都市は都市でも人格ストーリー世界線に来ちゃった   作:薬指〝笛吹派〝スチューデント

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 皆さんお待たせしました。

 今回は短いですが、その分濃い内容になるよう心がけたつもりです。

 でも、正直不安なのです。

 上がりに上がったハードル、読者の皆さんのご期待に添えるかどうか。

 私はかつてその境に立たされた時、結局読者の皆さんのご期待に添えずに道半ばで崩れ落ちてしまいました。

 日毎に離れていく読者を見て、己の作品の終わりを悟ったのですよ。

 そして折れた。

 だから今回もそうなるのではないかと、とてもとても不安で仕方がない。

 けれど、投稿しなければ何も始まりませんからね。

 なので、やるだけやってみる事にしました。


アフターストーリー『夜明事務所フィクサー』③+『幻鏡万華』①

 紫の涙との邂逅、それは僕たち夜明事務所に大きな転機と厄疫を齎した。

 

 図書館へ向かう前に、僕だけはある存在へ会うよう促されたのだ。

 

 当然ながら特色フィクサー相手では僕たちに選択肢なんかあるわけがなく、夜明事務所は二手に分かれる事となった。

 

「此処が紫の涙が言っていた場所でしょうか?」

 

 其処は何かの催しを開いている場所らしく、やたらとギラギラした悪趣味なテントがまるで大口を開けた蛇のように客を待ち構えているようだった。

 

『おやおや!随分と可愛らしいお客様ですね!お一人ですか?』

 

 あまりの怪しさに入る事を躊躇していると、何やら建物以上に怪しい風貌の不気味なピエロがテントの中から顔を覗かせた。

 

「あの、これを持っていけってとある人から」

 

『おや~?これは何かのフィルムでしょうか?なるほどなるほど!つまりこれを使って貴方に最高のショーをご提供すればよろしいのですね!

 そうと決まれば善は急げです!早速楽しい楽しい上映会を始めましょう!!!』

 

「えっ!?あっ、ちょっと!!!」

 

 気づけば僕はテントの中に引きずりこまれ、映画館の席のような場所に座らされていた。

 

『さぁさぁ!お集まりの紳士淑女の皆々様!今宵は我々の新しいお客人が素晴らしい物を持ってきてくださいました!

 此度のショーはその品を使い上映会とさせて頂きます!!!』

 

 僕の意思など関係ないかのように、状況は目まぐるしく変わり勝手に進んでいく。

 

 まるで、一度進んだ時計の針は二度と戻らないように、それは着実に僕へと迫っていた。

 

『これはとあるフィクサーの半生の記録したもの!題して...幻鏡万華!!!』

 

「はっ?...えっ、嘘だ...そんな筈はない!!!」

 

 遠き日に忘れた筈の記憶が湧水のように溢れ出す。

 

 かつていつも自分の傍らにいてくれた友人の事。

 

 そして、その末路が土石流のように頭へ流れ込んでくる。

 

「嫌だ!やめろ、やめてくれ!僕は、僕だけは絶対にそれを見てはいけないんだ!!!」

 

 その言葉に返事を返す者はいない、彼の悲痛な言葉を聞く者は誰もいないのだ。

 

 静寂に包まれた劇場の中で、無情にも上映会は開幕した。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 それは酷く滑稽で陰惨な物語、ただ1人を救う為だけに無数の屍山血河を築きあげた者の話をしよう。

 

 その者の名は村雨。

 

 かつて君の友であり、君を救う為だけに多くの痛みを都市に強いた欺瞞塗れの者だな。

 

 彼の者はまず最初に実績を積み上げるという目的の為、それだけの為に多くの苦痛を他者に与えた。

 

 始めに犠牲となったのは23区の裏路地だったか?あれは酷かったな。

 

「言い訳はしないし謝罪もしない、お前たちは俺征く道が為の贄となれ」

 

 23区の裏路地は数多くの人間を()()として調理してきたが、都市ではそんな事はありふれた些事でしかない。

 

 だからこそ、それに対して報復を望む者も多く存在したということになのだろう。

 

 誰も話を聞いてくれない、誰も自分たちの恨みを晴らしてくれない。

 

 ならば誰に頼めば良い?誰に縋れば良いのだと、そんな声に応えたのが村雨だったのだ。

 

 とはいえそれは正義感からではなく、打算と実利で選んだものではあったがな。

 

 それでも依頼者たちにとって、村雨は長年放置された依頼を受け自分たちには出来ないからと他人に託した復讐を果たしてくれた恩人であった。

 

 そして、その中にハナ協会の上役の1人も有ったのだ。

 

 村雨の目的は、最初からその上役に恩を売る事だった。

 

 過去の事件と未解決の依頼を調べる中で、依頼者の中に偽名を使ったハナ協会の上役がいると知った時、村雨はこれをチャンスだと思った。

 

 解決されなかった依頼はそれだけ厄介であり、つまりは実績となる。

 

 そして、ハナ協会からの覚えを良くする事でこれからの実績を積み上げる助けになると踏んだのだよ。

 

 だけれどね?この計画には穴があった。

 

 先に言ったが、解決されずに放置されているということはその依頼がそれ相応に厄介だという事。

 

 故に、積み上がった屍とは村雨自身のものであったのだ。

 

 幻鏡万華と云ったか?彼の者の代名詞とも言えるそれは、己がありとあらゆる苦痛を引き受ける代わりに全てを無かったことに出来る。

 

 それを限定的に使う事で、彼の者は依頼が成功するまで何度もやり直した。

 

 何度も何度もだ。

 

 これにより彼の者の屍はうず高く積み重なり、1つ目の屍山血河が築かれた。




【登場人物紹介】

『8時のサーカス/オズワルド』
・皆さんご存知クソピエロ、紫の涙がシンクレア君経由で渡してきたやべぇフィルムを使って上映会をやらかした。
 勝手に自分の半生上映会されて、おまけにそれをシンクレアに見られてる主人公の怒りの矛先は果たして何処へ向くんだろうね。

『夜明事務所フィクサー/シンクレア』
・とうとう予告してた時がやってきてしまった可哀想なシンクレア、今回と次回で自分の為に友達がやってきた事を強制的に見せられる事になってしまった。
 なんもかんも紫の涙が悪いのだ!!!

『幻鏡万華/村雨』
・遂にシンクレア君の時の肩書が明かされたこの作品の主人公、知らん間に自分の半生を記録したフィルムで勝手に上映会をされてる事を今はまだ知らない。
 ただし知ったらブチ切れるし、紫の涙が原因だと知ったら更に切れる。

解決済みの人格ストーリー(例えば握らんとする者)の後日談は必要ですか?

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