聖女ノアールの受難 〜私のMPはゴミクズ勇者のためにあるのではない〜   作:水上 空

4 / 76
初ダンジョン!死んで覚える攻略法

 

ダンジョン『迷い子の洞窟』入口

 

ノアール:「いい、カイト。ここはFランク向けの初心者ダンジョンよ。ターゲットは『ツノウサギ』の角を3本。……お願いだから、入り口の段差で死なないでね」

 

カイト:「任せろって。ほら、今日は特製の『転倒防止シューズ(紐をガチガチに結んだ)』を履いてきたんだ」

 

カイトが自信満々に一歩踏み出した瞬間。

結びすぎた紐が左右で絡まり、カイトは一ミリも動けずに前方へ倒れ込んだ。

 

ノアール:「……は?」

 

カイト:「(顔面から着地)……あ、鼻の骨が脳に……」

 

三途の川(本日1回目)

 

カロン:「あ、カイト様。……死因、『靴紐を自力で絡ませて転倒』。……これ、ギャグ漫画の1コマ目ですよ?」

 

カイト:「気合を入れすぎた結果がこれだよ……。スタンプお願いします」

 

カロン:「(無言でドン!)はい、5個目。……ノアール様、入り口で立ち尽くして震えてますよ。早く戻ってあげてください

蘇生後、なんとか洞窟の中腹まで進んだ二人。

 

ノアール:「はぁ……はぁ……。もうMPより精神力が削れるわ。あ、見てカイト。あそこにツノウサギがいるわ!」

 

目の前には、鋭い角を持つウサギ。しかし、その手前には明らかな「床のスイッチ」が。

 

ノアール:「待って! あれは矢が飛んでくるトラップよ。私が解除するまで動かな……」

 

カイト:「(うっかりクシャミをして前進)……ハクションッ!」

 

カチッ。

 

シュバババババッ!!

壁から無数の矢が放たれる。しかし、カイトはクシャミの反動で大きくのけぞり、全ての矢が髪の毛の数ミリ上を通過。

 

カイト:「ふぅ、危なかった……」

 

ノアール:「(驚愕)……避けた!? あのドジが、超絶技巧のバックステップで矢を……!」

 

しかし、回避した先にあったのは「落とし穴」だった。

 

カイト:「あ」

ノアール:「あ」

 

ドスッ。(底にあった槍に串刺し)

再び三途の川から帰還したカイト(スタンプ6個目)。

なぜかカイトが死ぬたびに、カロンから「お土産」として**「死出の旅路の重石(おもし)」**という謎のアイテムを渡されていた。

 

ノアール:「もういいわ、私が魔法で一気に仕留める!……って、MPがもう空っぽ!? 蘇生させすぎたせいだわ……!」

 

絶体絶命のピンチ。巨大なボスウサギが突進してくる。

 

カイト:「これを使えってことか……! 食らえ、三途の川の重石!」

 

カイトが重石を投げようとした瞬間、またしても足が滑る。

重石はあらぬ方向へ飛び、天井の巨大な鍾乳石を直撃。

 

メキメキメキッ……ドゴォォォォン!!

 

崩落した巨大な岩が、突進してきたボスウサギを完璧にプレス。

 

砂煙が舞い、ボスの断末魔すら聞こえないほどの圧勝(?)だった。

 

カイト:「ふぅ……。見たかノアール、俺の計算通りの『落石トラップ』だぜ!」

 

カイトがドヤ顔で親指を立てた、その瞬間。

プレスされた岩の破片が、凄まじい速度で跳ね返ってきた。

 

シュンッ!――ポカッ。

 

カイト:「……あ」

 

ノアール:「…………え?」

 

カイトの額のど真ん中に、ゴルフボール大の小石がクリーンヒット。

そのまま、カイトの身体がスローモーションで後ろに倒れ込む。

 

カイト:(白目。額から魂が抜けかけている)

 

ノアール:「ボス倒した後に、自分の投げた石の跳ね返りで死ぬ奴があるかぁぁぁ!!」

カロン:「あ、カイト様。死因……『自業自得の跳ね返り弾』。……これ、三途の川の歴史でもかなり間抜けな部類に入りますよ?」

 

カイト:「……次はヘルメット被ってから石を投げるよ」

 

カロン:「(ため息をつきながらスタンプを捺す)……はい、7個目。あと3回死んだらプリンですよ。……頑張ってください、とは言いにくいですけど」

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。