無限書庫の調査を始めて、1週間。具体的には、アルカンシェルを搭載したアースラが試験航行を行ってる頃。
管理システムの改造はまだ終わりが見えないけど、ブースト済みのユーノ・スクライアは流石に優秀だった。私達や
「どう見ても、機密と言うか、知ってると闇に葬られそうな情報もチラホラと……」
新たに任命された書庫のチャチャ(
その内容は、約160年前の改変に関する記録。
中心となったのは、現在の最高評議会の3人と、当時の闇の書の主。聖王教会も関わってる。
当時の闇の書は既に蒐集しなければ主の命を蝕み、蒐集して完成すると主が力を使いこなせずに暴走する状態になっていたらしい。夜天の管制機能は制限され、この事を主に伝える事も叶わない状態だという事も判明してた。
防衛プログラムが機能している状態での自滅は困難だったため、防衛プログラムを管制人格の制御下から外して浸食及び破壊を行わせる事で、内部から自滅させる事を目標として改変を開始。
作業担当は、ベルカが滅んだ事で数少なくなっていた古代ベルカ系の技術者達。これ以上滅ぶ世界を増やさないために全面協力、最終的に、主の命という時間が残り僅かになった時点で可能な限りの改変を行い決行。
結果、完全な破壊に至らず。周囲を巻き込んで大規模な浸食及び破壊を行い、無限転生で姿を消したと思われる。この破壊により協力していた技術者の多くが命を落とし、古代ベルカの技術が更に失われる事に繋がった。
……という事を、説明してみた。
「へー、つまりあれだ。
闇の書の改悪とベルカ文化消滅のとどめを刺したって事に……って、大問題じゃない!?」
手伝いに来てるリーゼロッテもびっくり。
やったのが今の最高評議会って辺りが、特に素敵過ぎて泣けてくる。
表向きは、闇の書の対策を依頼されたミッドチルダ政府が聖王教会に助力を求め、協力して事に当たるも力及ばず、大きな被害を防ぐ事が出来なかった、となってるらしい。
闇の書が危険だという事は既に知られてたし、経緯も結果も嘘は言ってないけど、対処した結果として被害が増えた事や、具体的な被害の内容には触れてない。
「流石に、これはちょっと公開出来ないね……歴史的に見たら、かなり重大な事件だけど」
ユーノ・スクライアも苦笑するしかない。
公開した場合、時空管理局と聖王教会がグダグダになる可能性もあるし。
「必要があれば公開すれば良いのですよ。無理に公開する必要も、必要以上に隠蔽する必要もありません。
私の予想では、夜天の治療が終了した後が危ないですし。公開するならその頃でしょうか」
別の資料も漁ってる
妖精さんサーチャーズと呼んでる自立行動型式神的なものを多数駆使して、ものすごい速度で調査を進めてる。
どう見ても、お姉様と私達が組み上げた、魂を使ったコンピュータシステムをベースに組み上げられてるけど。外見が
「事後に備えて、って事?
というか、今集めるべき資料は充分なの?」
リーゼロッテは、幾つかの資料の運搬役。
ユーノ・スクライアの助手的な役目で動いてるけど、ここに居る中では一番活躍してない。
「夜天の魔導書が闇の書に変わっていく過程を、大筋で説明出来るだけの情報は揃ってる。ギル・グレアムの面目も立つし、夜天の魔導書に戻すための筋書きも書ける。
いざとなれば裏側に関する資料を使って圧力もかけられるから、問題ない」
「こわっ!
やっぱ、この子も怖いわ……」
でも、私達が開発者権限で見付けた禁書庫の方は、もっと凄い事になってるし。
非公開情報も集められるだけ集めて、隔離するような仕様になってる事を確認済み。犯罪者の捜索がすごく楽になりそうな資料が、笑うしかないほど見付かった。
最低でも管理権限が無いと表側しか見えないから、無限書庫の危険性も見えなかっただけと予想。これについては、ユーノ・スクライアやリーゼ姉妹にも教えない。
「無限書庫の自動収集機能を甘く見て、身に余るものを好きにしようとした結果。
ちなみに、無限書庫もスクライアが遺跡で発見したロストロギア。封印を依頼された最高評議会になる人達が、封印せずに自分の物として使ってるのが原因だから、自業自得」
「え? 無限書庫を見付けたのは僕の一族って事?」
ユーノ・スクライアが唖然としてるけど、ついでとばかりに調べた無限書庫の情報を見る限り、それ以外に説明出来ない。
「当時のスクライアは欠陥品の魔導炉だという鑑定結果と、封印したという証明書を受け取ってるから、罪は無い。
鑑定結果を偽り、証明に反して自分が使うために稼働させたのが、今の最高評議会の書記。当時はミッドチルダ政府の高官だった」
「うっひゃあ……何でもアリって感じだね」
「この辺の、時空管理局や最高評議会の黒歴史については、当分の間は誰にも言わない事。
特に、お姉様の耳に入れない事をお勧めする」
「え? 秘密にしていいの?
全部報告するものと思ってたけど」
リーゼロッテの目が丸くなってる。
確かに反逆とも取れる行為だけど、ちゃんと理由はある。
「お姉様は現時点でも、時空管理局や最高評議会に対していい感情を持ってない。犯罪者や違法研究者と繋がってる事も知ってるけど、その証拠や具体的内容を知ってしまったかどうかは心情的な影響が大きい。
夜天の治療が成功したならともかく、失敗したら致命的。原因の一端を担ってる時空管理局が、お姉様の八つ当たりの対象になりかねない。
お姉様の平穏と幸せを願う以上、全面戦争を回避する方向に誘導するしかない。治療が成功するか、失敗しても知られるまでに時空管理局が体質を改善していれば、致命的な決裂は避けられるはず」
別に時空管理局自体はどうなってもいいけど、いきなり治安組織が無くなるのは結果的に困る。
無限書庫の調査からお姉様を遠ざけた
成功が確信出来ないから、少なくとも夜天の魔導書を何とかするまでは、何としてでも隠し切る必要がありそう。
「念を押しておきますが、夜天……闇の書の妹というのは伊達ではありませんよ。
チャチャちゃんが手を貸さなくても、姉の夜天と私の2人がかりでも抑え切れるか判らない……いえ、抑え切れないと言い切れる程の性能を、エヴァちゃんは与えられています。
それに、全面的に争うのであれば、私もエヴァちゃんに付きます。夜天は……闇の書のまま手元にあるなら、本局内で暴走させる事になるでしょう。
まあ、これは最悪のシナリオです。今は、治療の成功を信じ、管理局の自浄能力に期待しておきますよ」
「アタシ達が言えた事じゃないけど、時空管理局の体質か……改善は簡単じゃないし、父様だけじゃ無理だよ」
お姉様から情報提出の指示が来た時点でアウトだから、情報の存在に気付かれないようにするのは本当に大変なのに。
◇◆◇ ◇◆◇
そんな感じで、本局組がバタバタしてる中。
日本の八神家では、ピリピリした空気が漂ってる。
「予想はしていたが、な……」
というわけで、襲撃3回目。仏の顔もそろそろ限界。
しかも、今回は本格的に黒の騎士団を名乗る気でいる模様。なんというか、服装が黒い事に加えて、デバイスやらまで黒くて武器っぽいものを使ってる。
「今回はアタシ達も戦えるんだ。ぶちのめしてやる!」
お姉様が作った事になってるグラーフアイゼンを手に、八神ヴィータが吠えてる。
ちなみに、騎士甲冑は原作と変わらず……と言いたいけど、何か違う。
具体的には、スカートの模様。ギザギザのはずが、四角っぽいのになってる。
「だが、まだ素人扱いだ。魔法自体は控えねばならんな」
八神シグナムも、既にレヴァンティンを手にしてる。
こちらも、微妙に違和感。スカートの裾の方にラインなんて入ってなかったはず。
「防御系の魔法は、どこまで使っていいのでしょう……?」
八神シャマルもクラールヴィントを起動してる。
騎士甲冑に、あまり違和感は無い……けど、服の裾の縁取りとかが違う。
「あまり魔法を使えん以上は、我が身を盾に……」
「あかんよザフィーラ、そんな事はしたらあかん」
ペットの犬扱いのザフィーラは、今回もお休み。
情報が漏れる覚悟が必要な相手でもないし、今回は別途で戦力も用意する予定だし。
「そのためにも、一旦黒い方のデバイスは回収だ。
せっかく連中が黒の騎士団を名乗ってくれるらしいからな。それを口実に介入する」
「だが、どうやってだ?
我々は動けんが」
デバイスを渡されてないザフィーラが、首を傾げてる。
動けないから、もどかしく思ってる。間違いない。
「チャチャの存在を忘れているな。
あいつの外見は割と自由に出来るから、今回は3人が偽装した姿を取る。サブマスター認証もしてあるから、魔法の行使も問題無いしな」
「なあなあ、それって、普段シグナム達が動いてる意味ってあるん?」
「主であるお前の為に動く事を禁止されて納得出来る程度に怠け者なら、あまり無いな。
今は調査方面に力を割いているし、相応の実力者の手助けは有り難いが」
「そっか。その言い方やと、私は当分無理そうや」
「経験や技量が違うからな。
自分が不利な点で役に立つ必要は無い。まずは、きちんと体と夜天を直す事に集中してくれ」
「うん、そうやね。エヴァさんは家事とかせえへんし」
「……私に女性的な働きを期待するな」
そんな感じで、襲撃者待ち。
今回は、完全に八神家のみを対象にしてる模様。黒の騎士団は局員を狙った襲撃をしてないから、アースラの現地拠点は対象に出来なかったのかもしれない。
今回の人数は40人。でも、最高でもAランクくらいの雑魚ばかり。
管理局員は含んでないかも? 下っ端の犯罪者を集めた感じ。
「さて、黒幕はどういうつもりだ……?
黒の騎士団の名を落とすためとしても、あまりに杜撰なんだが。
それに、それで利を得られるのは……誰だ?」
「管理局の地上?
今まで手を出せなかった犯罪者を簡単に捕まえられて、名誉とか尊厳とかを傷つけられたとか」
主も、言いながら首を傾げてる。
自分でも納得出来ないらしい。
「手柄の多くを譲っているんだから、世間体としては評価が上がってるはずだがな。黒の騎士団は義賊として、管理局が使い辛い手を使って犯罪者対策に協力してるという扱いだぞ?
内部からの突き上げは知らんが」
「だけど犯罪者にとっては、黒の騎士団の名がどうなろうとあまり関係ないはず。
となると、嫉妬や怨恨?」
「それにしては人数が多いし、アースラの動きを知ってるかのように動いている割に、弱い連中だけだ。どうもアンバランスというか、不自然な点が多い。
とりあえず全員捕らえて、尋問でもしてみるか?」
エイミィ・リミエッタに連絡しちゃった。
武装局員が出撃準備をしてるし、予想ではあと5分ぐらいで到着する。
襲撃者は、あと1分ほど。
そろそろ迎撃準備を。
「それならそれでいいか。戦術を変える必要も無いだろうし、前回同様、最前線はカイゼとセツナだ。シグナムとヴィータははやての近くで迎撃、念のため前に出ないでくれ。
アコノは、はやての隣で封時結界を。壁役はチャチャマルに任せて、シャマルとザフィーラは2人から離れるなよ」
「心得た」
「可能な限り、何もしない事を優先ですね」
「そうだ。では、始めようか」
襲撃者が全員、捕縛結界の有効範囲内に到達。
というわけで、主が結界を張り、不意打ちを諦めたらしい襲撃者が前に出てきて。
「我等は、黒の騎士団! コソコソと蠢くお前達に天誅を下す!」
「……いったい、どこの小悪党だ」
口上に呆れてるお姉様を尻目に、前回同様に成瀬カイゼとセツナ・チェブルーが飛び出して。
数人しばき倒した辺りで、唯一口を開いた襲撃者が勢いよく打ち上げられた。
「我等の偽物か。真似をするのであれば、もう少し言動を考えるべきだな」
そこに現れてたのは
「なっ、ほ、本物!?」
「……ここまであっさりと偽物だと自白するか。敵ながら情けない」
「か、数はこっちが上だ! 一斉にかかれ!!」
襲撃者の声が上擦ってるけど、逃走はしないらしい。
というわけで、追い打ちの。
「とんふぁー・きーっく!」
やったのはもちろん、黒の騎士団モードの八神シャマル、の恰好をしたチャチャ。コードネームは、旋棍の騎士。
うん、トンファー関係無いよね、とか言っちゃいけない。
本物の八神シャマルの顔がちょっと引き攣ってるのも、気にしちゃいけない。
「とんふぁー・昇龍閃!」
そこの八神シャマル、サマーソルト言っちゃ駄目。
その間も、他の人達の戦闘は継続しているわけで。
「2人とも、殴っては非殺傷設定が効かんぞ!」
「解っけど、はいそーですかと言えるほど魔法に慣れてねーんだ!」
「家族を護る為に、戦う事は避けられそうにない。ならば、自身が使える力を使うまでだ」
お姉様に注意されてる八神ヴィータと八神シグナムは、魔法に慣れてない設定通り、物理中心でオハナシしてる。もちろん、この光景や会話も記録中。必要とあらば提出する。
こんな感じで、最後に残ったのはマッシュルームみたいな髪型の、比較的貧相な体格の男1人。
「我等と偽り、無用な騒乱を起こした理由を吐いてもらうぞ。
封印は任せるぞ、旋棍の」
「はい、任されます」
そんな感じで手際よく
襲撃者の両手両足の骨が折れた頃、武装局員が到着の模様。
ちなみに、八神はやては早い段階でシャマルとザフィーラに連れられて家の中に戻ってる上に、防音結界も完備。オハナシからは隔離してあるし、その間は証拠になるような記録もしてない。
「……時間切れか。旋棍の、頼む」
「はい、治療と封印ですね」
ちょっと口元が笑ってるマッシュルーム頭の前で、旋棍の騎士が治療魔法を使って。
服はともかく、肉体的な傷はあっさりと完治。ついでに、封印完了。
「……は?」
笑ってた口元が、凄い勢いで引き攣ってる。
拷問の物的証拠と、魔力の消滅。思ってた水準と違う、とか考えてそうな雰囲気。
「さて、後は時空管理局に任せるべきか。
その前に……お前がここの責任者か?」
黒剣の騎士が、お姉様を見てる。
内情を知ってると笑いしか出てこないけど、外見上は大真面目。
ここからは、改めて記録を再開。
「ああ。撃退の協力に感謝する」
「いや、我等を偽装していた以上は、何らかの事情に巻き込んでしまった可能性もある。
感謝される謂れは無い。むしろ、謝罪せねばならんやもしれん」
「それでも、こいつらが狙ったのは私達だ。助けられたという事実は変わらんさ。
だが、偽物と言っていたが、お前達は有名なのか?」
「姿はともかく、名と外見のイメージだけは伝わっているようだ。
素顔を知られていないという点を無視した姿だが、見て判りやすい黒いバリアジャケットやデバイスは意識している様だし、名乗った以上は偽物を気取っていたのだろう」
黒の騎士団は顔の上半分を隠す勢いで展開してるサングラスやらバイザーやらで、素顔を隠してるし。
いくら認識阻害をしていても、本物がすぐそこにいるから、これ以上は見せられない。
「そうか……似ている様には見えんがな。
とりあえず、この馬鹿共は管理局に引き渡せばいいのか? 情報を取りたいなら、何人か持って帰っても構わんと思うが」
「そうしたいのは山山だが、問題が大きいだろう。
残念だが、今回は見送りだ」
口元が笑ってる、黒剣の騎士。
お姉様も笑ってるけど、お姉様と私達でやってる茶番劇、記録用。
こんな事を言っていたと記録を残せば充分。
尋m……質問中の記録は残してないけど、そんな事もあるさ。
「済まない、遅くなった……君達は?」
というわけで、武装局員到着。
その目は、黒い2人に向いてる。
「我等の偽物が現れたと聞いて、確認ついでに捕縛しに来た。
ミッドチルダの陸の連中に黒の騎士団について聞けば、おおよその事は解るだろう」
「そ、そうか。協力を感謝する」
武装局員の隊長が、ちら、とお姉様を見てる。
本当に協力者と判断して良いのか、迷ってる模様。
「こいつらの無力化に協力してくれたのは間違いないぞ。
魔力も封印してある様だから、質量兵器やらを持っていない限りは安全……だな?」
「ああ。但し、封印は2週間程度で自然に解除される。
それ以上の期間を無力化したいなら、別途対策が必要になる」
「だそうだ。ミッドの方で知られている人物の真似をしていたようだし、今回も管理世界の人間が関わっているのだろうな。
調査は任せていいのか?」
「法的な部分については、全力で請け負おう」
隊長が胸を叩いてるところに、結界に新しい侵入者あらわる。
まあ、今の八神ヴィータにあまり似てない、大人モードを使った戦槌の騎士風のチャチャなんだけど。
「アタシ達のニセモンはどこだ!」
道路を少し陥没させながら着地すると同時に、吠えながら
意図的だけど、物凄く空振ってる。
「遅かったな、戦槌の。
見ての通り終わっている」
「……何だ、せっかく来たのに無駄足かよ。
アタシは馬鹿共の調査に戻る。じゃーな」
というわけで、顔見せと次元転送が終了。
武装局員のぽかーんとした顔は、ちょっとレアかも。
「では、我等も戻る。機会があれば、また会おう」
黒剣の騎士と旋棍の騎士も、次元転送で姿を消して。
残るは倒れてる襲撃者達。
「さてと、早めにこれを捕縛してくれ。
もたもたしていると、私達がやってしまうぞ?」
「あ、ああ、済まない。
これ以上手間をかけるわけにはいかない。速やかに終えよう」
◇◆◇ ◇◆◇
「やれやれ。もう、こんな事が無ければいいんだが」
襲撃者を武装局員に引き渡した後で。
とりあえず汗やらを流そうという事で、みんなでお風呂、いん・別荘。
八神チャチャマルと八神チャチャは留守番兼就寝の準備で来てないし、成瀬カイゼとザフィーラは男風呂だけど、何もしてない八神はやてやヴィヴィオもいる。
「時間差での攻撃は考慮しなくても良いのですか?
1度目の攻撃を凌いだ後の気の緩みを突くのは、使われやすい戦術ですよ」
まだ表に出れないヴィヴィオは、ちょっと困った顔をしてる。
あまりあってほしくないけど、ありがちな戦術。
だけど。
「転移反応は無いし、残存戦力も遠隔での監視も無いようだから、大丈夫だろう。
武装局員は警戒態勢を維持しているようだし、襲撃されてもチャチャマルとチャチャがいる。最悪の場合でも、あいつらの実力で撃退出来ないという事は有り得んな。
それより、地球の言語やらの習得は大丈夫か?」
「順調ですよ。そうですね……
普通の会話なら、日本語と英語とノルウェー語で出来ます。今も翻訳魔法は使っていませんよ」
確かに、会話に関しては魔法の補助は無くても大丈夫になってる。
専門用語が飛び交うなら別だけど、日常会話が問題ない水準なのは保証。
「……まだ20日くらいじゃないのか?
「
父様も術式を知っていましたし、チャチャさん達の支援もありますから。意識だけであればここまで思考加速が出来るというのは驚きです」
「……チャチャ、何倍でやっている?」
学習中は24倍で、エヴァンジェリンズ・リゾートと同じ比率。途中解除も可能だから、割とお手軽。
今回は言語の習得や文化の知識が目的だから、肉体への影響や物理的な現実性は無くていい。下手に時間をかけるよりも、迅速な習得が優先だから採用。
予め資料を作っておく必要はあるけど、私達も入れるから、時間加速型の別荘より有用。
「今回に関しては理想的ではあるか。ただ、使い過ぎると体と頭のリズムが狂うから程々にな。
その様子なら、そろそろ日本に呼んだ事にしても大丈夫そうだし、会社や法的な手続きを始めるか。立場は説明済みだと思うが、私の会社での補佐役で問題無いな?」
「はい、大丈夫です」
「お、遂に家族が増えるん?
まだ部屋はあるし、大丈夫や。というか、セツナさんはこれを見越して部屋を開けてたん?」
「え? いえ、こんなの予想出来ませんよ。
でも、私は本当に中学生でいいんでしょうか……あまり役に立てている気がしないですし」
「その体は、間違いなく中学生相当だろうに。
それに、襲撃された際の最前線で頑張ってくれているのは、力を隠している私達にはとても有り難いんだ。役に立っているんだから、あまり卑下するなよ」
「はあ……」
服装の間違い探し、はっじまったよー? まあ、守護騎士の恰好も映画(2nd)版準拠なわけですが。
ちなみにザフィーラは、手甲(ひじ部分)とかが違います。他にも微妙な点が色々と変わっているみたいですね。
本編中でそうだと判断していないのは、転生(2012年4月)時点ではイメージ画像や予告映像といった、限定された情報しか出ていないため。妹達も“一樹”が見聞きした情報以外は取り出せないので、公開されていないものや、公開されていても触れた事のない情報は知る手段が無いのです。
この手法で可能だった要因は「肉体は維持や疲労抑制のみとし、感覚等を完全に切り離す事で、通常の思考加速で必要となる同期処理の負荷を抑える」という仕様にあります。
要するに「ゆっくり聞こえるはずの声を理解し、自身の声を周囲が理解できる速度に落とす」等といった不自然な部分の補正が不要になるので、負担を小さくしやすいという事ですね。
倍速ダビング(録再双方を加速)の方が、時短再生(視聴者はそのままで再生を加速)よりも簡単なのですよ。
あと、他の人がこの魔法を作らなかったのは「使いどころが少ない」から。通信や会話で使う場合は時間加速をするため双方の時間を完全に拘束する、訓練で使うには肉体への反映が無く、実験で使うにも現実のシミュレーションが困難(今なら、なのはが授業中の訓練で使った魔法等を参考に、少しマシな環境を用意出来るでしょう)、体が無防備になるから敵が多い人は使いにくい。欠点が多いのですよ。
書庫のチャチャですが、無限書庫に関する件について
とはいえ、対外面担当ですが普段は隠れていて、状況管理担当の一員として作業を管理する側にいます。話をするにも、情報と権限(この場合は、責任のある発言が出来るかどうか)は重要ですので。
姿を見せるのは、関係者(ユーノ、クロノ、リーゼ、その他事情を知る者)しかいないときだけですよ。
2014/03/02 具体的内容に触れてるかどうかは心情的な→具体的内容を知ってしまったかどうかは心情的 に修正