都市は都市でも人格ストーリー世界線に来ちゃった   作:薬指〝笛吹派〝スチューデント

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 今回再びある意味の閲覧注意です。

 クソリプお姉さんわからせ注意報が発令されています。

 それはもうエイハブ船長並みにエグい力業でクソリプお姉さんのクソリプをはね除ける回になります。

 クソリプお姉さんファンの皆様には心よりお詫びします。

 


『血の散華』②

 初めて会った時、ヨハンとハンナは2人でとても綺麗な歌を歌っていた。

 

『『~♪』』

 

「とても綺麗な歌ですね、何処で習ったんですか?」

 

『!?すいませんもしかして今度から僕たちの先生になるという曼珠さんですか?』

 

「うん、僕が君たちを受け持つことになった曼珠だよ、ところでさっきの歌は何処で習ったのかな?とても綺麗だったから、僕もその歌を唄ってみたくなってしまってね」

 

『えっと、この歌は僕たちの住んでた地域に伝わるもので、子供たちが早く大きくなって元気に飛び立って行けますようにっていう願いが込められています』

 

「成る程、だからとても綺麗に聞こえたのですね、良いですね...なんだかとても創作意欲が湧いて来ました。

 僕はそろそろまた私室に戻りますが、お二人はどうしますか?

 もしお暇でしたら一緒に来ても良いですよ、丁度少し前に完成した作品を誰かに見て貰いたかったんです」

 

『良いんですか!?』

 

 これが2人との願い、とても懐かしくて...なんだか切なさを感じる愛おしい俺の思い出。

 

 嗚呼、どうして今はこんなにも遠くに感じるのでしょうね、俺にとって生徒たちはこの世界で唯一この手で育てた苦しみではない存在だったから。

 誰かにとっての苦痛しか産み出せないこの手で育てる事が出来た輝唯一かしい未来への可能性を感じさせる苦痛ではない存在、だからこそ俺は彼らを愛し、いつしか彼らが散華する時を待つのが楽しみになっていた。

 

 散華とは、新たなる道へと踏み出す始まりの一歩だから。

 

 彼らにはより多くのものを見て、そして知って欲しい、それが彼らにとって良き刺激であり、彼らの輝きに満ちた魂をより美しく磨きあげる事を俺は信じているから。

 

 だからこそ許せなかった。

 

 彼らから輝ける明日への道を奪った簒奪者ども、そして彼らを売り払った裏切り者の事も、その全てが許せなかった。

 

 結婚式のあの日、俺は2人の為にお祝いの品を見繕ってラッピングしてもらい会場に向かっていた。

 

 でも、俺を待っていたのは酷く残酷で、本当にいつだって嫌になる最低で最悪な惨劇だった。

 

 初めに俺の眼へ入って来たのは、視界を埋め尽くす程のいっそ清々しい程に鮮烈な〝赤〝。

 

 幸せな結婚式になる筈だった会場は、今や血の海に沈み、積み重なった...きっとかつて生徒たちだった肉塊の山で溢れている。

 

 当然ながら俺は、ヨハンとハンナを必死に...それはもう必死に探したんだ。

 

 そして見つけた...でもね、駄目だったんだよ。

 

 嗚呼、俺は間に合わなかった...もう全ては遅過ぎて、何もかも手遅れで、2人は寄り添うようにして式場の隅に横たわっていたのだから。

 

 2人ともギリギリまだ意識はあったけれど、それでももう助けられない事くらいは俺にもわかっていた。

 

 もし此処にK社のアンプルがあったなら、或いは2人を救うことが出来たのかもしれない。

 

 でも、そんな都合良く俺がそれを持っているわけはなくて、結局どうしようもない絶望感に沈みながら、俺は2人の最後の言葉を聞いた。

 

『先生、来てくれたんですね...?本当に良かったです、先生が巻き込まれてなくて安心しました。

 もし先生が怪我などなされていたら、私たちはきっと自分たちの事を許せないまま果てていたでしょうから』

 

「2人とも喋ってはいけない!今ならまだギリギリ止血して失った体も補えば助かるかもしれない。

 だからどうか体を動かそうとせずに...あぁ、何故、何故なのですか?何故俺が誰かを救おうとした時に限ってこんな!」

 

 2人の体は、最早俺の技術では救えない程に損壊が激しかった。

 

 全身の細胞が何らかの手段によって全て粉砕されている。

 

 まるで体の内側に凄まじい振動を流し込まれたかのように全身が駄目になっていた。

 

『あははっ...酷いでしょう?もう意識を保っているのも限界なんです』

 

「どうして!どうして...!いつもこうなんだ?何で絶対に救ってあげたいやつに限ってこんな...」

 

『先生、最後に二つ程お願いをしても良いですか?』

 

 本当に無理矢理力を振り絞ったのだろう、2人は今にも消えてしまいそうなその意識を、僕に願いを伝える為だけに使っている。

 

『先生、私たちを...抱きしめて貰っても良いですか?』

 

「良いとも!幾らでもやってあげよう」

 

 何とか壊れ行く2人の体を崩さないように、優しく2人の体を抱きしめる。

 

 その体は酷く冷たくて、確かな死を間近に感じさせた。

 

『先生、僕たち本当は先生の事が好きだったんです。

 先生として好きとかじゃなくて、本当に心から先生の事が好きでした。

 でも、きっとこの思いは叶わないってわかっちゃった時に僕たちは思ったんです。

 

 こんなにも同じ人を思っている2人が恋人になれば、この心に空いた埋めることの出来ない隙間も覆う事だって出来るんじゃないかって、だって2人とも先生の事を好きになって...そして、先生に見て欲しかった。

 僕たちが、恋する2人が一緒に成ればそれは最高に綺麗な作品に出来るんじゃないかって僕たちは思ったから、だからこそ本当の気持ちに蓋をして、ゲホゲホッ...!?』

 

「わかった!わかったから!お願いだから...もう!」

 

「ごめんなさい、やっぱり死に際だと言葉ってうまく纏められないんですね。

 それじゃ、僕たちからの最後のお願いをします。

 僕たちが完全に死んでしまったら〝僕たちを使って〝先生の作品を完成させてください。

 

 先生、ずっと悩んでいたんでしょう?あの日見せてくれた中身のない卵、あの中に何を入れようかずっと悩んでいた。

 でも、本当に必要だったのは決心だったんですよね?あれに必要な最後の材料は、人を人足らしめるもの...つまり心だったから、だからこそ僕たちを使ってください。

 

 そして、ずっと大好きな先生のお側に置いてください...」

 

「ヨハン...ハンナ?嗚呼...あぁあぁぁ?...うぁあぁぁぁ!!!」

 

 顔を鷲掴みにして掻きむしり、喉からは人の声の原型を保たぬ程の声量で絶叫が止めどなく溢れ出す。

 

 だから、俺は思ってしまったんだ。

 

何もかも鏡の中に閉じて、そして砕けてしまえば良い

 

 そして、あの声が俺の元に訪れた。

 

あぁ、本当に可哀想な子

 

「...」

 

あんなにも可愛がって育てた蕾たちは、育ちきる前だったっていうのに悪い大人たちに摘み取られてしまったわ

 そんな貴方には、全てを取り戻す権利があるって私は思うの...貴方はどうかしら?そうは思わない?

 

 黙り伏す俺を尻目に、声は畳み掛けるように言葉を続ける。

 

頑張った人は報われるべきだと思うの、貴方だってそうよ?ずっとずっと自分ではない誰かの為に頑張り続けてきた

 この辺りで貴方自身が報われても、きっと誰も文句は言わないと思うわ、だからねもう折れちゃったって良いんじゃないかしら?

 

「...はははっ、ははははっ!!!」

 

 もうこの頃には悲しみを通り越して、目の前の女には憎しみと殺意しか感じなかった。

 

あら、そんなにも怖い目で睨んでいったいどうしたのかしら?私はただ貴方が幸せになれる手助けをしたいだけよ?

 

 だから、驚きに満ちた表情を浮かべた奴の顔に鈍く光る刃を突き立ててやった。

 

「本っ当に愚かだな君は!私が誰かの為に頑張り続けてきた?違う!私はただ悲劇だけを見せられ続けるのがどうしようもなく嫌になったから、だから変えることにしただけだ!

 見ていても辛くない、優しく緩やかに壊れ果てていく世界を永遠に繋ぎ止める為に、その為に私は立ち上がったんだ!!!

 

 はははっ...!ねぇ面白いものを見せてあげるよ、もし一度花開いた蕾がもう一度花開いた時、それはいったいどうなるのかな?

 きっと、とても面白くて珍しいいものが見られるよ、私を私足らしめている起源にして殻、その更に先をお前というどうしようもなく私の心を逆撫でる存在に見せてやる.。

 

 そうして、己の起源を更に深く理解した時...私はようやく本当の散華の刻を迎えるんだ!」

 

 私は...俺は、この時をずっと待っていた。

 

 これまでに通り過ぎた2つの世界で俺は悟ったんだ。

 

 このままの俺じゃ、この先に待ち受けるどうしようもなく理不尽で苦痛に満ちた旅路を進み続けるのは無理だって、きっと何処かであの女が言ったように折れてしまう。

 

 だから、己の根源を更に深く、もっと...より深く全てを理解する必要がある。

 

 そうすれば、きっと俺はもっとうまくやれるようになる筈だ。

 

 そうしたらきっと、ヨハンやハンナみたいに取りこぼす事だって全部失くなる筈なんだ。

 

 だから俺は、俺自身をもっと理解する。

 

 さぁ、散華の時だ




【登場人物紹介】

『ヨハン&ハンナ』
・前話でバリバリ立ちまくってた死亡フラグを見事に踏み抜いて主人公のメンタルを破壊した。
 最後の最後に先生の作品になりたがるあたり、やはり薬指である。

『クソリプお姉さん』
・まさかの顔面ぶっ刺されて超困惑、図書館での描写やら色々鑑みるに多分死なないっぽいのでおそらく平気、でも急に顔面ぶち抜かれたので主人公に対する困惑がより深まった。
 本人(人?)曰く「何で既に開花してるの?」とのこと。
・なお、この後もっと酷い目に合う予定がある。

『村雨/曼珠』
・メンタルが崩壊して一人称が崩れ捲るくらいにはヤバい状態、此処から更にもう一段階地獄が待ってるらしい。
 一度開花してるのに更に開花したことで自分のEGOとその力に対する理解が飛躍的に高まったが精神性がお労しいことになる可能性が限りなく100%に近い、クソリプお姉さんの顔面をぶっ刺す大快挙をやらかした。
・実は作者もクソリプお姉さんのクソリプに対し暴力で対抗するの見たことなかったので、ずっと見てみたかったのだが感想欄で同じような意見を持った人がいてくれたのでこの展開に踏み切る事が出来た(ありがとう読者の皆)

解決済みの人格ストーリー(例えば握らんとする者)の後日談は必要ですか?

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