ドSにわかのヒーローアカデミア   作:山吹乙女

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 お疲れ様です。
 続きました。


記録を凍らす

 オールマイトに教えてもらった。勇気を出して、ケツの穴引き締めて力を入れて、ただ殴る!

 

SMAASH!!!

 

 高層ビルよりも大きな超巨大仮想敵を殴り飛ばし、試験中でも、ひとまず避難が遅れた人を救う事が出来たと思う。あ…___。

 飛び上がったのはいいけど、ここからのことを考えていなかった!

 

「落ちるぅぅぅ!!」

 

 一瞬の浮遊感を感じるものの、空中で誰かに受け止められたような感触を感じる。柔らかい腕に包まれて…包まれて?

 

「凄いな、お前は…名前は?」

 

「ありがとうございます。助かりました…って!女の子!?み、みみ、緑谷、出久…デス」

 

 はわわわわ、今日は女の子に助けてもらってばかりだ…。て言うか飛んでる!?どんな個性なんだろう!

 

「___そうか、出久かいい名前だな…お前を私のものにする」

 

「…え?え?え?」

 

 僕、ちょっと…よくわからない…受験生だから僕と同じ歳だと思うけど…もしかして僕、告白された?

 

「じゃあね出久、今度は学校で会おう」

 

 あれよあれよと地上に降ろしてもらって、手を振って去っていく女の子の後ろ姿を眺めている…。

 

「…あ、助けてもらったのに、名前聞いていない」

 

 僕の脳内には、まだ彼女の去り際のウインクが残っていた。

 

 

 

 

 

◆◆◆

 

 

 

 なるほど…アレが恋というものか…。心臓の高鳴りと顔の熱さ、鏡がなくても自分の顔が赤くなっていると分かる。ふふ、まだ心臓の鼓動が早い。

 前世で経験した憧れなどというのう、粘膜が作り出す幻想とは訳が違う。

 

 しかし、緑谷出久か…いつか見たテレビのオールマイトに匹敵するほどのパワー…。しかし、空中で受け止めた時の腕の様子を見るに、個性の制御はまだまだ、肉体も発展途上ってところ。

 それなら、私もまだまだ能力を煮詰める事になるし、お互いに歩んでいける。個性の練度という点なら、親に内緒で個性を伸ばしていた点、私にも一日の長があるから戦闘訓練と称して…その、デートみたいなものもできるかもしれない…。

 …こほん、学生生活自体にはあまり期待していなかったが、存外楽しくなりそうだと、今からワクワクしている。

 

 

 

 

◆◆◆

 

 

 むぅ、申告した制服のサイズが既に少し小さくなってる気がする。前世の頃の記憶はアテにできないな、胸の辺りが特にキツく感じる。

 着替えを準備するのも当日じゃ間に合わないし、なにより既に正門の前だ、今日は我慢しよう。

 

 しかし、校舎の広さは途方もないな。方向音痴なら確実に迷っていたところだ。

 

「ここが、1ーAヒーロー科か」

 

 出久とは同じクラスになっているだろうか…。

 

「お友達ごっこなら他所へ行け、ここはヒーロー科だ」

 

 ガラガラと大きめな教室の引き戸を開くと、先生らしき…多分雄英の先生が、社会の厳しさを抑えている場面に出くわした。

 あ、出久___同じクラスだったのだな。これで休みのたびにクラスを移動しなくて済む。

 こちらが手を振ると照れてるようで、顔を赤らめた…なんだか可愛いな。

 

「ん、イェーガーか、初登校早々遅刻ギリギリだな。早く座れ」

 

 風貌的に、プロヒーローとも先生とも見えないが、おそらく言動的にクラス担任の先生だろう人物が教卓についた。

 

「今日から、お前らの担当教師になる相澤消太だ、ヨロシクね。早速だが、体操服に着替えてグラウンドに集合」

 

 担当教師がいきなり、入学式を不参加で何かを企んでいそうだ。まぁ、クラスの中から反対意見がチラホラと出ているが、ここは従うしかあるまい。

 一足先に更衣室に行くとしよう。

 

 

 

 

 

 

◆◆◆

 

 

「個性把握テスト!?」

 

 クラスの何人かの声が重なる。クラスの中で面識があるのは、出久と、社交界で何度かお会いした八百万家の令嬢、八百万百くらいだったから、誰が声を出しているか分からないな。

 

「入学式とか、ガイダンスは!?」

 

「ヒーローになるなら、そんな悠長な行事はないよ。雄英は自由な校風が売り文句、そしてそれは先生側にもまた然り…。お前たちもやったことあるだろ、個性使用禁止の体力把握テスト」

 

 平均を作って、健全に見せている文部科学省に対する不平不満を述べていた。しかし私も常々思っていたことだが、平等というものは社会の衰退を意味する。

 日本という国は意欲があっても、前例がないからなどと言ってチャレンジ精神も突出した個も嫌うタチがある。全くもって___。

 

「合理的じゃない」

「合理的じゃないな」

 

 おっと、独り言が相澤先生と被ってしまって目が合ってしまった。ここは生徒に威厳を示すところだったのだろう、私としたことが失念してしまったな。

 

「コホン、そうだな………爆豪、ちょっと前に出てこい」

 

 先生は咳払いを一つして、手元のタブレットを確認すると、私と一瞬だけ目線が合ったかと思えば、すぐに爆豪というクラスメイトを呼んだ…。あぁなるほど、そういうことか。

 

「中学の頃、ソフトボール投げは何mだった?」

 

「…67m」

 

「じゃあ、個性を使ってやってみろ。円から出なければ何をしても構わない。早よ、思いっきりな」

 

「んじゃまぁ___死ねェ!」

 

 爆炎と轟音を出しながら、ロケットのようにソフトボールが打ち上がった。爆炎系の個性、そしてこの臭いは___ニトログリセリンか。

 ダイナマイトの成分を体から出す個性、そんなところだろう。戦闘系に特化した個性に、あの口調___相澤先生が私に求めている意図がわかった気がするな。

 

「705m___」

 

 先生の手元の端末に映し出された数値は、馴染みのない数字となっていた。

 

「すっげぇ!」

 

「さすがヒーロー科!」

 

「なにこれ、面白そう!」

 

 …ヒリついた雰囲気を先生が纏った。何かの地雷を踏んだようだ。

 

「面白そう…か、ヒーローになるための三年間、そんな腹づもりで過ごす気でいるのかい。…よし、八種目合計最下位の者は見込みなしとして、除籍処分としよう___ようこそ、これが雄英高校ヒーロー科だ」

 

 除籍処分…か、もし私の見立てが正しければ出久は危なそうだな。出久の様子は…あぁ、やっぱり、まだ個性の調整が済んでいないのか不安げになっている。

 仕方があるまい、ここは気の利いたセリフの一つでも言ってあげるのが優しさというモノだろう。

 出久に近づき、肩に手を置く。

 

「個性の調整がまだなのだろう。大丈夫だ、出久はここぞというときにできる男だ」

 

「うぇ!?あ、あの時の女の人!?」

 

「そうか、自己紹介がまだだったな。私はエスデス・イェーガー、日本生まれ日本育ち。エスデス___と呼んでくれると嬉しいぞ」

 

「ほらそこ、青春ごっこなら他所でやれ」

 

 

 

 

 

 

 

 

◆◆◆

 

 

 個性把握テストにおける重要点は、個性を使用して出来ることと、出来ないことを浮き彫りにし、己を生かす創意工夫につながる。

 それに得意不得意を知るというのは、今後のヒーロー活動における課題となってくる。しかし…。

 

 第一種目50m走、一位イェーガー 1.3秒*1

 第二種目握力測定、一位イェーガー 測定不能*2

 第三種目立ち幅跳び、一位イェーガー 測定不能*3

 第四種目反復横跳び、二位イェーガー 132回

 

 ここまでの記録から、無から氷を生成して操る個性を巧みに使っているエスデスは、やはりこの中でも群を抜いて優秀と評価できる。

 無機物を生成する八百万の氷限定バージョンに加えて、自身の脚に氷を付着させ、浮力を持たせて飛行できるところから、物理法則を無視した動きすら可能となれば妥当な評価だ。

 同じように氷を出す個性の轟にはない、個性そのものの応用力を感じる。まだまだ、できることも増えていくだろう。

 

 ()()()()()()___いや、そんな生やさしい物じゃない。雄英始まって以来の()()()()を出すだけはある。

 爆豪の入試結果的に、イェーガーに優っているところが無いと知れば、多少はその伸びた鼻先を折ることもできるだろう。世界は広い、現時点で上が居ることを知らせるのは、残酷だが教師の仕事だ。

 

 ただ解せないのは、そのイェーガーが気にかける緑谷出久という生徒だ。彼に何があるというのか…今までの記録から、緑谷は至って平凡な記録しか残していない。

 

 一度目のソフトボール投げも、入試試験の時のように玉砕覚悟で腕を壊そうとして、俺が個性を抹消させた。それに入試試験の時は他の人がいなければ、あのまま地面に激突していただろう。

 その時もイェーガーに助けられたくらいだ。惚れた色眼鏡というなら、それこそ合理性に欠ける。

 

 また腕を壊すなら、見込みゼロで除籍処分だが…。まさか、さっきまでとは雰囲気が違う___コイツ!

 

SMAASH!!!

 

 この土壇場で、出力を人差し指だけに絞って…。見せてくれる。

 

 

 

 

 

◆◆◆

 

 ふふ、やはり出久はやれば出来る男。磨けば光る原石そのものだ。

 

「あ、除籍は嘘ね。合理的虚偽ってやつ」

 

 相澤先生の嘘にクラスのみんなが、騙されたと文句を言っている。しかし、"騙された"という点なら、間違っていないだろう。

 

「えぇ!」

 

「嘘!?」

 

「まじで!?すっかり騙されたぜ!」

 

「あら、皆さん本当に除名処分されると思っていらしたの?」

 

 クラスの反応を見るに___気がついているのは私だけのようだな。本当に見込みなしなら、除名処分をしていたことに。

 しかし、今はそれどころじゃ無いから、相澤先生には目配せをして終わらせる。

 

「それにしても出久、指は大丈夫か?___この氷嚢を使ってくれ、氷をハンカチで包んだ氷嚢だ。ハンカチは今日おろしたてで綺麗だから安心して使えるぞ」

 

「あ、ありがとう…イェーガーさん」

 

「エスデス」

 

「え…エスデスさん」

 

「エスデス」

 

「その、まだ出会ったばかりだから、呼び捨てはちょっと…」

 

「むぅ、確かにそうか…それなら仕方ない。後々呼び捨てに慣れてもらうとする」

 

「…あの、デクくんと、イェーガーさんは、お知り合い?」

 

 出久の腫れた指に氷嚢を当てていたところに、ぐいっと私と出久を引き剥がすように、割って入ってきた… 麗日お茶子___待て、"デクくん"だと…?

 これは牽制も兼ねて宣言しておかなければ…。

 

「将来を誓い合った仲だ」

 

「嘘ぉ!?」

 

「違うけど!?」

 

「どうして否定するんだ出久、この私があんなにも熱い告白をしたというのに」

 

「そうなのデクくん!?」

 

「一方的に"私のものになれ"って…あれ、冗談じゃなかったの!?」

 

「冗談でこの私が告白なんてするものか」

 

「おい、そこ!早く緑谷を保健室に連れて行け」

 

 相澤先生がもっともな意見を言う。確かに早く保健室に連れて行ったほうがいいからな。

 

「私がデク君を連れて行きます!」

 

「私も行きます!」

 

「付き添いなら、麗日一人で充分だ。イェーガーは皆んなと片付けをしろ、合理性に欠ける」

 

「くっ!」

 

 この後、教室では出久を巡る三角関係で、話題が持ちきりとなり、質問攻めにあった。

*1
約時速200km

*2
計測器破壊のため

*3
アメリカまでなら余裕で飛んでいけるそうなので




 お疲れ様でした。
 最後ギャグっぽく終わるやつ。
 青くて長い綺麗な髪に、モデルのようなプロポーション、めちゃくちゃ美人、実家が太い、おまけに強くて、Sっ気有り…箇条書きしたときに、すごく魅力的なのに、デクくんは靡かないのは立派だね…。
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