デモンズソウル転生とか罰ゲームでは?   作:青ファントム

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初投稿なので初投稿です。


1週目の投擲物はダメージソースとしても優秀

男は柱の陰から火炎壺を投げていた。

既に手持ちの壺は心もとない数になっている。

か(・)つ(・)て(・)の(・)戦(・)い(・)とは違い、火炎壺のような嵩張るアイテムの所持には制約があり、投擲の腕前もずいぶんと頼りないものになった。

おかげでせっかく拾い集め、買い集めた火炎壺を何個かあらぬ方向へと投げてしまった。

とはいえ、何もかもが劣っているわけでもない。

柱の陰に隠れながら壺だけを投げるという器用な動作は、己(・)の(・)分(・)身(・)には出来なかった。

 

「────突撃ィィィィッ!!バンザァァァァイ!!!」

壺が尽きた男は柱の陰から躍り出ると同時に火線を放ち、既にその身を護る盾の多くを喪失したファランクスの魔物(デーモン)たちへと接近した。

残った魔物たちから放たれる槍を躱し、盾でいなし、それでも対処できぬ槍にその身を抉られながらも男は足を止めない。

「大"和"魂"を"見"せ"て"や"る"!!!!」

こ(・)の(・)世(・)界(・)では意味を持たぬ言葉を叫びながら、男は炎を纏った大斧を魔物へ叩き込んだ。

 

 

 

楔の神殿に帰還し、要人と言葉を交わした男は鉛のデモンズソウルを眺めながら思考していた。

男は奇跡や魔法とは似て非なる技術を習得している。

デモンズソウルより奇跡や魔法を見出すのではなく、身に宿したデモンズソウルから直接力を引き出す技──この先で戦うであろうとある魔物の在り方を真似たもの──一歩間違えれば、発想の源のように魔物に操られるだけの存在へと成り果てる技であったが、男にはできるという確信があった。

依り代と成りながらも自分の意志で戦い、思い通りに力を引き出すことは叶わなかったが、魔物の力を利用しながら敵を斃した存在を男は知っているからだ。

確信のもとに男は探究し、そして灰色のデモンズソウル──男の二(・)つ(・)目(・)の故郷に現れ、一度は斃した魔物のデモンズソウル──より、刃の無い大斧と魔物の怪力を自由に引き出す術を男は得た。

 

前例が一つしかないため断言は出来ないが、デモンズソウルより引き出せる力は男の想定とは異なる可能性が高い。

男が灰色のデモンズソウルから引き出せると考えていたのは刃の無い大斧──それと魔物の依り代となることで得られる高い耐久力──だけであり、大斧を自由自在に出し入れする能力や、大斧を振り回せるだけの怪力が得られることは想定外だった。

恐らく、デモンズソウルが手元にあることで、他の誰かがソウルから見出した力を使うよりも多様な力をソウルから引き出せるようになっているのだろう。

大斧だけでなく、それを振るう怪力も拡散の尖兵が持つ側面の一つだ。

 

鉛のデモンズソウルから男が見出した力は、槍と盾、そして兵であった。

とある思惑から、かつてのように死んで学びながら戦うということが出来ない男にとって、身を護る盾の力はありがたいものだった。

そして兵、かつてファランクスを構築していた魔物たちは、今や男を守護する力となった。

槍の力もかつてと異なり、複数召喚し、前方へ射出することが可能になっていた。距離はそれだけで長所となる。奇跡と魔法のあるこの世界でもその点は変わらない。

新たな力を得た男は、再び王城へ向かった。

 

 

 

人でなしの商人から買い集めた木のボルトと槍の一斉射出を用いて赤い飛竜を己の糧とした後、男は霧の前に立っていた。

男には獲得を優先したいデモンズソウルが幾つかあるが、霧の先に居るであろう巨大な魔物が所持するソウルもその一つだ。身を護る力は多く備えておくに越したことは無い。

また、弱点や攻略法がはっきりとしており、ファランクスの魔物ほどではないが、戦いやすい相手だと男は考えていた。

その驕りは──

 

──轟ッ

ソウルの光と共に迫る鉄壁に粉砕された。

 

「ぐあっ・・・」

直撃はすんでのところで避けられた。しかし、盾の突撃に伴う衝撃波と巻き上げられた石畳の散弾は防護の魔法越しでも十分な脅威となった。

「足は・・・動く──走れるっ」

鉛、灰色、小さな炎の鱗──計三つのデモンズソウルを取り込み、魔へと近づいていたことが功を奏した。魔へ堕ちて増強された耐久力をもってしてもなお生命は今にも消えんとしているが、肉体の動作には欠片の翳りもない。

三日月草を口にねじ込みながら、足止めに魔物の兵を召喚し、城壁への階段に男は駆け出した。

 

結果を見れば、男の行動は正解と言える。

塔の騎士は男を仕留めるよりも召喚された魔物の殲滅を優先し、男は無事に城壁へたどり着いた。

塔の騎士が想定以上の難敵であった以上、弓兵からの攻撃を凌ぎつつ騎士を討つような曲芸はまず不可能だ。一(・)度(・)目(・)の(・)挑(・)戦(・)と同じように弓兵を排除し、その後に騎士を討つという定石通りな攻略が今回は無難かもしれない。

 

塔の騎士には叶わぬがソウルを奪われ、正気を失った弓兵ならば魔へ堕ちた男の敵ではない。

盾と兵が男を守り、槍が、斧が、飛竜の炎が、敵に襲い掛かる。

男が左の城壁にいた弓兵を全て斃したところで──

 

──轟ッ

騎士の巨槍が城壁を粉砕した。

 

「──そうくるよな」

飛び散る瓦礫は盾で防ぎ、落下の衝撃は魔物の軟体を緩衝としてほぼ無傷の状態で地に降りた男は塔の騎士の頭部へソウルの矢を放った。

騎士は躱すが、男は魔物と盾を召喚しながら再びソウルの矢を放った。

またも躱した騎士に対して男は更にソウルの矢と魔物を放ち、右の城壁から放たれる弓兵からの矢は召喚した盾で防ぐ。塔の騎士はその巨体に見合わぬ俊敏な動きでソウルの矢を躱し、近づいた魔物を斃していくが、そ(・)れ(・)だ(・)け(・)だ(・)。魔物とソウルの矢を生み出している男を最優先で攻撃しようとはしない。

城壁にたどり着いた男はソウルの矢による攻撃を止めたが、魔物を全て斃した塔の騎士は完全に動きを止めていた。

 

「城壁へ逃げ切れた時点で、違和感はあったんだ」

初撃のような、巨大化しながらも騎士の俊敏さを損なわぬ動きで攻められ続ければ男は斃れていたはずだ。だが、騎士は召喚された魔物を優先して斃し、魔物が全滅してからも弓兵が残っている間は城壁に対して加減した攻撃さえ放たなかった。

 

「お前は騎士じゃない。騎士の幻想だ」

騎士の俊敏さはあっても騎士の判断はない。

騎士の強さはあっても騎士の加減はない。

巨大化した肉体が騎士に驚異的な破壊力を与えてはいるが、粗雑に自動化された動作は制約を生み、容易く誘導される致命的な欠点を生み出していた。

 

右の城壁にいた弓兵が壊滅すると同時に男はソウルの矢を放ち、塔の騎士を回避へ誘導しつつ魔物を緩衝に再び無傷で着地した。

弓兵が戦いの場から消えたことで盾は不要になり、その分だけ加速した魔物の召喚は塔の騎士の攻撃による魔物の消滅を上回り始めた。

 

男の攻撃と塔の騎士の回避、塔の騎士の攻撃と魔物の召喚により構築されていた膠着状態は、増加した魔物から一斉に放たれた投槍で破られることになる。騎士は槍の衝撃によって体勢を崩し──

──ズガァンッ

地に倒れた。

 

「じゃあな」

塔の騎士の兜に向けて、魔力を纏った槍が突き出された。

 

 

 

鉄のデモンズソウルを取り込みながら、男は塔の騎士との戦闘を回想していた。

あの戦いは幾つかの幸運が味方をした。それが無ければ男は容易く斃されていただろう。

一つ目は塔の騎士の優先順位だ。近くにいる魔物よりもそれを生み出す男を優先するような賢明な騎士であれば、戦いの結果は違っていただろう。

二つ目は男側のリソースが足りたことだ。デモンズソウルから引き出せる力は無尽蔵だが、時間あたりに引き出せる力には限りがある。また、ソウルの矢は男が放つ魔法である以上数には限度が存在する。ソウルの矢と魔物の召喚、どちらかが足りなければ城壁に着く前に仕留められていただろう。

三つ目は塔の騎士の判断の悪さだ。魔法であるソウルの矢は重厚な鎧に対して通りは良いが、一発で屠れるような強力な攻撃ではない。魔法であるというだけで過度に警戒し回避を優先せず、肉を切らせて骨を断つ戦略をとれば勝利していたのは塔の騎士だった。

 

デモンズソウルを取り込み、力を引き出すという業をもってしてもなお強敵であった。

この先で戦う敵も、自分の想定を上回る力を持っている可能性が否めない。

斃し、力を取り込む順番を見直す必要があるのかもしれない。

 

男は次の目的地を象牙の塔に決めた。優先して獲得したいデモンズソウルを持つ魔物はいないが、それらの魔物と対峙するにあたり遠距離攻撃の手段を揃えたいという考えによるものだ。

槍の射出と飛竜の炎により、特殊な物理的性質を持った敵でなければ魔法以外の弱点を遠距離から攻め立てることが可能だが、魔法が弱点の敵にはソウルの矢という数の限られた飛び道具しか所持していない。距離というものは時として身を護る魔法以上の安全を与えてくれるものだ。

鉄のデモンズソウルからより強力な防護の力を引き出せた以上、聖堂にいる魔物から魔法による攻撃の力が取り出せるはずだと男は考えた。

 

 

 

暗い牢獄に来た男は建物の中をくまなく探索していた。

魔物へ祈りを捧げる者は既に斃したが、念のため他にも祈りを捧げている存在が居たりしないかを確かめていた。

見つからなかった男は、いざという時は避難の奇跡で退けばよいと考え、霧の先に足を進めた。

 

聖堂に踏み込んだ男は、既に足元に設置されていた魔法陣に囚われた。

しかし対処方法は蛸頭の看守を想定したものが既に用意してある。自分が動けなくなるのなら、他に動ける存在を用意しておけばよい。

予め生み出しておいた魔物たちが、女王の似姿へ向けて一斉に槍を放った。

 

炎ほど有効ではないが、物理的な頑丈さを持たないため痛手を負った女王の似姿は転移によって追撃から逃れるとともに分身を生み出した。

 

魔法陣から解放された男は、周囲の魔物に盾を構えさせるとともに油断なく周囲を見回した。

ソウルの光なら魔物たちの盾さえ貫通して男の身を射貫くかもしれない。なら裏を返せば有効打を放ってきた方向に必ず本体が居る筈だ。

そう考え、ソウルの光が放たれた方向へ竜の火炎を向けた男に向かって──

 

4(・)本(・)の(・)光線が放たれた。




生まれ:持てる者
誰も持たぬ知恵を持って生まれた者
奇跡と魔法、そして特異なソウルの業を使う
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