聖女ノアールの受難 〜私のMPはゴミクズ勇者のためにあるのではない〜 作:水上 空
新居の居間:翌朝の異変
昨晩の「サキュバス店バイト」の強制除菌から一夜明け。下水掃除を終えてフラフラのカイトが食卓につくと、そこにはいつも通り不機嫌なノアールがいた。
カイト:……ふわぁ、おはよう、ノアール。……ん?
ノアール:何よ、ジロジロ見て。さっさと朝ごはん食べなさい。今日は庭の草むしり1000本ノックよ。
カイト:……いや。……なんだか、今日のノアール、すごく……柔らかそうっていうか……その、すごく「女の子」って感じがして、目が離せないんだけど……。
ノアール:……(ピキッ)……はぁ!? あんた、昨日の吸精バイトで、脳みそまでピンク色に溶けたの!?
ルナ:……ノアール様。……カイト様の瞳が、サキュバスの紋章のように薄く発光しています。……どうやら、過剰に魔力を吸われた反動で、一時的に「全女性が魅力的に見える呪い」にかかっているようです。
アイリス:はっはっは! なるほど、それは面白い! カイト殿、この私を見てもときめくのか?(マッスルポーズ)
カイト:……うん。アイリスのその……上腕二頭筋のカットが、すごく……セクシーだ……。
アイリス:……っ!?(赤面) ……む、無礼者! 何を言っているのだ!!(照れ隠しの全力正拳突き)
カイト:あべしっ!!(胸骨が粉砕され、背後の壁を突き破って死亡)
三途の川
カロン:はい、ピッ! 107回目。死因、……えーっと、「筋肉への愛の告白による、物理的な拒絶死」。……カイト様、いっそ筋肉の神様としてあちら(天国)へ行きませんか?
カイト:カロンさん! カードの背景が「ピンク色の雲」になってる!?
カロン:煩悩過多仕様です。……あ、ノアール様が「私の前で他の筋肉(アイリス)に色目を使って死んでんじゃないわよ!!」って、『精神浄化お説教』を準備してますよ。
カイトの亡骸の前に立ったノアールは、顔を真っ赤にしながらも、かつてないほどド派手な魔法陣を展開した。
ノアール:
「冥き底より這いずる愚か者よ! 筋肉でもサキュバスでもなく、私の説教だけをその目に焼き付けなさい! 変なフィルターを通して私を見ないで! ――【いい加減にしろよこの全方位発情バカイトォォォ・脳内洗濯(メンタル・ウォッシュ)・レザレクション】!!!」
ドゴォォォォォォォン!!!(新居の壁がさらに崩落し、カイトが清々しい顔で跳ね起きる)
カイト:ガバッ! ただいま! ……あ、あれ? ノアール、なんか……いつもの「怖いお姉さん」に戻ったね。安心したよ。
ノアール:……(杖でカイトの頭を小突きながら)……当たり前でしょ! ほら、さっさと草むしりしてきなさい! 1本でも残したら、次は「一生、筋肉がセクシーに見える呪い」を上書きしてやるから!!