青の悪意と曙の意思   作:deckstick

92 / 162
A’s編23話 動き出す種

 その後に、初期調査や簡単な訓練をして。

 適性が高そうなのは、月村忍、月村すずか、八神はやて。予想通りの3人だった。

 ぼちぼちと言えそうなのは、長宗我部千晴、真鶴亜美、夜月ツバサ、馬場鹿乃、ザフィーラ、エイミィ・リミエッタ。

 才能が無さそうだったのは、アリサ・バニングス、上羽天牙、黒羽早苗。

 高町家の3人は高い素質がある事が解ってるし、これで、別荘に出入するメンバーで魔法が使えないのは、アリサ・バニングスだけという事になりそうだと判明。

 

「何で私には才能がないのよ!」

 

「何故と聞かれても、最高の一般人だからじゃないのか?」

 

「何なのよその評価!」

 

 とか吠えてたけど、ご愁傷様?

 そんなわけで、ある程度出来上がってた魔導師用の気の鍛錬法の検証、2段階目を開始。併せて非魔導師用の疑似魔導師化も検証を進める。

 サンプルが才能の塊な高町家だけだと、心許無い。でも、非高ランク魔導師の検証サンプルがDランク相当のエイミィ・リミエッタ以外特殊すぎるのはちょっと不満。

 一緒に体を動かすという意味でアリサ・バニングスも鍛錬には参加する事にはなったけど、お姉様も高町家の師匠達も、無理をさせる気は無い。

 八神はやても、リンカーコアに依存しない技術だから訓練に参加。きっと成瀬カイゼやセツナ・チェブルーも参加するし、近いうちに守護騎士の残る3人の適性も確かめる予定。テスタロッサな人達やハラオウン親子も参加を希望しそうだから、魔導師組はもっと人数が増えるはず。

 お姉様や主は適性も高めで訓練も積極的にしてるけど、私達や従者達はかなりばらつきがある。原因も含めて調査中。チャチャゼロとチャチャマルは微妙な才能だから、ガッツリとは訓練してない。

 

 こんな感じで、10日と少々。

 修行と情報収集とアースラの航行は順調。蒐集はゆっくりだけど大きな問題は無く、裏側的な手出しも何やら企んでる様子はあるけど現実的な動きは無い。

 つまり、とても平和な感じでアースラが地球近くに到着。

 家主と当事者達の事前協議の結果、成瀬カイゼとセツナ・チェブルーは八神家入りする事になってるから、到着した金曜の内に好みの家財を手配、土曜日に家財と荷物の搬入、要するに引っ越しを済ませた。

 戸籍の方も、成瀬カイゼとセツナ・チェブルーの2人とも犯罪組織から救出されたという形で、既に手配が終わってた。変に理由を分けるよりも、この方が簡単だったらしい。

 八神家としては身寄りのない者を引き取り、衣食住を提供する簡単な手続き。犯罪者として教育云々辺りの問題は、お姉様の会社役員という立場(さくっと就任済み)や、障害者(八神はやてと主)との触れ合いでとか言って回避した。

 2人が遠慮した結果、2段ベッドを使っての相部屋になったため、残りの1部屋が物置状態に。リビングに椅子も増えてちょっと手狭になったけど、八神はやては家族が増えてご満悦。

 この決定を聞いた高町美由希が残念そうな顔をしてたのは、見なかった事にする。

 

「僕達も今後慣れるつもりはあるけど、家事の面では迷惑をかけると思う。

 だけど、事情も知っているし、協力する事になっているからね。これから仲間としてよろしく」

 

「よろしくお願いします」

 

「こちらこそ。私達も家事では、その……主はやてやチャチャに世話になってばかりだ。

 共に精進しよう」

 

「何か硬いなぁ。そんなに畏まらんでもええよ。

 それに、私は体を使う作業はろくに出来んし。適材適所、家の事も出来る事をしてくれればええよ」

 

 2人が金曜の昼、買い物前に八神家に寄った時の様子はこんな感じ。

 八神シグナムは堅いし。八神はやてがとりなしてるけど、実は一番家事をしてないのはお姉様、次に主。

 研究やら色々やってて忙しいお姉様。体を使う作業が八神はやてと同じく駄目な上に、料理もさほど上手ではない主。それに、お姉様や主が自主的にやるのは止めないけど、そうでないなら私達が動く。

 料理はザフィーラが一番上達してるけど、常に八神はやての傍にいて、ちょくちょく手伝いもしてるからという事にしておく。決して、守護騎士の女性を貶す意図は無い。

 

 ちなみに、成瀬カイゼは主が通う海鳴北丘小学校の5年生、セツナ・チェブルーは海鳴中丘中学校2年生に編入する事になった。

 同様に、フェイト・テスタロッサは私立聖祥大学付属小学校の3年生、高町なのは達と同じクラスになるらしい。私立なのに編入試験をしてない件も考えると、裏側の手の匂いがぷんぷんする。

 肉体年齢5歳のアリシア・テスタロッサは、近くの幼稚園へ。小学校で必要な知識を詰め込んで今から転入したり、家に閉じ込めたりするのではなく、必要な知識を自然に得ながら子供らしく過ごしてほしい……と言いつつ、プレシア・テスタロッサは知り合いがいない場所へ行かせる事が不安で仕方がないらしい。親馬鹿保護者オツ。

 

 こんな感じでバタバタする中、手を離せない人や面識のない人を除く再会組の多くの人が、土曜の午後に短い時間だったけど翠屋に大集合。

 自力で歩くアリシア・テスタロッサが褒めちぎられながらもみくちゃにされてたり、フェイト・テスタロッサと高町なのはが手を握り合いながら再会を喜んでたり、フェイト・テスタロッサと八神シグナムが早速模擬戦の約束をしてたり、フェレットの姿のユーノ・スクライアが高町美由希を筆頭とする女性陣に振り回されたり、セツナ・チェブルーが前世は男性だと話して一部の空気が微妙になったりしたけど、とりあえず大騒ぎして終了。

 

 というわけで、改めて八神家全員が揃って挨拶した土曜の夜。

 テーブルを囲む9人と1匹は、カレーライスを食べながら打ち合わせ。

 元日本人として懐かしく、料理下手でもそれなりに食べられるものが作れて、箸を使わないから、人気のメニュー。

 好きな理由がおかしいのは、気にしちゃ駄目らしい。味も人気だし。

 

「これから学校で会った時は、何と呼べばいい?

 成瀬君? カイゼ君? カイゼ?」

 

「居候だし、あまり親密そうにすると、余計な誤解を招くね。

 成瀬君が無難じゃないかな。この流れだと八神さんになるけど、いいかな?」

 

「それでいい」

 

 というわけで、主と成瀬カイゼの、学校での呼び名が決定。

 学年が違うとはいえ、会う可能性はある。

 

「了解。あと、学校までの往復は手伝うよ。

 何やらよからぬ動きをしてる人もいるようだし、護衛を兼ねてね」

 

「ああ、それは私からも頼む。

 私やチャチャも動く準備はしているし、天気が悪い時はそれを言い訳に付き添っているが、常に傍に居るわけにもいかないからな」

 

「私も同じ方向だと良かったんですけど。

 あっち方向の中学は遠かったですし……」

 

 セツナ・チェブルーの通学路は、家を出た直後に向く方向が違う。

 まさに真逆。海鳴北丘小学校より海鳴中丘中学校の方が近いし、他の選択肢は取り辛かった。

 

「はやてちゃんも、一緒に通えたらいいんですけど……」

 

「闇の書が闇の書である間は保護の為にも避けたい、か。

 先日の件もあるから理解は出来るが……心苦しいな」

 

「けどよ、今年中に何とかすんだろ。

 今は、何とかする為に全力で頑張る。それでいいんだよな?」

 

 八神シャマル、八神シグナム、八神ヴィータの守護騎士3人は、八神はやての通学に前向き。

 日本の社会を知れば知るほど、特殊な状況だという事が理解出来るようになってきた。

 

「それでいい。だが、そうなったらヴィータも小学生だ。

 言い訳に使っていたはやての状態が変わる以上、拒否権はあんまり無い」

 

「今更学校なんて行けるかよ!

 てか、あんまりってどういう事だ、抜け道があんのか!?」

 

「まあまあ。皆で小学生ってのも、ええと思うよ。

 本当の姿でエヴァさんも一緒に行くか?」

 

「私の設定は22歳だ。今から小学生になるのは無理だぞ?

 保護者としての立場もあるし、収入的な意味では私が大黒柱だ」

 

「そっかー。残念や。

 でも、お金だけじゃなくて精神面とかで中心やから、間違いなくエヴァさんが大黒柱や。

 何か頼ってばっかりやけど、これからもよろしくな?」

 

 

 ◇◆◇  ◇◆◇

 

 

 そして翌日、アースラの現地拠点での受け入れも完了したという事で、早速面会という流れになり。

 成瀬カイゼとセツナ・チェブルーに連れられて、お姉様がアースラの現地拠点、別名ハラオウン家にやってきた。地理はお姉様の方が詳しいけど、2人が紹介するという建前だからこんな表現に。

 

「2人を通じて色々聞いているから初めてと言う気がしないが、初めまして。

 私が、2人のデバイスを作った八神エヴァンジュだ」

 

「初めまして。カリム・グラシアです」

 

 玄関でのこんな挨拶から始まった面会は、場所を居間に移して。

 護衛のシャッハ・ヌエラもいるし、技術者としてマリエル・アテンザとシルフィ・カルマンもいる。リンディ・ハラオウンも立ち会ってるし、ちゃっかりとプレシア・テスタロッサも混じってる。

 ちなみに、シルフィ・カルマンの外見は……ぶっちゃけるなら、カニじゃない鷲羽ちゃん? ロングの赤毛で、目付きが怪しいちんちくりん。身長も体格も、本来のお姉様より気持ち大きい程度で大差ない。

 テスタロッサ家の子供達は高町家に行ってるし、クロノ・ハラオウンとエイミィ・リミエッタはアースラでお仕事中のため不参加。

 それぞれの自己紹介が終わると、早速具体的な話が始まった。

 

「まずは、古代ベルカについて、色々と詳しいと聞いています。

 どの程度か伺っても?」

 

「構わんぞ。正直に言えば、歴史はあまり詳しくないがな。

 そうだな、お前の事は、どの程度話していい? それによって、見せ方が少々変わるぞ」

 

「そうですね……お2人やあの情報を考えると、ご存知でしたね。

 では、こちらの詩はどの様な意味でしょう?」

 

 そう言いながら、一枚の紙に書き写された4行の詩を差し出すカリム・グラシア。

 その内容をちらっと見たお姉様に訳を伝えると、アレか、と納得した表情。

 

「内容も別に隠す必要は無いという事でいいのか?」

 

「ええ。先日の事件で、警戒するきっかけになった予言の能力とその内容、という形で発表されていますから。

 今更隠す必要はありません」

 

「なるほど、それなら遠慮なくいくぞ。

 これは、既に事後と判断した予言という事でいいんだな。答え合わせの参考までに聞きたいが、解読は出来ているんだな?」

 

「もう読めたのですか?

 正直に言えば、前半の解読と現実との対応は出来ています。ですが、後半について大よその訳は出来たのですが、どの様な意味か判断に困っている、といった所ですね」

 

「ふむ。後半についての予想は出来るんだが、少々時期がおかしいな。

 とりあえず、訳すとこうなる。

“姿を変えし毒が鋼の心を溶かす時

 聖なる座より堕ちたる者が 聖王の面影へと手を伸ばす

 限りなき人の望みにより 祀られた絆はその姿を変え

 奪われた傷跡より若き芽が育ち 望まぬ王の礎となる”

 ……前半が先日の事件という事だろうが、後半は、予想と別の情報が正しければ、5年から10年後のはずだ。お前の能力は、そんな先まで読めるのか……?」

 

 後半に該当する件で一番可能性が高いのは、変態博士に作られるヴィヴィオ。

 でも、10年後に5歳。聖骸布の血痕からクローンが作られるのは、早くて5年後のはず?

 

「5年以上先……いえ、可能性が無いとは言えませんが、今までにそんな先の事象を扱った物はありませんでした。

 ですが、予言に類するものを持っている事を話して良いのですか?」

 

「管理局への報告書には既に記述があるし、現実との齟齬がある未来情報など、あてにならん事甚だしい。その上で、より小回りが利く能力の保持者が目の前にいるんだから、別に構わんだろう。

 私が知る範囲で、起こる可能性がある事を言ってもいいんだが……」

 

 どうする? と言いたげな目でリンディ・ハラオウンを見たお姉様。

 でも、難しい顔で考え込んでるから、即断は出来そうにない。

 

(エヴァちゃん、幻の書としての私を持ってくるよう伝えてくれませんか?

 お見せしたい事があるのですよ)

 

(何をする気だ変態(ロリコン)

 

(話をする場合、聖王のゆりかごの話も出るでしょう? 寝顔を見るためだけに、危険を承知でオリヴィエちゃんの側に居たわけではありませんよ。

 それに、ベルカの事を知っていて当然の出自という事になっていますし、原作も知る身です。絵として映像を見せたりすることも出来ますからね)

 

 何か怪しい。

 でも、お姉様が眠りについてからのベルカの情報の多くは変態(ロリコン)が出元。

 ベルカ製の魔導具という事になってるし、責任をかぶせるには適任かも。

 

(……まあ、言いたい事は解る。とりあえず、ベルカの文化面の情報は任せるからな)

 

(どうぞどうぞ)

 

「カリム、幻の書を持っているな?

 過去の情報をいろいろ持っているはずだ。持ってきてくれないか?」

 

「あの本を、ですか?

 そうですね……確かにベルカ製だそうですし、聖王陛下や聖骸布に関する情報を持っていても不思議ではありませんね」

 

 というわけで、本を持ってきたカリム・グラシア。

 丁寧に布で包まれている辺り、盗撮防止は一応考慮したのかもしれない。

 

「意識がある本という事ですし、話しかけると内容が変わる事があるのは確かなのですが、他の方がいる時は反応があまり……えっ?」

 

 布を解いた直後、幻の書がふわりと浮き上がり、テーブルの外へ。

 そして、人の姿になる変態(ロリコン)

 

「貴様、何をしている!?」

 

 すかさず、お姉様の足払い、追加で踏み付け。

 既に黒龍を起動してる上に、威圧感が半端ない。

 

「いえ、せっかくですからご挨拶をしたたたたたたたた!?」

 

「今まで物として振る舞っていたのに、今更人になるな!

 デリカシーの欠片も無いのかこの変態(ロリコン)!!」

 

 ストンピング、追加でストンピング、おまけでストンピング。

 ごり、めき、ぴし、とか聞こえるけど、自業自得。

 

「あの、これは一体……」

 

 カリム・グラシアがちょっと引いてる。シャッハ・ヌエラがデバイスを出して警戒してるのは流石だけど、マリエル・アテンザとシルフィ・カルマンは唖然としてる。

 他のお姉様関係者は、揃って頭を押さえてるし。

 

「コレがこの本のもう1つの姿なんだ。

 少女や幼女の枕元ばかり渡り歩きおって、何が紳士だ!」

 

 ずん、と震脚のような踏み付けの音と、ぐぇ、とカエルが潰れるような声。

 

「こ、これは効きます。だけど何かが出ちゃう……男の子だもん」

 

「ま・だ・足・り・な・い・か!!」

 

「ぉぉ……変に増してます我らのチチよぉぉぉぉ!?

 ギ、ギブ! ギブ! 冗談抜きで、何かが出ちゃいます!!」

 

「敵を増やすような事ばかりしおって、このまま魂が抜けるがいい!」

 

「良いのですか、ホイホイ踏んづけて。私は……あー、これ以上は色々と洒落にならなそうですから、止めておきますよ」

 

 お姉様の足下にいたはずの変態(ロリコン)がお姉様の後ろに現れ、足の下には枕が現れた。

 相変わらずの高度な幻術。いつ入れ替わったのやら。

 

「チッ……このままくたばれば良かったものを」

 

「氷点下の視線も素敵ですが、大事なお話があるのですよ。

 先ほどの件について、色々と詳しい方を紹介したいのです」

 

「詳しい人、だと……?」

 

 宵天は眷属や従者に関する能力を持ってないから、過去の人物を呼べるとは考えにくい。主がいれば不老不死の保護を与えられるけど、主はほいほい替えられないはずなのにカリム・グラシアからユーノ・スクライアに乗り換えてるみたいだから、確実に何らかの細工をしてる。そんな状態で保護を維持出来るとは考えにくい。

 現代の人物だと聖王教会の関係者が考えられるけど、変態(ロリコン)より詳しい人物がいるとも思えない。

 事件の話で変態博士の関係者を呼ぶのは無理があるし、他に詳しい人に心当たりは無い。

 どうする、とお姉様が視線で聞こうとしたけど、部屋の中にいた女性、つまりほぼ全員がちょっと物理的に引いてる。

 成瀬カイゼとシャッハ・ヌエラだけが、デバイスを手にちょっと前に出てる。

 

「ええと……その方は、その、大丈夫なのですか?」

 

 引きつつも、何とか確認するカリム・グラシア。

 ちょっと震えてるけど、何とか耐えてる。

 

「私が何を言っても信憑性は無いと思いますし、実際に話して判断されてはどうでしょう?

 そうすれば、何故私が紹介したかったのか理解出来ると思いますよ。

 危害を加えるような人物でない事は保証しましょう」

 

「……リンディ、どうする?」

 

「そうね、ここで拒否するのは簡単だけれど……会ってみましょう。

 最悪の場合は、幻の書がこの世から消える事になるでしょうけれど」

 

「だそうだ。

 だが、次に妙な事をしたら……覚悟しろよ?」

 

「転送だけはしますが、他は何もしませんよ。

 では、いきます」

 

 変態(ロリコン)はお姉様に背を向けると、三角形の魔法陣を展開。

 そこに現れたのは。

 

「初めまして、皆さん。ヴィヴィオ・ルアソーブと申します」

 

 20歳くらい? の、優しげな美女。

 義手じゃなくてショートカットだけど、雰囲気的に見ても、ベースは変態(ロリコン)の情報や覇王クラウスの記憶の方の聖王オリヴィエと思える。

 とりあえずVividヴィヴィオ大人モードと比べると、明るさ成分をそのままに、優しさ成分を強めた感じ? StrikerSのヴィヴィオ聖王モードとは比べちゃいけない気がする。

 

「何をやってる変態(ロリコン)

 貴様が全ての元凶か!? 何故オリヴィエのクローンがここにいる!!」

 

「無限の欲望ことスカリエッティに好きにされるのは嫌でしょう?

 都合よくスカリエッティの研究施設が封鎖されましたから、ちょっと使わせてもらったのですよ」

 

「アホかーー! そもそも、どうしてお前がそんな技術を持っている!?」

 

「私が遺伝子関連の技術を持っているのは、食材の情報を見れば明らかじゃないですか。

 そもそも、製作者はあの人ですよ?」

 

「……アレがフラグだったのか……」

 

 今度は、お姉様が綺麗なorzの状態になってる。

 確かに今の別荘の生態の殆どは、変態(ロリコン)が送ってきた遺伝子情報から育てた動植物で構成されてるけど。それには主様のクローン技術が活躍したけど。

 

「……なら、こんな事をした理由は何だ?

 まさか、嫌がらせではないだろうな。権力抗争を避けるためにこっちに来たカリムに、対聖王教会で強過ぎる手札を見せたのは何故だ」

 

「それは、私が説明します。

 ゆりかごに呑み込まれる前の約束だったのです。私がゆりかごの王となっても戦を終わらせられなかった場合、もしくは、戦が終わり力を持つ必要がなくなった時に、長い眠りにつかせると。そして、比較的平和な時代に目覚めさせる、と」

 

「……変態(ロリコン)。まさか、本人の……なのか?」

 

「ええ。オリヴィエちゃんがゆりかごの王となった事で、私も自由に動けるようになりましたからね。人としては死亡したという事なのでしょう。

 その後、群雄割拠の時代の終わりは見えました。過剰な戦力の保持が有害になっただろうと判断した時点で、約束通りに可能な限り心や記憶を確保し、守ってきたのですよ。

 私がオリヴィエちゃんの傍にいた事は、エヴァちゃんは知っているでしょう?」

 

 オリヴィエ・ゼーゲブレヒト本人の記憶……この言い方なら、魂を移植してる?

 寝顔の映像は、確かにあった。その気になれば、いつでも蒐集可能ではあっただろうけど。

 

「今代の父様には感謝しています。

 今の世界の事やベルカの辿った歴史を教えてもらいましたし、少しこの目でも確かめました。

 確かに、平和な世界、平和な時代だと思います」

 

「……いったい、どうすればいいんだ。こんな爆弾を抱える予定はしていないぞ……」

 

 お姉様が頭を抱えてる。

 聖王教会に対する最強の切札だけど、明らかに最悪でもあるジョーカー。

 副作用が怖すぎて使えないけど、既にカリム・グラシア他数人にばれてる。

 報告の義務を考えると、無かった事にするのは……取引が必要?

 ……ほんと、どうしよう。




ようやく登場、ヴィヴィオという名のオリヴィエ陛下。
これって魔改造に入るんでしょうか? Vividのヴィヴィオもオリヴィエの記憶をちょっと思い出したりしてるみたいですし、大きくは間違ってないみたいですが。
この話としては、リーナ(クローン技術の存在)、クーネ(魂と遺伝子関連の能力や技術の保持、オリヴィエの魂を確保出来る状況の示唆)、アリシア(魂と肉体があれば蘇生可能)と、色々と情報(ふくせん)出し(はっ)ていました。計画(プロット)通りです。

オリヴィエの過去については、なるべくサウンドステージエクスやVividと矛盾しないようにしたつもりですが、元の情報が不足(エクスは聞いた事が無いのでnanohaWiki頼り、とかです)しているので、うまく行っているかどうか……
まあ、今後のVivid等との整合性で問題が出ても、この二次創作の独自設定だよという事でひとつ。ブッチャケサホドジュウヨウジャナイシ。

クーネの行動理由は、次話でもう少し説明します。


2014/01/18 エイミィ・リミエッタの独自設定、魔導師ランクがD相当だという点を追記
2017/04/25 魔方陣→魔法陣 に修正
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。