「そうか、もうすぐカリムも連れて帰ってくるか」
お姉様は今、主と別荘で寛いでる。
今日は日曜で、転生者達の多くや高町なのは、ついでに高町恭也や高町美由希も別荘に来て訓練中。既に9月で学校も始まってるから、これだけの人数が来るのは1週間ぶり。
アリサ・バニングスや月村姉妹、エイミィ・リミエッタ、八神はやてもいるけど、こちらは砂浜で遊んでる。
海水浴をするにはちょっと肌寒いから、みんな砂浜で全力全開。お姉様と主の近くに他の人はいないから、現状を報告中。
アースラの出航はまだだけど、計画も承認されたし、事前の手続きもほぼ完了してる。
あとは最終の点検や物資の補給、それと人員の集合を待つばかり。
予定では2日後に出航。いくつかの管理世界を経由して、10日ほどで到着。
メカニックマイスターやデバイス関連の技術者として、時空管理局からマリエル・アテンザ、聖王教会からシルフィ・カルマンが随行する事も追加で決まってる。
完全動作する
調達を依頼したエイミィ・リミエッタとハラオウン親子でその情報は止められてるから、騒動にはなってない。だけど、情報収集の甘さと、お姉様が張り切りすぎた事が原因。ちょっと反省。
聖王教会に所属するシルフィ・カルマンについては、少し調べた範囲では根っからの技術者タイプ。現在25歳の、デバイスに恋する乙女。裏側の繋がりは心配なさそう。
シャッハ・ヌエラの近代ベルカ式デバイスや、ゼスト・グランガイツの古代ベルカ式デバイスのメンテナンスにも関わってる、新旧のベルカ式デバイスについて詳しい人物。人選としてはかなり正しそう。
「管理局から来るマリエル・アテンザは、A’sでカートリッジシステムを組み込むマリーであってる?」
あってる。しかも、カートリッジの調達以外でも成瀬カイゼやセツナ・チェブルーと話をしてたから、原作と比べてベルカ式関連の知識が増えてると予想。
現在16歳だけど、既に技術部で3年の職歴がある。
ギンガ・ナカジマとスバル・ナカジマのメンテナンスにも参加してる。この繋がりで、既にクイント・ナカジマやゲンヤ・ナカジマとの面識がある事も確認済み。
「……クイントやゲンヤはともかく、娘2人は関係ないだろう。
確実にまだ子供だぞ」
ギンガ・ナカジマが7歳、スバル・ナカジマが5歳。
アリシア・テスタロッサや多数の3年生組の存在を考えると、友達の輪に入る事は可能。
だけど、それ以上の意味は無さそう。
「ミッド地上で、クイントやゲンヤは黒の騎士団と接触していない?
接触しているか、接触予定があるなら、繋がりを作るのも悪くないかも知れない」
「戦闘機人関係の施設を襲撃するなら、クイントは関係するかもしれんか……?
その意味では、密輸関連の組織を潰す時にゲンヤが来る可能性もあるのか」
黒の騎士団の活動は知られてきてるから、通報時に来るのは戦力より捜査力を重視する部隊になってきてる。
地上でトップクラスの戦力を持つゼスト・グランガイツの部隊、その一員のクイント・ナカジマが来ることは恐らく無い。
その意味では、ゲンヤ・ナカジマの方が接触率は高い。
「まあ、気にする事も無い。原作関連の人物とはいえ、他の局員と同じ対応でいいだろう。
本人には何の関係も無い事だしな」
「クイントやゼストの死亡原因は何もしない?」
「直接何かする気は無いぞ。蒐集のために戦闘機人関連の施設を襲撃して、結果的に死亡フラグを叩き折る可能性は否定せんが。
今の流れだと、結果的にそうなる可能性は高い……か?」
襲撃候補の施設に大規模なガジェット・ドローンの生産プラントはあるし、そこに戦闘機人用の設備がある事も確認済み。
ジェイル・スカリエッティの戦闘機人、具体的にはウーノやクアットロが出入りしてる事も確認してる。生活用の設備は少ないから拠点には向いてないし、してない。
今は証拠固めの段階。ここを潰すと、死亡フラグを折る事になるかもしれない。
だけど、蒐集的には、機械ばっかりで魔導師が少ないからおいしくない。
「証拠が固まり、かつ他に襲撃出来る場所が無ければだな。もしくは、レジアスやスカリエッティが明確に敵対するか。
今潰したところで別の拠点を作るだけだろうし、旨味も無い以上、わざわざリスクを取って優先する必要は無いな」
「だけど、フェイト達の嘱託試験を妨害しようとしてたみたいだし、近いうちに敵対する可能性は高い。
その時は襲撃する?」
「する。敵の戦力増加を防ぐ意味でな。
嫌がらせにもなるだろうし、その時はゼストやヴェロッサも巻き込んで盛大にやるのもいいな」
まとめると、証拠固めをしっかりしておく方向。
ゼスト・グランガイツは戦闘機人関連を気にしてるみたいだし、ヴェロッサ・アコースは時空管理局の裏側の証拠を集めてる様子がある。
ある程度信用されそうな伝手は作れそうだから、動くときはそちら経由で声を掛けるだけでも充分かもしれない。
そんな感じで話をしてると、海の方から長宗我部千晴と真鶴亜美が戻ってきた。
2人ともデバイスは持ってるけど、さっきまでビーチバレーをしてた。
何のために別荘に来てるのやら。
「2人とも休憩か?」
「あー、それもあるんだけどよ。
なのはが気の修業とか言ってたんだけど……いいのか?」
「恭也さんに叱られていたところを見ると、あまり口外しない方が良いものでしょう?」
「……魔法を秘密にしていない仲間だと思って、気が緩んだな。
いくら大人びてるとは言っても、その辺は3年生か」
これも存在は予想されててもおかしくないし。
というか、御神真刀流をこれ以外で説明しろと言われても困る。
「……お前達は予想出来るだろうからまあいいが、下手をすれば管理局がひっくり返る情報だ。
当然、余計な騒動を避けたい連中が隠蔽に動く可能性があるわけだ。余計な事を聞いてしまったな」
「マジかよ……まだ罠があったなんて」
長宗我部千晴が、綺麗な失意体前屈の姿勢になってる。所謂orzな姿。
「だけど、教えているという事は、やむを得ない事情があるか、問題ないような言い訳が出来るからでしょう?
後者なら大丈夫そうだけれど」
「そうだな……まあ、だいぶ様になってきたし、見せてやる。
恭也、ちょっと来てくれ。軽くアレのテストをしよう」
「アレ……もう、見せていいのか?
確かにだいぶ扱えるようになったとは言えるが」
少し離れたところで、高町なのはに体術を教えてた高町恭也。
お姉様に声を掛けられて、とりあえず後は自主練と言う事にしてこっちに来た。
「こいつらは前世的な意味で、似たものをイメージしやすいんだ。ファンタジーやらの創作物にありがちなものに似ている点もある。
それに、そろそろ概要ぐらいは教えておいた方が良さそうだと思ってな」
「なるほど。どこまでやっていい?」
「そうだな……装填数は6だったな?
その6発と、この前相談した内容だ。覚えているな?」
「なるほど、解った」
というわけで、急遽行われる事になった、お姉様と高町恭也の新技術披露会。
興味を引いたらしく、全員が集まってきてる。
月村忍やエイミィ・リミエッタにも見せる事になるけど、公開する気がある範囲までしか見せないから問題ない。
「では、始めよう。先手は譲るぞ」
「そうか、なら遠慮なく。ロードカートリッジ!」
黒龍を起動し、静かに立ってるお姉様。
高町恭也は棒状のデバイスを持つと、カートリッジを使って甲冑部品を展開。
「えっ、バリアジャケット!?」
「お兄ちゃん、魔力が無いはずなのにどうして!?」
エイミィ・リミエッタと高町なのはが叫んでる。
他の人達も驚いてるけど、お姉様と高町恭也、それに高町美由希は、してやったりの表情。
「
「瞬動!? まさか神速かよ!?」
「ははは、戦闘民族は後付けじゃないんだ……」
カートリッジを使ってお姉様に突撃する高町恭也。
馬場鹿乃や上羽天牙の顎が落ちてる。2人の実力なら、きっとこの突撃だけで墜ちる。
「棒術は専門じゃないだろう? さあ、次はどうする」
お姉様は、笑いながら黒龍で棒での攻撃を捌いてる。
何度かの攻防の後、攻撃を捌かれた高町恭也が数歩分離れ、お姉様が追撃しようとカートリッジをロードした瞬間。
「ロードカートリッジ、
「
高町恭也がやたら弾数の多い散弾を放ち、逃げる気は無いけど1発のカートリッジで全てを撃ち落とすのは無理と判断したお姉様は障壁で防いだ。
当然、視界が悪くなるわけで。
「ロードカートリッジ、
高町恭也は空中を蹴って、お姉様の横、そして背後へ。
その際も棒での攻撃は忘れないし、お姉様は黒龍でそれを受け止めてる。
その間に2発ロードした高町恭也は上空へ駆け上がり、お姉様の真上で棒を振るう。
「
何が来るかとお姉様が上に張った障壁と、最初の障壁が砕け散り。
散弾の中で残ってた、やたらと遅い弾が加速した。
「残念だったな、手札の差は大きいぞ?」
にやりと笑ったお姉様は目の前に迫った弾を掴むと上空の高町恭也目掛けて投げつけて、クリティカルヒット。
高町恭也の頭から星が散って、試合終了。
「やはり、駄目だったか。一矢は報いられるかと思ったんだが」
崩れかけた体勢からギリギリで着地に成功した高町恭也は、苦笑してる。
低容量のカートリッジ6発だと、充分すぎる成果だとは思うけど。
「そう簡単には負けてやれんが、狙いは良かったぞ。駆け出しの陸戦魔導師程度では、今のコンボに対応する事は出来ん。魔法弾を投げ返すなんて事は、そうそう出来る事でもないしな。
全体的に威力不足なのは……2発ロードしても問題無く扱えているようだし、近いうちに出力を上げてみるか」
「無理をしているつもりは無いが、大丈夫そうか?」
「ああ。恐ろしい才能だな」
「ちょ、ちょっと待って!
どうして魔力を持ってない人が普通に魔法を使えてるわけ!?」
のんびり喋ってたお姉様と高町恭也に、エイミィ・リミエッタが食い下がった。
時空管理局の常識としては、有り得ない事態ではあるかも。
「どうしてと言われても、魔力が無いだけで、魔力を扱う才能が無いわけじゃない。
そこへ、カートリッジシステムを応用して魔力を供給してみただけだが?」
「だけって、普通はそんな事が出来るわけないよ!」
「いや、出来るだろう。プレシアやリンディだって、魔導炉からの魔力供給で大魔法を使ったりしていたんだ。規模が小さくなっただけだぞ?」
「だから、魔力を受け入れられないはずなんだってば!」
「自分の魔力で器を満たす力が無いだけだ。魔力を生み出す力と魔力を扱う力を一緒に考えるな。
程度はともかく、器自体は存在するし魔力も全く扱えないわけじゃない。自前の魔力が無いも同然だから最初は苦労する上に、どの程度まで大丈夫かの見極めも必要かつ重要だが、こんな事が可能な人もいるというだけだ。
魔導師とそれ以外が、全く別の生物だとでも思っているのか?」
「え? でも、リンカーコアが……え? え?」
エイミィ・リミエッタは、いい感じに混乱してる。
その間に、月村忍と高町なのはが高町恭也を取り押さえた。
「さて、キリキリ話してもらうわよ?」
「どういう事なの、お兄ちゃん?」
「ああ、それはな……」
と言うわけで、高町恭也は以前からお姉様の研究に付き合っていた事を自白。
説明が終わる頃、それを聞いてた一般人と転生者達は、一斉にお姉様の方を向いた。
何かを期待する目が半分、もっと説明をしろと言う目が半分。
「もう少し説明すると、気と称しているのは、要するにリンカーコアを介さずに魔力や魔力素を扱う技術の総称だと思ってくれ。
魔法関連として見ると、集束系やカートリッジ等の魔力供給系との相性がいい。基礎技術や特性を考えると、ミッド式よりベルカ式、それも古代ベルカ式に向いているな。
フィジカル面で見ると、体調は良くなる傾向がある。力の流れが良くなるせいだろうが、この辺は漫画やらの設定に似ているようだ」
「漫画の気に似ているという事は、美肌とか、老化防止にも効果がある、という事かしら?」
真鶴亜美の目が、光ってる。
この場の、老化する人の中では最年長。お肌が気になるお年頃?
「劇的ではないだろうが、多少は効果があるかもしれん。従者達からは体調が良くなる気がするという報告も受けているが……トレーニングで体を動かすから、その効果でないと言えないんだ。
老化防止は、実証出来るだけのデータが無いしな。見た目が若い士郎を考えると、効果がある様な気もするが……この技術を使っていないはずの桃子の姿を考えると、あの家族はサンプルとしてして微妙じゃないか?」
「いや、父さんは良く、母さんにマッサージをしているはずだ。
その時に気の流れを整えるという話も聞いたことがあるから、或いは……」
高町恭也が、ある意味余計な事を。
主に女性の目が、明らかに輝いてる。
「解った解った、お前達にも教える方向で調整してやるから、そんなに慌てるな。
というか、この訓練は高町家主導だからな。あと、アースラ組の2人は、クロノに訓練メニューの追加許可を取ってこい。
基本的に高町の道場で体術の訓練だ。まだ許可は取りやすいだろう?」
「……また、あっちの許可か……」
「訓練内容を決めている人物に相談するのは当然だ。
その内容もお前達の事をきちんと考えた、理にかなった内容だしな。無闇に手を加えていいものではないぞ。
あと、説明するときは、漫画やらの気と混同するのはやめてくれよ。あくまでもリンカーコアを介さずに魔力や魔力素を扱う技術、その鍛練法としての体術だからな?」
「ああ……」
相変わらず黄昏てる馬場鹿乃と上羽天牙。
でも、別荘に来ることを拒まれてない以上は排除対象じゃないって事だし、執務官直々に訓練メニューを監修してくれるなんてとても恵まれてるけど、気付いてないのかなー?
シルフィ・カルマンは、オリキャラであります。
技術者でないカリムがデバイスの製作者に会うのに、技術者を連れて行かないわけがないです。
ですが、聖王教会側や、近古を問わずでベルカ式を主に扱う技術者が出ないんですよね。Vividだとアインハルトのベルカ式デバイスを八神家で作ってますし。マリーから受け取ったクリスはミッド式の部分を担当していたからと予想、それを別にしても、マリーが管理局の辞令で来ている以上、聖王教会として呼ぶわけにいかないですし。
原作に登場する他の技術者というとシャーリーぐらいですが、管理局側でミッド式主体の可能性が高いですし、そもそもまだ7歳なので、こんな場に呼ばれる立場なわけがありません。
というわけで、仕方なく投入です。
あと、無印編まとめに、各キャラの魔力光の色を追加してみました。正月明け頃に。
原作の人物については、一応原作での設定に合わせたつもりですが……nanohaWikiと映画のコメンタリーで若干違いがあるみたいなんですよね。
とりあえず、この話では無印編まとめに記載した色という事で。嬉しそうに設定しただけで、特に重要ではありませんし。
2014/01/11 対応する出来ん→対応する事は出来ん に修正