青の悪意と曙の意思   作:deckstick

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アルハザード編7話 10年目考察

 お姉様がアルハザードに来て、早10年。

 私達は4000人を超え、処理能力や役割分担も役目を果たすには十分と判断できる水準に到達。

 増員は厳しい選別を通った場合のみとなっている。

 

 資料庫の情報記録と整理も落ち着き、内容の解析や整理が重要に。

 どこからともなく流れ着いた読めない資料は、とりあえず映像として記録。

 宵天や調査員から都合よく言語情報が流れてくるのを待つ状態。

 言語解析はしていない。

 役職外であり、大抵は労力に見合わない。

 

 最近は、お姉様の魔法研究も本格的。

 別荘の為の、空間の研究が主。

 既に圧縮の理論は完成。実証実験までは成功。

 作成も理論上は可能と言える程度の目処も立っている。

 論文も複数提出。

 アルハザードでは空間魔導師エヴァンジュとして名が通る。

 夜天からの情報にも名前があった。

 辺境や敵国にも一流魔導師として名が知れ始めているということ。

 厄介事の種。でも誇らしい。

 

 名が売れれば、それを利用するのが組織。

 アルハザードの上層部は、お姉様に研究所を与えた。

 職員は100名程。

 所長はお姉様。

 資料庫の管理主任も兼任。

 人間なら明らかに過重労働。

 

 資料庫にも人が増員。

 主に資料請求等の窓口担当者。

 元々いた職員は資料受入担当に。

 日常的な資料請求対応が業務から除外された代わり、資料整理業務が追加。

 今までの様に積むだけだと、お姉様が怒る。

 

 チャチャシスターズが数名、実体具現化してお姉様に侍る。保護(プロテクション)部門が主担当。

 主目的は護衛、最優先。

 戦場以外での襲撃は未経験。

 普段は業務補佐を侍る理由とする。

 これは本来秘書(セクレタリー)の領域。秘書(セクレタリー)部門は裏方、表に立つのは保護(プロテクション)部門と役目を割り当て。

 通常時は保護(プロテクション)部門の方が人員的な余力が大きい。

 

 護衛のチャチャシスターズは、表向き護衛用自動人形と説明。

 チャチャシスターズの頭部アンテナ左右それぞれにインテリジェントデバイスと人工リンカーコアを埋め込み、別途通常のデバイスも持つ。

 見た目より強力。でも、それだけ。

 技術基盤は既存。問題は無い。

 

 実際にインテリジェントデバイスと人工リンカーコアにより作られた、本物の護衛用自動人形も配置。

 守護騎士システムや傀儡兵の原型と予想。

 護衛用とは名ばかり。業務補助に使用する貴族も多い。

 既存の用途の範疇。

 本物と混在させることで、私達の防衛機能を隠蔽。

 私達の存在は周知されていない。するつもりも予定も無い。

 

 

 重点調査中の既存技術。

 分野は様々。

 

 魔導炉と人工リンカーコア。

 大型魔導炉で使う材料の一部以外は、私達だけで製造可能。

 小型魔導炉は実験用に何度か製造済み。

 時間や空間を扱う魔法の消費を支え得る性能が要求水準。

 現在は困難。

 超並列リンカーコアシステムも研究中。安定性が課題。

 魔法、魔導炉共に改善が必要。

 

 魔導具やデバイス。

 魔法実験用に特別仕様品をいくつか製造。

 デバイス開発部門から勧誘が煩い。

 必要な情報のやり取りは行うが、開発部門まで兼任する気は無い様子。

 

 人体操作。治療技術。

 主様の得意分野。

 大抵の事は可能。

 常にどこかと戦争しているアルハザード。

 主様以外にも人がいる戦場に行くときは、後方で医療支援。

 治療の練習台には困らない。

 幼女天使等と呼ばれる事がある。

 意味が分からない。

 

 魔法の非殺傷設定。

 理論は既存。

 戦争には不要として放置。

 埋もれた技術。誰も知らない状態。

 犯罪者の捕縛に有効と証明。

 治安部隊で正式採用。

 各魔法への組み込みが治安部隊主導で行われている。

 捕虜の確保にも地味に役立つ事も証明。

 軍での試験も始まるらしい。

 

 

 表に出していない技術。

 お姉様と私達だけの技術。

 既に色々と存在。

 

 コンピュータデータベースは実用化済み。

 性能や効率の向上も着々と進行。

 文章検索と概要記録用に活躍中。

 デバイスと異なり、利用者を選ばない特性。

 資料庫の管理業務に投入予定。

 魔法陣や映像や音、つまり文字情報以外の検索は現在困難。

 意味や意図による検索も難航。

 これらは魔法による検索が現実解と予想。

 電子精霊も研究中。

 

 時間を扱う魔法。

 加速と減速の理論は目処。

 空間魔法がある程度完成してから公開開始予定。

 

 認識阻害。

 付近の人物に対する精神干渉魔法として実証実験成功。

 動作不安定。要改善。

 抵抗力の高い人がいる。ちうたん同様の現象を確認済み。

 どこまで改善できるか未知数。

 

 幻想空間(ファンタズマゴリア)

 精神の同調による会話は既存。念話の元となった古い技術。

 これを元に拡張、視覚も同調し、姿を見せる事までは成功。

 現実と同様の感覚での行動には様々な改善や対策が必要。

 時間加速は時間魔法の領域?

 現実同様の行動は空間魔法の領域?

 完成には様々な壁が存在。

 

 魔法薬。

 原価と材料の入手性を無視すれば、実用化可能な水準。

 無視出来ない問題。

 公開しても国に価値は低い。

 むしろ犯罪者組織に価値が高い。

 非公開推奨。

 

 呪紋回路。

 ネギまの技術を開発。

 実証実験には成功。

 魂を削り魔力に転換する技術。

 人道的でない。

 これも犯罪者組織向き。

 非公開推奨。

 

 各種物理的な技術。

 魔法の使えない国や人が、アルハザードに対抗するための手段。

 各地の研究を統合、発展。

 各種の薬や手術方法。不老化や若返りは無理でも、多くの病気の治療は可能。

 合金は研究の甲斐がある。魔力が通りやすく強靭な金属。

 優秀なものはミスリルやアダマンタイトと仮命名。

 もっと良いものを作れないか研究中。

 併せて、お姉様のデバイスの改良計画も策定中。

 物理的な攻撃手段も充実。

 ある程度魔法を併用するなら、高性能の高圧縮窒素爆弾も可能。

 お姉様の記憶。高威力や環境性的に、エヴァンゲリオンのN2爆弾が似ている。

 地形を変えるほどの威力を持つ物理兵器は、他の世界ではまだ作られていない。

 

 

 お姉様自身の戦闘力については、高水準。

 魔法を使う事も楽しいのか、嬉々として練習。

 

 私達やデバイスを用いなくても、ある程度の魔法が行使可能。

 一般的なデバイスを持った平均的な兵士相手なら楽に勝てる。

 イメージは、遠距離攻撃を持つ肉体強化アルフ。デバイス無しで十分な戦闘力。

 全力での行動は、お姉様の認識力が付いて行かない。要鍛錬。

 

 汎用型インテリジェントデバイスを準備。

 一般的なデバイス。通常はこれを使用。

 特大の魔力量とそこそこ優秀と言える技術。

 一流の魔導師相手に十分戦える。

 お姉様の戦術は、基本的に飽和攻撃による圧殺。5秒の隙があればファランクスシフトで押し切れる。

 戦術の向上は今後に期待。

 

 特定魔法特化型のデバイスも準備。

 特化魔法は高出力・高効率・高精度・高速での行使が可能。

 直線型高速魔力弾、飛行、転移、障壁。

 飛行と転移は日常的に使用するが、基本的に戦闘用を想定。

 お姉様は4機同時に扱う事が出来る。

 普通の小隊程度は軽く圧殺。

 イメージは、常に全力防御状態のヴィータ並の防御力で、ディバインバスター級の威力のフォトンランサーを乱射(ジェノサイドシフト)しながら、気球の上で戦闘する超鈴音とネギ・スプリングフィールド並に瞬間移動しつつ高速で飛び回るうっかりフェイト・テスタロッサ。

 ムリゲー上等。でも搦め手に弱い。

 

 必要に応じて、私達も魔導師やデバイスの役目を果たす。

 超並列魔法行使。

 状況次第では軍を相手に圧倒可能。

 

 

 お姉様の現状。

 魔法の研究を楽しんでいる。

 原作は、どうでもよくなっている?

 少なくとも気にしている様子は無い。

 本当にそうなるか分からない未来より、今。

 不確定情報は必要以上には気にしない。

 

 先日、実験用にリンカーコアを埋め込んだインテリジェントデバイスを4機作成。

 宝石型。一般的なデバイスの待機形態と類似。

 変形機能は持たない。各種魔法の発動と制御に特化。

 安定性の紅、高出力の青、バランス型の黄、調整の容易さ優先の黒。

 高出力時に不安定になる魔法の実験用に、青が活躍中。

 空間関係は黒で仮作成、紅で調整後、黄、青と順に稼働テストの予定。

 空間作成の魔法を調整中。安定しない。

 紅の安定性を以てしても、法則が乱れる。

 

 

 アルハザードの現状。

 薄氷はますます薄く。

 

 情報漏洩の頻度が上がっている。

 夜天や宵天からの情報が物語っている。

 表立った反乱は全て潰されている。

 反乱の種も、見付かった時点で潰されているだろう。

 重要なポストの人物が消えたという話も出始めた。

 亡命したか、消されたか。

 いずれにせよ、警戒されれば動き辛くなる。

 

 上層部から見たお姉様は、書の主の支配下にある魔導具。

 警戒はされにくい。

 主様は研究者。

 アルハザード滅亡後は考えていても、意図的に滅亡させる気は無い。

 研究できる環境を与えてくれる国が無くなるのはちょっと困る、程度に思っている。

 環境さえ与えれば結果を出し、裏切りにくい駒。

 研究できる環境をくれて、あまり煩い事を言わない出資者。

 とりあえず利害は矛盾しない。

 

 主様にとって、最大の反乱がお姉様。

 お姉様は、アルハザードに大きく貢献している。

 反乱に見える材料が無い。

 

 アルハザードに、敵は多い。

 お姉様の知識に存在する名前。

 ベルカ。

 魔導技術を確立した世界。

 かつてはアルハザードも傘下にいた最大勢力。

 戦乱を繰り返して、今は弱小勢力に成り下がっている。

 周囲の世界をいくつか取り込み、勢力を回復しつつある。

 魔導の祖の実力は侮れない。

 クラナガンも、技術力という点では伸びている。

 他にも多くの世界や国がアルハザードに抵抗。

 現在、アルハザードは次元世界の半分を軍事力で支配。

 逆に言えば、半分が敵。

 支配地域にも抵抗組織は多い。

 

 早ければ20年。

 他の世界が手を組めば、アルハザードに対抗できる勢力が誕生。

 早ければ10年。

 他の勢力の勢いに、アルハザードの上層部が慌て始める。

 アルハザード崩壊の予兆。

 盛者必衰。

 

 今の環境だから可能な事。有利な事。

 魔法の研究。

 たまの軍役以外は研究者として理想的待遇。

 たまの軍役も、私達の増員に貢献。

 別荘は完成させたい。

 お姉様と私達が自由に会える環境。

 お姉様や宵天の知る文化を自由に使える環境。

 

 ………………早く、欲しい。




次話は、やっぱり時間が飛びます。
アルハザード編は9話で終了、その後は漂流編(1話)、設定資料と続き、原作入りとなります。


2012/11/26 心算→つもり に修正

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