都市は都市でも人格ストーリー世界線に来ちゃった   作:薬指〝笛吹派〝スチューデント

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 ※閲覧注意です。


『薬指親方』①

「はい、それでは今から人体で何らかの造形をする場合に覚えておくべき必須知識を教えるからちゃんとメモをとっておいてくれよ?

 筋繊維は駆動系、神経は指揮系統、血液と脳液は燃料、そして心臓はその全てを動かす為のエンジン及びポンプとなる。

 それぞれのパーツを縫い合わせる際は毛細血管か皮から取り出した糸を使うこと、これマジの必須事項な?素材同士の定着率がだいぶ変わってくるからなるべくならこの2つを使うと良い。

 

 もし、どうしても色合いとか質感が自分の作品と合わなくて気に入らないようなら代替品もあるにはあるんだが、値が張るから素直にこの2つを使った方が殆どの場合安牌だな」

 

「先生、その代替品って何なんですか?」

 

「うん!向上心があって良い質問だね、君には少し多めに加点してあげよう。

 さて...代替品についてだが、値が張ると同時に自分がその材料にされないよう気をつけなければならない。

 何故なら、その代替品として代表的なものが謝肉祭と呼ばれている団体が人を材料として紡いだ糸だからだ。

 

 人の肉体から作られているが故に人を素材として作ったパーツを縫い合わせる際は非常に最適とされ血肉への馴染みも良いのだが、それと引き換えに割高で、そのうえ謝肉祭に接触すること自体が最大のリスクとなり得る。

 何故ならば、彼らはそうやって自分たちが紡いだ糸で織った布を売る事もあれば、買いにきた者を丁度材料が足りなかったからとそのまま材料としてしまう事があるからな。

 故に、前述した通り自らが材料にされてしまう事を考慮してあまりお勧めはしていないというのが私の見解だ」

 

 はぁ...なんで俺はこんなところで教師の真似事をしているんだ?

 

 ...きっかけは遡ること3ヶ月前だったかねぇ、グレゴールの目の前で死んだ俺は、またしても都市の一角で眼を覚ましてしまったんだ。

 

「あぁ~くっそだる!なんでこう毎回変な所へ飛ばされるんだ...」

 

 どうにも今回は裏路地の何処かへ飛ばされたらしく、そのうえ偶々眼に入った時刻表を見れば〝裏路地の夜〝が来るまで秒読みといったところである。

 

「あぁ、こういう時はあれだな久しぶりに裏路地タイムチャレンジやるか」

 

 説明しよう、裏路地タイムチャレンジとは裏路地の夜発生中にどれだけ掃除屋を狩りまくれるかという遊びである。

 

 というのは建前で、掃除屋を倒しまくらないと生き残れないから無理矢理それを遊びとして認識することで胃へのストレスを軽減しているだけである。

 

「そらかかってこいやぁ!!!」

 

 どうやら〝前〝から持ってこれたらしいラ・サングレ・カリーニョを構えながら戦意を向上させる為に続々と現れ始めた掃除屋たちに向けて雄叫びをあげる。

 

『13...13...195...3』

 

 なんということだろうか、今宵の掃除屋たちは格段に数が多い。

 

 誰だよこんな量引っ張り出した馬鹿は!まさか頭からの命令でも受けてるのか?

 

「数多いわっ!!!流石に多すぎるだろ?相変わらず何を言ってるのかわかり辛いが一応話しかけてみるか『093...093』」

 

『...!?093?093?』

 

「おっ通じたな『33...809...1993!』」

 

『9...9...615...3』 

 

「成る程他の連中には言っておくからもうちょい角に寄っとけってことね理解した」

 

 何とか掃除屋たちと話を付ける事が出来た俺は、裏路地の隅の方でなるべく連中の邪魔にならないよう座り込んだ。

 

 だがこれがまずかったんだ。

 

「うおっ!?」

 

 なんと座り込んだ場所が丁度何処かへ通じる隠し通路だったらしく、俺はその隠し通路の先へまっ逆さまに落ちてしまった。

 

 そして、その落ちた先こそが今俺が教鞭を執っている場所。

 

 薬指身体派のアトリエであった。

 

 んで、よりにもよってそのアトリエの主というのが...まぁもうわかるよな?だって身体派の上役人格持ってるのなんて一人しかいないもんな?

 

「おや?こんな時間にお客様とは珍しいですね」

 

 うん、完全に薬指親方人格...カリストホンルじゃねぇか!!!

 

「今は裏路地の夜でしたね、もしや掃除屋の皆さんから逃れる為にこの廊下へ入ってこられてのでしょうか?」

 

「いや、掃除屋連中とお喋りして隅の方に退いててくれって言われたからその通りにしたらうっかり隠し通路か何かの入り口に腰かけてしまってな。

 それで意図せずこんな所に落ちて来ちまったんだわ、あんた出口知らねぇか?此処多分大事なアトリエなんだろうし邪魔になりそうだからさっさと出ていこうと思うんだが...」

 

 揉め事が起きると厄介だから、その前に退散しようと俺が立ち上がった瞬間奴の視線が俺の手元へ向いている事に気づいた。

 

「...!?貴方、その作品はどちらで?」

 

「ん?これ(ラ・サングレ・カリーニョ)の事か?」

 

「そうです!その素晴らしい作品はいったい何方が造形なされたのでしょうか?」

 

 おいおい、なんか明らかに色めき立ってやがるぞ...まさかこのラ・サングレ・カリーニョがこいつの琴線に触れちまったのか?

 

「これを作った奴ならあんたの目の前にいるぜ、製作過程と工程も知りたいか?」

 

「ええ!是非ともお願いします!」

 

 そしてこの目の前にいる薬指親方ホンルによって、俺は夜が空けるまで延々と質問責めにされたってわけ。

 

 そこからが問題でな、なんとまぁこいつが俺のことを盟友なんて呼びやがったもんだから俺は外部から招かれた臨時講師みたいな立場になっちまったんだ。

 

 それで将来の薬指身体派スチューデント候補たちに講習なんかやってるわけだな。

 

 嗚呼...どうしてこんなことに、俺...本当に涙が出そうだよ。




【登場人物紹介】

『薬指親方ホンル』
・皆さんご存知最近実装されたばかりのカリスト人格ホンルさん、作者がガチャ引いたら想定外に早くお越しになってしまったので炎拳事務所生存者の方書いてる時からちょっとずつアイデアをメモってた。

『掃除屋の皆様』
・皆さんご存知裏路地の夜に現れるやべぇ奴ら、何かもう色々と意味不明な連中だが、有志によってある程度言語が翻訳されているらしく作者もそれらを参考に今回掃除屋たちの台詞を書かせていただいた。

『主人公』
・何か掃除屋の言葉を話せることが発覚した、カリストホンルにお友だち認定されてストレスでナマコみたいに内臓を吐き出しそうになってしまっている。
 この度教師属性が追加されたが、前回までの終幕劇演者と合わせてビジュアルの描写をもっとすべきか検討中で、今回からアンケートもする予定。
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