都市は都市でも人格ストーリー世界線に来ちゃった 作:薬指〝笛吹派〝スチューデント
「さてと、早速入り込んだは良いが何をすれば良いのやら...あぁ、取り敢えずラ・マンチャランドの現支配者が誰か確認した方が良いな。
その如何ではそれこそ幾らでも地獄が顕現し得るぞ、もしも、まぁ絶対にあり得ないがカセッティみたいな変なやつがトップになってたら大目玉だ」
ラ・マンチャランドは世界線によってかなり色々と変わってくるのだ。
特にこの世界線『炎拳事務所生存者』の世界は、父親の方のドンキホーテがどのような行く末を辿ったのかいまいちわかっていない。
もしやとは思うのだが、それだけは外れていて欲しいと俺は思っている。
「はぁ...まぁそう上手くは行かねぇよなぁ、こんな怪しい奴が許可もなく自分たちの楽園を練り歩いていたら、それはもう間違いなく駆けつけて来るよな。
ラ・マンチャランドが誇る第2眷属サンチョ、あんたが来るのは何となくわかっていたよ」
「貴様...何者だ?お前のような血鬼はこのラ・マンチャランドで一度たりとも見たことがない。
私の槍が貴様の心臓を貫かんとする前に、いったい何処から入り込んだのか答えるが良い」
俺を睨みながら槍を構えるのは美しい金色を湛えた美しい長髪をたなびかせた赤い眼の女。
そう、『ラ・マンチャランド室長』サンチョである。
「ヒュ~♪噂通りの美人さんだこと、昔の友達に紹介してやりたくなるぜ」
「ふざけているのか?質問に答えろと言っている」
「そう苛つくなよ、折角の綺麗な顔が台無しになっちまうぞ?それに俺はちゃんとチケット使って入ってるから不法侵入じゃあない。
あっ、でも受付がいなかったからしゃあなく自分でチケットの半券千切りとって置いて来ちまったんだよな。
何で受付に人がいないんだ?おかげで入ったは良いが何処へ行けば良いのかわからんからずっと迷いまくる羽目になったぞ」
「...それはすまない事をしたな」
あぁ...やっぱこの人感性まとも寄りだわ、シンプルな話不法侵入だと思っているなら、都市であれば即ぶっ殺しにかかるのは日常茶飯事だしそれが普通だ。
律儀に質疑応答してる辺りほんとに真面目ちゃんなんだなこの人。
ん~、仕事とはいえこの人騙さなきゃいけないのしんどっ...嫌な仕事回してくれちゃったなぁハナ協会。
「ところで貴様は誰の眷属なのだ?我々としてはそれをはっきりさせておかなければならないのだが」
あっちゃんと変装作戦が成功してるのね、俺が血鬼ってことで話が進むなら結構楽なパターンだわ。
「あぁ...まぁそうだな一応俺は第4眷属相当って事になってる。
偶々仲良くなった奴が第3眷属の血鬼だったらしくていつの間にか血鬼になっててな、しかもそいつ名を名乗らずに俺を放置したもんだから半ば育児放棄だな。
まぁ...そんな感じだから何処の所属でもないフリーだと思ってくれて差し支えないぞ」
「...ますます貴様をどう扱えば良いのかわからなくなったな。
取り敢えず着いてこい、今から私の家族たちに会わせよう」
「了解、大人しく着いてくから安心してくれ」
あぁやだやだ、理髪師とか姫とか神父に出くわすのめっちゃ胃がきっついんだわ。
頼むからその三人は本家であってくれよ?人格バージョンだと色々ややこしくなるから。
結論から言おう、ラ・マンチャランドの血鬼三人衆は基軸世界と変わらないご本家様だった。
んで顔合わせはすっごい平和に終わったから拍子抜けではあったんだが...
残念な事にその後がかなりの大問題になってしまった。
「あぁ~...その女は?」
「こいつのこと?園内の入り口周辺でうろうろと怪しい動きをしてたから捕まえちゃったわ、取り敢えず血袋にでもしようと思っているけど」
「よした方が良い、その女の部下連中めちゃくちゃ執念深くてわりと強いからそいつに何かするとわりと洒落にならん被害が出るぞ」
「そうなのぅ?つまんないわねぇ」
あっぶね、もう少しで地獄の門が口を開くところだったぜ。
いや、何やってんの姐さん?ラ・マンチャランドにはハナ協会の依頼で俺が行くことになったから絶対に来ないでくれって言ったよね???
「取り敢えずそいつは俺が外に放っぽり出して来るから、ニコリーナさんは室長にフィクサーたちが此処を探り回ってるって伝えてくれ」
俺が色々とお節介焼いちまったから史実通りに事が進まなくてこっから先がどうなるか全く予想がつかなくなっちまった。
あぁ、そういえば俺が此処で血鬼として馴染めてる理由だがそれはいたって単純な話だ。
肉体の〝側〝を完全に血鬼のものへ切り替えてるから、そのおかげで違和感なくあいつらの中に馴染めてるってわけだな。
EGO侵食と外形投影を応用した技術なんだが、まぁその辺は追々で良いだろ。
んでまぁ、今はその三人衆に詰め寄られて質問責めされてるんだけどな。
「貴方が本当に我々の同胞であるという証拠を見せていただきたい、貴方が現れたのとフィクサーたちがラ・マンチャランドを頻繁に襲撃するようになったのはほぼ同時期です。
それに、此処に侵入したフィクサーを外に逃がしていたとニコリーナから聞いていますよ」
「あぁ...あれはいらん面倒を起こさない為にやったんだがそのせいで俺疑われてんのね、そんじゃまぁ~見せますか」
血鬼の持つ力の代表例と言えば血液から武器を形成したりするのが有名だし、これ以上ってなると上位眷属しか使えない血そのものを操る力しかないから、それを第4眷属って事になってる俺が使えたら不自然過ぎる。
それなら、答えは一つしかないよな。
「これが俺の血鬼としての武器『ラ・サングレ・カリーニョ』だ」
「おぉこれは...認めざるを得ませんね、貴方は本当に我々の同胞のようだ」
身の丈程もある鮮血で形作られた大鎌、それがこの姿の俺が使う武器であり変装用の小道具だ。
今回の潜入にあたって、俺は武器を幾つか新調した。
その中の一つ、この『ラ・サングレ・カリーニョ』は普段血液の中に紛れ込むようにして俺の肉体に収納されている。
そして、必要な時が来たならば血中から大鎌の形で再形成されるのだ。
ちょっと前に作った〝釘〝も似たような方法で作られているから、端から見たら俺も血鬼となんら変わりないだろうな。
もう一つちょっとエグめのもあるが、それはまぁ使わずに済むことを祈るよ。
今重要なのは彼らに溶け込むことだから。
・・・人格混線を確認、予想されるシナリオを再構築。
炎拳事務所生存者』×『ラ・マンチャランド室長』→『■■■■■』鏡面再観測開始
観測完了・・・人格ストーリー『終幕劇演者』
【登場人物紹介】
『ラ・マンチャランド室長』
・皆さんご存知サンチョ、炎拳事務所出すならその敵対者のラ・マンチャランド出さなきゃ駄目だろってことで人格ストーリーのクロスオーバーが発生した。
でも何故かサンチョ以外は囚人の人格じゃなくてまじもんのご本家様たち(神父はグレゴールにしたら面白いかもと迷ったが、何かお辛くなるし頭の定めた禁忌に抵触しそうだからやめた)
『ラ・マンチャランド血鬼三人衆』
・ご本家そのまま、人格バージョンではない。
『炎拳事務所の姐さん』
・ネットで見つけたユーリそっくり概念を採用したせいで酷い死に方をしそうに見えるが、作者が3月にリンバスを始めた時に生リンゴを摂取してかなり可哀想に思ったのでわりとギリギリで助かるように毎回シナリオを組んでいる(イベントで触れられてて凄く嬉しかったけどまた悲しくなったよ)
『主人公』
・何か工房みたいなことやり始めている、因みに武器は路地裏で見つけた良い感じのものを集めて作った。
なお製法はカリスト辺りが大喜びしそうな工程なので、詳しく描写したら皆吐いちゃうから書かない。
【登場物品紹介】
『ラ・サングレ・カリーニョ』
・主人公が路地裏で集めた有り合わせの材料で作った武器、普段は血中に溶け込むようにして収納されている。
因みに大鎌とは言っているが、持つ手は脈打つ血管を束ねたような形で、刃の部分は羽のように広がった神経のような造形なのでどちらかと言うと斧である。
名前の由来はスペイン語で『愛情』『親愛『思いやり』等を意味する『カリーニョ』とドンキちゃんの初期EGO『ラ・サングレ・デ・サンチョ』から名前を少し貰って混ぜたもの、ニュアンスとしては『親愛なる血』或いは『親愛なる者の血』的な意味でつけた。