都市は都市でも人格ストーリー世界線に来ちゃった   作:薬指〝笛吹派〝スチューデント

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 『終幕劇演者』編、おそらく次にて終点。


『終幕劇演者』③

 終幕へ向けて、全てを偽り演じ続けるしかない愚かなる者。

 

 それが俺と言う存在であり、この身を定義する記号。

 

 ならば、その末路はきっと...酷く後悔に満ちたものになるのだろう。

 

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 俺の正体が室長にバレて以降、どうにも彼女の態度が軟化したような気がする。

 

 おそらくは得体の知れない者から、同胞であると偽っていたフィクサーだと正体が判明して、わからない故の怖さが無くなったからなのかもしれない。

 

 だが、それは少し困るというか...彼女にはまだ警戒心を維持して貰わないといけない。

 

 ...そしてそこから少し後の事だ。

 

「よっ、グレゴール」

 

「!?」

 

「おいおい俺だって!ほらな?」

 

 俺は偶々ラ・マンチャランドの外周部を彷徨いてるグレゴールを見つけた。

 

 仕事だと言って出ていった俺が戻らないからハナ協会に問い詰めたら此処に向かったことを伝えられたんだと。

 

 そういやハナ協会の上役の変死、あれはどうも人とへ思えない怪物と化してフィクサーによって処理されたらしいな、それで血鬼に怪物へ変えられたんじゃないかって話になったみたいだ。

 

 おいおい、それ絶対ねじれだろ?めんどくせぇ...この世界ではまだ出くわした事なかったが、そういやもうL社自体は折れてるんだったな。

 

 幻想体と違って殺せるからまだ良いが、それでも無駄に硬いからしんどいんだわあれ。

 

「あんた、さっきまでの姿はいったい?」

 

「あれか?ちょっと色々技術をやり繰りした変装技術だな。

 ハナ協会の上役さんから色々仕事受けてたら呼び出し食らって『君が出来ることを全て見せてくれたまえ』みたいな事を言ってたな、そん時にこの変装見せたらこのラ・マンチャランドに行ってこいって言われちゃったわけ」

 

 いやぁ、あれは明確に俺のミスだったな。

 

「取り敢えずそんなわけだからさ、姐さんにも大丈夫だって伝えといてくれないか?俺はさっきの姿でわりと気に入られてるから殺されはしないだろうってな」

 

「それは構わないが、お前さんはいったい何の為に此処へ送られたんだ?」

 

「...悪いな、それはハナ協会からの仕事に関する守秘義務に抵触するから話せない、だがそんなにやべぇ事じゃあねぇから安心してくれ」

 

「わかった...気をつけろよ」

 

 はぁ...取り敢えず帰ってくれたか、いやぁ演じるってのは結構難しいねぇはははっ...はぁ、どうすっかねこの後。

 

 取り敢えず血鬼の連中には俺が作った血液の代替品『血晶飴』が行き渡ったから暫くは大丈夫だろうが、問題はフィクサーの方だな。

 

「なぁ、まじで放っておいてくんねぇかなぁ?やっとこのラ・マンチャランドの血鬼たちが明日への道を踏み出せそうなんだ。

 ...俺としてはこのまま話が上手く進んでくれれば誰も犠牲にならなくて済むから嬉しいんだけど?」

 

「お前は自分が言っている事の意味を正しく理解しているのか?

 それは今に至るまで犠牲になってきた者たちを勘定に入れていないだろう、それでは帳尻が合わない」

 

 物陰から滲み出る複数の気配、やだねぇ...多分これあいつらでしょう?

 

「流石は牙狩り事務所、その辺は本当に容赦がない」

 

「彼らだけではありませんよ、私もいます」

 

「嗚呼、本当に涙が出そうだよ...どうしてあんたがいるんだ?白い月の騎士よ」

 

 声がした方、其処には青い髪を風に揺られながら此方を見据える女...かつて父なるドンキホーテに夢を与えたバリという名のフィクサーが其処にはいた。

 

「なんであんたが此処にいる、かつてあいつらに夢を与えたあんたがよりにもよってあいつらを滅ぼす側に回ると?」

 

「そうですね、それが彼らに夢を与えた私の責任ですから。

 彼らはもう人々と共に夢を見るには殺し過ぎてしまいました。

 

 だからこそ、彼らに明日への夢を与えた私自身がその責任として彼らの夢を終わらせます」

 

「そっかぁ...そうだよなぁ、あんたは多分そういう人なんだろう。

 でもごめんな、俺も本当に馬鹿だからさぁ...一度でも情が移ってしまったらもう見捨てられないんだよ。

 だから...わかるよな?俺は今から人としての道を歩むうえで最悪な罪を犯す。

 

 そしてお前たちは、望まぬ悪夢を見るだろう」

 

 全身が罅割れ何かに侵されるような感覚、初めてかもかもしれねぇな...俺がこいつを全力で使うことになるのはさ。

 

「これが何かはわかるか?まぁあんた程のフィクサーなら知っているだろう。

 そう...これはEGO、ただし俺自身のじゃあないこれは折れた翼の一つL社、その支社の一つで手に入れた抽出されたEGOだ」

 

 俺の手には血鬼に溶け込む為に新調した武器とは別に、血に錆びた荊のような弦が張られた弩が握られていた。

 

「都市に彩りを与えた功労者たちの墓を漁るみたいで、このやり方はあまり好みではなかったんだがな。

 それでもまぁ、こんな時が来て役に立つのならやってみるだけの価値はあったのかもしれない。

 

 少なくとも、少しの間であったとしてもあいつらが守れるのならば...その道が例え後悔で満ちていたのだとしても、俺はそれで良い」

 

「その姿を取ったという事は...貴方はあくまで血鬼の側に立つという事ですね」

 

 嗚呼、他者の殻に身を包むのは...本当に骨が折れるよ。

 

『この幾千幾万の荊を以て私は罪人と成り、あまねく汝らを一掃せしめんとする悪魔と成ろう。

 私はその為にいるのだから、その為に生まれてきたのだから』

 

 この身を包むのは血に錆びた荊。

 

 全身に絡み付くそれは、俺の血鬼としての姿が白い長髪であるのと相まって何処か父なるドンキホーテを思わせる姿と化していた。




【登場人物紹介】

『炎拳事務所生存者グレゴール』
・地獄への道が舗装され始めたが、君には最高の見せ場があるんだ。

『牙狩り事務所の皆様』
・ごめん君たち多分酷い目に合う。

『バリ』
・青い月の騎士と呼ばれるフィクサー、作中の描写から特色フィクサー或いはそれに準ずるものであると考察されている謎の多い女性。

『主人公』
・なんとロボトミー支社からEGOパクってた事が発覚したうえに何か変装用の側とEGOが合わさってドンキパパっぽくなった。

【登場物品紹介】

『ロボトミー抽出EGO:錆びてしまった茨の手向け』
・主人公がどっかのL社支社からパクってきたEGO、ちなみにクロスボウタイプ、これのせいで多分主人公のラ・マンチャランド人格が出ると形態変化を駆使して斬撃と貫通を使い分ける「沈潜」「出血」人格になる。
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