都市は都市でも人格ストーリー世界線に来ちゃった   作:薬指〝笛吹派〝スチューデント

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『ロボトミーE.G.O』②

 嗚呼、助けておくれシンクレア、グレゴール、私は長話も好きだし、嫌みったらしいハナ協会の上役との会話も全て耐えられるけれど、そんな私でも相手をするのが苦手なタイプの人は確かに居るのだよ。

 

 それはイントネーションが独特過ぎたり古すぎて最早古語の授業のようになっている類いの人であり、つまり今私の目の前で古文のようなイントネーションで喋りながら此方を凝視している人物なのだが、それはそれとして何故?という疑問符が湧く。

 

「そなた、かつてこの身が作りし作品に似けり、何故そなたは此処へ?」

 

 イサン、この都市で鏡にまつわる遍く技術の源流を辿れば、その殆どがこの青年に行き着くだろう。

 

 だが、何故君が私の担当をしているんだイサン?今君が着ているE.G.Oから察するに君の担当は『死んだ蝶の葬儀』へ定まっている筈だが...もしやギフト狙いだろうか。

 

 実のところ、管理人は既に私から取れるE.G.Oは全て最大数で抽出済みだ。

 

 こんな意味のわからない出所不明の幻想体に、果たして育成済みの職員を放り込むだろうか?(なお前回のムルソーの事は考えないものとする)

 

 これ以上を望むならセフィラコア抑制を進める必要があるが、ギフトならば話は別だ。

 

 あれはやろうと思えば全職員に付けられるのだから。

 

 さてイサンよ、君は私が自分の作った作品に似てと言ったね?

 私は、確かに由来こそ君の知るものに近いが、それはあくまでも私を構成する要素の一つの話であり、私を私足らしめる本質はおそらく似て非なる者だろう。

 

 果たして、私を構成するどの要素が今の私という存在を成立させる最初の私であったのかは最早わからぬとしても、少なくとも君のせいでは無いのだと、せめてそう伝えたいものだが...話したところできっと全て忘れてしまうだろう。

 

 この会社では、死はとてもありふれたものだから。

 

 それと、おそらく君の友人だろう牛の世話をするのが好きそうな眼鏡の青年が寂しそうにしていたからそのうちK社へ会いに行ってやると良い、多分腰を抜かすだろうから。

 

 ...まぁ、この会社でそんな遑があるかはわからないけれども。

 

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【F-08-01観測情報】

 

・1:良い作業結果の場合に特別な反応を示し、収容室内に三つの鏡が出現した。

・2:洞察、愛着で作業を終えた場合、全ての作業が成功した。

・3:三つの鏡が出現した状態で1日を終えた場合に特殊なE.G.Oを三つの中から一つ選択出来た。

・4:作業結果良いを3回出した職員にギフトを付与していた。

・5:施設が非常事態レベル2に達すると特殊作業が発生した。

 

【追記】

 

 F-08-01に関する観測情報は全て解放されたと思われていたが、それは間違いであったと発覚した。

 該当幻想体は職員に対し非常に友好的だが、幾つかの懸念事項が見受けられる。

 

・1:職員が抑圧作業を行った場合、全ての作業が失敗し作業ダメージがWHITE属性からPALE属性に変化。

 この状態で作業を終えた場合、該当幻想体の収容室内に生成される鏡が通常のものから割れた鏡に変化した。

・2:職員が抑圧作業を3回行った場合、3回目の抑圧作業時に職員が即死した。

・3:上記2つの条件を満たした状態で、該当幻想体のE.G.Oを装着した職員が死亡した時に特殊能力が発動した。

・4:特殊能力を発動後、該当幻想体の姿が変化し個有名も全く別のものに変化した。

・5:変化した該当幻想体に対し愛着作業Or洞察作業を行った場合元の姿に戻った。

 

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「はぁ...」

 

 件の幻想体、個有名『幾万幾多の悲劇とたった一つの鏡』に関して挙がってきた新たなる観測情報を吟味しながら、管理人はため息をつく。

 

「F-08-01、あの幻想体はいったい何なんだろうか?ZAYINなのに作業ボックスはやけに細かいし、一度に取れるエネルギーはWAWクラスの幻想体を優に越える。

 あんなZAYINは見た事がないし、正直段々と気味が悪くなってきたよ」

 

「どうかしましたか管理人?」

 

「あぁアンジェラか、気づかなくて悪いね...少し例の幻想体について考えていたんだ」

 

「例の幻想体...先日突如として現れたF-08-01のことでしょうか」

 

「そうそれだよ、あの幻想体は確かにこの会社にとって有益なものばかりをもたらしている。

 けれどね、そんなうまい話が対価も無しにあり得るのだろうか?私はこれがもしかしてとてつもなく恐ろしい事が起きる前触れなのではないかと不安なのだよ」

 

 管理人のこの不安は当たっていると言えよう。

 

 何故なら、F-08-01こと『幾万幾多の悲劇とたった一つの鏡』には、収容する事事態が強烈なリスクとなり得る要素がまだ残っている。

 

 時に皆は覚えているだろうか?血の散華としての役割を終える時、曼珠という名を捨て新たなる世界へと旅立ちの刻を迎えたその時、彼はいったい何を連れていた?

 

 そしてそれは何処へ行ったのだろうね。




【登場人物紹介】

『イサン』
・皆大好き死蝶イサン、多分今回の世界で主人公の人格を得るのは彼。
 でもイサンって強い沈潜人格三つも持ってるから差別化凄い難しそうなんですよね。
 会話が難し過ぎるから作者が書ける範囲でなるべく喋らせないようにするという力業で登場させた。

『管理人/A』
・主人公に困惑してるしこいつ外的要因で脱走したらあかんことになるのでは?という懸念事項が生まれて現在悩みまくっている。
 なお、リンバス世界のL社って収容アブノーマリティの組み合わせがもう〝終わってる〝感が凄過ぎて害悪アブノーマリティが抽出に来たら絶体取らなきゃいけない縛りでもしるてるの?ってくらい収容状況が終わり散らかしてます。
 そのうち公式が、絶体にないとは思うけどエルフ耳欲しさに寄生樹とか出してくるんじゃないかと今から戦々恐々としております。

『アンジェラ』
・実は内心すんごい困惑してる、主人公を初めて確認した時の反応は「えっ?こんな幻想体いましたっけ?」である。

『主人公』
・何か形態変化あるアブノーマリティだったらしい、因みに作業ボックスがめちゃくちゃ細かいがランクはZAYINである。

解決済みの人格ストーリー(例えば握らんとする者)の後日談は必要ですか?

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