都市は都市でも人格ストーリー世界線に来ちゃった   作:薬指〝笛吹派〝スチューデント

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 今回で上映会は終わり、次回漸くシンクレア君が図書館へ向かいます。


アフターストーリー『幻鏡万華』③

 最後に残った3つ目を教えよう、親指と指による指間の熾烈な抗争。

 

 所謂『指戦争』と呼ばれる事態の沈静化だ。

 

 それは最初とても小さな火種だった。

 

 村雨と呼ばれた彼の者が直接関与せずに発生した珍しいケースだったな。

 

『中指の末弟が親指のソルダートと軽い諍いを起こした』そんな軽い1件から都市を震撼させたあの指戦争は始まったのだ。

 

 親指の慣例と中指の慣例が最悪の形で噛み合い、盛大な仕返し合戦が始まったのさ。

 

 だが、彼の者はこの1件になんら関わりがないからこそ...今度こそはその力の一端を容赦無く振るう事が出来たのだよ。

 

『中指はァ!!!忘れないィィィ!!!』

 

『しっしっし舌を、舌を切り落とし、舌を切り落とさなければ!』

 

『嗚呼、酷い戦場だな...どいつもこいつも好き勝手に暴れて、そしてそれが一週間続いた果てに尽くねじれたってわけか。

 はぁ...本当に嫌になるよ、お前たちはあまりにも人々に悪夢を見せ過ぎた。

 

 だから、お前たちも望まぬ悪夢を見ると良い』

 

 彼の者の体を幾重にも連なった硝子の破片のようなものが覆い尽くし、その破片たちで形作られた大輪の華が咲き誇る。

 

 そして、その花弁は一つまた一つと砕け散りその中身が少しずつ顕になるのだ。

 

 それは一つ一つが鏡であり、それらは全てを俯瞰する。

 

 破片が全て砕け散った時、其処には全身に鏡のようで全てを写す王の如き装束を身に纏った彼の者、村雨の姿があった。

 

『今回の件がお前たちの引き起こしたもので良かったよ、お陰で...何も感じずにお前たちを殺せる』

 

 その手が振るわれる度、1人また1人とその場にいた指の構成員たちがまるで割れた鏡のように砕け散っていく。

 

 そんな地獄のような光景の中で、彼の者は1人苦痛に悶え叫ばんとする己が心の声を噛み殺し、ただ孤独にその場の全てを殺し尽くした。

 

 全てが終わった後、彼の者はハナ協会から表彰され正式に1級フィクサーとして認定された。

 

 無事に必要な功績は積み上げ終わったと云うわけだな。

 

 だが、それでも彼の者の心は晴れなかった。

 

 これ程までに死と悲劇を積み上げても尚、己が友は見つからなかったからだ。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

『紳士淑女の皆々様!本日はこの上映会に起こし頂き誠にありがとうございます!!!如何がでしたか?お客様!貴方様のご友人はとても素晴らしいご活躍をなさっていたようですねぇ?

 ですが不思議ですね、わたくし様々な場所で公演を行って参りましたが、このような話は聞いたことがありません!あぁ実に惜しい!もっと詳しく知りたいですねぇ?』

 

 不気味なピエロの顔がより一層近くなり、それはこちらに向けられている。

 

 そして、猛烈に嫌な予感がしました。

 

『やはり貴方に聞くのが一番手っ取り早いのではないでしょうか!

 それでは早速始めましょう!新たなるショーを!きっと最高のものになりますよ!!!』

 

「いっ嫌です!やめて、やめてください、僕はもう嫌だ...もう見たくない!!!」

 

『そんな事を仰らないでどうかどうか!ささっこちらに』

 

 気づけば僕は、再び違う場所に1人立っていて...いや、1人じゃないんだ。

 

 漸く理解しました。

 

 あのピエロが言っていた皆々様と云うのは、きっとこの事だったんですね。

 

「どうして?どうしてこんな酷い事が出来るんてすか!!!」

 

 幾つもの虚ろな視線がシンクレアに向けられている。

 

 それらは全て、かつてシンクレアの友であったものであり。

 

 それらは全て、シンクレアを助ける為に積み上げられた彼の者、つまりは村雨の屍で出来た山河であった。

 

 無数の村雨たちが一斉に口を開く。

 

『シンクレア、何故君を探す俺の所へ君は来てくれなかったんだ?』

 

 それは疑問であったり。

 

『シンクレア、君がもっと早く現れてくれれば俺はこんなにも多くの屍を積み上げずに済んだのに』

 

 シンクレアに対する憎悪の声でもあり。

 

『ごめんな、俺が見つけてやれなかったからこんな事になってしまった。

 今、俺がお前を望まぬ悪夢から覚めさせてやるから、だからもう悲しまないでくれ』

 

 シンクレアを見つけられなかった彼の者の後悔の声であったりした。

 

「あぁ、あぁぁぁぁぁ!!!やめろ!ふざけるな!!!村雨がこんな事を云うわけがないじゃないですか!こんなの全部嘘だ!貴方が作った嘘っぱちの作り話なんでしょう?そうじゃないと!僕は、僕は...!

 

 ...なんでなんですか?どうして其処まで僕を助けようとしたんですか?どうしてなんです村雨ぇ!!!」

 

 シンクレア

 

「村雨...なんですか?」

 

 どうかそんなものに惑わされないで、私は君に痛みなんてただ1つとして与えたくはないのだから

 

「村雨、貴方は今何処へ...何処にいるんです!!!」

 

 君は、君だけは来てはいけない、君まで此処に来てしまったら私はもうどうしたら良いかわからなくなってしまうから

 

「いいえ、いいえ!村雨、貴方がそうしたように今度は僕が君を助けます!だから!!!」

 

 シンクレア、私はそれを望みません...けれども、貴方がそれを望むと云うのならば、そうだとするならば、貴方が自らの意思で選び取ったその道を閉ざす権利など私にはありませんから、その手の中にある招待状を使うしかありません

 

「これって...サルヴァドールさんとユナさんが持っていった筈じゃ」

 

 それは貴方の為に送られた貴方だけの招待状です、それを使えば貴方の望む場所、図書館への道が開かれます

 

「今すぐ行きましょう!!!」

 

 走り去るその背中には片方だけの燃える翼が揺らめき、その手には燃え盛る剣が握られていた。

 

 ...嗚呼、子供は久しぶりの再開にどんな顔をするのかしら、楽しみね




【人物紹介】

『夜明事務所フィクサー/シンクレア』
・漸く地獄の上映会終わったのに更なる地獄を見せられたが折れなかったので"不安定なE.G.O"に目覚めた。

『暖かい声』
・くっそ最悪なタイミングでクソリプセールスかけたら不安定なE.G.Oに目覚めたシンクレア君にご満悦の模様。
 やったね主人公!こいつのせいでシンクレア君君の所に来ちゃうよ!!!

『幻鏡万華/村雨』
・なんかさらっとE.G.Oを披露したが、使える事自体は薬指親方編の最後の方で明かされたので漸くそれを回収した形になる。
 ビジュアルが伝わりにくそうなのが厄介である(作者は人型描くの苦手)

解決済みの人格ストーリー(例えば握らんとする者)の後日談は必要ですか?

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