青の悪意と曙の意思   作:deckstick

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A’s編11話 帰還

 リンディ・ハラオウンとギル・グレアムの交渉と言うか相談は、とりあえずは望ましい結果に。

 かなり懐疑的な様子ではあったけど、当面は手出ししない事を選択したギル・グレアム。プレシア・テスタロッサに関する情報も受け取り、お姉様の今までの行動や方針を確認すると、ため息をつきながらある程度の理解を示してた。

 そもそも悠久の翼の関係者が地球に常駐しているわけではないから恒常的な手出しは難しく、情報の入手も後手に回ってるから、このまま後手後手で危険性を指摘された計画を進めるよりも、組織の暴走を防ぎつつ軌道を修正する方が無難だろうという判断らしい。但し、それも時間がかかると念を押されてた。

 組織の方針を変える時間であり、それ以上にお姉様を見極めるための時間でもあると予想。こちらの作業完了は今年中という期限も伝えてたし、それを踏まえた、ギリギリの判断のはず。

 ちなみに、八神家の資産関連の書類等は八神はやて宛てで返却される事になった。ギル・グレアム個人が出してた援助は終わるけど、元々あてにしてないから問題ない。

 

 ちなみに、“お姉様の事をある程度知らせる相手”向けの設定は、プレシア・テスタロッサの若返りとアリシア・テスタロッサの蘇生は、お姉様がジュエルシードを1個ずつ犠牲にして実現したというもの。

 クローンと共に虚数空間へ失われたのは1個で、闇の書対策にプレシア・テスタロッサの力を借りるために行われた、という筋書き。今は闇の書と呼ばれる夜天の魔導書、その妹がお姉様であるという事、極秘であり漏れたら大きな問題が起こる事も併せて伝えたため、意図などは特に齟齬なく伝わった模様。

 

 ジュエルシードを使えば若返りや蘇生が可能という事になるけど、あれは正式に時空管理局の管理下に置かれる事になる代物。犯罪者が持ち出してきたなら潰せばいいし、最高評議会やらが出てきた場合は私欲のために使ったとして正面から叩き潰す予定。状況的に潰せない手口の場合でも犠牲にした風を装ってジュエルシードの回収が可能だし、最悪でもあと18回。この能力を目的にされた場合も問答無用でお姉様を破壊や封印するという事にはならないから、とりあえず問題無い。

 ジュエルシード事件自体が狂言ではないかと言う疑惑は、お姉様や主の覚醒が4月に入ってから、つまり事件発生後である事実を盾に封殺。裏付けの説明としては、ジュエルシードの影響を受けた主だからこそお姉様を起動出来たというもの。嘘は言ってない。

 

 状況としては、概ね予定通りに推移してる。

 そろそろ次元空間も航行可能な程度に安定してる。

 ギル・グレアムとの接触も終わり、現地拠点に簡易的な転送ポートも設置完了。

 プレシア・テスタロッサの法務処理やらも一部は本局で行う必要があるし、ジュエルシードをいつまでもアースラで抱えているのも問題がある。

 成瀬カイゼとセツナ・チェブルーの訓練も順調。この2人にフェイト・テスタロッサを加えた嘱託魔導師試験挑戦組は、アースラのスタッフを先生に勉強も頑張ってる。

 守護騎士達の戸籍も確保を完了し、無事にお姉様の親族として八神姓を名乗る事になった。但しペット扱いが確定したザフィーラを除く。

 

 というわけで、アースラは本局に帰還する事になった。

 お姉様は現状と今からの予定を、リンディ・ハラオウンやプレシア・テスタロッサと確認してる。

 

「当面の問題は私を排除しようとする管理局の犬。まずは身の安全を最優先に、なるべく早く自由を勝ち取る事。

 この認識でいいわね?」

 

 プレシア・テスタロッサの環境と役目を考えると、重要なのはこの順序。

 敵は時空管理局の裏側に連なる者達。

 

「それで間違いない。

 お前に情報を流したスカリエッティが最高評議会の駒という事は間違いないんだが、こいつらの仲間が管理局の裏側にどれくらい蔓延っているかが解らん。全体を掌握しているわけではないはずだが、警戒は緩めないでくれ。

 リンディも同じで、迂闊に情報が洩れたら排除される可能性が高い。やり辛いとは思うが、味方を増やすよりも、敵に気付かれない事を優先してくれ」

 

「ええ、それはもちろん。だけど、原作知識や実際に調査した結果として、少なくとも誰が気を付けるべき相手か、誰なら共犯になれそうかを教えてもらえると助かるのだけれど」

 

 実働としてのリンディ・ハラオウンとして、出来れば欲しいだろう情報。

 これも調べてるけど、悪魔の証明に近いし。

 

「闇の書事件までは、あまり管理局員が登場しないんだ。調査も白の確定は難しいから、あまりあてにしないでくれ。

 とりあえず、アースラのお前達とグレアム、それにリーゼは既に接触済みだし、情報も渡しているから省いておくぞ。

 他に名前が出るのは、人事やらをやっているレティ・ロウランと、技術系のマリー……マリエル・アテンザくらいだったか。特にレティは気を付けて見ているが裏側に関わっている様子は無いし、この2人は恐らく大丈夫だろう。

 

 次の原作となると10年後でミッドの地上が中心だから、現時点で関係する可能性がある人物は割と少ない。一応調査はしているが、力の入れ方もその程度だという前提で聞いてくれ。

 レジアス・ゲイズは既に最高評議会やスカリエッティと繋がっているから黒だ。これは間違いない。

 首都防衛隊のゼスト・グランガイツは裏関係としては白のようだが、レジアスの友人だ。情報を知られると厄介な相手ではあるだろう。

 ヴェロッサ・アコースも多分白。クロノより少し幼いのに既に査察補佐官、10年後には査察官で、記憶を読むレアスキルを持つ。能力的に最も警戒すべき相手ではあるな。

 既に伝説の3提督と呼ばれているレオーネ、ラルゴ、ミゼットは……どうだろうな。白だと期待したいが、最高評議会と関係がある可能性は高いし、漏らして良い相手とは考えにくい。

 これ以外となると若い空士や陸士といった士官連中が多いから、無視していいだろう。今はまだ子供だしな。

 レジアスの周囲を探ってはいるが、なかなか黒い糸の先を見せてくれん。ディランも正義感の塊でゼストに近い白の様だし、武闘派全体が黒いわけでもない。それに、スカリエッティにジュエルシードの情報を流したのは保守派、地球でフェイトの隠れ家を手配したのは革新派の可能性が高そうだ。

 薄く広く蔓延っているようだから、何処に敵がいるかすら解らん。むしろ、何処にでも敵がいると思った方がいい。現状で見付けてある黒の名簿を作る事は可能だし、渡しはするが……あまりあてにならん。少なくとも、名前が無いから安全とは言えない事は理解しておいてくれ」

 

 StrikerSのフォワードメンバーはまだ6歳以下。機動六課では年長組のヴァイス・グランセニックすらクロノ・ハラオウンと同年代だから、現時点で協力を求める意味が無い。

 ミッドチルダの地上に行くならゲンヤ・ナカジマは関係する可能性も0ではないだろうけど、密輸やらに関係することは無いだろうし。

 

「なかなか難しい状況ね。聖王教会は調べていないのかしら?」

 

「予言の能力を持つカリム・グラシアと、その補佐で護衛のシャッハ・ヌエラの2人は、既に活躍し始めているようだ。犯罪者共との繋がりは無さそうな未来の将官だが、実績も階級もこれからに期待といった所か。ちなみに、カリムの義弟がヴェロッサだ。

 あとは……教会関係者で名前が出る人物はいなかったはずだ。裏の連中に利用される人物はいても、積極的に裏と関わる人物はいなかった印象がある」

 

「そう。でも、レティが大丈夫というのは朗報ね。

 守護騎士に犯罪者対策という名目で活動してもらう時に、彼女の協力があると何かいい案が出るかもしれないし」

 

「人事や運用担当で、お前の友人だからな。

 疑って調査しているのはあまり気分が良くないだろうが、そこは勘弁してくれ」

 

「エヴァさんの知り合いではないのだし、慎重に進める必要のある話だもの。警戒して調べるのも、ある程度は仕方ないんじゃないかしら。

 でも、情報の漏洩はしないでちょうだいね?」

 

「解っている、漏洩は絶対にさせん。

 代償は私の情報の漏洩だろうし、そうなった時のリスクは理解しているぞ」

 

「それはそうだし、仕方ないと割り切っても、気分が良いものではないもの。

 でも、レティには早めに連絡を取ってみるわ」

 

「ああ、調整の方は頼む。

 私は犯罪者の調査を始めるつもりだ。予め情報があった方が、どこに行かせるかの相談もしやすいだろう」

 

「そうね。調査はお任せするわ」

 

 提督で後方支援担当となるリンディ・ハラオウンとしては、現場は任せる物。

 全力で任される所存。

 

「それで、貴女の最終目標は本当に、平穏に暮らす事なの?

 こんな事はしない方が、余計な手出しが無いはずでしょう」

 

 プレシア・テスタロッサの疑問。

 確かに、目標が平穏だけならそうだけど。

 

「私は幸か不幸か、不老になってしまったからな。周囲に誰もいないのは、平穏かもしれんが……幸せとは言えん。その長い時間を共有出来る家族を助けられそうなんだ。助からない未来を知っているだけに、必死にもなるさ。

 要するに、アレだ。お前も26年前に駆動炉実験の結果がどうなるか知っていたら、立場やらを投げ捨てる覚悟で中止させるか、娘を連れて逃げただろう?」

 

「そうね……予言や予知を信じたかを別にすれば、否定出来ないわ。

 だけど、信じるという事が前提でしょう?」

 

「そうだな。原作等という怪しい代物に振り回されていると言う点で、私は私が危険人物と呼ぶ転生者と何も変わらんという事だ。

 その意味では、原作の知識を持たない黒羽が、最も今を生きていると言える。同じように知識が無かったセツナは……私が殺してしまったのだろうな」

 

「後悔しているのかしら?」

 

「それは無い。

 手出しをしなくても幸せになれるとか、手出しをしても未来が変わらないとかならともかく、実際に死にかけたお前を助けることは出来たんだ。

 何かを望む時に別の何かが犠牲になる、何かを犠牲にする事は……もう、慣れたよ」

 

「そんな辛そうな顔で言っても、説得力は無いわ」

 

「……顔には出ているのか。だが、生きるため、主の最後の願いを叶えるために、何億、何十億という人、幾つかの文化すら犠牲にしてきたんだ。

 今更、誰かの人生を曲げた程度で後悔などしていられん」

 

「それでも、何も感じていないわけじゃないはずよ。

 それに、今の貴女は何も犠牲にしていない……たとえ利用する為に助けられたのだとしても、私は良かったとすら思っているわ。

 存分に使いなさい、私を。

 報酬は大きなものを貰っているのだから、それ以上は必要無いわ。私がその時の言葉を守れているか、見ていなさい」

 

「そうだな。そうさせてもらおう」

 

 散々娘を見ろと言ってきたから、命を奪ったり捨て駒にしたりするなって事になるけど、問題無い。元々、そんなつもりは無いわけだし。

 

 

 ◇◆◇  ◇◆◇

 

 

 そして、木曜の夕方というには少し遅い時間。

 アースラが地球を離れる直前、たまり場となりつつある高町家の道場に多くの関係者が集まって、しばしのお別れを惜しんでる。

 

「とは言っても、私は居残りだからあんまりここにいる意味は無いんだよねぇ」

 

 とか言いつつ、エイミィ・リミエッタも参加。

 他数名のアースラスタッフも現地拠点に残る予定だけど、本局までの転送手段は確保済み。往来は難しくないし、小物のやり取りくらいは普通に行える。

 と言うわけで。

 

「ビデオメール、届けてくれるって!」

 

「私達も、なのはちゃんと一緒に撮影するから」

 

「だから、私達も見せてもらうからね。

 なのは個人にしか見られたくないのは、ちゃんと別に分けときなさいよ」

 

「うん、解った。私もそのつもりで届けてもらうよ」

 

 高町なのは、月村すずか、アリサ・バニングスは、フェイト・テスタロッサと遠距離でも交友を深める約束をしてたり。

 

「何か、色々ご迷惑かけてるみたいやけど、よろしくお願いします」

 

「いえ、こちらの目的にも沿う形での協力ですから。

 はやてさんは気にせずに、しっかりと目標に向かって進んでね」

 

 八神はやてが、リンディ・ハラオウンに挨拶してたり。

 

「ミッドチルダ、だっけ?

 そっちの料理も教えてもらえると嬉しいな」

 

「ええ、自由に動ける時間はあまり無いでしょうけれど、合間を見ながら調べてみましょう。

 だけど、この世界で入手出来ない材料を使っているものになるわ。完全な再現は難しいんじゃないかしら?」

 

「新しい料理のアイデアが欲しいってのが大きいから、それほど気にしなくてもいいよ?」

 

 妙に仲が良くなってる黒羽早苗とプレシア・テスタロッサが料理の話をしてたり。

 

「私と次に直接会うのは、地球に戻ってからになる。

 それまではチクァーブやチャチャ達経由でも連絡が取れるから、何かあったら言ってくれ。

 もしかしたら、何か頼みがあって私から連絡する事もあるかもしれんがな」

 

「はい、いつでも連絡してください」

 

「頼みと言うと、ジュエルシードの確保や裏側の人間の暗殺かい?」

 

「阿呆。そんな目立つ動きをしたら、足枷が増える結果にしかならんだろうが」

 

「しかし、裏で横流しされるロストロギアを掠め取る事くらいは構わないと愚考いたしますが」

 

 大人モードのお姉様が、セツナ・チェブルーや成瀬カイゼ、ついでにチクァーブと話をしてたり。

 普通の話のはずが、何だかおかしな方向にずれていってるけど。

 

「アンタは別に人の姿でもいいんじゃないかい?」

 

「我等と違い、本来は人だと聞いている。主の負担を気にする必要は無いのであろう?」

 

「でも、何だか地球ではこっちの姿の方が普通になっちゃって。

 それに人の姿だと、なのはと一緒に居させようとする家族の圧力が……」

 

「満更でもないくせに。ま、アタシはどっちでもいいんだけどさ」

 

 小動物3匹、要するに子犬モードのアルフと子犬モードのザフィーラとフェレットモードのユーノ・スクライアが、隅でたむろってたり。

 

「つぎにあうときには、なかまはずれになっちゃう?」

 

「私らはもうちょっとかかるから、車椅子卒業の一番乗りはアリシアちゃんやね。

 立てた時の感想とか気を付けた方がいい事とか、色々教えてな?」

 

「大丈夫。そう遠くない内に、私達も追いつく」

 

「そっか。うん、いちばんのり!」

 

 アリシア・テスタロッサ、八神はやて、主の車椅子トリオが、やっぱり隅の方で親睦を深めてたり。

 

「これで、しばらく会えなくなるな。

 早めに戻ってこい、フェイト・テスタロッサ。お前との試合は心が躍る」

 

「私との試合も忘れちゃダメだよ?」

 

「はい。次は負けません。

 でも、高く飛ばないという条件を付けたとはいえ、魔導師でない方が互角に戦えるとは思いませんでした」

 

 八神シグナムや高町美由希とフェイト・テスタロッサが、再戦を誓ってたり。

 ちなみに、八神シグナムとフェイト・テスタロッサは八神シグナムが勝ち越し。高町美由希とフェイト・テスタロッサはフェイト・テスタロッサが勝ち越してる。

 差は大きいものの全勝とはいかない辺り、このびっくり超人共と言わざるを得ない。特に高町美由希に関して。

 

「君達は、どれくらい昔の記憶を残しているんだ?」

 

「さーな。ベルカの風景も少しは覚えてっけど、それが何時かってのはわかんねーし」

 

「そうなのか。思い出したくないかも知れないが、どんな歴史だったか覚えているのか?」

 

「血塗られた、って表現が一番似合うんだろーな。

 本来アタシ達は主の忠実なシモベで、蒐集の為の道具だ。

 記憶にある風景も、戦場や城、それに灰色の空くれーなもんだしな。

 こんな暖かい空気は……初めてだと思う」

 

「そうか。

 ……それにしても、最前線に立つ君が、どうして子供の姿なんだろうな。

 強さという意味では、体が大きい方が有利だろうに」

 

「アタシが知るかよ。大体、アンタだって人のことは言えねーぞ」

 

「解っている。接近戦でのリーチの短さや、打たれ弱さに自覚があるからこそだ」

 

「……アンタも苦労してんだな。

 けど、まだ成長してんだからいいじゃねーか。アタシはずっとこのまんまだ」

 

「いや、そんなつもりで言ったんじゃ……」

 

 クロノ・ハラオウンと八神ヴィータが、何だか身長の低さで愚痴りあってたり。

 

「ふふ、こうして見ると、微笑ましいですね」

 

「そうね。でも、シャマルちゃん達は地球に残るのでしょう?

 従者といっても、子供に養ってもらうのはどうかと思うし。私達のお店で働いてみない?」

 

「わ、私がですか?」

 

 高町桃子が、八神シャマルをお店に勧誘してたり。

 

「東渚の転生特典無効化能力と、正確な性能を把握している理由の調査ですか。

 危険人物だから調査した結果を問わないとは、なかなか思い切った条件ですね」

 

「記憶を奪う事の危険性は把握している。

 だけど、本人の思い込みでなければ、かなり重要な情報を得られると思える」

 

「なるほどなるほど。

 事後に廃人になられても問題ですし、少々時間を頂きたいですが、急ぎますか?」

 

「それほど急がない。だけど、妙な行動を起こして排除が決まる前には結果を出してほしい」

 

「ふむふむ、いいでしょう。美少女のお願いですし、私としても気になる内容ですからね。

 張り切って調査しましょう」

 

 お姉様に蹴り飛ばされてもぴんぴんしてる変態(ロリコン)に主が調査依頼をしていたりしたけど、そろそろ別れの時間。

 高町家の女達、八神家一同、チクァーブ、月村すずか、アリサ・バニングス、エイミィ・リミエッタ、黒羽早苗、変態(ロリコン)に見送られて。

 ハラオウン親子、テスタロッサ家一同、ユーノ・スクライア、成瀬カイゼ、セツナ・チェブルー、チクァーブが転移していった。

 

「……ねえ、アンタ、あっちにもいたよね?」

 

「はい。何か問題でも御座いましたでしょうか?」

 

「何で見送る側と見送られる側に同じ人がいるのよ!

 ていうか、人ですらないし!」

 

「こちらにも居る。あちらにも行く。これで良いでは御座いませんか。

 急ぎの要件が御座いましたら、すぐにでもフェイト嬢に取り次ぎますぞ?」

 

「そういう問題じゃなーい!」

 

 アリサ・バニングスが吠えてるけど、小ネズミ姿のチクァーブは……表情が読めない。

 ちょと首を傾げてる気はする。

 

「チャチャみたいに、コイツも複数いるんだ。あまり気にするな。

 さて、これで少しはゆっくり出来るかな。目覚めてからバタバタし過ぎて、正直疲れた」

 

「確かに。ジュエルシード、転生者、闇の書……どれも手を抜けなかったから、仕方がない。

 でも、この顔ぶれなら気にする必要も無いし、エヴァ、来て」

 

 ため息をついてるお姉様に向かって、主が両手を伸ばしてる。

 つい最近見た覚えのある体勢。可愛い服装を着るようになった主を見た従者達のせいで、今はフリフリのゴスロリ風ドレスを着てるけど。

 

「……本の姿でか?」

 

「そう。ひとまず、リンディ達から連絡があって事態が動くまでは、ゆっくり出来る。

 頑張り過ぎなエヴァは、一息入れるべき」

 

「なんだか、アレから随分と過保護になっていないか?

 私の事を過保護者呼ばわり出来んぞ」

 

「それも悪くない。持ちつ持たれつ」

 

「……そうか」

 

 お姉様は諦めたようにため息をつきつつ、幼女経由で本の姿になり、主の腕の中へ。

 短いかもしれないけど、とりあえず訪れた平和な時間。

 曙天の指令書は、時空管理局組の頑張りを応援しています。




カリムやヴェロッサの年齢がよく分からなかったので、独自設定となっています。
現状の設定年齢は以下の通り。
 シャッハ  17歳
 クロノ   14歳(参考)
 カリム   13歳(無印編20話で妹達が報告済み)
 ヴェロッサ 12歳
 はやて    9歳(参考)
カリムは、予言に目覚めて活躍し始めていてほしい(GoDでも予言してるみたい?)けど、なのは達と離しすぎるのもあれなのでこれくらいに。
ヴェロッサはカリムの義弟なので年下。
シャッハは幼少時からカリムとヴェロッサも護衛も兼ねている(@NanohaWiki)、要は幼いカリムの護衛をしていたらしいので、ちょっと上に。
はやてはヴェロッサより下(妹の様なものだと思っているbyヴェロッサ、このメンバーやと末っ子気分byはやて)。
STSで、ヴェロッサがクロノより年上に見える気がしたり、シャッハが妙に幼い気がしたりするのは、目の錯覚です(断言)


お別れに集まっていた中に、高町士郎・恭也(翠屋で店番なう)、高町家のチャチャ(翠屋で調理担当なう)、八神チャチャ(八神家で夕食の準備なう)、地球組の転生者の多く(遠かったり、アースラと関係が強くなかったり、単に時間が合わなかったり)などはいませんでした。

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