都市は都市でも人格ストーリー世界線に来ちゃった   作:薬指〝笛吹派〝スチューデント

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 今回は作者の独自解釈と紫の涙に対する甚大な風評被害が含まれます。
 なので、紫の涙ファンの皆様には最初に謝っておきますね、多分イオリファンは『イオリさんはそんな事しない!!!』ってなるかもしれないので...


アフターストーリー『夜明事務所フィクサー』+『■■■■』

 夜明事務所の面々が図書館へ向かうより少し前、図書館には物語が紡がれるうえで必要不可欠な人物が訪れていた。

 

 彼はある者によって送り込まれたが、其処での最初の出会いは良いものとは言えませんでしたが、とにかく彼は図書館に受け入れられたのです。

 

 そして幾つかのやるべき事をこなし、そのやるべき事にも少しずつ慣れてきていました。

 

 ですが、そんな彼を更なる物語の潮流に誘う影が存在するのです。

 

「やれやれ、少し慣れてきたけど本当に不思議な話だよな、こいつを送ると必ずゲストがやってくるってんだから」

 

 アンジェラから言い渡された仕事はゲストに招待状を送る事であるわけだが、少し慣れてきたその仕事をこなそうとした時にそれは起こった。

 

「何だ?このキラキラしてるのは...鏡の欠片か?」

 

 ローランの周囲をキラキラと輝く鏡の欠片のようなものが漂い始めたのだ。

 

 そして、それは突然強い光を放ち...周囲を真っ白に染め上げた。

 

「どうなってるんだ?ただでさえおかしな事ばかり起きてるってのにこれ以上何があるんだよ...ってうわっ!?」

 

 ぼやくローランを嘲笑うように、その足元が小気味良い音をたてて開いた。

 

「痛てて、此処は何処だよ?さっきまでアンジェラと話してて、そんで何故か」

 

『おや?どうやらお客さんかな、ということは私は成功したようだね』

 

 何者かによって、図書館へ来た時のように再び落っこちてしまったローランの耳に、何やら愉快そうな男とも女ともつかない声が語りかけるように響いてきた。

 

「おいおい勘弁してくれよ、只でさえアンジェラのせいで色々とおかしな目にあってるのにまた変な奴に絡まれるのか!?」

 

『変な奴とは心外だな、さて...初めましてと言うべきか、それともまた会ったねと言うべきなのか、君はいったいどちらなんだろうね?私としては後者であってくれた方が色々と話を進め易いんだけれども』

 

 声のする方を見て、ローランは絶句した。

 

「アンジェリカ...?」

 

『嗚呼、よりにもよってアンジーと私を見間違えるのはやめてくれないか?

 そんな事をしたらあり得ないだろうけど、私があの世に行った時にアンジーにぶち殺されてしまうよ』

 

 其処にいたのはアンジェリカにそっくりな顔をしていて...だが何処か違和感を感じる少女だった。

 

『全く、君は妻と別人を間違えるような人間ではないだろうに...いや、今の私がアンジーに似すぎているのかな?

 元々私の姿はアンジーとイオリ、そしてもう一人から少しずつ要素を写しとったものだから、特に影響を受けた〝顔〝を見て私をアンジーだと間違えるのは仕方のない事かもしれないね』

 

「おい、そのアンジーってのはアンジェリカの事か!!!」

 

『ふむ...少し煽ってしまった自覚はあるが、それはそれとしていきなり剣を向けられるのは少々悲しいかな。

 私は君と話がしたいだけなのだけれど、君は私がちゃんとした説明をしない限りお喋りには応じてくれなさそうだね』

 

「何なんだお前は、お前と話してると調子が狂う!」

 

 目の前の少女はあまりにもアンジェリカに似すぎている。

 

 そのせいか、アンジェラたち相手にも崩れなかった化けの皮が、まるで仮面を剥がされるように解けていく。

 

『まずは私の事を説明しよう、私がこの図書館において与えられた役割は〝例外司書〝名前は...そうだな、他の司書たちに合わせて〝バチカル〝或いは〝ゾハル〝とでも名乗っておこうか。

 君の好きな方で呼んでくれれば良い、私はどちらでも構わないし、名前を呼ぶのも嫌というのなら憶えなくても良いよ。

 でもまぁ、ちゃんと違う名前で呼ばないと毎回私とアンジーを呼び間違える可能性が出てくるから、出来れば前述した二つの名前のいずれかで呼称して欲しいかな。

 

 君も他人を亡き妻の名前で呼んでしまうのは嫌だろう?』

 

「...司書ってことは、あんたもアンジェラと同じなのか?」

 

『そうだね、私はある意味ではアンジェラと同じような存在であるかもしれない。

 でも彼女と違うところが私には明確にあるのだよ。

 

 彼女は人間ではないけど、私は〝広義の意味では〝という注釈こそあれど都市の定める人間ではあるからね』 

 

「それで、あんたは此処で何をしているんだ?」

 

『良い質問だね、私は此処で本来存在しない筈の例外的存在だから、実のところやるべき事というのは定まっていないんだ。

 強いて言うなら、私の友人が此処へ誤って入ってきてしまった時に彼らを在るべき場所へ送り返してあげる役割かな。

 

 でも、それだと君たちの求める本を得られないと思われそうだから先に言っておくけど、私であればやりようは色々とあるんだ』

 

「司書ってことは、あんたにも担当してる階があるのか?」

 

『そうだね...本当のところ私に担当する階はないのだけれど、敢えて当て嵌めるのであれば〝本質〝だろうか?私は光によって引き出され剥き出しになった人の本質を編纂する事に長けているからね。

 

 とはいえ、私は本当に例外的存在で〝アンジェラも私の事は認知していない〝これだけで異常性が伝わるだろう?

 彼女もこの図書館の全てを掌握しているわけではない、それでも異物が混じっていれば即座に気づく筈だが、何故か彼女は私には気づけないんだ。

 

 いや、気づいてはいるのかな?でも見つけられない、私が君たちに直接干渉出来ないように彼女もまた私を見つけられない。

 今回私が君との邂逅を果たしたのも本当に奇跡と言って良い事柄だから、一度限り許された絶対的干渉権を消費した価値があったと思える事を祈っているよローラン』

 

 話は終わりだと言う風に、目の前の少女は手元で弄んでいた一冊の本を投げ渡してくる。

 

「こりゃ何だ?」

 

『直接干渉は出来ないけれど、その本を通して少しだけ助力してあげる事は出来るんだ。

 ゲストたちを接待していく中で、どうしても行き詰まってしまった時にそれを開くと良い。

 

 僅かにだけど、私の持つ力の一端...ほんの一部を短時間行使出来る筈だ』

 

「おい待て!『初めまして』か『また会ったね』かって話はどうなったんだ」

 

『嗚呼、君とのお喋りに集中し過ぎてすっかり忘れていたね。

 ふむ、あの姿を見せればすぐにわかるかもしれないかな?あっ、今から見せる姿は少々君にとって苦々しい記憶を刺激するかもしれないけれど、お願いだから攻撃するのはやめて欲しいな』

 

 少女は懐から何やら手鏡のようなものを取り出すと、それを中に向けて掲げた。

 

「おわっ!?眩しっ!」

 

 それはローランが此処に連れてこられた時のように強い光を放ち、その光が消えると其処にはローランにとって〝酷く見覚えのある姿〝が其処にはあった。

 

『うん、この姿になるのは暫くぶりだね』

 

「お前、もしかしてあの時俺にねじれの事を教えた薬指の幹部か!?」

 

『ええそうです、あの時は〝血の散華〝等と呼ばれていましたね。

 ふふふっ、あの後はどうなりましたか?実は結構気になっていたんですよ、イオリお婆様と貴方がぶつかり合ってどのような結果に終わったのか。

 まぁ、私の予想通りなら...どうせイオリお婆様にボコボコにされてこの図書館へ放り込まれたのでしょう?』

 

「お前の言う通りだ...俺はあの後あの婆さんに散々打ちのめされた挙げ句、簡単な説明を受けて此処に放り込まれたんだ」

 

『ふふふっ、やはりそうですよね...イオリお婆様はこういう時に限ってわざと加減しないんです。

 

 それこそ私なんて、一応あの人の義理の子でもあるんですよ?それなのにあの人ったら一切の容赦なく特色フィクサー三人がかりで私を殺しに来るものですから、本当に華やかな門出になってしまいました。

 

 だからこそ、今回の私には明確なやるべき事こそありませんが目的はあるんです...それこそ貴方を此処にお呼びした理由なんですよ』

 

「言ってみろよ」

 

『私の目的、それは〝紫の涙〝その完全なる抹殺です』

 

 少女によって語られた目的は、ローランという男にとって、おそらくこの図書館に来てから最も衝撃的なものであった。

 

「あの婆さんを殺す?それを俺に手伝えってか」

 

『ええ...勿論これは貴方にも利がある話なのですよ?何せ貴方の人生を狂わせたあの日、ピアニストによってアンジェリカが殺された日を仕組んだのは彼女の可能性がありますから』

 

「どういう事だ」

 

『今から話す内容はあくまでも私の推測なのですが、彼女はこの図書館を育てたがっているんです。

 その為のゲストは、より鮮烈で劇的な者でなければならないのです...だから、イオリお婆様はそんなゲストの方々が図書館を育てる為の良い餌になるように色々とシナリオを組んでいました。

 

 ピアニストの件もおそらくその中の一つだったんでしょうね。

 だからこそ私がアンジェリカを助けに行こうとした時も邪魔したし、貴方が絶対に間に合わないように以来を調節した』

 

「はっ...?」

 

 イオリがアンジェリカを助けられないように仕組んだ?じゃあ今までの事は全部...!!!

 

『ええ...彼女が仕組んだ茶番の中、掌の上で転がされていたんですよ私たちは...でも、それはもう終わりです。

 私が組んだ計画に乗ってくれるなら、私は貴方の復讐に喜んで手を貸しましょう。

 

 だから、もしこれから先私の友人たちが此処へ訪れたら、その友人たちから得られた本は私の方へ引き渡して欲しいのです』

 

「取り敢えず、お前の言葉を信用してやる...だがな、もしお前が俺の事を裏切ったならその時はわかっているよな」

 

『うん、期待していますよローラン』

 

 こうして、おそらく紫の涙にとって最悪に近い盟約が交わされた。

 

 全ては遍く悲劇を消し去らんが為に...

 

 一方そのころ夜明事務所の面々はというと。

 

「あんたたちが夜明事務所だね?」

 

「そうですが、貴方はいったい」

 

「あたしゃイオリ、紫の涙なんて呼ばれてる年寄りさ」

 

 よりにもよって紫の涙と接触していた。




【登場人物紹介】

『ローラン』
・なんと血の散華の世界線でかち合ったローラン、時系列的にはあの後すぐに図書館へぶちこまれてる。
 よりにもよって一番ヤバイ奴とエンカウントしちゃった可哀想な人。
・トピック:彼は今回における共犯者的立ち位置であり、主人公が『友人たち』つまり人格ストーリー世界の囚人たちが図書館へぶちこまれた時に助けるのを手伝う役割なのである。
 なお紫の涙ぶっ殺宣言に関してはちょっとドン引きしてる。

『例外司書/主人公』
・またヤバそうな事を企ててている、紫の涙ぶっ殺宣言により一段とヤバさにギアがかかったかも?
・一応『ロボトミーE.G.O』人格ストーリーの後の時系列がこのアフターストーリーだが、血の散華事件が起こった世界線なので勿論あの人もいるかも?

『夜明事務所の皆様』
・こっちもヤバいのとエンカウントしてる、でもこれが主人公の逆鱗に触れるとは紫の涙も思うまい。
 

解決済みの人格ストーリー(例えば握らんとする者)の後日談は必要ですか?

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