デモンズソウル転生とか罰ゲームでは?   作:青ファントム

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本話には、Demon's Soulsでは実現しない派生武器が登場します。
多分、リメイクでも実現しない派生のはずです・・・


6つめの要石は砕かれた

メイスによる攻撃に対して、王は先ほどの猛攻からは考えられない程に稚拙な、デーモンの膂力任せの対応をとり、男に一方的に叩きのめされた。

男の基本的な戦闘方法は距離をとり遠距離攻撃を行う魔術師のものだが、神職としての基本的なメイス捌きは習得している。魔へ堕ち、人外の怪力を得たことで重厚なメイスの破壊力は更に増加し、デーモンが振るう力任せの剣撃を、力と技をもって一方的に打ち砕き続ける。

 

戦いの途中から、王の似姿は素早い三連撃を使わなくなった。

水のベールと防護の魔法に類する護りを併用し始めてから二連撃を使うようになり、最終的に単発の攻撃しか繰り出さなくなった。

驚異的な移動速度や吸魂も今は見せていない。

 

デーモンは底無しの存在ではない。

オーラントのデーモンは自由自在に戦い方を変えるが、新たな業を使うためには既に備えていた何かが犠牲になる。男のデモンズソウルの活性に適切に対処する機能を備えたデーモンは、デモンズソウルを用いない単純な殴打に対処する能力が大きく劣化していた。

そして、対処できることと無効化できることは別だ。王の似姿が防護の魔法を行使しながらも武器による攻撃は剣で防御したように、物理攻撃でもダメージ自体は通る。

 

王の似姿が、その在り方を変えるより先に、男の猛攻により体勢を崩す。

「喰らえッ!」

槍、剣、曲剣、刺剣、大剣、大槌、棘、様々な攻撃が一斉に射出される。

竜の炎、槍の雨を受け、魔法の護り越しに確かにダメージを蓄積していた王の似姿は──

──男の振るう異形の大斧で砕かれた。

 

”余のデーモンを屠るとはな。積み上げたデーモンの力、それを繰る人の強さを見縊っていたようだ・・・”

王なき玉座にオーラントの声だけが響いた。

”だが──いや、今はよい。獣が貴様を欲すれば、また見えることもあろう。”

 

 

 

偽王のデモンズソウルを取り込み、ボーレタリア王城を攻略した男は、己の二(・)番(・)目(・)の故郷の最後を思い返していた。

 

魔法学院で魔術師としての修練を積んだ男は、北の大地──かつて巨人たちが治めたとされる男の故郷──への帰路にあった。

男の知る未来において、北の大地は霧の中に拡散した。

 

要石を守れば、ソウルを奪われた亡者が徘徊はするが、故郷を残すことが出来るかもしれない。

霧の拡散が僅かに押し留められれば、生き残る人の数が増えるかもしれない。

そのために、まず守るべき要石の場所を知る必要がある。

要石の情報は秘匿されているらしく、北の大地で神職の修行を受けていた頃は名前すら聞かされなかった。

あらゆるものが拡散される霧の中でなお世界を繋ぎ止める要となる特異な存在なのだから、良からぬことを考える存在に狙われぬように情報が隠されていたのだろう。

 

しかし、男には場所を知るための手掛かりがあった。

要石の場所には、デーモンが生まれるに足る伝説の残る場所が比較的多い。

であれば、北の大地に残る巨人の伝説、それに纏わる土地の周辺に要石がある可能性が高い。

男の恩人である神職の老人は、子供達を寝かしつける為に様々な寓話を語って聞かせていた。どのような話をしていたかはすっかり忘れてしまったが、北の巨人の伝説についても知っている可能性は高い。であれば、要石を探すのに有効な情報が得られるだろう。

要石が故郷の近辺にあるなら、その力により拡散から護られるし、近くになくてもいざという時の避難先が見つかることになる。

 

そんなことを考えつつも、純粋に老人との再会を楽しみにしていた男は、魔法学院の方角──実際にはその先にある王都──から異様な速度で広がった霧に驚愕した。

 

「今日──なのか・・・」

今から急げば、故郷に報せを届けることが間に合うだろうか?

そんな考えを吟味する暇もなく状況は動いた。

デーモン、拡散の尖兵が霧の中から男の前に現れた。

 

その先の戦いは特筆すべき点もない。

ただの一度の攻撃にも耐えられない男は、魔術の師から送られたショートソード、その剣が持つ魔力を回復させる力を頼りに距離をとりながらひたすら魔法を発動してデーモンを撃破した。

 

デーモンを斃すのに時間をかけすぎたため、周囲は故郷の方角さえ分からない程に深い霧に包まれていた。それでも故郷の無事を確かめたいと思った男は、何か手掛かりを掴めないかと拡散の尖兵との戦闘で乱れた地面に目を凝らすが──

──霧の先より、二体の拡散の尖兵が新たに現れた。

 

このままこの地に留まっていても、自分が斃されるまでデーモンが送り続けられるだけだ。

そう悟った男は、故郷を諦め禊の神殿へと避難した。

 

これは、ただ悲劇がそうあることが当然のように妨害に構わずに進行していった。

本当にただそれだけの、世界の流れにとって取るに足らない出来事だったのである。

 

 

 

象牙の塔──要石から辿り着ける最後のデーモンの居る地──を男は訪れた。

この地に居る最後のデーモンは、召喚された存在を乗っ取って戦うが、召喚される存在が如何なるものかは、男も戦うまで分からない。

かぎ爪を装備した相手になる可能性が高いとは思うが、デーモン達に自分の知識との差異がある以上、確実ではない。

それ故に、男は先に斃せるデーモンを全て斃し、その力を取り込んでから対面することを選んだ。

 

霧を越えた男の前に、黄衣を纏った枯れ木のような老人が舞い降りた。

老人は男へ向けて魔法を放とうとしたが──

“────!?”

魔法は、男の反魔法領域の効果により形を為さずに霧散した。

魔法の力を失えば、老人は見た目どおりの戦闘力しか持たない。

「らあぁっ!!」

黄衣の翁は男の振るう大斧であっさりと討ち取られた。

 

──だが、黄衣のデーモンは健在である。

「──ッ!?待てっ!」

老人が纏っていた黄衣が、するりと老人から離れると霧の方へ飛んでいき──

そのまま霧を越えていった。

「・・・それして良いんだ」

 

黄衣のデーモンが戦場から消えると、霧も薄れた。

男が黄衣のデーモンを追って通路を抜けるとその先には黄衣を纏い黒いソウル体となった蛸頭の看守がいた。

 

反魔法領域を警戒したのか距離をとった看守から放たれる魔法を避け、ときに召喚した魔物の兵を肉壁としながら、男も負けじと魔法を放っていく。

黄衣を纏ったことによる強化か竜の炎にも耐えた看守だが、男の圧倒的な火力に負け、遂に斃れた。

──するとまたしても黄衣がするりと離れ宙を舞って逃走した。

男が槍を射出するが、黄衣はひらりと躱しながら今度は通路を戻り、老人が居た場所へと帰っていった。

 

「今度は逃がさねぇぞ・・・」

予め召喚した魔物の兵と共に男は再び黄衣を纏った黒いソウル体と対峙した。

敵が装備したかぎ爪にどこか安心感を感じながら、浮遊するソウルの矢を魔物の兵を盾に防ぎ、反撃の投槍を一斉に放った。

槍の雨にその身を穿たれた敵は消滅した。

だが、男は違和感を覚えた。今までデーモン達と戦ってきたが、今見た消滅の仕方はデーモンが斃された際のものではない。

これは男も使う業、分身の消滅だ。

 

考えてみれば、分身を使うデーモン、愚か者の偶像は黄衣の翁が生み出したデーモンだ。ならば、黄衣のデーモンがその魔法を使用できても可笑しくはない。

男は油断なく周囲を見渡した。

──本体はどこにいる?

 

──しばらく周囲を探索しても黄衣を纏った敵が見つからなかった男は先程の蛸頭の看守と戦った場所まで戻ってきていた。

分身が使用できるなら転移が使用できても可笑しくはない。

もしかしたら、分身で男を引き付けつつ、本体は別の場所で何かしらの策を用意しているのかもしれない。

そう考え、魔物の兵を先行させながら油断なく探索したがやはり黄衣を纏った敵は見つからない。

 

「かくれんぼでもしているのか?」

そう呟きながら老人が居た場所へと再び戻ってきた男は、要石が出現していることに気付いた。

デーモンを斃してない以上、要石がこの場にあるのはおかしい。

しかし、要石が出現しているということはデーモンが斃されたということになる。

ついに”デーモンを殺す者”が現れ、最後に残った黄衣のデーモンを斃したのだろうか?

そう考えた男は禊の神殿に戻ることにした。

 

 

 

禊の神殿に戻った男は黒衣の火防女に確認するが、神殿を新たに訪れた者はおらず、そしてデーモンはまだ残っているようだ。

男の知らぬデーモンが存在しているのでなければ、黄衣のデーモンはまだ健在のようだ。

──では、どうしてあの地に要石が出現した?

 

嫌な予感がした男は塔のラトリアの一角、女王の似姿の居た場所へ向かった。

 

 

 

男を待っていたのは、異様な数の黒いソウル体だった。

分身と共に竜の炎で無数のソウル体を焼き払った男は自分の予感が当たっていたことを実感した。

 

──誰があの地に要石を出現させた?

黄衣のデーモン以外にいない。

他に要石をどうこうできそうな存在はあの地に居なかった。要人なら禊の神殿からでも可能かもしれないが、彼に動機はない。

 

──では、その目的は?

要石の用途は二つ。拡散する世界を繋ぎ止めることと、他の要石へと移動。前者が目的なら男が黄衣のデーモンと対面してから要石を出現させる理由がない。

つまり、他の要石への移動による退避が黄衣のデーモンの目的である。

 

どの要石まで移動しているかは未知数だったが、直ぐに見付かったのは幸いだった。

斃した端から召喚される黒いソウル体を、召喚を上回る速度で殲滅しながら、男は黄衣のデーモンを捜索していった。

そして、女王の似姿と同じ場所に佇んでいた黄衣のソウル体を見つけた男は、今度は逃がさぬように近づいていき──

──床に設置してあった魔方陣に拘束された。

 

魔方陣に拘束された男に、黄衣のソウル体と召喚されたソウル体が一斉に魔法を放つ。

だが、男は斃れない。圧倒的な耐久力と再生の力により、ソウル体がいくら召喚されたところで火力がまるで足りていない。

黄衣のソウル体こそ男の防御を貫き傷を負わせるだけの魔法を放っているが、それでも数が足りていない。

魔方陣の拘束が外れ、追加の拘束攻撃を魔物の兵を盾に防いだ男は、召喚されたソウル体を竜の炎で焼き払うと、黄衣のソウル体を異形の大斧で叩き潰した。

 

飛んで逃げられないように、黄衣を強く掴んだ男だが、黄衣を纏っていたソウル体が突如復活し、黄衣ごと拘束から逃れられた。

その復活の仕方は紛れもなく女王の似姿のものと同じであったが、道中に復活の為に祈る存在は居なかった。

その事に疑問を抱きつつ、要石により逃走した黄衣のソウル体を男は追跡した。

 

 

 

マンイーター達と対決した地で再び黄衣のソウル体を下しだ男は、槍でソウル体を足場に縫いとどめると、何度斃しても復活するのかを試していた。

結果としては、大斧で叩き潰しても、槍で突き刺しても黄衣のソウル体は復活した。

恐らく、女王の似姿と同様に何処かに復活の為の祈りを捧げる存在が居るのだろう。

 

時折召喚される黒いソウル体を斃しながら男は考える。

道中に祈りを捧げていた存在は見付からなかった。

入れ違いになっているのか、巧妙に隠されているのかどちらであろうか。

更に言えば、もし祈りを捧げている存在を黄衣のデーモンが生み出していたとしたら、何故最初から用意していなかったのか。

 

一つの考えが思い浮かんだ男は要石によりある場所へ戻った。




欠月のショートソード
魔法の力を持つショートソード。使用者のMPをわずかずつ回復させる。
二の矢を持つことは良い。しかし忘れること勿れ、我らは魔術師である。

※欠月のショートソードはデモンズソウルでは実現不可能な派生です。
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