、高町家の人達には、管理局や転生者の事も説明済み。

 翠屋にチャチャがいたのも、転生者対策の一環」

 

「あー、あれはやっぱそういう意味か……」

 

「無理はしないでね?」

 

 対策、という言葉は、やはり引っかかる模様。

 2人のテンションが低下。

 というか、真鶴亜美の聖女属性みたいな危機感の無さが危ない。

 

「大丈夫。それに、高町家に問題が発生する方が致命的。

 対策に手を取られるくらい、保険としては安いもの」

 

「ならいいんだけどよ。

 これからも、練習はたまに行っていいんだよな?」

 

 高町家の道場においでませ。

 仲間が多い方が楽しい。

 長宗我部千晴の手首には、能力封印用のミサンガとブレスレット型のデバイスがある。

 今後も練習する気でいる事を踏まえた上で、デバイスを譲渡済み。

 

「一人で練習していてもつまらないと思うし、交流も大事。

 なのはがアースラから戻ったら、気兼ねなく話せる相手の1人になると喜ぶと思う」

 

「そうね、いくら家族に教えてあると言っても、内に籠るのは良くないわ。

 お友達……ええと、仲の良いクラスメイトがいたはずよね。

 彼女達には教えてあるのかしら?」

 

 真鶴亜美は、名前を出す事を避けた?

 出しても、きっと問題は無かった。

 でも、不用意な軋轢を避けようとする姿勢は素晴らしい。

 

「教えてある。だから、なのはは原作よりも安心してアースラに行っているはず」

 

「随分と手を回してあるのね。

 敵役の金髪の女の子は大丈夫なのかしら?

 元々かわいそうな感じだったと思うけれど」

 

「今のところ、原作よりも大きな問題は出ていないはず。

 可能な範囲で様子を見ているけれど、少なくとも悪化している様子は無い」

 

 確かに、問題は無い。

 今は黒羽早苗宅で食事中。本当にアルフに連れていかれてる。

 栄養面では、原作よりちょっと健康的。

 

「そちらも手を回しているの?

 その分だと……ええと、2作目についても、だいぶ手回しはしているのかしら?」

 

 つまり、闇の書について。

 魔導師としては、恐らくジュエルシードより明確な脅威となり得る話。

 心配は理解出来る。

 

「あー、あれか……一応襲われる可能性があるから気になってんだけど、どーなってんだ?」

 

 長宗我部千晴に限って言えば、特典の性能が驚異的だから守護騎士に発見される可能性はほぼ無い。怖いだけ。

 それでも魔法に関わる事を止めない辺り、やっぱりちうたん。

 

「今のところ、襲われる可能性はかなり低くできそう。

 だけど、他の転生者の問題もある。魔法の練習はしておいて欲しい」

 

 実際は、現時点で守護騎士に襲撃される可能性はほぼ無くなってる。

 でも、東渚にそれを教える必要も無い。

 

「あー、なんかヤバい人がいるんだっけ?」

 

「そう。人……他の転生者を殺して警察に追われている転生者がいる。

 他にも似た行動をする人がいても不思議じゃない」

 

 本当に、不思議じゃない。

 東渚のオリ主様的思考を考えると、今までほとんど行動していない事の方が不思議。

 

「あらあら……大丈夫なのかしら?

 実際に手を出しているという事だし……」

 

「死亡が確認出来たのは、今のところ3人。

 今のところこれ以上の犠牲者が出る様子は無いけど、警戒は必要なはず」

 

「そうか……ヤバそうな人って、全員把握できてんのか?」

 

 長宗我部千晴の疑問は理解出来る。

 でも、実際はかなりの無茶振り。

 結局全員把握しないと、出来ていると言えない。

 

「人数的に、まだ見付けていない転生者がいるはず。

 全員を把握していると確信は出来ない」

 

 最後の一人が死亡済みの確率が濃厚とはいえ、状況不明。

 だけど、ここでは東渚に見付かっていないと思わせた方が得策?

 主はそう思わせる方向で話をしてる。

 

「そうね……ええと、何か気が付いたら連絡する、という事でいいのかしら?」

 

 主が、口元で“しー”をしている。

 真鶴亜美の察しが良くて助かる。

 

「あー、私の方も、一応気にしてみる。

 ネギまで見た様な顔は怪しいんだよな?」

 

 確かに、東渚はネギまでみたような顔。

 だけど、とある魔術の禁書目録やFateシリーズからもちらほら登場。

 最後の1人が未確認の物語である可能性も。

 

「他の物語の場合もあるから、ネギまだけとは限らない。

 だけど、ネギまが多い事は事実。気を付けて。

 そろそろ、暗くなり始める。明るい間に帰った方が良い」

 

 お話終了?

 結局、東渚は行動に出る様子が無い。

 他のオリ主様と違って、随分と慎重。

 

「わかった。車椅子だと不便だろ、送ろうか?」

 

「そうよ、世話になっているのは私達だから、遠慮しなくていいわよ?」

 

 長宗我部千晴と真鶴亜美が優しい。

 気になる人がいる、と言っていたのを心配してる?

 主を心配しているのか、自分の心配をしているのかは分からない。

 

「大丈夫。それに、私の家に寄ると、2人が家に着く頃には暗くなる。

 それは良くない」

 

「そう、分かったわ。

 この辺は暗くなると人が少なくなるから、気を付けてね?」

 

 真鶴亜美が、やっぱり優しい。

 でも、既に人は少ない、と言うか、いない。

 この付近にいるのは、主達3人以外だと危険人物だけと言うのもどうなんだろう。

 

「また今度、かな。次はゆっくり話せるといいな。聞きたい事も色々あるしよ」

 

 長宗我部千晴の聞きたい事は、きっと魔法関係。

 ちうたん的な興味に似ている感じ。

 

「分かった、気を付ける。

 もう少ししたら時間も取りやすくなるから、その頃に」

 

 長宗我部千晴と真鶴亜美は、2人で同じ公園の出口へ。

 主は、違う方向の出口へと向かう。

 東渚は、こっそりと主の跡をつけてきた。

 主を、参謀役と認識?

 

(阿呆が釣れたようだが、排除するか?)

 

(今回はまだいい。それより、2人は公園を出た?)

 

 まだ公園の中。

 周囲に人も少ない。即座に向かえば発見出来る。

 

(阿呆はどうするつもりだ?)

 

(何もしない。転移で振り切る)

 

(今回は放置か……)

 

 残念。

 今回で排除出来れば、後顧の憂いを無くせたのに。

 

(あれだけ情報を出しても、何も手出ししてこない。

 現時点で手を出すと、こちらが悪役になる可能性が高い)

 

(そうなんだがな。ホイホイと手を出してくるほど軽率では無い、か)

 

(強制排除する程の事はしていない。今はまだ我慢した方が法的に無難なはず)

 

 長宗我部千晴と真鶴亜美が公園の外へ。

 人ごみに紛れた。今から東渚が追跡するのは難しいはず。

 主の付近に、東渚以外の人影は無い。

 転移先に主の家の近くを設定。そちらも人影は無い。

 

(ありがとう)

 

「ロードカートリッジ、転移(Bewegen)

 

 問題無く成功。

 東渚は呆気にとられてる。

 自分より高位だと見せ付けられたから?

 ベルカ式が意外だった可能性も。

 

(今日は、これで問題ない。

 そのうちに行動を起こす可能性がある。その内容に応じて、どの治安組織と協力するか考える)

 

(そうか。無理はするなよ?)

 

(分かってる)

 

 

 ◇◆◇  ◇◆◇

 

 

 その夜、セツナ・チェブルーと成瀬カイゼが部屋に戻った後。

 お姉様は、リンディ・ハラオウンの部屋でお茶を飲んでる。

 もちろん、砂糖とミルクは入れない。リンディ・ハラオウンはやっぱり残念そうだった。

 何故か変態(ロリコン)もいる。

 現れた瞬間にお姉様の蹴りで吹き飛ばされたのに、何事も無かったかの様に座ってる。

 

「それで、残りのジュエルシードについて、だったわね?」

 

 リンディ・ハラオウンが甘そうなお茶を飲みながら、集まった理由を確認してる。

 

「ああ。大よその位置は分かっているんだが……どう回収するかを相談したい」

 

「そのまま回収するには、問題があるという事でいいのかしら」

 

「分かりやすい問題点としては、プレシアだな。

 あの後、ある程度は調べられたか?」

 

「そうね、エヴァさんが言っていた事の一部について、正しかったと確認が取れたくらいかしら。

 それ以上は、簡単には調べられないわね」

 

 当然。

 いくらリンディ・ハラオウンが提督という身分でも、自分の組織の裏側は簡単に調べられない。

 

「だろうな。管理局に貴方たちはこんな悪い事をしていませんかと聞いて、まともに返事が返ってくる事を期待する方がおかしい。

 とりあえず、プレシアが関わっている事が前提での話になるが……プレシアの居場所は見付かっているか?」

 

「さっぱりね。少なくとも、この付近の通常空間には居ないみたいだけれど」

 

 リンディ・ハラオウンは、やれやれと言いたげな表情でため息をついてる。

 思うようにいかない、といった感じ?

 

「おや、エヴァちゃんは見付けていないのですか?」

 

 変態(ロリコン)が意外そうな顔をしてる。

 余計な事を言わないか心配。

 

「次元空間を広範囲に調べられるような探索魔法があるなら、是非教えてくれ。

 その辺をうろついている貴様は知っているのだろう?」

 

 私達の知る限りでは、そんな魔法の情報は無い。

 アースラが時の庭園を見付けてないという事は、恐らく時空管理局も使ってない。

 

「エヴァちゃんが知らない魔法を、私が知っているわけがないじゃないですか。

 その気になれば、私のあんな記憶やこんな記憶も見る事が「止めろ変態! メイド喫茶や自分の入浴風景の記憶なんぞ送ってくるな!!」おや、お気に召しませんでしたか」

 

「気に入るわけがないだろう。全く、使えん奴だ」

 

 本当に使えない。

 でも、今回はそんな魔法が無くて良かった。

 

「つまり、次元空間のどこかにいる、という事でいいのかしら。

 それも原作知識というものでしょう?」

 

「そうだな。次元空間のどこかにある……アレは何て呼べばいいんだ?

 まあ、時の庭園と言う名前の、次元空間航行艦船の様な物にいるはずだ」

 

「遺跡に近い代物の様ですね。

 庭園と言うくらいですから、昔は綺麗な場所だったんじゃないでしょうか?」

 

 変態(ロリコン)は、時の庭園の情報を集めてない?

 確かに、確認済みの情報には無かった。

 嬉しそうにアリシア・テスタロッサを見に行きそうなのに。

 変態(ロリコン)の情報は5歳以降の情報が多い事と、アリシア・テスタロッサが5歳で死んだ事を考えると、見に行く前に死亡したのかも。

 

「プレシアと話をするには、そこに行くか、そこから引っ張り出す必要があるからな。

 その方法について話をしたい」

 

「それがジュエルシードの回収方法に繋がる、というわけね?」

 

「そういう事だ。

 原作云々は置いておくが、フェイトか時の庭園を見付ける事は出来そうか?

 今でも見付けられていないフェイトかアルフを何とかして捉えるか、次元空間の広域探索しか手段を思い付かないんだが」

 

「難しいわね。今も手を抜いているわけじゃないし、これ以上の捜索は手段が無いわ。

 次元空間の探索もしていないわけじゃないけれど、今のところは何も見つかっていないし」

 

「おや、探索技術自体はあるという事ですか?」

 

「事故にあった艦の捜索にも必要だし、無策と言うわけにはいかないわ。

 もっとも、惑星上や通常空間よりも見付けにくいのは確かだし、あまり期待し過ぎてもいけないのだけれど」

 

 それでも、広域探索技術を作り出した技術者を尊敬。

 次元空間は距離や方向の概念が不安定になりがちだから、長距離を安定して扱う事自体が難しいのに。

 

「それでも、その技術には興味があるな。

 事件が終わってからで構わんから、教えてもらえないか?」

 

「駄目よ。一応機密技術らしいから」

 

 なんてこった。

 残念。

 

「そうか、仕方ないな。

 話を戻すが、正攻法でプレシアを見付けるのは難しい、という判断で良さそうか」

 

「残念ながら、そうなるわね」

 

「そうか。それなら、困った時の原作知識だ。

 ここからの流れを説明するが、構わんな?」

 

「あら。今まで随分と語っていたけれど、どういう心境の変化かしら?」

 

「今までは、こういう情報を持っていると見せるためと、行動理由を開示する意味合いが強かったんだ。だから、過去の情報と、変えたい未来の情報を中心に話したつもりだ。

 だが、これからの行動は原作から離れるものだ。だから、必要以上に囚われるのは避けたくてな」

 

「そう。それでも、現時点では貴重な情報だもの。全て話してもらえるかしら?」

 

「言葉で全て語れるかは分からんが……まずは、この先の流れを説明しておくぞ。

 残り6個のジュエルシードは海の中だ。これは実際に調べてもらってだいたいの場所を確認してあるから間違いない。

 原作ではフェイトが先にそれに気付き、魔力を打ち込んでまとめて強制発動させる無茶を仕出かす。もちろん、いくらフェイトの魔力が大きくても、限界があるからな。封印出来ず劣勢に立たされるが、なのはが制止を振り切り救援に向かい、協力して封印に成功する。

 なのはの行動はフェイトと話がしたいと言う理由だが、融合暴走の危険もあったから不問になった事は言っておくぞ。

 この後、話が出来そうな雰囲気にはなるが、プレシアの次元跳躍攻撃がアースラとフェイトを直撃する。アースラはセンサー機能が停止、クロノがジュエルシードを3つ確保するが、アルフがフェイトと残り3つのジュエルシードを持って逃走する」

 

「その時点では、話が出来ないという事になるわね?」

 

 リンディ・ハラオウンは、このイベントを回避しようと考えた?

 確かに、防ぎたいであろう内容ではある。

 

「布石にはなるから、もう少し聞いてくれ。

 この後、即座にジュエルシードを奪わなかったフェイトを、プレシアが折檻する。

 アルフがそれを見て激怒、プレシアを攻撃するが反撃され撃墜、瀕死で日本に逃亡する。

 犬の姿になったアルフは、日本でなのはの友人に助けられ、そこでなのはに再会。

 アルフはフェイトの事情を全て話し、なのはにフェイトを助けてくれと頼む」

 

「つまり、アルフさんはプレシア女史をあまり良く思っていない……」

 

 交渉時には、重要な点。

 抱え込む際の手札となり得る。

 

「何度か逃げよう、止めようとフェイトに言っているくらいだ。プレシアに対する感情は悪いだろうな。

 その後、なのはとフェイトは互いの持つすべてのジュエルシードを賭けて激突。

 なのはが勝利し、フェイトは全てのジュエルシードを渡そうとするが、再びプレシアの攻撃がフェイトを襲い、フェイトが持っていたジュエルシードがプレシアの元に転送される。

 原作でプレシアの居場所が判明するのは、転送の尻尾を掴めるこのタイミングだ。

 フェイトはなのは達が保護、アースラに連れてくる。

 アースラからは武装局員が時の庭園……さっきも言ったプレシアのいる場所に乗り込みアリシアを発見するが、激昂したプレシアに撃退される」

 

「流石は大魔導師、といった所かしら」

 

 武装局員程度で何とかなる相手なら、SSランクの名折れ。

 それが理解出来るだけに、リンディ・ハラオウンは頭が痛い模様。

 

「その後、プレシアの口からフェイトの過去と、ジュエルシードを集める目的が語られる。

 フェイトの事をお人形と言うのもここだ。なのは達がいたからこの前は言わなかったが……フェイトはここでプレシアに大嫌いだったと宣言され、一度完全に心が折れる。廃人の様な目で描かれていたな。

 その後、プレシアはジュエルシードを暴走させる。次元断層を発生させて、アルハザードに向かうためにな」

 

「武装局員は撤退済みよね……間に合うのかしら?」

 

「話がややこしくなるから、順に行くぞ。

 この後、クロノ、なのは、ユーノ、少し遅れるがアルフも時の庭園に突入。リンディ、お前も出て次元震を抑え込むことになる。

 その戦闘中にフェイトがなのはを心の拠り所にして復帰、プレシアと話をするために突入して、苦戦するなのは達の援護に入る。

 最後に、フェイトはプレシアと話をすることには成功するが、プレシアは最後まで母と呼ぶフェイトを拒絶して、アリシアの遺体と共に虚数空間に落ち、時の庭園も崩壊する。

 最終的に次元震は終息して、これで現場は終了だな」

 

「そう……随分と綱渡りをしているわね」

 

 まさに綱渡り。

 物語らしいと言えば、それまで。

 

「私が知るのは物語としての出来事だからな。盛り上げるためにもギリギリになる事は仕方がないだろう。

 この後は……まあ、事後処理だ。

 母の為に必死だったフェイトの罪は、クロノが頑張って軽くする様だな。その際に、フェイトは嘱託魔導師の資格を取る方向になるらしい。罰を軽減し、なのはのいる管理外世界に来易くする為と聞いたことはあるが……この辺の理由は詳しく語られていないな。

 ついでに言えば、闇の書事件でなのはが襲撃されて撃墜した際、助けに入るのがフェイトとユーノだ。フェイトはそのまま最終戦までなのはと共に最前線で戦う事になる」

 

「あれだけの力を持つのだから戦力としては充分。嘱託魔導師ならば協力もしやすい……なるほど、プレシア女史に会うだけでなく、フェイトさんをどのように扱うかも問題、という事になるわね」

 

 リンディ・ハラオウンは、やっぱり戦力として取り込みたがってる。

 人材確保に余念がない模様。

 

「プレシアを単純に助けただけでは、どう転ぶか分からんからな。

 しかも、原作ではプレシアはフェイトを虐待していたが、命を奪うどころか傷が残るような怪我もさせていなかった様だ。続編で怪我が残っている様子は無かったからな。しかも、虚数空間に落ちる時にフェイトをそのまま残す上に、その直前に、かなり優しい顔を見せている。お前は生きろ、とでも言うかの様にな。

 憶測でしかないが、プレシアは既に死を覚悟していて、フェイトにわざと嫌われるよう振舞っていると思えてならん。これが正しければ、うまくやればプレシアとフェイトの仲を取り持つことも可能だろうから、悩ましいんだ」

 

「そうね……だけど、まずはプレシア女史のいる場所を見付けなければ話が始まらないという事に変わりは無いわね」

 

「そうだな。

 原作通りの流れになる事を前提としていいなら、プレシアの居場所を特定するプランは今のところ3つ提示出来る。

 

 まず、何とかして海中の6つ全てを回収してしまい、なのはとフェイトの最終戦に強制的に持ち込むプラン。

 この場合はアルフがこちらに協力する気になる可能性が下がることになるから、フェイトの扱いはより慎重になる必要があるだろう。

 海中にあるジュエルシードの回収も大きな危険が伴う。間違いなくフェイトやプレシアの横槍が入るだろうからな。

 

 次に、原作同様の流れにするプランもある。

 事前に準備が出来るからアースラへの攻撃は防げる可能性はあるだろうが、この時はプレシアへの接触を避ける事になるな。

 最終的なジュエルシードの暴走は、私も抑え込む自信がある。フェイトが話をした後、庭園を崩壊させずに話し合いに持ち込む事は可能だろう。

 但し、アルフが生き残れるか、無事に保護出来るかといった、原作からの乖離が無いかは心配だな。

 

 最後に、フェイトの無茶を待ち、アースラやフェイトへの攻撃を逆探知して場所を特定出来たら庭園に突入してしまうプランだ。

 ジュエルシードを奪おうとするアルフをどうにかして抑え込む必要はあるし、友好的に取り込むわけではないから、庭園内の戦闘でアルフとフェイトの援護も期待出来ないだろう。

 ジュエルシードの確保に失敗したプレシアがどういう反応を示すかも怖い点だな。

 前提条件をクリア出来なければ原作同様のプランに逃げられるから、まずはこれを試した方がいいかと思っているのだが……」

 

「確かに、前提が正しければ有効なプランだけれど……原作知識と言う物も確実ではないが悩みどころという事でしょう?」

 

「何故か元々差異がある様だし、私達が関与した事でも未来は変わっているはずだ。今となっては、有り得た未来の1つだったと考えるのが正しいのだろうな。

 ただ、直接手を出さなければ、思ったよりズレが無いのも事実だ。発言の一字一句すら同じという場合もままあるぐらいにな」

 

「アコノさんが惑わされる事を心配する発言をしていたのは、それも原因ね?」

 

 主が、高町なのはとユーノ・スクライアに初めて会った時の話。

 ジュエルシードの解析時間を確保する為に色々言っていた中で、確かに言ってた。

 

「そうだな。最終的にうまく行くはずだった解答例を知っているだけに、他の答えを見逃す可能性があるのは否定できん。同じことをしてもうまく行く保証は無いのにな。

 それに、現実の事だと解ってはいるのだが……未だに現実感が乏しいと感じる時もある。こんな記憶を持つのも考え物だ」

 

「確かに、私もそれは感じますね。

 特に本の姿となっている時は、現実感など欠片もありませんよ」

 

 変態(ロリコン)が頷いてる。

 でも、人の意識のままで本の姿となったら、現実感は無さそう。

 きっと、お姉様が基本的に人の姿でいるのと同じ理由。

 

「そういえば、お前は何を望んだ? 私がこうなったのは吸血鬼の様な能力を求めた結果だと思っているんだが」

 

「多くの資料を見て、調べて、記憶したい。望んだのはこれだけですよ」

 

 資料のみ?

 魔法関係を望んでない。

 人外になる要素が見えない。

 

「……魔法関連や特殊な能力は求めなかったのか?」

 

「私は、元々歴史研究家ですからね。資料に埋もれて死ねれば本望だったのですよ。

 文化も歴史に含めて考えられますから、各地を渡り歩いて文化などを調べ集める役目と言うのは実に適切ではあるのですが……随分と大袈裟な実現方法だと思いませんか?」

 

 資料に埋もれて?

 文章の区切り的に……歴史資料でなくてもいいかも?

 

「それで、資料の内容は?

 歴史の資料だけではなさそうだが」

 

「色々ですよ。好ましいのは……そうですね、邪馬大国の2人目の女王や紫の上物語、ジョウン・オブ・アークなども良いですね」

 

「ロリ女王に光源氏計画にロリ聖女が目的か! ぶれない変態(ロリコン)だなお前は!」

 

「いえいえ、ちゃんと普通の資料も大好きです。

 ロココのファッションを調べてみると、ゴスロリやペガサス盛りを思い出したりして笑えますからおススメです」

 

「貴様の資料はネタと欲望で出来ているのか!?」

 

「失礼ですね、これでも大学教授だったのですよ。それだけで教鞭を取れるわけがないでしょう?

 それに、ちょっとしたネタは生徒の受けが良いですからね。割と人気があったのですよ」

 

「……その裏で、生徒はこんな歪んだ目で見られていたのか」

 

「まさか。男性や大人の女性が愛でる対象になるわけがありませんから、真摯に対応していましたよ」

 

「……真性だな、これは」

 

「ええと、そろそろ話を戻してもらえないかしら?」




ようやく無印編の流れが本格的にブレイクしそうです。もうイベントがほとんど無いですが。


今回の変態(ロリコン)ネタ。
・邪馬大国の2人目女王←壹與たん即位時13歳。
・紫の上物語←光源氏計画のオリジナル。若紫巻での登場が10歳くらい。
ジョウン(Joan)オブ(of)アーク(Arc)←初めて神の啓示を聞いたのが13歳。これは英語の綴りで、仏語だとJeanne d’Arcになります。みんな大好きジャンヌたん。
・ロココ←改変無し、バロックの次世代。「ロココファッション」で画像検索すると、イメージが掴めます。
・ペガサス盛り←ネタとしか思えない髪型。現物はもっとひどい名前ですがこれでググればヒットします。


なお、アレックスの姓(オーラム)は捏造です。
アレックス→トヨタ自動車の車→オーリス(Allexの後継車)→車名の由来(Aurum)、と言った感じで、NanohaWikiとWikipediaを辿りました。
途中に某中将の娘がいる? 気にしてはいけません。別に伏線でも何でもないですよ。基本フルネームで呼ぶ妹達のせいで姓を設定する羽目になっただけなので。


2017/04/15 可愛そう→かわいそう に修正
2019/09/23 なのはが自分の意思で救援に→なのはが制止を振り切り救援に に修正
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