ロングラン・スリーピース・アリス・コンプレックス 作:電動ガン
今から小屋津さんと夜ノ森さんの友達・・・が来るという。いそいそと準備をする2人を尻目に俺は出されたおかしを頬張るのだった。
「いやはや中身おじさんだと苦労しますよ。私なんか半世紀も離れた年の子。孫と遊ぶような物ですから。」
「私もしんどくはないんですが言葉選びは苦労しますね。」
「そうですよね・・・・・・」
それもそうだろう。だが異人変化症とバレるのはあまり良くない。いろいろと理由があるのだが。1番の理由は急に子供に戻ってしまった精神は子供なのに大人と扱われると分離性不安や解離性不安などに繋がってしまう問題が強いと言う事だった。見た目が子供なら子供のように扱われた方が精神的に安心出来るということらしい。
「シール集めというのはなかなか楽しいですよ。」
「昔ドッキリマンシールを集めたのを思い出します。」
「へぇ。」
「これは私のメンタルケアに携わった医師の言葉なんですが前代未聞の問題ですが子供に戻ったらなるべく子供の振舞いをした方が良いそうです。」
「私も言われましたね。心が体に引っ張られないなら体に心を引っ張った方が良いとも。子供の体に大人の精神は心が崩壊し易いと言っていました。」
「俺も近いこと言われましたね。」
「女子小学生を演じるのではなく、心のままに子供に戻る。これです。」
「最初はそんなこと出来ないと思いますが・・・確かに心が離れていく感覚があって肝が冷えたのを覚えてますよ。」
「ひえ・・・・・・」
すると失礼しまーすと声がして複数人入ってくる気配がした。来たかも。
「私が行きますね。」
小屋津さんが出ていくとすぐきゃぴきゃぴとした声が響いてくる。そして小屋津さんが2人の女の子と1人の若い女性を引き連れ入ってきた。
「こんにちは!」
「こんにちは〜」
「こ、こんにちは。」
「いらっしゃいあまねちゃん、さやかちゃん。」
そして新しく来た俺に自己紹介をしてくれた。ゆるふわボブの女の子があまねちゃん。姫カットのロングの女の子がさやかちゃんというらしい。
「よろしくお願いします。音楯無あまねです。」
「白菊さやかだよー!!」
「よろしく。古畑はやてです。」
そしてだ。それをニコニコ顔で見守っていた大人が俺に近づいてきた。
「よろしくね。槙島百合香です。」
「は、はい。古畑はやてです。」
こいつが小屋津さんと夜ノ森さんの担任の槙島先生か・・・学年を超えた兼任担任とは若そうなのになかなかやるな。
「うーんすごい個性の子が入ってきたね。」
「え?」
「大丈夫だよ古畑さん。体が白いくらいじゃ特に何か言われる学校じゃないから安心してね。」
「はぁ・・・?」
ちょいちょいと夜ノ森さんに突かれて耳打ちされた。
「この学校は身体的に特徴や個性がある子が多く入学してくる学校らしくてですね・・・私も教室には行ったことないのでどうなのかはわかりませんがハーフの子や病気などで髪の一部色素が抜けた子、痣がある子など多種多様な個性を持ってる子が多くいるらしいんです。」
「そうなんですか。」
「ええ。私も金髪のハーフということになってますので。それに小屋津さんの虹彩異色症はこの学校に23人いるらしいですよ。」
「そんなに!?」
びっくりしたオッドアイって結構珍しいと思ってたけどそんなに集まってるとは。面白い学校だ。それなら俺のアルビノ症も何も言われないな。
「古畑さんってどこのクラス?」
「え?えっと・・・」
俺ってどこのクラスだ?知らない・・・・・・と、そこで月島先生が助け舟を出してくれた。
「古畑さんは2−Dですよ。荒浪先生のクラスです。」
「あー荒浪先生ですか。じゃあ特に問題は無いですね。」
「ええ。」
荒浪先生って誰だろう。よくわからん。まぁ向こうから接触してこなければいいか。
「古畑さん。良かったらあまねちゃんとさやかちゃんと仲良くしてね。多分、教室には行けないと思うから・・・ここでならシール帳とかおかしとかいろいろ、持ってきていいからね。」
「は、はぁ・・・・・・じゃあスマホとかもいいですか。」
「スマホ持ってるの?うーん一応あかねちゃんと霧子ちゃんには許可出してるけど・・・一応教頭先生にも聞いて見てね。」
「あ、はい。」
「それじゃ私は行くから。みんなも遅くならないうちに下校してね。」
そう言って槙島先生は出て行った。みんなは・・・・・・
「・・・。」
きゃいきゃいとテーブルにシール帳を広げ、談笑している。
「はやてちゃんもこっちに来てください。」
「はやてちゃんも交換しよー!」
「あ、いや、俺は、持ってなくて。」
「そうなのですか?」
「じゃ今度交換しよ!あたしの見てよー!」
「わ、わかった。」
俺も椅子に座り、シール帳を見せてもらった。
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そして翌日。昨日は金曜日だったので今日は本屋に行って、シール帳を買った。3つ。だが・・・・・・
「シールが売ってなかった・・・」
肝心のシールが売ってない。ひとつも売ってないのだ。結局一度家に帰り、どこにシールが売っているのか調べて、出直して新宿の本屋数店と家電量販店も回った。だが無し。どこにも売ってない。
「どうしよう。流石にシールは交換する物だよな。」
交換するシールが無いとシールはもらえない。不問律。
「うーん。」
通販で買うか。と、リャマゾン(通販)と白天(通販)で調べた。だが・・・・・・
「むぅ・・・」
プレミア価格・・・と言うのだろう定価の十倍で売られているのが見つかった。ついでにフリマサイトでも調べると今度はシールシート一枚に10000円という足元を見た馬鹿げた値段で売られているのを見てそっ閉じした。
「むむぅ・・・」
「どうしたのはーちゃん。」
「みかちゃん。いや学校で友達が出来て・・・シール交換したいんだけど・・・シールが売ってなくて。」
「シールかぁ。もう完全に女児だね。」
「医者にも子供に成り切った方が良いって言われたんだ。」
「なるほどねぇ。シールは私の時は流行ってなかったからなぁ。持ってないし・・・・・・」
「そっか・・・・・・」
ぽちぽちとスマホで検索スクロールしていく。するとオーダーメイドシールというのを見かけた。
「・・・これだ。」
そして俺の行動は早かった。
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月曜日。登校時間は正規の時間じゃなくて良い為注文したオーダーメイドシールの到着を待ってから登校した。
「よし。ちゃんと出来てる。」
これならシール交換してもらえるな。あまねちゃんとさやかちゃんに見てもらおう。というか小屋津さんと夜ノ森さんのシール帳はなんというか。女児とは言いづらいかっこいい系のシールばかりだったな。
「放課後が楽しみだ。」
⏰
「えー!!はやてちゃんシール帳もってきたの!!」
「早速交換しましょう!」
うきうきとランドセルからシール帳を取り出す2人。そこで小屋津さんと夜ノ森さんから耳打ちが来た。
「古畑さんどうやってシールを・・・・・・?どこにも売ってなかったですよね・・・・・・まさか転売から・・・・・・?」
「まさか偽物とかじゃ・・・・・・」
「ああ、いや違います。見ればわかりますよ。」
「はやてちゃんシール見せてーーーーーーー!!!!!!」
「いいよ。はい。」
そして俺はテーブルにシール帳を開いた。
「これは・・・!?」
「えっ・・・!?」
「良いでしょ。クリアホログラフメカニカルメッキシール。」
「クリアホロ・・・えと????シール!?!?!?」
「うん。」
あまねちゃんは目を輝かせてシールを眺めているさやかちゃんは・・・・・・
「お・・・おお・・・????」
見たことの無いシールを見て困惑している。
「は、はやてちゃん・・・」
「なにあまねちゃん。」
「こ、こちらのかもめさんのキラキラシール・・・・・・」
「うん。」
「これ、見たことない会社のです・・・・・・シール工房無限堂とは・・・・・・?」
「オーダーメイドシールだよ。」
「オーダー・・・!メイド・・・!!!」
あまねちゃんはがつーんと衝撃を受けたような顔をしている。その発想は無かったと言う感じだ。まぁ俺もイラストレーターのフォロワーに超特急依頼して作ったからな。
「あの・・・・・・はやてちゃん・・・・・・」
「うん。」
「こちらのかもめさんのキラキラシールと・・・・・・私のぷっくりドロップシール・・・・・・交換してもらっても良いですか・・・・・・!?」
「あたしも!!!!あたしも!!!!!」
興奮気味にシールを差し出すあまねちゃんとさやかちゃん。それを微笑ましげに眺める小屋津さんと夜ノ森さん。俺は笑顔でこう答えた。
「シートであげる。」
その言葉を聞いたあまねちゃんとさやかちゃんは、目を見開き大口を開けて歓喜していた。