愛と勇気と正義にかけて、市民をお守りいたします!   作:イングラマン

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第十八話 VSファントムその1

桜山桃子は番組のミーティング中、スタッフから告げられた内容に思わず聞き返した。

 

「え、彼女が出動した?」

 

「あぁ、たまたま上空を旋回していたヘリコプターが……って桃ちゃあん!?」

 

 いまや日本のスーパーヒロインにプライベートの時間はない。マスコミは太田ヒカルの行動に逐一目を光らせていた。

 

「もたもたしないで、早く準備してよ!」

 

 躊躇するスタッフに安全ヘルメットと機材一式を半ば押し付けるように渡すと、SNS放送局の熱血レポーター桜山桃子は、局の正面玄関に一目散へと駆け出した。

 ベルトで締めた機材の一部を肩に担ぎあげたスタッフが息を切らして追いつくと、桜山は振り返りもせず尋ねた。

 

「第一小隊は?」

 

「蒲田で災害救助中だって。既に一号機も出払ってて」

 

「通報は?」

 

「入ってない」

 

 その一言に桜山は足を止め、だはーっと息を大きく漏らした。

 そしてグワッと目を大きく見開き胸を張ると、隣で唖然とするスタッフに唾をとばした。

 

「通報もなしにこんな夜更けに一機だけ、ただ事じゃないに決まっているでしょう!場所は!?」

 

「い、今は首都高を北に向かってる……」

 

 桜山の剣幕にたじろぐ2名のスタッフクルーを伴い撮影用のバンに飛びこむ。

 シリンダーにキーを挿して回し、エンジンが唸り上げる。サイドブレーキを外し、ギアをドライブに入力、アクセルを踏んでバンを猛然と走り出させた。

 国道を走行中、前を見る桜山の隣で髭面のテレビクルーが胸中の不安をぼそりとこぼした。

 

「でも何もないかも…」

 

「ゲリラが使う大型のレイバーに、大規模火災、幽霊レイバーと戦ったのよ。あの子の周りには必ず大きな事件が起きるのよ!」

 

 (そうかなぁ……空振りや誤報だって少なくないけど)……と思ったが、桜山の気迫に圧されたスタッフは貝のように口を閉ざした。

 真剣な横顔を作る桜山は数か月前に巻き込まれた大火災以降、太田ヒカルに強く拘るようになった気がするとテレビクルーは思った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 ――先だって特車二課から出動した2号機トレーラーの後をレポーター班が追跡した結果、たどり着いたのは東京テレポートだった。いったい深夜の東京テレポートで何をしに第二小隊が出動したのか。

 そんな当然の疑問よりも桜山の心情は苛立ちに支配されていた。なぜなら、無線やラジオ等の通信機材が先ほどから不快なノイズ音しか発されておらず、バンのスペースを占有するだけの役立たずの鉄屑と化していたからだ。

 これではスクープをものにしたとしても局と中継できない。

 

「ねぇ、なんで途中から無線やラジオが通じないのよ!壊れてんじゃないの!」

 

「わー桃ちゃんやめてやめて!それ高いんだから!!」

 

 桜山は鬱憤晴らしにとバンバンと巨大なガラクタと化した機材をぶっ叩いている。血相を変えたスタッフが慌てて桜山の凶行を止めた。

 ワー!ギャー!と、いい歳をした大人たちが狭い車内で暴れる最中も、運転手は特車二課の尾行を続けていた。首都高11号台場線を走るバンの運転席からは、雪のちらつきが見え始めていた。

 深夜のレインボーブリッジを超えた先で、白地に黒い横線が入った大型トレーラーを発見した。

 

「見つけました。第二小隊です」

 

「どうすんの?局とは繋がらないよ」

 

「絵だけでも撮れるでしょ!ジャーナリズムに果報は寝て待てなんて諺はないのよ!」

 

 東京テレポートと連絡橋の境目付近で、パトカーと警視庁の大型トレーラーが停車していた。トレーラーにイングラム2号機の姿は既にない。

 ミニパトの後ろにつけ、マイクを持った桜山と機材を背負ったスタッフがバンから飛び降りた。後藤は突然の闖入者にキョトンと目を丸くしている。

 

「……あの~」

 

「えー!スタジオ~聞こえますかぁ。我々はいまここ、東京テレポートを一望できるレインボーブリッジとの境目にいます……あ、特車二課第二小隊の後藤隊長がいらっしゃいますね!さっそくお話しをお伺いしてみましょう!」

 

「もしもし~……?」

 

「後藤隊長!第二小隊は、なぜここ、深夜の東京テレポートにやってきたのですか!?この島に来てから電話や無線が通じませんが、もしやそれとも関係があるのでしょうか!?…………あ、太田ヒカルさんとイングラムの姿が見えませんね!……いまどこに!?」

 

 テレビクルーは構えたカメラのレンズを桜山と後藤に交互に向けた。笑顔を作った桜山は呆気にとられている後藤にインタビューマイクを差し出した。

 後藤はその差し出されたマイクをみてしばし考え、おもむろに握り、ミニパトの運転席に放った………目の前の一連の行動をテレビクルーが見ている。

 

「……おい、なにすんだおっさん……」

 

 低い声でワナワナと怒りで肩を震わせる桜山に、バチン!と後藤は掌を合わせて頭を下げた。

 不意のお辞儀に虚を突かれ、パチクリと瞼を瞬かせる桜山へと畳みかけるように後藤は懇願した。

 

「ね、おねがぁい。放送するの待ってて~~」

 

「……機材壊れててどの道できないわよぉ」

 

 いきなりの謝罪に目を丸くした桜山は、これ見よがしにたは~っと大きく溜息を吐いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ―――時は、桜山さんが到着するよりも少し前に遡る。

 

 

 

 東京テレポートを一望できる境目当たりで第二小隊は全車停車した。

 建設中のオフィスビルや大型施設が並んでいるが、島が住宅地でないことと時間帯が深夜なのも相まって、島全体が不気味なほど静まりかえっていた。

 エンジンをアイドリング状態に保ったまま、パトカーの外に出た隊長がメガホンで全隊に指示を飛ばした。

 

『あー、あー。妨害電波に対抗し、これよりお互いの報告、連絡はハンドスピーカーで行う……ほら、お返事は?』

 

「yes,sir!!」

 

「了解!!」

 

 うへ。拡声器で増幅された進士さんの大声にたまらず耳を塞ぐ。

 

『2号機はこの場でデッキアップ、橋を渡って島の内部がどうなっているか調査していってこい。キャリアと我々はここで待機。以上』

 

「了解!」

 

『命あっての物種だし、危ないと思ったら帰ってきていいからね~』

 

 命令に従い二号機に乗り込む。デッキアップした待機中の二号機をキャリアから発進する。

 香貫花が運転する指揮車に先導されて、東京港連絡橋ことレインボーブリッジを渡っていく。東京テレポート内部に人の気配はない。

 ここは高層オフィスビルや大型商業施設が立ち並ぶ、居住区が存在しない人工島だ。人影がないこと自体は不自然ではないが、それにしても街灯まで消えているのは異常だ。肌に纏わりつくような不穏な気配が島全体に漂っていた。

 慎重にテレポート内の暗闇を突き進む。東京テレポートは現在開発途上で将来的にはショップが入る予定の商業施設やオフィスビルが立ち並んでいる。

 しかしどのテナントにも明かりはついていないし、ここも島の外縁部と同じく街灯の灯が落ちている。指揮車のサーチライトだけを頼りに先を進んでいく。

 建設中で鉄骨むき出しのビルが障害物となり、見通しも悪い。幸い姿をハッキリと見えないが建物との隙間に何者かの輪郭を捉えた。

 

「……香貫花」

 

 声をかけると停車した指揮車がすぐに2号機の後ろに下がった。

 

『気を付けて……』

 

 小さくうなずく。近寄ると影から巨大な腕が伸びた。と、同時にレバーを傾ける。

 ボクの意志に答えた2号機が手首を捻り上げるように掴み上げ、一本背負いの要領で正体不明の影を投げ飛ばす。

 ズドーンとビルに強かに叩きつけてやった。即座に電磁警棒を引き抜き、抵抗されないように上から踏みつけて首の関節の隙間に差し込む。バチッバチッと火花が散った。

 

『タイプ7。ブロッケン…!』

 

 前照灯の光に照らし出された不明機を見た香貫花が叫んだ。電子回路がショートし、関節の節々から白煙を登らせる機械は先日の川崎で起きた無人レイバー事件の同型機種だ。

 機能停止を確認後、メインカメラをあげればビルの物陰から新手が現れていた。

 

『背後からブロッケンが一機きているわ!』

 

「前からも同じのが来ているよ。それと不明機が奥にもう一機」

 

 タイプ7の奥にもう一体、レイバーサイズの正体不明の影がちらりと覗いて見えた。ボクはマイクを掴んだ。

 

「あなたたちのしていることは騒乱罪、申請していない場所でのレイバーの違法運転、不法侵入、公務執行妨害にあたります!また、東京テレポート一帯の妨害電波に加担している疑いもあります!ただちにレイバーを停止させなさい!」

 

『撤退しましょう!2号機だけでは荷が重いわ!』

 

 香貫花の判断は正しい。が、向うは逃がす気はさらさらなさそうだ。こちらは前後を挟まれ、左右にはビルがある。逃げられない……まんまと誘いこまれた。

 タイプ7の背後からぬぅっと月明かりに照らされた何者かが姿を現す。正体不明機はタイプ7を押しのけて前に出た。髑髏染みた意匠を模した顔の造詣。相手を威圧する様な太い腕と足。全体的にタイプ7に作りが近いが一回り体格が大きく、関節は分厚い装甲でおおわれている。明らかに防御を意識した作りだ。仕事上、レイバーメーカーにはアンテナを張っているが初めて見るレイバーだ。

 後ずさる。しかしイングラムの背後にはタイプ7がいて退路が塞がれている。目前に立つ不明機は背中から装甲を翼の様に二つに突き出し、梟の目を怪しく光らせた。本能の警戒シグナルが全開に鳴り響く。

 

「くっ…!」

 

 咄嗟にペダルを踏み込んで機体を動かし、背後のタイプ7と2号機が重なるようにずらす。

 瞬間、眩いばかりの一条の閃光が放たれた。細長い光は2号機の肩を掠めながら通り過ぎ、後ろにいたタイプ7の胴体を貫通した。不明レイバーの眼孔から放たれた光はそのまま圧倒的な熱量をもって薙ぎ払い、周辺のビルごと熱したバターのようにズルリと切り裂いた。

 37mm口径を容易に弾くタイプ7の分厚い強化スチールに風穴をあけ、ビルの鉄骨を溶断せしめた破壊光線にボクらは戦慄した。

 

『……空気を電離して光らせるほどの……ビーム兵器だなんて…ッ!』

 

「怪獣映画に出てくるようなやつが現れちゃったね。でるべき作品を間違えてるよ!」

 

 尋常ならざるレイバーの出現に思わず軽口が零れる。

 

『今よ、撤退しましょう!』

 

 そうしよう。わざわざ怪獣とセッションすることはない。

 幸い背後にいたタイプ7がビームに巻き込まれ、塞がれた道が空いている。

 

「了解!」

 

 ボクたちは振り返らずその場から撤退した。

 

 

 

 

 

 

 

 ちょうどそのころ、野明たち1号機組は酒田港で重火器満載の軍用レイバー相手に大捕り物を演じていたそうだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 軍用レイバーに追い立てられているヒカルたち―――だが、彼女たち以上に焦燥を募らせている者たちが、実は現場近くに隠れて潜んでいた。

 東京ターミナルのビルの影には一台のバンがひっそりと停車している。狭い車内では二人の男性が満載の機材に囲まれながら、イングラムとの交戦データの収集と解析、無人機を制御するコンピューターに指示を与える作業に専念していた。

 だが、モニター画面に表示された情報を目にした彼らの表情から余裕が消え、そこには隠し切れない戸惑いの色が浮かんでいた

 

「目標との接触から僅か3分の間にブロッケンが2機撃破されました。相手は警察用レイバー、しかもたった一機ですよ!いったいどうなっているんですか!」

 

「うろたえるな」

 

「しかし切れるカードは少ないです。レーザー砲も不発に終わりました」

 

 向こうの手の内はわかりきっているにもかかわらず、こちらの手札ばかり切らされる現状に黒崎たちは焦りを覚えていた。

 前回の川崎では遇えて堂々と姿を現すことでイングラムと交戦しブロッケンの実戦データを収集した。おかげでイングラムの性能限界を知り、ブロッケンの経験値を上げることができた。

 しかし今回は陰からの不意打ちを敢行したにも関わらず難なく処理された。挙句に切り札のレーザー砲も初見で対応された上に、背後にいたブロッケンを巻き込むという離れ業をやってのけられた。

 偶然かもしれないが、まるで神か運命に愛されているかの少女だ。本当にテレビから現れたヒーローだとでも言うつもりか。黒崎は組んだ掌をグッと握りこんだ。

 

「ブロッケンは?」

 

「残り2機です。現在目標を追跡しています」

 

「そのまま追え、逃がすな。ファントムも向かわせろ」

 

 指示に従い、二人の技術者がコンピューターから無人機に新たな指示を送る。

 黒崎は睨むように雪のちらつくゴーストタウンを運転席の窓から眺めていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 現在、ボクと香貫花は隊長たちやトレーラーキャリアが待機しているであろう連絡橋に向かって走っていた。しかし背後から追跡してくる気配が気になる。先導する香貫花に尋ねた。

 

「どう?」

 

『追ってきているわ……それにブロッケンがもう一機加わってる。このままだと橋の向こうで迎え撃たないといけなくなるわね』

 

 それは困る。イングラムの電池だって無限じゃないんだ。超電導モーターを派手に機動すればその分、大きく電池を消耗してしまいパワーが漸減する。

 できれば一度充電させてもらいたいし、頭突きあわせて作戦会議だってしたい……むこうは仕切りなおさせてはくれないみたいだけど。

 この後の展開について頭を悩ませていると、建設中のビルの暗がりから気配を感じた。きっと新手だ。

 

「香貫花!止まって!」

 

『…!』

 

 指揮車が停車する。

 

『センサーに反応はないわよ!?』

 

「……いや」

 

 2号機のセンサーにも反応はない。だが、何者かが闇に隠れて息を殺していると勘が告げている。それにボクの自慢の視力もほんのりとだが輪郭を捉えている。

 足を止め、建設中のビルに潜み様子を窺っている不埒者に手を突っ込む。

 ―――掴んだッ!!手応えのまま一気に腕を肩上に捻りあげる。膝裏を小突いて体勢を崩し、そのまま二号機の全重をかけて――。

 

『よせ!それ以上はやめろ――ッ!』

 

「……!」

 

 外部スピーカーから焦る女性の声が聞こえた。暗がりで姿まで判明しなかったが、よくみればこいつブロッケンじゃない。声もあって無人のレイバーでもない。

 危うく2号機でグシャグシャにしてしまうところだった。

 

「す、すみません!!」

 

 慌てて腕を放してレイバーを抱き起こし、距離を取る。

 建物の影から、ぬっと姿を現したのは二機の人型レイバーだ。月明かりに照らされたソレは全身の装甲を薄暗いダークグリーンに塗装した人型ロボット。

 

「……陸自のヘルダイバー」

 

 指揮車から降りた香貫花がそのレイバーの名前を口にした。

 パイロットヘルメットを思わせる頭部に、98式の設計図を基に、スマートなシルエットを実現した篠原重工製の99式軍用レイバー『ヘルダイバー』―――その洗練された機体形状から別名『空挺レイバー』とも呼ばれている。

 イングラムで蓄積した技術を利用し、篠原重工が送り出した陸自の新型レイバーだと聞いているけど、なぜそれが深夜の東京テレポートに……。

 

「あなた、噂通り大したものね」

 

「ぼ、ボクは!」

 

「知っているわ。有名人だもの」

 

 レイバーの首から女性の顔が見える。フレームが楕円形の眼鏡をかけた凛々しくて綺麗な女性だ。目尻、鼻筋がスッと整っており、香貫花や南雲隊長のような強い女性特有の凛とした雰囲気を纏わせている。

 だが初対面で女性は無礼な振る舞いを受けたというのに、むしろ愉快そうにクスクスと笑われた。恥ずかしい。

 

『なぜここに陸自がいるのかしら?』

 

「それをあなたたちに答える義務はないわ」

 

 拡声器で尋ねる香貫花の質問を冷たくあしらい、二体の空挺レイバーはボクたちの目の前を横切っていく。

 もしかしてこれからあの所属不明レイバーと戦いに行くつもりなのだろうか。

 

「あの……敵はブロッケンが2。不明機が1。うち一体は強力なビーム兵器を内蔵しています」

 

『ヒカルッ!』

 

「了解、情報提供感謝する!……あなた、よければうちにこない?」

 

「あ、いえ」

 

 ボクの困った顔をみて女性はクスッと笑った。

 

「ふふっ冗談よ……私たちがここにいた事は内緒でね」

 

「ハッ!」

 

 ウインクしながら敬礼して去っていった。わぁ、カッコイイ!ボクも敬礼してお見送りする。

 陸自のレイバーはボクたちを追いかけてきた2体のブロッケンのうち一体を鮮やかな手並みで始末していた。

 これを見て形勢不利を悟ったブロッケンは踵を返し、その背を陸自が追いかけていく。慌ただしく走り去る彼らの後姿をボクたちは黙って見送った。

 

『はぁ……ヒカル。あんな連中にわざわざ手土産を送らなくともいいでしょう』

 

「いいでしょ。行こっ」

 

 ボクは不満げな香貫花を伴い、進士さん達が待つレイバーキャリアのある連絡橋へと向かった。

 それにしても初対面の女性……しかも自衛官とバチバチにやりあって、隣で聞いていたボクは気が気じゃなかった。もしかして香貫花って、自分と似たタイプとものすごく相性が悪いのかもしれない……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「篠原製99式レイバー2機接近!これ以上は……っ」

 

 コンピューターが提示した情報に眉をしかめる。民生品である警察用レイバーではなく、軍用レイバーとの交戦。これ以上東京テレポートに留まれば、持ち込んだレイバーが全て撃破されかねない。

 

「焦るな。これも貴重なサンプルだ。適当にあしらい、ファントムに回せ。それよりもブロッケンの最優先目標にイングラムを指定して捜索させろ。決して逃がすな」

 

 想定外の勢力の介入にも関わらず、黒崎はイングラムの捜索を優先した。

 ―――何も知らず、知る事しか知らず、無邪気に己の正義を信じて打ち砕かんとするモノトーンカラーのレイバーとそれを操る少女に、あたかも彼が執着しているように見てとれた。

 

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