都市は都市でも人格ストーリー世界線に来ちゃった   作:薬指〝笛吹派〝スチューデント

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 禁断のアフターストーリー2度打ち、Let's Go!!!


アフターストーリー『炎拳事務所生存者』①

 1ヶ月が経った今に至るまでも、あの日の出来事が今でも俺の眼に焼きついて離れようとしない。

 

 あいつについて何かを思い出す度に、あいつが俺の目の前で砕け散ってしまった時、その瞬間が俺の脳裏を過って忘れさせてくれやしない。

 

 俺の前であいつが砕け散ってしまったあの日、あいつが最後に見せた顔がどれだけ記憶から消そうとしても消えてくれないんだ。

 

「大丈夫ですかグレゴール?」

 

「あぁ、悪いな姐さん...最近はどうにもぼんやりしてしまって困るよ。

 不思議な話だよな、居ない筈のやつを居たって言い張り続けて、街角でふと思い出した時にはその居ない筈のやつの影をずっと探し続けてる。

 もしかしたら俺は、本当におかしくなっちまったんだろうか?」

 

「疲れているんですよグレゴール、最近はかなり忙しい仕事ばかりでしたから」

 

 姐さんの言う通りなのかもしれない、本当は俺の言う〝村雨〝なんて男は初めから存在していなくて、厳しい毎日から生まれた俺の幻想だったのかもしれない。

 

 そう思う事も出来たんだろうが、俺はそうする事を選ばなかった。

 

 探し続ける事を選んでしまったんだ。

 

 ある時はあいつがよく持ち帰ってきていたチキンを売っているというチキン屋へ行ってみたりもした。

 

 そこの店主もやっぱり何か違和感を感じて居るようで、日々を過ごす中で何かが足りないという感覚が消えないのだと言う。

 

「前にうちの店が他の店の店主に秘伝のレシピを盗まれそうになった事があったんだけどね、その時に助けてくれたフィクサーさんがいたんだ。

 でも、誰もそのフィクサーさんの事を知らなくてね...最近はどうにかしてそのフィクサーさんに会えないか色々と調べてるんだ」

 

 やはりちょくちょくあいつの事を僅かながらに憶えている者がいる。

 

 村雨という男はやっぱり存在していたんだ。

 

 でも、大抵の人にとってあいつはいない者だから、俺は少しずつ周囲とずれていった。

 

 それとは裏腹にフィクサーとしての生活はとてもうまく行っていたんだ。

 

 大半のフィクサーが幸せだと思うであろうその日々を謳歌せずに投げうって、ひたすらに居ない筈の男を探す事に時間を費やす。

 

 そんな事ばかりを繰り返していたから、きっとバチが当たったんだろうなあ。

 

「姐さん、いないのか?」

 

 ある日、姐さんが数人の古参メンバーを連れて姿を消した。

 

 そして姐さんが消えた後、あの人が使っていたデスクの上に手紙が置いてあることに気がついたんだ。

 

------------------------

 

 グレゴールへ、私は最近噂になっている図書館という場所へ行ってきます。

 

 実は少し前に招待状が届いていたんですけど、グレゴールはとても疲れているようでしたから、貴方には内緒で向かうことにしました。

 

 もしかしたら、貴方の言っていた〝村雨〝さんという人の事も図書館ならわかるかもしれないと思ったんです。

 

 私たちが留守の間、事務所の事はお願いしますね。

 

------------------------

 

 姐さんは俺の為に図書館へ向かってしまった。

 

 彼処は入ったやつが誰一人戻ってこないって有名なのに、俺がずっと村雨の事に悩み続けていたせいで、俺のせいで姐さんは図書館へ行ってしまったんだ。

 

 俺は慌てて図書館へと走った。

 

 もしかしたらまだ間に合うかもしれない、まだ姐さんは無事かもしれない。

 

 そんな淡い期待を抱いて図書館へとひた走った俺に突きつけられたのは、冷徹なまでの現実だった。

 

 俺は確かに図書館へ辿り着いたが、招待状とやらを持っていないやつは中に入ることすら出来ないんだそうだ。

 

 わかりきってたんだ...叫び、拳から血が噴き出しながら開かない扉を叩き続けても、その中に入れやしないことなんてわかってた。

 

 それでもこの中に姐さんと皆はいるんだと、そうわかっているから扉を叩く事をやめられなかった。

 

「開け!開いてくれよ!返してくれよ、姐さんを、皆を...全部、全部返せぇぇぇ!!!」

 

 どれだけ扉を殴りつけようとも、それは決して開く事はなかった。

 

 もう俺にはただ絶望する事しか出来なかったんだ。

 

「頼む!誰でも良い...誰でも良いから、俺に姐さんと皆を助けるチャンスをくれよ。

 一回だけで良い、一回だけで良いんだ...それだけで良いから頼む...!俺に、皆を助けさせてくれ!!!」

 

『...ゴール...グレゴール?』

 

「まさか、村雨...なのか?」

 

『久しぶりだねグレゴール、元気だった?』

 

 あり得ないと思っていた。

 

 きっと、もう2度と会うことはないのだろうと思っていたその人物が、俺に助け船を出してくれた。

 

『ごめんねグレゴール、私は皆を止められなかったんだ...私はこの図書館へ直接干渉する事は出来ないから

 だから共犯者を作る事で、せめて私の知っている親しい友人たちだけでも救えないかと画策した。

 でも、ダメだったんだ...私が共犯者を通じて図書館へ干渉すると、毎回図書館の本来の主である館長が勘づいて邪魔をされてしまう。

 

 事務所の皆もそれで本にされてしまった』

 

 本にされた?嘘だ...そんな事が許されて良い筈がない。

 

『グレゴール、君だけでも何処か遠くへ逃げて欲しい。

 もし君の下へ招待状が届いたとしても絶対に応じないで!確かに君は強いけど、図書館ではそれだけじゃダメなんだ。

 

 君までもが本にされてしまったらと考えると、私はとても悲しい、だからせめて君は此処から逃げて欲しいんだよ』

 

 そんな事を語る村雨に、俺は一つ言いたい事と聞きたい事があった。

 

「村雨、お前も其処に閉じ込められているのか?」

 

『...うん、私は此処から出られない、そう言う風に出来ているんだ』

 

 そうかそれなら俺から言える事はたった一つだ。

 

「悪いな村雨、俺は姐さんも...事務所の皆も、そしてお前の事も見捨てる事は絶対に出来ない...!俺がお前たちを必ず取り戻してやる。

 

 だから待っていろ...必ず俺が皆もお前も助けるから...!!!」

 

------------------------

 

『そっか、そうだよね、君はそういう人だ...失敗しちゃったなぁ。

 巻き込まないつもりだったのに余計に焚き付けちゃったみたい。

 私はもう友人たちが本にされていくところを見たくないのに、悲劇は見たくないのに、どうして皆来てしまうの?』




【登場人物紹介】

『炎拳事務所生存者/グレゴール』
・何か覚悟ガンギマってしまったグレゴール、主人公が情緒を破壊してしまったせいかまじでギアを上げながら超急加速しながら絶賛曇り続けている。
 多分そのうち例の叫びが出る。

『炎拳事務所の皆様』
・グレゴールの為に〝村雨〝というフィクサーの事を知る為、事務所に届いた招待状を使って図書館へ向かった。
 当然ながら全員本にされてしまったし主人公はめっちゃ曇る。
 なおこの事が原因で、ぶちギレた主人公によって図書館終盤の展開が地獄絵図と化す

『ボンちゃんパパ』
・多分一般接待でさらっと本にされてる、主人公はキレた。

『主人公』
・殺 意 を 貯 め て い る ! ! !

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