※変更点は滑舌及び描写(地の文)が中心です。展開は変化していないので、無理に読み返す必要はありません。
「私からもお願いしますよ。
エヴァンジュはリーナが居なくなって、迷子の子供の様に不安なはずなんですよ。
エヴァンジュの主だったリーナは、エヴァンジュを実の子の様に可愛がっていましたから。製作者と魔導具という間柄ですが、親子と呼んだ方が良い関係だったのですよ。
それこそ、アルハザードの頂点に立たせようと画策する程にね。実際、本人が了承したらそうなるところまで御膳立てしたそうですよ?
権力に屈さずに済むよう、結構高位の爵位も付けていましたし」
「オイ、何で
てか、アノ騒動は主様のせいカヨ。何で主様がそんな事をするんだヨ」
そもそも、爵位も主様がそんな理由で手を回してたのかヨ。ゴ主人が研究室を持つ時の体裁を整える為かと思ってたんだがナ。
「おや、エヴァンジュとリーナ以外誰も知らないはずの別荘の存在を知っていた私が、他の事を知らないと思っていたのですか?
ちなみに、最高貴族院の議長が暴走したのは、リーナのアルハザードに対する最後の優しさだったようですね。エヴァンジュならアルハザードを良い方向に導けるかもしれない、という期待ですよ。
エヴァンジュ本人が拒否したので、アルハザードの頂点に立たせる話はお流れになりましたが」
マジか。確かに、コイツの最初の台詞は色々オカシかったシ、アノ頃には主様の様子もオカシくなってたけどヨ。
ソンな事を仕出かしてるなんて思わねーヨ。
「それにいつも、うちの子はこんなに可愛い、うちの子はこんなに優秀だと親馬鹿な話を聞かされていましたよ。
おかげで私も
「色々とヤってらんねーナ。
そもそも、テメーが悪性の
テカ、何でテメーが主様とそんな接点があんだヨ。世界を巡ってたんじゃねーのカ?」
「私の最初の主も、リーナだったのですよ。
同一人物という事ではありませんよ? クローンです」
「ハァ!? ンなこと聞いてねーゾ!!」
そりゃ、主様はクローン関連技術の権威だったケド、自分のクローンを作ったって話は無かったはずだゾ!?
「現地人に紛れるために私や夜天の主は現地調達だと提出資料には書いていましたし、クローンを作ったのは極秘で、箝口令も敷かれていたようですからね。知らないのは当然でしょう。
エヴァンジュ……曙天の製作を開始してからは一度も作っていませんし。
ああ、貴女達も、エヴァンジュには教えないで下さいね。恐らく、先ほど以上に取り乱しますので」
「え、ええ……光景は想像出来るわ……」
プレシアが呆然と頷いてっケド、オレも呆然としてーヨ。
リンディは戸惑ってるみてーだけど提督の顔のままだし、セツナは頷く事すら出来てねーシ。何でコーなっタ。
「それにしても、エヴァちゃんもうっかりさんですねぇ。
私の主の情報がどこにもない上に、夜天と私が年長なのですから最初はエヴァンジュがいない状態で情報を処理していたという事ですし、最後まで一度も管制通信を使わずに私達の動きを制御していたのですから、何かあると気付いてもよさそうなものなのですが」
「情報を受け取るためにゴ主人を作ったんじゃねーのカ!?」
「いえいえ、文学の可能性については、夜天が最初に気付いたそうですよ。リーナが私の製造を決意したのはその後だそうですから、夜天が文学に興味を持たなければ、私やエヴァンジュは生まれなかったのでしょうね」
「夜天や宵天にゃ、ゴ主人以外との次元世界間通信の能力なんてねーはずだゾ?
どーやって情報を受け取るつもりだったんだヨ」
「きっと夜天の主もリーナのクローンで、最初はリーナ自身の通信だけで済ませるか、時折帰還して情報を納めるつもりだったのでしょう。確証はありませんが。
夜天も私と同じ様に、アルハザードが滅んだ後もずっと情報を送っていたみたいですから、遺言も受け取ったのでしょうし」
「遺言だっテ? オメーラにも残してたのかヨ」
ゴ主人に言ってたアレ……じゃねーナ。
ゴ主人に関連した遺言ってことカ?
「ええ。エヴァンジュの主がオリジナルのリーナで、クローンのリーナとは直接通信が出来たようですよ。少なくとも私の主だったリーナは通信をしていましたし、指示はこちらで行われていました。きっと、私達とエヴァンジュの間の管制通信の様なものだったのでしょう。
恐らくそれを使用して、最後の言葉を伝えてきたのですよ。
アルハザードは間もなく滅び、私も共に逝く。仕えるべき国や相手を失うお前はもはや自由だが、最後に頼みがある。私の最愛の子、エヴァンジュの助けになってやってほしい、とね」
「マジか。ゴ主人と主様の関係的には不自然じゃねーけどヨ、何で遺言なんダ?
死ぬよーな状況じゃねーダロ」
「自滅術式を仕込んでいたのでしょう。この言葉を最後に、クローンのリーナは崩壊しました。
もちろん、残骸もきちんと火葬しましたよ。更にクローンを作られるようなものは残しません」
「そりゃ当然の処理だろーが……その後はどーしてたんだヨ」
「その後に私に出来る事と言えば、各地の情報を集める事だけですからね。
それだけを必死にしていたとは言いませんが、各地を巡り、集めた情報をエヴァンジュに送っていたのですよ。
恐らく、夜天もそれは同じだったのでしょう。
もっとも、私の送った情報は嫌われてしまいましたが。お近付きになるきっかけになればと言う打算もありましたが、偉大な人物や女傑と呼ばれる女性も元はこんなに純粋な少女だと教えたかったのですがね。
いやはや、集め方や纏め方を間違えてしまいました。趣味と実益を兼ねるのは難しいですね」
「てめーの趣味は聞いてねーヨ。けど、変態のとこに主様のクローンがいたなんてコトは、ゴ主人に知られる訳にいかねーナ。
絶対に暴れるゼ?」
もしくは、二度と浮き上がらねー勢いで落ち込むか、だナ。主様を殺した後みてーにならなきゃいいんだガ。
ソコで呆けてるセツナは、ソノ辺分かってんのカ?
「全面的に同意しますよ。何しろ、アルハザードの最終兵器ですからね。
被害がこの世界や管理局だけで済めば御の字でしょう。
次元断層クラスの攻撃も出来るんじゃないですか?」
「そりゃあ出来るだろーヨ。ジュエルシードの元になったデバイスの作成者だゼ?
アレを量産すりゃ、次元断層ナンか簡単に起こせるダロ。
ツーカ、今あるジュエルシードを暴走させりゃ充分じゃねーカ」
ドーセ所有者登録も済ませてんダ。管理局で保管するなラ、ソノ気になりゃいつでも次元断層で管理局崩壊させられるだろーヨ。
「おお、怖いですね。
そんなエヴァンジュですが、私からプレシアさんに説明した方がいい事もあるので、この際ですから説明してしまいましょうか」
「これ以上、何があるというの……?」
おー、プレシアの怯える姿ってのはレアモノだナ。
けど、あんまり怯えさせてもナァ。フォロー出来るのかネ?
「エヴァンジュや私、それにそこのセツナさんは、別世界からの転生を経験しているのですよ。
先日の戦いで、傀儡兵相手にセツナさんと一緒に暴れていたネズミと少年もそうですね。
他にもいますが、現時点でプレシアさんが知っているのは、恐らくこの5人でしょう。
前世は、解りやすく言えばそこの世界にある地球に似ていましてね。
ちょうど海鳴市、ジュエルシードが散らばった辺りに住んでいたのですよ。
地名など違う点もあるのですが、地図上の場所は間違いなくその辺りです」
「違う点も多いけどナ。本当にここは住んでいた日本なのかって困惑してたゼ?
ゴ主人は、似て非なる世界だって思ってるみてーだ」
「そうですね。それでも、基本は同じなのですよ。
貴女達から見て、ここは平和な国だと思いませんか?
小さな国ですが、強盗殺人で1人死んだだけでニュースとして全国紙に載るほどなんです。
そんな中で育った学生ですからね。年齢だけは成人……20歳を超えていたそうですが、悪く言えば何も知らない子供に近い精神のままだとも言えるでしょう。
それがいきなり軍事国家の中枢に放り出されたのですから、精神的な重圧は大きかったと思いますよ。しかも、目覚めて10日程で拠点攻撃の任務ですからね。自分が何者かも決められないまま、数千人を殺すことになってしまったのですよ。
現実逃避なのか、資料庫の整理と言う役目に没頭するエヴァンジュを連れ出すため、別の任務を与えてみてはどうかと言ったのは私ですが。
正直に言って、失敗したと思いましたね」
「テメーが元凶カ!? アノ後ゴ主人落ち込んで大変だったんだゼ!!」
「ええ。リーナもだいぶ悩んでいましたよ。
普段は優しい女性なので、誇り高く苛烈な面がある事を過小に判断してしまった私も甘かったのでしょうが。
そもそも、私は文化の調査が役目でしたからね。
戦場になりそうな場所は避けていましたし、滅びかけの国の文化を調べる際も、ギリギリには脱出していました。戦場は経験していなかったのですよ。
夜天の蒐集方法は少々強引ですが、前線よりも研究機関や実力のある研究者を襲撃する事が多かったようですから、比較的少ない人数を相手にするだけだったはずです。
そのノリで薦めてしまったのですが……最初から殲滅任務だとは思いませんでした」
クッソ、ゴ主人に代わってコイツを殲滅したくなってきたゼ。
でも、話し方的にオレへの説明じゃねーナ。プレシアとリンディに説明、か……変態なりの計算があってやってるみてーだシ、最後までつきあってみるカ。オレじゃいい案を思いつかねーヨ。
……そうすりゃ、立ち直りかけてるプレシアはともかく、提督の顔になってるリンディの事後処理もコイツに押し付けられるだろーしナ。
「最悪な流れじゃねーカ。
テカ、何デ主様がそんな任務にしたカ、理由くれーは聞いてるんだろーナ?」
「ええ。エヴァンジュの構造と役目を考えると、避けられない行為ではあったのですよ。
全ての魔法に精通するためには、膨大な知識を収める容量や、尋常ではない行使力が必要です。その能力を確保し、強化するための材料が、リンカーコアや人の命だったのですよ。
今の闇の書の蒐集行為よりよほど物騒な話ですね。エヴァンジュがリンカーコアや命を奪った相手は、必ず死ぬのですから。兵器としては正しいですし、これも最終兵器と呼ばれていた理由の1つだったのですよ」
コイツはイモート達の材料はともかく、魂を使ったコンピュータシステムも知ってやがるのカ?
けど、魂についてはぼかす方向か……まあ、妥当な判断かネ。ゴ主人が剥奪すると死ぬってのは事実だしヨ。
「人を殺すことに抵抗のあるエヴァンジュにそれを実行させるには、任務という形で強制するしかありませんでした。いつか通る道ではあったのですが……少なくとも、早すぎました。
当時の倫理観は敗者からの搾取は当然だという風潮だったのですが、考えが日本人のままだったエヴァンジュは、命の重さを背負ってしまったのですよ。
役目である、アルハザードの資料庫の整理に没頭し。
唯一の楽しみとなった、魔法の練習や開発にのめりこむ。
君臨するために全てを消費していた軍国主義の国でしたから、今の日本の様な文化など、食も娯楽もありません。娯楽らしいものは魔獣と戦う闘技場やそこでの賭博くらいで、エヴァンジュはそれを娯楽として見る事すら出来ませんでした。他に逃げ場が無かったのですよ。
従者達が増えてからは私の送った情報で料理等を楽しんでもらえていたようですが、その頃には手遅れだったのです」
そういや、ゴ主人が笑うようになったのはソノ頃だったカ?
……主様、結構見てたんだナ。
「それと、元々日本人は権威や権力に弱いところがあるのですが、それ以上に、責任を負う事に慣れていないのですよ。
強制的に与えられる任務。
背負った命に対する責任感。
リーナの期待も背負っていたでしょう。
魔導具として作られましたし、世間の常識とずれているのですから、周囲の人の理解もありません。
結果的に、エヴァンジュは心に壁を作りました」
壁っつーか、敵味方の区別はかなり厳密にやってたナァ。
妹達やらに指示するためっつー理由もあったけどヨ。
「一番内側にいるのは、リーナでしょう。今なら、きっと主のアコノちゃんでしょうね。
何があっても自分を裏切らない、自分を助けてくれると信じる相手です。主を持つ魔導具として調整された影響かもしれませんが、そんな相手には、守る為なら自分の何を犠牲にしても良いと思う程に依存してしまうのですよ。
従者達、チャチャゼロちゃんやチャチャちゃんには依存していないでしょうが……それでも、ここまで信じた相手に裏切られたら、エヴァンジュは心が壊れる可能性が高いです。リーナと別れた時に壊れなかったのは、未来を託されたという責任感でしょうね。
別れ方を相談された身としては複雑ですが、エヴァンジュがこうして無事でしたから、あれで良かったのだと思っていますよ」
よくねーよ変態。別れなくて済むよーに手を打つのが最上だろーガ。
依存ってのは……解らなくもねーけどヨ。
「次に、仲の良い相手、仲間だと思える相手、自分が責任を持つべき相手です。
アルハザード時代だと、研究所の職員や、貴族達とやりあった時の協力者がそうでしょうか。一部の転生者やなのはちゃん、はやてちゃんもここに仲間入りしているでしょうね。
信用はしますが、別れがあると考えている相手です。最低でも不老になってからでなければ、この先には進めないでしょう。死別と言う別れがあると分かっている事が理由ですから、人柄等は関係ありませんよ。
守りたい相手ではありますが、手札として使う事は多々あります。より大切な人を護る為なら、切り捨てる事も躊躇わないでしょう。
相互利益なら最高。力を貸したり守ったりするから、友情の暖かさでも研究成果でも敵の情報でも、何でもいいから寄越せ。自覚の有無はともかく、結果から推測するとそんな感じだったようです」
デバイスを渡した転生者は、仲間意識みてーだけど間違いなくココだナ。
なのはは……微妙かもしれねーな。協力関係って意味だと高町家の括りに含むだろーシ、プレシアの雷撃の時に見捨ててたはずだしナ。
「これ以外は、全てその他なのですよ。
この中で区別があるとすれば、自分の明確な敵かどうか、利用価値があるかどうかです。
無意味に排除する事はありませんが、理由無く助ける事もありません。必要があって、対外的に問題が無いように利用することが可能なら、当人の事情に関係なく駒として使うことを躊躇う理由が無いと言わんばかりの対応です。自分に関係のない相手だから、どうなっても知らないという事ですね。
そこまで、エヴァンジュは心を閉ざしてしまいました。必要以上に冷酷だったり無関心だったりするように見える事があるのは、これが原因です。
大切な人を守る事が最優先ですし、仲良くなる可能性や将来利用出来る可能性は考慮するようですから、結果的に手を出す事は稀な事が周囲にとっての救いでしょうね」
今だと、手を出してない転生者が典型的な例だナ。
グレアムもココで敵っぽいけド、駒として使う可能性を考慮……してるナ、ウン。
「ああ、私は番外です。
リーナという依存する存在が作った魔導具で、同じ転生者という仲間意識。
色々な感情が混じって、どう扱ってよいのか解らないのでしょう。からかっている時は過剰に反応されますが、そうでなければ割と普通に話してもらえますからね」
「テメー、自覚してたのかヨ」
概ね間違ってねーナ、ゴ主人の性格を予想以上に把握してやがル。
どーすんだよコイツ。ココまで内面を知られてるってゴ主人にバレたラ、マジで焼かれるゼ?
「当然です。私も馬鹿ではありませんから、好かれていない事くらいは判ります。
元々男性だという事は知っていましたし、子供の様な部分がある事もリーナから聞いていましたから、一緒にふざけられる遊び仲間を目指してみたのですが……予想外に嫌悪されてしまっていましたね。男性であると同時に、女性的な部分も出てきているという事でしょうか?
もっとも、嫌われているだけでもないようですが。
エヴァンジュに管制特権を駆使されたら、私は既にこの世にいないか、少なくとも動けなくなっているでしょう。こうして何事も無く話をしていられるのは、何も手出しされていない証拠です」
「変なテンションでゴ主人を弄ってたのは、道化を演じてヤがったのカ?」
どう見ても変態何だガ……偽装変態なのかヨ。
演技だけでココまで出来るなら感心すっけド、どー見ても本物の変態だゼ?
「反応が可愛いので思わずという面も否定は出来ませんが、その意図もあった事は確かです。
エヴァンジュと直接話したことはありませんでしたが、リーナにはエヴァンジュの事をよく相談されていましたからね。リーナにとってだけではなく、私にとってもエヴァンジュは我が子の様なものなのですよ。
ですが、エヴァンジュの前世は成人男性です。仮にエヴァンジュが私を父や兄だと認める事があっても、素直に甘えてくれるとは思えません。ですから、私では癒してあげることが出来ないのですよ。からかって感情を発散させる位が精一杯です。
初めからリーナと共に傍に居たのであれば少しは違ったかもしれませんが、後の祭です。前世を引き摺らないためにあえて私の事を伝えない事に決めたのですが、こんな結果になるとは。
つくづく自分の無能さが嫌になりますよ」
「とりあえず真性の変態だってのは理解シタ。けどよ、ゴ主人をどんな目で見てるんだヨ」
我が子とか言ってやがるし、幼女って目だけじゃなさそうなんだよナァ。
コレで幼女としか見てなかったら、全ての幼女が我が子とか言い始めかねねーシ。
「実際に子を持った経験は無いのですが、愛しい娘であり息子でもある、といった感じが近いと思いますよ。
というわけで、プレシア。
貴女には、内に籠って色々と溜め込みやすい、エヴァンジュの心を癒してほしいのですよ。リーナのクローンですから最初の障害は大きいと思いますが、最も良い立場にいますからね。
いきなり心に踏み込むことは難しいでしょうが、エヴァンジュの感情を引き出す役目は私が引き受けます。その後のケアを行う形であれば、比較的近付きやすいでしょう」
「……私である必要があるのかしら?」
プレシアの怯えはまだ消えてねーナ。迂闊な事をすりゃ命に係わる役目だし、仕方ねーけどヨ。
「そうですね。他の方には難しいでしょう。
まず、管理局の関係者は駄目です。あの様子ですから、不用意に関われば殲滅されます。
アースラの人達は例外でしょうが、それでもエヴァンジュは裏を、管理局の関係者である事を怖がって、心を開いてくれない可能性があります。
陰湿な貴族ともやり合ってきましたからね。警戒心も強いのですよ。
仲の良い転生者も駄目です。守る対象だと認識してしまっています。
主であるアコノちゃんも、守るという意味ではここに含めてもよいでしょう。主従の役目を考えても、最優先で守ると考えていると思いますよ。
なのはちゃんやはやてちゃんといった、地球の小さな魔導師達も当分は無理ですね。
精神的にも実力的にも未熟です。将来が楽しみな逸材ですが、現状では守る対象にしかなれません。
地球の他の人達は、魔法を知識として知っていても、扱えません。
エヴァンジュという存在の本質を実感出来ない以上、心に踏み込ませてもらえないでしょう。
その点、貴女は違います。
アリシアちゃんを助けたという大きな貸しと相互利益の約束がある分、裏切りにくいと思われるでしょう。管理局との関係は悪いですから、その意味でも警戒されにくいです。
大魔導師と呼ばれる程の実力もありますし、エヴァンジュが色々やっていたからとはいえ、真実に辿り着くに足る頭脳……主に知識的な意味ですが、それも持っています。
あまり守らなくても大丈夫な、ある程度自分を打ち明けてよい仲間だと思われる可能性が高いのですよ」
「エヴァンジュは魔導具でしょう。今の主では力不足という事かしら?」
「アコノちゃんなら正面から受け止めることが出来ますし、受け入れて居場所になる事が出来るでしょう。ですが、1月前に魔法と出会った、主としての負荷で下半身が麻痺している少女ですからね。包み込んだ上で窘める事が出来るとは思えません。
エヴァンジュは意識がある期間的に言って40歳を超える程度ですから、精神的に60歳くらいのプレシアさんであれば、母に近い立ち位置でも問題無いはずです。外見もフェイトちゃんの母として問題ない程度の若返りに留められているようですし、こちらも問題ありません。
目的の為に手段を選ばない行動力は魔導具の影響も考えられますが、そうでなくても最終的な目的が
「だけど、私は犯罪者よ?」
ちらっとリンディを見てるガ……リンディは難しい顔をしたまま、動く様子はねーナ。
糾弾してプレシアっつー手札を失うわけにもいかねーシ、かといって犯罪者を放置も出来ねーってとこカ?
「過去の罪は、私やエヴァンジュ、それにアースラの方達も手伝ってくれるでしょう。
何とかします。
仮に事後処理に失敗して全面戦争になっても、勝算は充分にあります。
むしろ、エヴァンジュの心を癒せなければ、早々に殲滅に行ってしまいそうですらあります。
管理局の本局やミッドチルダがいきなり消滅すれば、管理世界は大混乱になるでしょう。
エヴァンジュの性格を考えて、次元断層や他の世界への影響が大きい攻撃は無いだろうと高を括ってはいけませんよ? 他世界への影響なしで星系を消失させた事もある最終兵器の実力を甘く見てはいけません。その程度の事は、次元断層や闇の書に頼らなくても可能なのですよ」
「そんな相手を……癒せと言うの?」
オイオイ、脅し過ぎなんじゃねーノ?
明らかにプレシアが逃げ腰になってんゾ。
「私としては、エヴァンジュには望み通りの暮らしをしてほしいのですよ。
エヴァンジュは大切な人を助けようとしているだけで、本来は静かに過ごすことを望んでいます。私や夜天も含めて、戦乱を望む気持ちはありません。
しかし、大きな力は、様々な欲望を引き寄せます。
例えば、夜天の魔導書が闇の書と呼ばれるようになったのは、大昔のベルカでした。
守護騎士を追加され。
集めた力が主の物になるよう改変され。
過去の魔法や多くの記憶を封印され。
ベルカで作られたと偽られ。
ある男の出世欲や名誉欲の為に、存在意義を変えられてしまったのが悪夢の始まりです。
その後の歴史は、皆さんもある程度はご存じでしょう。
主が集められた力を扱い切れずに破壊を振り撒き、各地に大きな傷跡を残して悪名を轟かせるようになりました。
それでも夜天がエヴァンジュに情報を送り続けていたのは、エヴァンジュが比較的後期の古代ベルカ式魔法も使っている事から考えて間違いありません。そんな夜天を救ってやりたいのは、私もエヴァンジュと同じです」
「本気で、表に出る気は無い……?
確かに、3冊のうち2冊は闇の中だったけれど」
「そうですね。闇の書がベルカで作られたとされたのは、私にとっては幸運とも言えました。
私は、夜天の改変に合わせて古代ベルカ製と偽る事にしたのですよ。
闇の書との関係をほのめかせば、勝手にそう思ってくれます。偽装は簡単でした。
夜天、宵天、曙天。
3冊の書の名は、アルハザード時代からほとんど表に出ていませんでしたからね。
エヴァンジュも、同じ方法を取ったようですね。
アースラで話を聞いていた限り、古代ベルカ製だと思われていましたし。
あとは、持っている力を隠すだけで十分なはずでした。
力を抑える事は、そう難しくありません。
私は幻の書と呼ばれるくらい、何もしませんでした。
ただ静かに現れ、主を見守り、歴史や文化に触れ、静かに去る。
趣味で幼女や少女を主に選び、気に入ってもらうために子供が好む様な物語や音楽を多数記録したりはしましたが、私がやってきたのはその程度です。
もどかしい事もありましたし、力を貸したことも無かったわけではありませんが、そうやって過ごしてきたのですよ。
エヴァンジュは……リンディさんの方が詳しいでしょう?」
「そうね、技術についてはすっかり騙されていたわ。
本来ならば命に係わる様な無茶苦茶なカートリッジシステムを、怪我までしながら使っていたけれど……21個のジュエルシードを制御する方がよほど難しそうだもの。
実際、さっきは怪我せずに使っていたみたいだし」
ゴ主人、やっぱバレちまったゾ。
でもまあ、21個の同時制御をやらかした時点でコイツラにはばれたも同然だし、広まらなきゃ別にいーダロ。リンディもどーしたもんか困ってるみてーだシ。
「そうですね。あの涙目は本物だったと思いますが、怪我はあえて作っていたのでしょう。
ああ、いけません。貴女達に対する要求で伝えていないものがありました。
ここで話したことは、一切他言無用ですよ?
迂闊に話せば、次元世界から平穏は無くなります。アルハザードが過去に実在していた上に、その最終兵器が今も健在だなんて、現代の社会や管理局にとっては悪夢でしかないでしょう。
しかも、管理局に対するエヴァンジュの感情は最悪の状態です。これで闇の書が最悪の状態になったトドメが、今の最高評議会の人達による改変だと知ってしまったら……
おっと、また口が滑ってしまいました。こんなことを話している場合ではありませんね」
「ちょ、それはヤベーだろ!
おっとうっかりとか、そんな軽い話じゃねーぞ変態! ゴ主人の耳に入ったラ、広域殲滅で管理局崩壊確実じゃねーかヨ!!」
2人の血の気が引いちまってるじゃねーカ、脅し過ぎダ!
「とまあ、こんな事情ですので、貴女達には是非協力して頂きたいのですよ。
1つ目は、闇の書を夜天の魔導書本来の姿に戻す事。
2つ目は、エヴァンジュ達が安らかに暮らせる環境を作り、維持する事。
どちらも結果的に次元世界の平和に貢献する内容です。
いかがでしょう、協力して頂けませんか?」
エヴァ、マジ暴走。
プレシア、マジ超重要人物。
リンディ、マジ空気。 ←悪化
チャチャゼロ、マジお父さん。
リーナ、マジ何やってんの。
クーネ、マジいい人。 ←但しエヴァンジュに対する本心に限る
まずは、スーパーチャチャゼロタイム。
続いて、スーパークーネタイム。 ←今ここ。てか、1人で喋り過ぎだっ!
プレシアのボヤキ
あ……ありのまま、今起こったことを話すわ。
娘との時間を取り戻したと思ったら、恩人に殺されそうになったと思ったら、守ってやってほしいと頼まれたと思ったら、恩人の愛されぶりを披露されたと思ったら、脅されていたと思ったら、 ←今ここ
リンディのボヤキ
あ……ありのまま、今起こったことを話すわ。
プレシア女史の事後処理の相談に来たと思ったら、アルハザードの最終兵器の話になったと思ったら、時空管理局の存亡の話になっていたと思ったら、 ←今ここ
プレシアとリンディ、マジ涙目。 ←悪化
ついでに、数人(エヴァ、チャチャゼロ、クーネ、リーナ)のキャライメージが大きく変わる。 ←クーネとリーナも追加しました?
セツナ? リンディと同じく、空気です。
後書き的には、リーナを隠すためのデコイだったとも言えます。鳥類だけに。
なお、「例えば、夜天の魔導書が闇の書になったのは……」の下の5行は、漂流編の「与えられる力。」で始まる5行に対応しています。
トドメに関しては今の時点だと捏造ヘイト臭しかしませんが、近い内に追加説明があります。私の脳内ではこれでピースがはまっちゃったんですよ、設定厨的な意味で。
2013/07/12 後半3割の長台詞部分を改訂(主に描写や会話の追加)
2013/07/15 長台詞部分を中心にちょっと改訂(主に会話の追加)
2015/02/05 コイツに追い付けられる→コイツに押し付けられる に修正
2022/08/26 チャチャゼロの発言を「ゴ主人」に統一