聖女ノアールの受難 〜私のMPはゴミクズ勇者のためにあるのではない〜 作:水上 空
サフィ:ひ、ひぃぃぃ! カイトさんを何度も死なせてしまって……私、もう聖女失格ですぅ……。お詫びに、ありったけの聖力で皆さんの傷を癒しますぅぅ!!
ノアール:ちょっとサフィ、待ちなさい! あんたの「ありったけ」は出力がおかしいのよ!
サフィが泣きながら杖を振り回した瞬間、超広域・高密度回復魔法『アルティメット・エリクサー・レイン』が発動。空から降り注ぐ聖なる光が、ゼニゲバ・シティ全域を包み込んだ。
その頃、街の地下や物陰には、四天王の残党である「隠密暗殺部隊」が虎視眈々と襲撃のチャンスを狙っていた。
魔王軍兵士:ふふふ、今夜こそカイトの首を……。ぬおっ!? なんだこの光は! 体が勝手に浄化されるぅぅ!!
魔族にとって、サフィの過剰な回復魔法は最強の猛毒。潜伏していた数百の兵士たちが、一斉に「あまりの清々しさ」に耐えきれず光となって霧散していく。
一方、光の直撃を受けたカイトは、回復量が許容量を超えて逆にオーバーヒート。
カイト:あ、体が熱い……。回復されすぎて、魂が押し出される……。
パチン!(本日1回目・通算62回目)
三途の川:お祭り会場
カロン:あ、カイト様。外がすごいことになってますよ! サフィ様の魔法が、カイト様の「死の爆発」と共鳴して、街中に聖なる花火が打ち上がってます!
カイト:カロンさん……。俺、死ぬたびに街のイベントに貢献してないか?
カロン:はい、ピッ! 62回目。死因、過剰回復による魂の脱臼。見てください、ノアール様が「この花火、一発いくらで売れるかしら」って計算機叩いてますよ。
カイト:たくましいな、うちの聖女様は……。
ノアール:――サフィ! 泣いてる暇があったら、この打ち上がった魔王軍のドロップアイテムを回収しなさい!! ……ついでに、景気良くもう一発打ち上げよ! ……いい加減にしろよこの人間花火師バカイトォォォ・グランド・レザレクション!!!
ドガァァァァン!!!(夜空に巨大なカイトの顔の形の花火が炸裂)
翌朝。
ギルド長:カイト殿、ノアール殿、そしてサフィ殿! 潜伏していた魔王軍一個師団を、一晩で、しかも「お祝いの花火」に変えて全滅させるとは……! 街の平和を守った功績を称え、金一封と名誉市民の称号を贈ります!
カイト:えっ、俺、死んでただけなんだけど……。
サフィ:え、えへへ……。お役に立てたなら良かったですぅ(まだ震えてる)。
ルナ:……カイト様。報酬の半分、ノアール様が「蘇生代」として没収してましたよ。
アイリス:はっはっは! 素晴らしい! 大勝利だな!