青の悪意と曙の意思   作:deckstick

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お気に入りが約2000、UAが約25万の記念的な何かです。準備が間に合ってよかった。
※2013年6月1日22時に確認した時点では、お気に入りが2000、UAが249076でした。

補足説明的なほのぼの(?)みたいな何かなお話です。


番外:小話ズ その3

 ◇◆◇ ある日の八神家のチャチャ ◇◆◇

 

 

「そっかぁ。いろんな人に迷惑をかけてきたんやね」

 

「そう。だけど、それはこの書を悪用しようとした結果でしかない。

 その意味では、この書自身が最初の被害者」

 

 ここは八神家。ここにいるのは、八神はやてと私、つまり八神家のチャチャだけ。

 今は“闇の書”の過去を説明中。

 全てを知ってるわけじゃないけど、力が破壊にしか使われていないらしい事や、過去の主が自滅と言う形で死んでる事は説明できる。原作知識と夜天からの情報を総合して考えて、これはほぼ間違いないと判断。

 

「それで、守護騎士って人らも、被害者なんやね?」

 

「そう。夜天の魔導書に防衛プログラムはあったけど、守護騎士はなかった。

 何らかの改変で追加されたのは間違いない。元々は人であって望まないプログラム化だった可能性もあるし、そうでなくても人間らしくない扱いを受けてた記録がある」

 

「なんや、聞けば聞くほど暗い話が出てくるなぁ。

 あと1か月ちょっとしたら来るのは解ったんやけど、私が何かできる事はないんか?

 何かしとらんと落ち着かへんし」

 

 部屋の準備は、猫対策の手間を考えるとまだしない方がいい。

 生活用品も小物以外は同様、服は正確なサイズが解らない……けど、1つできる事はある。

 

「防護服の意匠は決めておける。

 用途は身を守るための鎧に近いけど、犯罪者対策に参加する可能性があるから、防弾服の意匠を好きに決めるような感じと思っていい」

 

「防護服って言うと、アコノさんが使ってる、神主さんの服みたいなやつやね?

 でも、デザインを決めると言っても、どんな人かわからへんし……」

 

 映像を見せるのは、お姉様に禁止されてる。

 でも、ある程度の予備知識はあった方がいいし、絵を描くのは禁止されてない。

 服はまだ描けないけど、起動時の黒い服なら問題ないはず。ミニスカートで跪かせるって、誰の趣味だろう?

 

「大丈夫。簡単な姿絵を描くから、それを元に色々と考えてみればいい」

 

 とりあえず紙と鉛筆でラフスケッチでも……と思ったら、クレヨンを渡された。

 

「色もあわせたいし、出来れば詳しく書いてな?」

 

 むぅ。なんだか、幼稚園児になってお絵描きする気分。

 とりあえず、シグナムから。将と呼ばれていた以上、中心人物のはず。

 

「なんか凛々しいお姉さんやな。この人が、戦闘狂気味って言ってた人なんか?」

 

「そう。4人のまとめ役でもある」

 

「戦闘狂気味な人がまとめ役で大丈夫なんか?」

 

「もう少し正確に言えば、強い相手と戦う事に喜びを感じる武人の類。

 無闇に暴力を振るうわけじゃない」

 

「そっか、そっち方向ならまだ安心やね。

 私は戦ってほしくないんやけど……その辺は大丈夫なん?」

 

「殺す事を喜ぶわけじゃないから、試合という形でも大丈夫なはず」

 

 きっと、フェイト・テスタロッサや転生者達の良い訓練相手になってくれるはず。

 次は、ザフィーラ。八神はやてのペット候補。

 

「次は、犬耳のお兄さんやね。ホントにこんな耳があるんか?」

 

「ある。ちなみに、狼としての姿はこんな感じ」

 

 二つの姿を描くのは面倒。狼の姿はラフスケッチで勘弁。

 

「おー、かっこええなぁ。というか、狼さんやったんか? おっきいなぁ」

 

「厳密に言えば狼だけど、どうせ地球に居ない種類。犬も狼も似たようなものだから、気にしなくても大丈夫。

 役目は守ること。何かあった時は、一番近くで守ってくれる」

 

「そっか。頼れるお兄さん、って感じやね。

 でも、昔から犬を飼いたかったんやけど……犬扱いしたら嫌がるやろか?」

 

「原作だと狼の姿でリードを付けて散歩に行ってた。

 どう説得するか次第」

 

 喋りながらかきかき。

 次に書いたのは、ヴィータ。名前を出さないように喋るのは、結構面倒。

 

「おお、ツンデレちゃんやね。ホントにツンツンしてそうな雰囲気や。

 おさげがかわええけど、随分ちっちゃいんやね」

 

「外見の設定年齢で言えば、8歳相当のはず。

 9歳の誕生日に現れる事を考えると、八神はやてより年下になる」

 

「そうなるんか。こんなちっちゃい子も、危険な事してたんやな……」

 

「外見の年齢は気にしない方がいい。

 人生経験と言う意味では、ものすごく年上として扱っても間違いじゃない」

 

 ヴィータの記憶がどの程度残っているか不明だけど、意識のある期間を計算すれば私達より長いはず。人間らしい経験がどの程度あったかは別として。

 

「それはそうやけど、やっぱり外見の印象は大事や。

 年上やって言われても、どうしても年下に見てまいそうや」

 

「その辺は、慣れ。ちなみに、役目は最前線で敵を止めたり、粉砕したりする事。

 小さく見えても実力は高い。変に侮ると、侮辱したと思われる」

 

「うーん、難しそうや。

 最後のこの人が、おっとりさんやね?」

 

 最後に描いたのはシャマル。これで4人書き終わった。

 

「お姉様曰く、おっとりどじっこお姉さん。

 でも、最初は感情が希薄で冷徹な可能性があるから、気を付けて」

 

「うん、でも、この絵でもわりとおっとりさんみたいやし。

 怖そうな感じはせえへんから、きっと大丈夫や」

 

「役目は、補助や治癒。怪我した時や健康管理は任せていい。

 ……どじっこが怖くなければ」

 

「こわっ!? 健康管理はまだええけど、治療でどじはあかんよ!」

 

「冗談だから大丈夫、きっと。

 一流の医療担当として活躍できるだけの力量があるから、その点では安心……たぶん」

 

 でも、どじっこ設定はどこから?

 少なくとも原作のA’sでは、高町なのはのリンカーコアを抜くときに一度失敗しているのと、高町なのはとフェイト・テスタロッサが八神はやての見舞いに来る時に慌てて変な変装を……うん、どじっこかも。

 

「真面目な顔で物騒な単語を付け足さんといてな。

 それで、防護服やったね。一応戦うための服って事でいいんやね?」

 

「そう。4人の出身を考えると、厳密に言えば騎士甲冑とか騎士服という表現になる。

 別に鎧に拘る必要は無いし、時間はあるから、似合う意匠をゆっくりと楽しんで考えるのをお勧めする」

 

「そっか。やっぱ、参考になるのは漫画とかゲームやろか?

 うん、とりあえずおもちゃ屋さんや。天気もいいし、お出かけしよか」

 

 

 ◇◆◇ ある日の月村家のチャチャ ◇◆◇

 

 

「それで、なのはは元気でやってるのね?」

 

「元気すぎて、あっちの人に呆れられてる」

 

 とある日に、月村家で行われてるお茶会。

 参加者は月村すずか、アリサ・バニングス、八神はやて。それと、八神家のチャチャ。

 私は、メイドとしてお茶やお菓子の準備をしてる。参加者になってる八神家のが妬ましい。

 

「あーあ、うちだけチャチャが居ないのよね。なのはの所には2人いるし。

 せっかく遊びに来てるのに、なのはの状況を聞くのからになっちゃうのもアレだし、そもそも人間じゃないんでしょ。もう1人くらいいないの?」

 

「いないと言えば嘘になる。

 だけど、今でも3つ子設定にしかできないのに、これ以上増えるとばれた時に色々やばい」

 

 バニングス家だと、立場も微妙かも。それに、姿を別のものに変える事は可能だけど、出し過ぎは良くない。戸籍やらの手配も手間がかかりそう。

 いざとなれば姿を消してお姉様の所に戻ると言っても、少なくとも今は必要以上の人間関係は作らない方が無難。

 優越感が薄れるとか思ってない。決して。

 

「すずかちゃんのとこのチャチャちゃんは滅多に表に出んけど、私のとこのとか、なのはちゃんとこのは外に出とるし。

 増やさんのは、変に疑われてまうからか?」

 

「そう。同じ顔をした人が数人なら双子とかで誤魔化せる。

 だけど、人数が増えると難しい。本来は戸籍も無いから、雇われるにも法的な部分が面倒な事になる。税務関係とか。

 出来る事としていい事は、違う」

 

「そりゃあそうだけど、バイトとか見習いとか言って誤魔化せないの?」

 

 残念そうなアリサ・バニングスには悪いけど、誤魔化せるなら既に行ってる。

 

「月村家や高町家や八神家は密接な関係がある人が少ないから、問題になりにくいだけ。

 月村家は外部の人があまり入らないし、客も普通はメイドの過去や立場なんて詮索しない。

 翠屋も有名パティシエの家に住み込みで修業に来てると言えば、少なくとも法的な突っ込みを入れる人は少ない。

 八神家は1人暮らしだし、増える予定の人も法的には不審者。

 バニングス家には税理士も付いてる。企業経営者の家族として、身元が怪しい人を雇う事は避けるべき。バイトも税法上は正社員と変わらないから申告の必要があるし、そうなると戸籍が無いのはまずい事態になる。

 そうなると結局姿を消す事になるし、不審者を招き入れたアリサ・バニングスの立場も悪くなるはず」

 

 給与ではなく小遣いとして扱ってるのも、この理由。

 おかげで金額は小さいけど、別途物や技術を受け取ってるし、情報も貰えるから問題ない。

 他の転生者が来た時に道場のチャチャが増える予定だけど、外部には出ないし、会うのも関係者だけ。4つ子設定にする必要は無いはず。

 

「う……そこまで理路整然と言われると、来なさいって言いにくいじゃない」

 

「そう言わさないために、言ってくれてるんだよ」

 

「それは理解出来るわよ。納得できないけど」

 

「感情と法律の問題やからな。どっかで折り合いをつけるしかあらへんよ」

 

 アリサ・バニングスは落ち込んだと言うより、ちょっと拗ねてる。月村すずかと八神はやてが慰めてるけど、2人の所には私達がいるからあまり効果は出ない様子。

 そんな感じで、あれこれお喋りを続ける4人。

 お姉様や主に話す時と違って順に発言するのもおかしいから、私は我慢。

 ……くすん。つまみ食いしてやる。

 

「そういえば、なのはの才能はすごいって言ってたでしょ。

 実際問題としては、どうなのよ」

 

「お姉ちゃんが話を聞いてるみたいだけど、凄いみたいだよ。

 来てる人の中で一番強い人と訓練してるんだよね?」

 

「まだまだ技術が追い付いてないから、互角には戦えない。

 だけど、簡単に負ける程弱くも無い」

 

 クロノ・ハラオウンの制御技術は見事としか言えない。

 年齢を考えると驚異的な水準。魔力量とデバイスの能力に任せた力押しで勝つのは難しい。

 

「あのなのはがね……色々と素質やら才能やらがあるって言ってたけど、本当に目覚めてるの?」

 

「魔法に関してはかなり。運動に関しても改善傾向ではあるはず。

 運動神経が切れてるというよりは、繋がってなかった、が正しかったのかも」

 

「苦手だからって運動しないからじゃないの?

 電気屋巡りの時だけは、やたらと元気だったけど」

 

 電気屋? 家電オタクな原典設定は有効らしい。

 

「あの時だけは、なのはちゃんも凄かったよね」

 

「そうなん? あんま想像できへんけど」

 

「普段はすぐへばるくせに、電気屋にいる時だけは元気なのよ。

 あの時は、新型のデジカメだったっけ?」

 

「うん。目がキラキラ輝いてたよ」

 

「そうなんか。魔法は数学で物理学で、ある意味科学だって聞いてるし。

 理系に強いってのがええんかなぁ」

 

「え、そうなの?」

 

 アリサ・バニングスは、驚いた眼で八神家のを見てる。

 どことなく期待してるような視線が混じってる。

 参加者に、説明は任せる。

 

「魔法の基本は魔力を使った法則への介入。大雑把に言えばコンピュータのプログラムを一時的に書き換える事に似てる。どちらも、科学的なイメージの内容で間違いない。

 だけど、魔法を使うには行使できるだけの魔力が必要だし、アリサ・バニングスと月村すずかにそれだけの魔力は無い。それに、地球に魔法の文化は無い。人前で使うと色々と問題が出る」

 

「うー……なんでそんな先回りして道を塞いでくるのよ」

 

「変に期待させるよりいいと判断。

 それに、原作だと高町なのはの最終学歴は中卒で、生活基盤を地球外に移してる。

 これからも普通の人として地球にいる気でいるなら、あまり魔法に染まらない方がいい」

 

「そう言われても、これだけ聞いちゃってるんだし。はいそうですかなんて言えないじゃない。

 それに、何だか私だけに言ってる気がするんだけど?」

 

「月村すずかは夜の一族。長寿な点だけを見ても地球では異端だし、元々裏側に関わらざるを得ない立場。

 八神はやては夜天の魔導書の主。否応なしに魔法に係わる立場。

 この場の3人の中で唯一、主に“一般人”と言われていたのは正しい評価」

 

「主って、アコノよね。確かに言ってたけど……まあ、地球で使うのが問題なら、それはいいわ。

 それよりも、よ。いちいち全員をフルネームで呼ぶのはどうにかならないの?」

 

 やっぱり言われた。

 月村すずかや八神はやてにも言われた、名前呼びの要請。

 でも、これは譲れない。

 

「ならない。私達の立場は従者だから、必要以上に名で呼ぶのは避けるべき。

 キャラ付け……もとい、正しく識別するには必要な事」

 

「キャラ付けゆーた!? あざとい、可愛い顔して実にあざといで。

 でも、愛称とかを使わんのは、キャラ付になるん?」

 

 八神はやての疑問は最も。

 というか、キャラ付けの為じゃなくて、誰を名前や愛称で呼ぶかの線引きが難しいだけ。

 ついでに、同姓の人を区別する必要があるかを都度判断するのも無駄な労力になるから。

 

「そんなの、キャラ付けにも特徴付けにもならないわよ。

 仲良くなった気がしないから言ってるの」

 

「そうだよ。お姉ちゃんも、何だか一歩引かれてるって気にしてるんだよ?」

 

「改めてお願いや。友達には、名前で呼んでほしいんよ」

 

「ほら。私達がいいって言ってるんだし、名前で呼びなさい」

 

「高町桃子は師匠、みんなは主やお姉様の友人。本来は私がこの場に交じっている事も問題。

 従者として、線引きをやめるわけにはいかない」

 

 総攻撃だけど、この場にいるなら(メイド)の立場が無難。

 前に出てる八神家のが本来は間違ってる。

 

「はぁ、言い訳は変わらへんな」

 

「そうだね。私も同じことを言われてるし」

 

「何よ、2人とも同じことを言ってるわけ?」

 

 2人の性格を考えると、言われて無いと思う方がおかしい。

 

「そりゃそうや。せっかく仲良くなっとるのに、堅苦しいのは嫌や」

 

「でも、全然うんって言ってくれないし」

 

「なのはよりも堅物って事?

 うーん、それは強敵だわ」

 

 うんうん唸っても、駄目なものは駄目。私達に上目使いとかも効かないから。

 ……ほんとですよ。

 

 

 ◇◆◇ ある日の高町家のチャチャ ◇◆◇

 

 

 ゴールデンウィークのある日。今日も翠屋は大盛況。

 私は今日も、ケーキ作りの実践中。

 腕はだいぶ上がってる。

 高町桃子にも褒められた。もっと褒めて。

 ……こほん。だけど、未だに勝てない。何だか悔しい。

 

 お姉様の好きなスポンジケーキは、優先課題。

 クリーム無しで美味しいシフォンケーキは、今日の自信作。しっとりふわふわで、あっさりめの甘さ。

 

 今日の日替わりは、アーモンドペーストを練りこんだしっとりスポンジの、フランス版ショートケーキ。フランスでの修業経験は伊達じゃないらしい。

 一緒に作って、作り方と味は覚えた。あとは練習と調査あるのみ。

 お姉様の好みの味じゃないかもしれないけど、たまに食べるなら美味しいとか言いそう。意外に気に入る可能性もあるから、手は抜かない。

 

 その他、いろいろ手伝う。

 イチゴショートケーキ、とりあえず水準以上。見た目も味も問題ない。

 レアチーズケーキ、ちょっと苦手。レモンが強敵で私だと安定しないから、材料の準備だけ。

 モンブラン、あのソバを綺麗に作るのは難しい。でも、失敗作をマルチーズ(いぬ)の顔にしてみたら気に入られて、日替わりの候補になった。何故。

 マドレーヌやフィナンシェは大丈夫。失敗しない。

 

 作り方の情報は随時送ってるから、別荘でお姉様や主への提供も始まってる。

 別荘産の材料で作れないか、地球の材料を別荘で栽培できないかの調査も始まってる。

 材料が変われば、作り方や風味も変わる。こちらは難航中。

 栽培は、単純に時間がかかる。早くて今年の後半以降。

 真っ先に試食で本物を食べられるのは役得。太らない構造(たいしつ)で良かった。

 

 

 ◇◆◇ ある日の道場のチャチャ(無印編32話裏) ◇◆◇

 

 

「二度目まして。高町家の道場にようこそ」

 

「はい、二度目まして。さっき翠屋にいたはずだけれど、先回りも魔法かしら?」

 

 ここは、借りてある高町家の道場。

 訪れたのは、真鶴亜美。翠屋で高町家のチャチャが確認した上で、高町士郎が場所を教えてた。

 その時に顔を合わせてる。だから、チャチャとしては二度目。

 私は、道場のチャチャ。仲間になった転生者に色々と教えるのが役目。今日が初任務。

 

「正確には、先回りじゃない。とりあえず入って」

 

 ついさっき長宗我部千晴が翠屋に来て、こちらに向かってる。

 変に悪戯して拗れるのは避け、でも本当の事は言わない。だから、ヒントは出す。

 

「ええ。ここなら、色々と話して大丈夫なのね?」

 

「大丈夫。盗聴もされてないし、声が漏れないよう対策もしてある」

 

 防音の結界は便利。監視の類も無い事は確認済み。

 個人所有の道場だから、盗み見る人もそうそういないはずだけど。

 

「それで、魔法についてという事だけれど、私に教えてもいいのかしら?

 良く考えると、秘匿とか色々あるんじゃない?」

 

「大丈夫。秘匿についても、治癒や探知の能力を持っているのに魔法を禁止する意味が無い。

 それに、原作の敵役よりも、同じ転生者の方が厄介な敵になり得る。少なくとも、判明している転生者3人の死亡は、全て転生者による殺害。

 少なくとも自衛のための力は身に着けて損は無い」

 

「そうなの。それなら、早速始めるのかしら?」

 

「もうすぐ、もう1人来るから少し待って。

 魔法については纏めて説明する」

 

 そんな感じで、しばらく普通の雑談。

 主に服の話。アクシズワイブスが似合いそうとか、ミドピアノも物によってはサイズがあるしジュニアブランドもあるとか言われたから、お姉様はエヴァンジェリンの外見だけどフリフリの服は着ないと言っておいた。

 お姉様については既に伝えてあるから、その関係と判断……したけど、なんだか残念そう。真鶴亜美本人が着ても似合いにくいから、着てほしかっただけかも?

 そうこうしている間に、長宗我部千晴が到着。

 

「こ、こんにちわー……って、那波かよ!?」

 

「あら、千雨ちゃん?

 初めまして。真鶴亜美っていいます。保育士をしている転生者よ」

 

「あ、あぁ……初めまして。長宗我部千晴、高校1年生だ。

 私も転生者だけど、何と言うか……ネギまみたいに年齢詐称な中学生、とかじゃないんだな」

 

「ふふ、成人しているから、見た目相応よ。

 さてと、今日はこれで全員かしら?」

 

「2人以上は、予定してない。

 今から、魔法に関しての説明。まずは、注意事項から」

 

 地球では秘匿されていて、迂闊に人前で使えば人生が壊れる事。

 あくまでも“技術”であり、どの様に使うかは人の意思による事。

 どの様な意図で使おうと、意図しない結果になろうと、使った責任は自身で背負う必要がある事。

 

「やっぱ、異端だってことだよな……」

 

「だからこそ、原作の地球出身魔導師は地球を離れてると考えられる。

 少なくとも、高町なのは、ギル・グレアム、ナカジマ家の祖先の3人は、地球を離れるという選択をしてる」

 

「そうね。人生を壊す危険を考えると、自由に魔法が使える環境へ移る事は捨てられない選択肢ね」

 

「魔法で人を助けるのも、地球では問題になる。

 最悪の場合、治癒魔法で助けられた人が怪奇な目で見られたり、研究機関に捉えられたりする可能性もある。相手を助けたつもりで人生を破壊する事を考えると、自己満足以外で出来る事はあまり多くない」

 

「あー……そりゃあ、おかしな回復をしたら、原因を調べられる可能性があるか。

 マスコミに漏れたらどうしようもないし……」

 

「そうね。使った本人は覚悟の上かもしれないけれど、勝手に助けられておかしな世界に巻き込んでしまうのは可哀そうね」

 

 2人が、ちょっと深刻な表情に。

 恐らく、真鶴亜美はちょっと甘く考えた。他人の事なら危機感も働くみたいだから、そっちから抑制する方針は正しかった模様。

 

「だけど、2人は既に特殊な力がある。今の所、完全に抑えるのは難しいし、全く力が無ければ他の転生者がおかしな行動をした時に身を守ることも出来ない。

 せめて逃げられる程度の力、おかしな現象を誤魔化すための手札は持っておいた方がいい」

 

「それは魔法に限らず……という事ね?」

 

「そう。治癒魔法を使うにしても、きちんとした応急処置をした上であれば、少しくらいは誤魔化せる。

 誰かに襲われて防御魔法や束縛魔法を使う場合でも、武道の経験の有無は言い訳の説得力に差が出る。

 極める必要は無いけれど、ある程度嗜んでおいて損は無い。少なくとも地球では、魔法を使わずに済むならその方がいい。

 魔法は強力だけど、あくまでも手段の1つ。全てじゃない」

 

「そ、そっか……別に、魔法だけで対処しなきゃいけないわけでもないんだよな。

 奥の手として練習はするけど、普段は普通の方法で、って事でいいんだよな」

 

 なんだか、妙にほっとしてる。

 やっぱり魔法に対しての忌避感は無くなっていない様子。それでも、練習すること自体を辞めるわけじゃないのは、ある意味では立派。

 

「以上を踏まえて、自分の力を制御する練習をする事に賛同出来る?

 出来るなら、実際に魔法を教える。場合によっては協力を要請する事も有り得るけど、少なくとも私達やお姉様はそれを強制する気は無い。時空管理局からはなるべく守るけど、それについての協力も必要なはず。アースラへの顔見せくらいは有り得るけど、それは理解しておいて。

 出来ないなら魔法を封印する事は出来る。但し、特殊な能力まで可能かは解らない」

 

「大丈夫よ。自分の力が普通じゃない事は判っているから。

 きちんと使いこなした上で使わない事は可能でしょう?」

 

「だな。暴走とかしちゃたまんねーし。

 封印も確実かわかんねーし、無理に使わなくていいって事なら、扱う事ぐらいは出来ねーと正直こえーよ」

 

「なら、まずはお姉様が作った、入門用のインテリジェントデバイスを渡す。

 常に身に着けるものになるから、そのつもりで好きな形を選んで。

 魔法の行使能力はあまり高くないけど、技術指導に特化した知能を持たせてある。日常的な訓練はこれを使って行えるから、デバイスと相談して方針を決めてほしい。

 あと、ここへはなるべく来てほしい。1人では出来ない訓練もあるし、仲間がいるのは気分的な負担もだいぶ違う」

 

 とりあえず、ブレスレット型、指輪型、ペンダント型、カード型を出してみる。

 形状変化が可能なのは、ペンダント型とカード型の2種類。実体化した際の形は、ワンドと呼ばれる種類のちょっと装飾のある短い杖と、武器として振り回せる棒の2種類。

 ブレスレット型と指輪型は、この形で完結。その分性能がちょっと高め。

 

「常にって、必ずなのか?

 学校に持って行くのはヤバそうな気がするんだけどよ」

 

「短距離なら離れても大丈夫だし、ある程度までは転移も出来るけど、お勧めはしない。

 有効距離は人による。でも、長宗我部千晴は特殊能力のせいで、離れると転移先が解らなくなりそう。常に身に着ける前提で考えた方がいい」

 

「そ、そうか……んじゃ、ブレスレットが一番いいかなぁ。カードは呼べないとやべーし。

 これが一番シンプルだし、指輪とかペンダントだと友達が煩そうだ」

 

「それなら、私はカード型で。

 平日の昼は保育所から出ないから、それくらいなら転移できる可能性が高いでしょう?」

 

「あの保育所の大きさなら、きっと大丈夫。

 まずは、利用者登録と、基本的な使い方から。慌てなくていいけど、早めに防護服の意匠も考えておいて」

 

 それからしばらくは、デバイスの扱い方の練習。

 2人ともまだデバイスに頼った形だけど、魔力に慣れるところから。

 何とか形になりつつある頃、通達を受信。

 

「お姉様から連絡があった。

 アースラのリンディ・ハラオウンが、まともな転生者と会ってみたいと言ってる。

 嫌なら拒否できるけど、どうする?」

 

「リンディさんが?

 ええと、まともな転生者に会いたいという事は……行かないとまともじゃないと判断されるという事かしら?」

 

「きっと、それはない。

 でも、早めに顔を見せておいた方が、後ろめたい事はしてないと判断されやすい」

 

「魔法の練習をしてるし、変に隠れる方がヤバいって事か?」

 

「今なら、お姉様もアースラにいる。

 お姉様の保護下だと見せておいた方が、余計な詮索や手出しを防ぎやすい」

 

 というか、長宗我部千晴は会話を見られてる。ここで行かない選択はまずい。

 

「そうね、解ったわ。どんなところか興味もあるし、行ってみましょう」

 

「あんま行きたくねーけど……仕方ないか」

 

 理由はともかく、行くなら問題ない。

 移動手段を相談して、行動を開始。




妹達を中心にして、影の薄い原作娘&転生者で話を書いてみたのですが……驚きの女性Onlyになりました。どうしてこうなった……?
言い訳:数少ない男性は、inアースラ・高町家・未接触です。翠屋で高町家のと士郎・恭也を絡ませる話を思い付かなかった時点で、男性の登場が無くなりました。鮫島は驚きの未登場ですし。

あ、評価の一言にあった「そろそろチャチャ・シスターズと原作キャラとの絡みが見たい」のクエストはクリアでよいでしょうか(笑)


一部の人にしかわからないかもしれない、名前の元ネタ。特に意味は無いので、あまり気にしなくても大丈夫です。どんなブランドか気になる人は、下記右側の名前でググってください。
「フリル」とか「ロリ」とかを加えて画像検索すると、どんな服を着せようとしたか分かりやすいかもしれません。
アクシズ(axes) ワイブス(wives)←axes妻←axes femme
ミド(mid) ピアノ(piano)←中央のpiano←mezzo piano



(おまけ)没ネタ in ある日の道場のチャチャ

「魔法の怖さを、体感してみる?」

「いや、怖いってのは解ってるけどよ」

「命に係わるとか、そういう意味ではない内容という事かしら?」

 2人が把握する前に、取り出すのは一冊のノート。
 とりあえず長宗我部千晴の名前を書いて、と。

「何だよそのノートは? です
 ……はあっ!?」

「ですノート。語尾に “です”を付けてしまう、呪いの様な不良生徒矯正用の魔導具」

「そんなのアリなのか!? です」

「矯正用と言っても、随分と不自然じゃない?
 これで何とかなるとは思いにくいわ」

「この状態で普通に話せるようになると、悪くても綾瀬夕映みたいな口調にはなる。
 ですか? みたいに、ですの後ろにちょっとつけるくらいなら大丈夫」

「うっわ、コレ気持ち悪い……です。
 駄目だ、何か勝手に口が動くです」

「うーん、違和感を何とかしようとすれば、確かに似非丁寧語くらいにはなりそうね。
 強引に形から入るという意味では有効かもしれないけれど、万能ではなさそうかしら」

「やめてくれです……気持ち悪くてかなわねーです……」

「無理に丁寧語を使おうとしてるヴィータにも似てる?」

※行動に直接影響を及ぼす魔法が存在する事自体に問題があると判断したため没となりました。
 よって、この性能の魔法は存在しません。たぶん。
 また、千晴と亜美の原作(A’s)知識が微妙なため、ヴィータネタ以降の話が続きません。


2013/11/15 無暗→無闇 に修正
2017/04/25 本人が来ても→本人が着ても に修正
2017/09/06 キャラ付でにも→キャラ付けにも に修正
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