都市は都市でも人格ストーリー世界線に来ちゃった 作:薬指〝笛吹派〝スチューデント
一週間ぶりですね皆様。
巡り廻って幾多の縁、悲劇は多けれどもこの身には無くす事能わず。
友よ、汝らの願いは何処にありや?この身は最早汝らを救う事叶わぬが故。
...否、これなるは言い訳に過ぎず、この身は未だ此処にありけり。
友よ、この身汝らに呼ばるるばすぐさま馳せ参じんと思ふ。
故に、約束の音色を鳴らしけり。
さすれば我、汝らの元へ現出せん。
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シンクレアは暗闇を駆ける、ただ友を救わんとするが為に。
シンクレアは駆ける、己が惑わされたのだと気づく事すらなく。
だがそれでも、友を救いたいという志だけはシンクレア自身のものであったから。
故に駆けるのだ。
友の元へ、友の囚われし図書館へ向けて全力で疾駆し続けるのだ。
そんなシンクレアと1人の男がぶつかった。
「!?すいません!」
「いや構わないけどよ、そんなに慌ててどうしたんだ?あっちには...まさかお前さんもなのか?」
その男は背に何処か見覚えのある大きなタンクを背負い、その腕には全てを焼き尽くさんとする炎拳が携えられていた。
そう、炎拳事務所生存者のグレゴールである。
「そうか、お前も友達をあのクソッタレの図書館に奪われたのか」
「事務所の皆とも離れ離れにされて、今どうなっているかわからないんです」
奇しくもフィクサー事務所の生存者2人が邂逅を果たしたのだ。
それに、お互い友を目の前で失った者同士でもある。
「俺も今から図書館に向かう所でな、お前も一緒に行くか?」
「ぜひ!でも招待状はどうするんです?僕の招待状はどうやら1人分で、しかも図書館の目の前で使わないといけないらしくて...」
「そいつはおかしいな?俺が聞いた話によると、招待状を使ったやつは忽然と姿を消したって聞いてるぞ」
「それじゃこの招待状はいったい?」
「実は俺も招待状を持っていてな、でも何故かその招待状には俺以外の誰かの名前が記されていて、しかもその名前は読めないときた。
困り果ててこの辺りを彷徨いてたお前さんが飛び出てきたってわけだな...ん?」
グレゴールの手元の招待状が微かな光を帯びる。
「名前が読めるようになってるぞ?えっと...シンクレア?」
「...!?それは僕の名前です!」
「なんてこった!これはどういう偶然だ?これも何かの縁って事だし、そうだよな...村雨」
「えっ?」
この時シンクレアは初めて知る。
目の前のグレゴールが云う友達もまた、シンクレアの友人村雨の事であったのだ。
こうして共通の目的を持った2人は図書館へと赴く、その行く末が幸か不幸かは都市の神のみぞ知るのだろう。
とはいえ、それを観測する者たちは今すぐ見たくて仕方ない筈だ。
故に、少しだけ時計の針を進めてみるとしようか。
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幾つもの火の粉が舞い散り、大火は踊る。
「はぁ...そう簡単には行かないよな?」
「あんたが諦めてくれさえすればすぐだと思うぜ、アンジェラが言ってたんだよ、其処の坊主と違ってあんたは呼ぶ予定の無かったゲストだってな。
俺だってな、好き好んでこんな人殺しをやってるわけじゃないんだぜ?だからもう諦めろ...つっても諦めるわけないよな、それならここになんか来ないだろうから」
「良くわかってるじゃないか、そうだ...俺は姐さんを!皆を!そして村雨を絶対取り戻す!!!」
「...えぇ僕だってそうです、僕も此処に囚われたであろう事務所の皆と村雨を絶対に取り戻してみせる!」
2人分の炎が空間を満たし、そしてその最早煉獄に灯る業火と化した炎はローランや司書、司書補たちを焼き尽くさんと迫るが、やはり運命の修正力というかなんと云うか、彼らの心血を注いだ最後の一撃は...ローランたちには届かなかった。
だが、それでは終わりを告げる帳が降ろされる事はない。
まだ1つだけ。この悪夢を打開する手段が残っているのだから。
「これは!?凄い前に村雨から貰ったベル?」
『君がもし、暗がりの中で酷く迷ってしまって、自分ではどうしようもなくなってしまった時。
君が望まない悪夢の中で、足掻いてもどうにもならなくなってしまった時。
そんな時はこのベルを鳴らしてごらん。
そうすればきっと、懐かしいあの日の誰かが君の元を訪れてくれるから』
黄金の枝共鳴
「支社でパクった黄金の枝を変換しておいて正解だったな、この姿になったのはいつぶりだろうな...まぁ、そのなんだ?久しぶりだなシンクレア」
幻鏡万華『村雨』顕現の時である。
「取り敢えずお前はグレゴール連れて逃げろ」
「待ってください村雨!僕だって一緒に戦えます...いえ、戦わせてください!!!」
「駄目だ...そもそもなんで此処に来た!お前や友人たちが此処に来なくて済むよう色々と手を回したってのに、どうしてかお前は此処に来てしまった。
間違いなく誰かが裏でお前たちを嵌めようとしているんだ。
そいつの思惑通りにさせるわけにはいかない、だからグレゴールを連れて、早く逃げるんだ」
「でも僕は!」
「今のお前ではまだ無理だ!!!頼むシンクレア...俺はお前までもがこの忌々しい図書館へ囚われる事を望んじゃいない」
シンクレアの心に、少しだけ罅が入った。
村雨は、僕の力を必要とはしてくれないんですか?
「シンクレア、頼む」
「うわぁぁぁぁぁ!!!」
シンクレアは瀕死となり意識を失っていたグレゴールを抱えていた走り出した。
心に抱えた靄も、今は何処かに置いておくしかない。
だって、今の自分を村雨は必要としていないのだから。
『可哀想な子、最も求めて欲しい時に求めて貰えなかったのね、貴方はただあの子供に「一緒に戦おう」とそう1言だけ言って欲しかったのよね?』
「前にもこんな事があったんです、あの時も僕は何も出来なくて、今度こそ何かが出来ると!そう思ったのに!!!」
『なら今考えるべきは貴方が「どうしたいか」「とうなりたいか」よ。
考えて見て、あの子供と並んで戦っている貴方を、それほどんな姿をしているのかしら?』
「僕は欲しい...村雨の隣で一緒に戦える力を、そして村雨に認めて貰える自分に僕はなりたい!!!」
『良い子ね、じゃあ...その姿になりましょう?』
一瞬の逡巡の後、シンクレアはその言葉に頷く。
刹那、暗い裏路地の片隅で凄まじい火柱が上がった。
その火柱が消えた後、そこにあったのは気弱で優しい少年の姿ではなく、溶鉄の如き燃え続ける体を悶えさせながら叫び続ける『泣く子』であった。
【人物紹介】
『シンクレア』
・とうとうねじれてしまった可哀想な我らがシンクレア、クソリプお姉さんによって全話から念入りにねじれるよう仕組まれてた。
ねじれた姿はストーリー最終盤のフィリップ君最終形態。
『グレゴール』
・めっちゃ頑張ってたのに全身全霊の最後の一撃を当てられなかった隙を付かれてすんごい痛手を負った結果意識を失ってた。
何気にフィリップ君との同時接待で火傷ダメージがえらいことになっていた模様、ゲームなら間違いなくクソゲー(時系列的にはまだ都市疾病である)
『ローラン』
・内心すっごい自己嫌悪と申し訳なさで潰れそうになっている。
『村雨』
・痛恨の言葉足らずでシンクレア君がねじれちゃった。
『今のお前では(信頼はしてるけど)まだ無理だ!』こんな感じで所々大事な部分が言葉足らずなのである!
解決済みの人格ストーリー(例えば握らんとする者)の後日談は必要ですか?
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