もしも全面的ヤンデレなら   作:本気は後で出す

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今回の視点:リドル

こんにちは、本気は後で出します。そう、後で後で。

『真と嘘の境界をいじった狂人』




Madness

 

 

「おはようリドル」

 

「・・・」

 

「返事してくれないんだね。」

 

「・・・ここはどこだ」

 

目を覚ますと見知らぬ場所にいた。気を失っていたようだが、どこも痛くない。

 

そういえば失神呪文らしきものが見えた気がする。・・・こいつか。

 

縄で縛られたりも、なにもされていない。何が目的なのかわからない。

 

目の前のこいつは確か、同級生でスリザリン・・・と、叫ばれそうになって帽子を叩きつけなにかを呟いてレイブンクローになったアリスだったはずだ。たしか戸籍上では『スリザリン』が名字だったため調べはしたが、ごく普通の少女だったため殺害対象から外されて終わりだったはずだ。

 

だが、

 

わざわざレイブンクローになったくせに僕によく話しかけてきていた。

 

その目が嫌な感じで避けるようにしても、どういうことなのかみつかってしまっていた。

 

そこがきになりまた近づいてみたが、どうやってもつかめなかったため前と同じように退避した。

 

アリスはすべてが不明だ、とにかく後に回そうということにした。それで、殺害対象からはずして終わり。

 

それでも話しかけてきたが、また避ける。それが日常になりつつあり、最近は静かだったので放っておいたが・・・

 

「え?ここがどこか?わからないの?・・・そっか」

 

溜息をついてしばらく目を閉じたアリス。何か考えているようだったので今のうちになるべく悟られないように周りの様子をみる。

 

僕がいるのはベッドの上。アリスがいるのは椅子の上。

 

扉は、アリスの後ろ。

 

拘束はない。

 

・・・・・逃げることは、できなさそうだ。

 

「うーんうーん、わかんないのかぁ、そっか・・・。わかってたんだけどねぇ・・・」

 

にっこりと表面だけの笑顔をつくろったアリスは僕のほうに向きなおる。

 

何を言うのかと構えるが言ったのは単純な言葉だった。

 

にもかかわらず、僕は理解するのに数秒かかってしまった。

 

「ここは・・・世界だよ。私はね、リドルをここにとじこめてるんだ」

 

「・・・・・・・えっ?」

 

「あれ?うまく言えなかったかなあ」

 

紅茶と思われるカップのなかみを飲み干して一息ついてからアリスは繰り返した。

 

「ここは精神世界。私はリドルをここに閉じ込めたの」

 

けろりと、悪びれもなくアリスは言ってのけた。

 

セイシンセカイ?

 

それに僕を監禁してるっていうのか?なぜ?

 

そんなことをしても得があるとは思えない。むしろ損ばかりだろうに。

 

「セイシンセカイとはなんだ。そしてなぜ僕を連れてきた」

 

「んん?ああ、そっか。精神世界っていうのはね、私の世界。そうだなあ、人の・・・『ココロ』とやらが見える世界、かな?ここに連れてきた理由はねぇうふふふふふっ、決まってるでしょ!」

 

笑いをこらえきれないといった様子で笑いながら話すアリス。すごく聞き取りにくいけど一字一句間違えず覚える勢いで聞いておかなければ。

 

「私がリドルと一緒にいたいからね。ああ、安心して?リドルはここにいればいいから」

 

「・・・は?」

 

一緒にいたい?何を言っているんだ。どういうことなんだ。

 

「あははははっ、大丈夫だから安心して。じゃあちょっと準備あるから、じゃあね」

 

何が大丈夫だというのか、何を安心しろというのか、まったくわけがわからない。

 

何がおかしいのかケタケタ笑いながら扉から出て行った。

 

出て行った先は真っ暗で闇の中に歩いて行っているアリスは普段の彼女からは想像できないくらい楽しそうだった。

 

扉がひとりでにしまった音ではっとして、すぐに扉に耳をあてた。

 

準備がどんなものかしらないが今すぐには戻ってこないだろう。とんたったとリズミカルな音を立ててスキップしていったから足音が聞こえるはずだが、今はしんとしている。

 

ただし、今出るのは賢明とは言えないだろうし窓はないのか探してみた。・・・あった。

 

そとは夜だ。三日月が輝いていた。

 

月なんて最近みてなかったから今が昨日からどのくらいたっているのかわからない。・・・こんなことなら見ておけばよかった。

 

地面を見ようとしたが見えない。それほど高いということなのか、出窓はきっちりはめ込まれているうえ『強化ガラス』というシールが貼ってあった上、割ったところでアリスの神経を逆なでしてもいいことはまずないだろう。

 

おとなしく待っているしかないのか?

 

・・・とにかく少しでも情報をとらないと。人間は情報が得られない状況にいるといずれは気がくるってしまうのではなかったか?

 

背筋が凍った。冗談じゃない、僕はこんなところで終わるわけにはいかないんだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

side Alice

 

「らんたったー♪らんたった~」

 

真っ暗な闇の中をスキップで進む。

 

取り入ろうとする奴は消えればいい。すべて消えてしまえ。

 

「るんたったーるんたったー♪」

 

ひどい人も裏切り者も『わるいひと』にくくればみんなおんなじだね!

 

でも悪い人は本当は悪くなくっていい人が悪かったりするんだってね。そうアリスが言ってたんだ!

 

アリスは私にいろんなこと教えてくれるの、だから私もいっぱいお喋りしたら、殺されたんだよ、びっくりしちゃった。

 

私は遊ぼうって言っただけなのに、ひどいね。

 

でもひどい「わるいひと」なら、アリスに言われたとおりにすれば「とってもいいひと」になるんじゃないかなって私は思ってるんだ。

 

だからいまいるなかでいちばんひどくていいひとを

 

探して

 

捜して

 

やっと見つけたと思ったらはずれくじだったんだもん、またびっくりした。もう本当やめてほしいね!

 

 






【輪廻転生を望んだ狂人】

はい、一話終わり。

一回半分くらいいつの間にか消しててあわてて復元しました。あぶないあぶない。

2000文字いったのに300文字くらいまで減っててびくっとしました。PC膝に乗せてたから揺れた。

データ吹っ飛んでなくてよかった。

やっぱ狂人が絡んだ伏線ばらまくの楽しいです。


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