聖女ノアールの受難 〜私のMPはゴミクズ勇者のためにあるのではない〜 作:水上 空
ゼニゲバ・シティ ギルド本部にて
金粉を撒き散らしながら賞金稼ぎたちを(逃げ回るついでに爆風で)一網打尽にしたカイト一行。その被害総額……ではなく「検挙数」が過去最高を記録し、ギルド長が涙ながらに握手を求めてきた。
ギルド長:カイト殿! 街を騒がせる凶悪な盗賊団100人を一度に無力化するとは……! この功績、もはや一都市の手に負えん。王室へ報告させてもらったぞ!
カイト:えっ、ただ逃げてただけなのに……。
ノアール:いいじゃない、カイト。王室からの「お褒めの言葉」=「莫大な予算」よ! ほら、顔の金粉拭いてシャキッとしなさい!
王都に招かれた一行。国王の前で跪くカイトだったが、緊張のあまり足がもつれ、国宝級の「巨大なクリスタルシャンデリア」の真下に転倒。
国王:おお、これぞ救世の騎士……。
ガッシャァァァーン!!!(シャンデリアが老朽化で落下、カイトを直撃)
カイト:……あ、王様の前で……物理的に散るなんて……。
カロン:あ、カイト様! ついに王宮デビューですか。三途の川までクリスタルの破片が流れてきて、今日の川下りはキラッキラですよ!
カイト:カロンさん……。王様に褒められる瞬間に死ぬなんて、俺の人生のピークが低すぎる……。
カロン:はい、ピッ! 2枚目カード34個目(通算84回目)。死因、国宝による贅沢な圧死。……あ、現世ではノアール様が「王宮の修理代を請求される前に、この死体を証拠隠滅(蘇生)するわよ!」って焦ってます。
カイト:証拠隠滅って言うな! 早く戻して!!
豪華新築マイホームと「謎の部屋」
ノアールの爆速蘇生(金粉と羽が舞い散る豪華版)を目の当たりにした国王は感動。「これぞ不滅の象徴!」と、ゼニゲバ・シティの一等地に新たな超豪華屋敷を建設することを約束した。
数ヶ月後。完成した新居は、前の家が犬小屋に見えるほどの豪邸。しかし、地下に一箇所だけ、見覚えのある「懺悔室風」の怪しい小部屋があった。
カイト:……何これ。ノアール、こんな部屋発注した覚えはないぞ。
ノアール:あら、それは「オプション」よ。私がMP切れの時でも、あんたがスムーズに「あっち」と通信できるようにね。
カロン出張所、オープン!
カイトがその部屋の小窓を恐る恐る開けると、そこには冥界の受付嬢カロンが、お茶を飲みながら座っていた。
カロン:いらっしゃいませ! **『冥界ゼニゲバ・シティ・サービスカウンター』**へようこそ!
カイト:ええええっ!? カロンさん!? なんでここに居るの!?
カロン:カイト様の死亡頻度があまりに高いので、上司から「現地駐在の方が効率が良い」と辞令が出まして。これからは、死んだ瞬間ここでスタンプを押せますよ! ちなみに通算90回目前のボーナス確定です!
ノアール:――便利になったわね! これでわざわざ死体を持って歩かなくて済むわ!! ……いい加減にしろよこの徒歩0分冥界バカイトォォォ・レザレクション!!