都市は都市でも人格ストーリー世界線に来ちゃった 作:薬指〝笛吹派〝スチューデント
この小説の平均文字数2500文字くらいなので、それをなるべく外れないようした方が読者の皆様も読みやすいかなって思ったんです。
2つ目は何だったか、嗚呼...20区ユロージヴィの煽動と制圧に時間殺人鬼とやらの鎮圧だったな。
奴らの末路は実に愉快であったぞ?
彼の者は奴らを嵌める為にわざわざ懐へ潜り込んだのだ。
連中めに組織の理念を再確認させ、あらゆる活動を効率化する。
そして奴らの抱えていた、いずれ時間殺人鬼という名の怪物に成る男を常に目の届く場所へ置いて監視し続けたのだ。
やがて奴らがその内に抱えていた焦燥感と不満を煽り、奴らが耐えきれなくなるように仕向けた。
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「なぁジュダス、俺たち最近めちゃくちゃ上手く行ってると思わないか?」
「そうだね、もしかしたら...或いは僕たちも辿り着けるかもしれないね、彼の御方がおられるというユロージヴィの総本山へ」
「そうだよな!俺もいつかあの方に招かれる事が夢なんだ!!!」
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愚かしきかな、長く関われば己の心が引き裂かれる程の痛みを伴うとわかっていながら、彼の村雨はユロージヴィどもの下に居続けた。
だが、如何なる事にも終わりは来るものだ。
彼の者は、最初からその為にユロージヴィへ潜り込んだのだから。
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重たくて硬い鋼が打ち合うような音と、誰かの泣き叫ぶ声がする。
「何でだよ、何でよりにもよってお前なんだジュダス!!!
お前はあんなにも俺たちの為に助力してくれたじゃないか、なのに...何故よりにもよってお前が俺たちを売り渡した張本人なんだよ!!!」
「最初からこの為にお前たちへ接触していた...情もあるし、負い目だってある。
それでも俺は...今からお前たちを狩るよ、それが俺の進む道だから、もう随分昔に立ち止まれない所まで来てしまったからさ」
泣き叫ぶ声が聞こえる。
それはユロージヴィではなく、彼らを裏切りT社へ情報を売り渡した者から発されていた。
「お前たちは良いやつだったけど、それでも俺の最優先は変わらなかった。
変えられなかったんだ...だって、今更変えたらこれまで贄としてきた奴らの死が全部無駄になってしまうから。
...だから俺は、これからも屍の山と血の河を築き続けなきゃいけないんだ。」
「ジュダァァァース!!!」
「さようならユゼフ、最も友に近き者であった男よ」
静寂と血に満ちた道の中心で、二度と戻らぬものを思い彼の者は泣き叫ぶ。
だが、まだ積み上げなければならない贄は残っている。
『あの怠慢なるユロージヴィを壊滅させたと言うことは、やはり貴方も我々の同士だったようですね』
「まぁ、お前の論で云うならそういう事になるんだろうな」
時間殺人鬼、それはかつてユロージヴィに所属していた男の成れの果てであり、今は人々から時間を奪い去るねじれである。
『君は我々に協力するという事で間違いないだろうか?』
「憂鬱とは人を蝕む質の悪い病であり、退屈は人々を蝕む猛毒だ。
あれらは人を目覚める事のない悪夢に落とし、人を愚かにする、お前はその内に退屈を憎んでいるのだったな?」
『正確には退屈の内に時間を殺す者たちを我々は憎んでいる、君も今無駄な話をして時間を殺していると自覚した方が良い』
「ああすまないな、私は君に協力しよう...さようなら、時間を殺す者よ」
『なっ!?』
気づけば時間殺人鬼の胸からは、鋭利で鈍く光る裏切りの刃が突き出ていた。
そして、その刃は即時に天へ向けて振るわれ、時間殺人鬼は縦に裂けてしまった。
『何故なのです?貴方は我々の協力者になってくれると...』
「お前はやり過ぎたんだよ、進む事をやめて現状維持を選んでしまったから。
停滞という最も冷たくて鋭い棘がお前に刺さってしまったから、お前はもう此処で終わるしかないんだ。
...お前も俺を許さないでくれて構わない、むしろ存分に恨んでくれ、俺の身勝手なエゴと理屈でお前は殺されるのだから」
『また足りないと云うのか、また私は届かないのか、私は...』
時間殺人鬼の手が力なく垂れ下がる、その体からはもう熱が消えていた
呻く、叫び咽ぶ、泣き叫ぶ、そうやってどれだけ悔やんだとしても、かつて其処に在ったものは帰って来ない。
「まだだ、まだ積み上げなければならない、そうしなければこれまでやってきた事は全部無意味になってしまうから、だから...だから俺は進み続けなければならないんだ
...なぁシンクレア、俺はいつまで進み続ければ良いんだろうな?お前を救う為って言い訳して、自分を慕ってくれた人たちを殺し続けて、それでも求める場所へは至れない。
それなら、俺のこの行動に...なんの意味があるんだ?」
そんな彼の者に空いた心の隙間に、あの声は入り込んだのだ。
『可哀想に、貴方が1人でとても頑張っていても誰一人としてそれに報いてはくれなかったわ』
「誰だ...あぁ言わなくても良いぞ?どうせお前だってなんの糸口にもなりはしないんだから。
それなら黙って消えろ、最近ずっと頭の中で響いてた耳鳴りの元はお前なんだろう?この忌々しくて鬱陶しい畜生め。
消え失せろ、俺はお前なんぞに用はない...!!!」
『あら、怖がらなくても良いのよ?私はただ貴方が心のままに過ごせるよう助けてあげたいだけ。
さぁ、貴方は何がしたくて、何に成りたいのかしら?私にそれを教えて頂戴?』
「黙れよ化生が!お前みたいに善意を装って俺に関わろうとして奴は大勢いたさ、でもその尽くが俺のせいで死んだ!俺は知っていたのに、俺だけは助けられたのに、それなのに俺はあいつらを助けられなかったんだ!!!」
彼の者の中に在るのは最早後悔だけであった。
積み上げてしまった痛みと犠牲の山の重みがのしかかって、それを放り捨てる事は出来なかったから。
「だから、せめて人くらいはこの手で救えるようにって、その為に此処まで来てんだよ。
何で今更、今になって俺の元へやって来た?もっと早く来ていれば、もっとすぐだったら俺はそれに縋ったかもしれないのに...けれどな、今更そんなものに縋れる程俺の罪は軽くない、全部手放して逃げてしまうには多くの物を抱え過ぎたんだ。
もう、今更後戻りなんか出来ない所まで来てしまったんだよカルメンッ!!!」
『!?何故その名を貴方が...!』
「全て知っているさ、あんたがこれまでしでかした事も今もしでかし続けている事も全部俺は知っている」
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そうであったな、彼の者は全てを記憶している。
この都市で起きた悲劇も、この都市に刻まれた痛みも、その全てを"記録"しているのだから。
さて、この後の部分は今どうでも良い事だ。
これにて2つ目の屍山血河が築かれたわけだな、次の舞台へと参ろうか。
【人物紹介】
『ユロージヴィの構成員』
・元々ユロージヴィ自体がいつ爆発するかわからない不穏分子だったので主人公に依頼が来た。
『時間殺人鬼』
・時間を殺していたら主人公に殺された可哀想な人、ただやり過ぎてしまったから依頼が来ちゃった。
『ユロージヴィ構成員ジュダス/村雨』
・ユロージヴィに潜り込む為にジュダスという偽名を名乗っていた主人公、泣きながら痛みと犠牲と悲しみを積み上げている。
解決済みの人格ストーリー(例えば握らんとする者)の後日談は必要ですか?
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