聖女ノアールの受難 〜私のMPはゴミクズ勇者のためにあるのではない〜 作:水上 空
天界・プライベートサロン
天界にある豪華なプライベートサロン。管理神の女神・スティアは、大型の水晶モニターに映るカイトの「110回目の死(ヒナの爆炎による焼死)」を見て、ソファから転げ落ちて笑っていた。
スティア:「あーっはっはっは! 見てよこれ! 100回超えても死因が『実妹の八つ当たり』って! 私が選んだ勇者、エンターテインメントの才能がありすぎるわ!!」
しかし、カメラが切り替わり、ボロボロになった新居の庭で、真っ白な灰のようになったカイトの傍ら、幽霊のように青白い顔で杖を振り回すノアールの姿が映った瞬間、スティアの笑いが凍りついた。
ノアール(水晶の中):「……はぁ……はぁ……。もう嫌……。なんで一日に3回も『戦略級の魔力』を、このバカの再起動だけに使わなきゃいけないのよ……。お肌が、お肌がボロボロよ……」
スティア:「……あ、あれ? 聖女ちゃん、なんか……前より10歳くらい老けてない? 私のせい? もしかして、私の適当な蘇生設定のせいで、彼女の婚期が絶望的になってる……?」
下界・現実世界
ノアールが111回目の蘇生呪文を唱えようとしたその時、空から圧倒的な後光が差し込み、神々しい(自称)女神が舞い降りた。
スティア:「ストーップ! 聖女ノアール、一旦ストップよ!」
ノアール:「……え。……な、何? 今度は何なの!? 私のMPはもう一滴も残ってないわよ!!」
スティア:「私よ、女神スティアよ! あんたの労働環境がブラックすぎて、天界の労基署から苦情が来たから、差し入れに来てあげたわ! ほらこれ、『女神特製・MP無限回復ドリンク・プロトタイプ』。これを飲めば、しばらくの間は蘇生魔法を何回撃っても疲れないわよ!」
ノアールはそれを一気に飲み干すと、瞳にドス黒い光を宿した。
ノアール:「……っ!? な、何これ、魔力が……溢れすぎて、逆にカイトを今すぐ100回くらい連続で殺して蘇生してもお釣りがくる気分だわ……!!」
三途の川
カロン:「はい、ピッ! 111回目。死因、『女神の神々しすぎる光に当てられて、眼球から脳が焼けて死亡』。カイト様、ついに神様に直接殺されましたね。……あ、スタンプカード3枚目が埋まりました。4枚目からは**『プレミア常連客・地獄の会員制コース』**に突入です」
カイト:「カロンさん……背景が女神の金ピカ仕様になってるんだけど!」
カロン:「特別仕様です。……あ、ノアール様が女神パワーで『全世界の空気にまで響き渡る超・お説教』を練り上げてますよ。逃げ場はありません」
復活の咆哮
ノアール:
「冥き底より這いずる愚か者よ! 女神様まで引っ張り出すなんて、どれだけ私に恥をかかせれば気が済むの! 潤ったMPの全てをあんたの再起動にぶち込んで、24時間フルタイムで働かせてあげるわ!! ――【いい加減にしろよこの全宇宙一の迷惑バカイトォォォ・神聖レザレクション】!!!」
ドゴォォォォォォォン!!!(天まで届く黄金の爆風が街全体を包み込み、カイトが跳ね起きる)
カイト:「ガバッ! ただいま! ……あ、女神様。……え、なんで俺のこと指差してまだ笑ってるの?」
スティア:「あはは! 起き上がる時の顔が、やっぱり最高にマ抜けね! 頑張りなさいよ、聖女ちゃん。お詫びに『蘇生コストがゼロ』になったんだから、これからは死ぬのを気にせずこき使えるわよ! じゃあね!」
女神は爽やかに天界へ帰り、後に残されたのは「MP無限」という、カイトにとっての**「無限地獄」の切符**を手にしたノアールだった。
終わらない受難
ノアール:「……さあ、行くわよカイト。まずは皿洗い1000回。その次は下水掃除。MPが減らないんだから、あんたが何度洗剤で滑って頭を打っても、0.1秒で引きずり戻してあげるからね!!」
カイト:「ええええ!? 皿洗い中に死んでも休ませてくれないの!?」
カロン(遠い空から):「……はい、ポン。112回目。死因、『洗剤で滑って死亡』。お帰りなさい、カイト様。……あ、次は『庭の芝生に擬態して死亡』ですか? お待ちしておりますね」
カイトとノアールの、真の意味での「終わらない受難」は、ここから加速していくのであった――。