都市は都市でも人格ストーリー世界線に来ちゃった   作:薬指〝笛吹派〝スチューデント

17 / 28
 次の人格ストーリーどれにしようか吟味してたら、公式のお知らせで度肝抜かれた作者です。

 ヒント:作者は囚人全員箱推ししてるけど特に好きなのはシンクレアとヒース、後書いてて楽しくなるのは今のところグレゴールとホンル君。

 逆に頭を悩ませるのがイサン!良秀!お前たち特殊言語コンビだ!!!(イサンは言わずもがな良秀の略語は作者に意味がわかっても読者にとってはわかり辛い!!!)

 それと、次の行き先を平和な人格ストーリーの世界にしてあげて欲しいという読者の皆様からの要望も頂いているのですが、此処で敢えて私から読者の皆様に質問をさせて頂きます。

 都市で平和な所って何処にあるんです?


『血の散華』散

 散華した花たちの行進は続く、道行く全てを呑み込んで、その惨劇と血潮に満ちた行進は止まることを知らず、ある一点を目指して歩を進めるのだ。

 

「各協会代表の皆様、お集まり頂きありがとうございます。

 これより都市悪夢級案件より『都市の星』級案件へ繰り上げされた『血の散華』の第二次討伐会議を行います」

 

「セブン協会の代表はどうした?前回と顔が違うようだが?」

 

「セブン協会の代表は先日の討伐作戦以降消息不明です。

 最後に姿が確認されたのは『血の散華』による侵食事象発現時ですから、おそらくもう死亡したものかと。

 今後は其処にいる彼女が担当を引き継ぎます」

 

「担当を引き継ぐことになったウーティスという、今後よろしく頼む」

 

 都市悪夢級案件『血の散華』討伐作戦より3日がたった。

 

 セブン協会2級フィクサー〝エド〝を含む2級以上のフィクサー数十人を投入したこの作戦は、投入されたフィクサー全ての死亡という最悪の結果に終わった。

 

 更に現在『血の散華』による行進は続いており、リウ協会とツヴァイ協会、そしてR社より送られた第4群のウサギ部隊という3組織合同による足止めをもってしても、その進撃の足を少し遅める程度にしかならなかった。

 

 時間と共に増えていく幻想体(人格ストーリーあるあるのずれでL社はもう折れてます)と拡大する被害はとどまる事を知らず、遂にはこの案件を『都市の星』級案件として認定するに至った。

 

「特色フィクサーにもコンタクトを取ろうとしましたが、あまり芳しくありませんね。

 どなたも他の案件で手が離せない、或いはそもそも到着にかなりの時間を要する状態であるらしく、現状出動を要請出来る可能性があるのは『黒い沈黙』『紫の涙』『赤い視線』の3名のみです。

 少し前ならここに『青い残響』も含まれたのですが、例のピアニスト事件以来連絡が取れません。

 また、黒い沈黙に関しては直近で問題行動を起こし降格処分を受けている為、この規模の案件を任せるのは対外的によろしくないかと。

 

 また『紫の涙』に関してはかなり前から動向が一切わかっておらず」

 

「つまりは『赤い視線』が候補になるか、だが彼は受けてくれるだろうか」

 

「...現状わかりません」

 

「手詰まりということか、それで?『血の散華』が引き起こした大行進は何処へ向かっているのだ?」

 

「現在『血の散華』が引き起こした行進は、K社へ向けて真っ直ぐに侵攻を続けています。

 其処に何があるのかはわかりませんが、もしK社の巣に到達するような事があれば大惨事になるのは間違いないかと。

 

 最悪の場合翼が一つ折れる可能性まであります」

 

 翼が折れる、都市においてそれは最も避けるべき事態である。

 

 翼の巣に住む人々はかなりの額の税金を納める代わりとして安全な環境を提供されているが、ひとたび翼が折れれば巣は数日と経たずして地獄と化す。

 

 そして巣に住んでいた人々は裏路地に流れ込み、その多くは失った安寧の日々を思いながら苦しみの中で死んでいくのだ。

 

「現在特色ではありませんが、1級フィクサーを抱える複数の事務所へも出動要請をかけています」

 

「焼け石に水だろうな...呼び出したのか、或いは作ったのかはわからんが『血の散華』の周囲には奴を守るように何十、いや何百もの化物どもがひしめいているのだから。

 あれをどうにかしない限りは奴の元へ辿り着けないだろう?人材は無限ではない、前線が突破されるのも時間の問題だろうな...だが、特色フィクサーの応援は見込めない。

 

 そして我々も一つの翼を守る為だけに全ての人員を導入出来るわけではない、最早あれは我の手には終えんよ、いっそ嵐が過ぎ去るまで待つのも選択肢の一つとして十分考え得るだろう」

 

『へぇ、面白いお話をしているじゃないか小僧たち』

 

 唐突に声が響き、部屋にとても重苦しい空気が満ちる。

 

 その声は会議に呼ばれたどのフィクサーのものとも一致しない。

 

「もしや〝紫の涙〝殿か?」

 

『そうだね、あたしゃちょっとしたずるをしてお前たちに話しかけている。

 でもそんな事はどうでも良いだろう?お前たちが知りたいのは、あの花擬きの目的とそれを止める為の手段だ。

 でもそれは見つからないよ、少なくともお前たちでは無理だろうね...だからあたしがあれの相手をしてやろうじゃないか』

 

「本当ですか?それはありがたいのですが『紫の涙』様には何もメリットがないのでは?」

 

『昔名前をつけてやった縁ってやつかねぇ、まぁあたしにも色々とあるのさ』

 

〝紫の涙〝の声は遠ざかり、部屋に満ちていた重苦しい空気もまた消失した。

 

「これで全てがうまくいってくれれば良いんやけどね、うちらは心配でならんわ」

 

「シ協会代表殿、ずっと押し黙っておられましたが如何なされたのですか?」

 

「お前ら気づかへんかったんか?あの声ん主...まぁ紫の涙やな、あの婆さんわしらに警告しよったんよ」

 

「警告ですか?」

 

「ありゃあな、自分らの戦いに余計な手出ししおったらぶち殺すっちゅう警告や。

 あの血の散華っちゅうばけもんは、あの婆さんからするとなんちゅうか身内みたいなもんなんやないか?下手こいたら育てとった弟子の一人やったりするかもしれんな」

 

 それか、下手したらあの婆さんが育ての親とかな。

 

------------------------

 

 ...私は、何故生きているのでしょうか?

 

「おや?目が覚めたみたいですね、ヨハン、ハンナ、下ろしてあげなさい」

 

「何を言って、うわっ!?」

 

 唐突に体を襲う浮遊感、私はいつの間にかヨハンとハンナだった化物に掴まれていたらしい。

 

「本当はあの場で置いていくつもりだったんですけどね。

 ヨハンとハンナがお別れはちゃんとしないと駄目だって貴方を離さないものですから、仕方なく一緒に連れてきてしまいました。

 

 でも、不安ですね...これから起こる事を見てしまったら、君はもう普通ではいられなくなってしまうかもしれません」

 

 先生は顔こそ気を失う直前に見た時のままだが、声はかつての優しかった先生に戻っていた。

 

「なので貴方とは此処でお別れですね、私はこれからK社の巣に向かいます。

 私という...いえ、私たちという作品はきっと其処でこの世界における結末を迎えるでしょう...其処に貴方は連れて行けませんからね。

 

 だからこそ此処でさようならなんです...ヨハン、ハンナ、エドとのお別れは済ませました。

 

 ...ですから、私たちの終幕を飾る地への行進を続けましょう」

 

 待ってください先生、私はまだ貴方に...

 

------------------------

 

『『~♪』』

 

「ヨハン、ハンナ、歌っているのですか?嗚呼...2人にもわかったのですね、えぇあれが私たちの目的地ですよ。

 そうです、あれが私たちの目指す約束の場所、私が私の〝本質に還り〝貴方たちを次の世界にも連れていく為の場所です」

 

 エメラルド色に染まる町、私の全てが始まった場所。

 

「帰って来ましたね、えぇ...私は此処で生まれたんです。

 そして、一度此処ではない此処で死んだ筈だった。

 でも私は死んでいない、いえ...死ねなかったと言った方が正しいのでしょうね、私はそういう存在ですから。

 

 嗚呼...でも、私に名を与えてくれた名付けの親は、こんな私の姿を見て何を思うのでしょうね?あの人の事ですから『人擬きの小僧が、随分とやらかしたねぇ』なんて言うのかもしれませんね。

 最後に会った時は私の四肢を切断しようとなされたので、本当に焦りました」

 

『...?』

 

「『そんな人なら怖くないのか』ですか?ふふふっ、そうですね...普通ならば怖いのかもしれません。

 でも、あの人がそうする時はだいたい私が良くないことをしてしまった時です。

  

 なので、今此処に2人も恐ろしい人たちを引き連れて此処に来ようとしているのも、私を問い詰める為なのでしょうね」

 

「なんだい、よくわかってるじゃないか」

 

「嗚呼...とてもとても久しぶりですね、イオリお婆様」

 

 気づけば2人の男を引き連れた紫の涙〝イオリ〝が其処に立っていた。

 

「それで?そのお二人はお婆様のご友人ですか」

 

「いや、偶々彷徨いてる所を拾ってね、無理矢理付き合わせたのさ」

 

「こんちわ!度底辺の9級フィクサーだけどよろしく」

 

「...」

 

 ...全く、本当に嫌なお方ですね。

 

「私が目的を成就させようとすると、どうしてだかいつも貴女に邪魔されますね。

 最初の世界からずっと私の事を見張り続けていたのですか?」

 

「あたしゃあんたに名を与えてしまった責任があるからね、その責任はちゃんと取らなきゃいけないだろう?」

 

「ふふふっ、やはりイオリお婆様は変わりませんね、いつだって...本当に邪魔だ」

 

 周囲の空気が軋むような音をたてながら重く、酷く物悲しいものへと変わっていく。

 

 それはまるで、曼珠こと村雨の心情を表しているかのような...そんな酷く悲しい感覚を覚えた。

 

「それじゃ始めましょうか、私が約束の場所に着くか、それよりも先に貴方がたが私を殺しきるか。

 楽しみですね、この姿になってからというもの格上と戦った事はないものですから、少々鈍ってしまっているかもしれませんね。

 でも...何故でしょうね?負ける気はしないんです。

 あぁでも、死の予感はひしひしと感じますね、この感覚がいったい何なのか知りたいところですが、そんなものは後回しで構いません。

 

 今は、最高の観客方をお相手しなくては!」

 

「出来れば大人しく捕まってくれると嬉しいんだけどね、そういうわけにはいかないか」

 

「...」

 

 かくして『血の散華』終幕へのカウントダウンは始まった。

 

 相対するは三人の特色『紫の涙』『黒い沈黙』『赤い視線』三者揃い踏みで曼珠と対峙せり。




【登場人物紹介】

『エド君』
・何話か前で登場していた『礼儀正しいセブン協会代表』実はこの子です。

『柄の悪いシ協会代表』
・作者がちょっとだけ気に入ってるキャラ、でもモブ止まりだし名前はない。

『規律正しいハナ協会代表』
・相変わらず規律正しく会議に臨む、でもイオリの警告に気づかないなど戦闘面は点で駄目らしい。

『科目なリウ協会代表』
・今回もあんまし喋んなかった。

『特色三人組』
・紫ババアを含めた三人の特色、皆さんご存知9級フィクサーおじさんから時系列的にこの後リヴァイアサンする予定のヴェルギリウスさんもいるぞ!

『血の散華/村雨』
・なんかヤバイことをやろうとしている。

解決済みの人格ストーリー(例えば握らんとする者)の後日談は必要ですか?

  • 必要
  • 必要ない
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。