五老人
イム教施設にある特別養護老人ホーム パンゲアパンゲアの利用者 痴呆症になっても働かせられる社畜 ボケと戦いながらイム教を運営している五人の老人たち 最近はボケがひどくて運営できていない
頂木胡瓜 通称トップマン・ウォーキュリー聖 一分前に物を食べたことさえ忘れてしまうほど進行が速い
那須山 バロン 通称イーザンバロン・V・ナス寿郎聖 大便をした後尻を拭くのを忘れ ズボンもはきわすれる重傷者
土山土星 通称 ジェイガルシア・サターン聖 痴呆が進み 十秒で物事を忘れてしまう クザンに移動式オマルを盗まれる
犬山十 通称 シェパード・十・ピーター聖 施設内を徘徊しては職員に連れ戻される
火星山爆破 通称 マーカス・マーズ聖 寝たきり
名越イム 通称イム イム教教皇 大便をするのが面倒だと100年前に自分の尻を切り落としてしまったことを忘れている
青田雉男 通称クザン アイスクリーム屋 アイスエイジの店主 マゼランの使ってた移動式オマルの快適さが忘れられず サターン聖から盗み出す
小沢ノジコ 訪問介護士 通称ノジコ パンゲアパンゲアにバイトに来ている
城田煙 通称スモーカー タバコ屋店主 クザンの友人 煙が大好きで解体工事現場でダイナマイトを盗んだり 炭火焼屋の排気口をみつけては煙を吸っている
イム(なぜだ!なぜムーには尻がないのか!
ドカーン!イム教施設内に爆音が響き渡る イムの癇癪である。
イム教信者(イム様ご乱心!ご乱心!ピー!と叫ぶ。
ウーウーウーウー!けたたましいサイレンが響き渡る。
イム教信者(イム様を止められるのはあの方たちしかいない!
信者は老人ホームに走り出す!
この特別養護老人ホームには元イム教教皇の五人の老人たち、通称五老人が入居していた。
イム教信者(五老人はいますか!? あっ!サターン聖!イム様を止めてください!
サターン(イム様は昔自分の尻を切り落としてしまったのじゃ。そのたび癇癪を起こされる。放っておけばそのうち止まる。昔のことはよく思い出すんじゃがのう、私には何も聞くな!覚えられない!
10秒後、サターン聖は忘れてしまった。
サターン(はて...なにをしていたのか?
イム教信者(くっ!頼りにならん。もう俺も知らねえ!
信者はもう放置することにした。
案の定すぐにサイレンは止まり、施設は静けさを取り戻した。
ノジコ(なんだったのかしら、さっきのサイレンは。ま、どうでもいいか♪ はーい、オシメ替えますよー、マーズさん。
ノジコはパンゲアパンゲアという施設で介護のバイトをしていた。
窓の外を見ると見覚えのある顔があった。クザンである。
ノジコ(あれはアイスクリーム屋のクザンさんよね? まあどうでもいいか 帰りにアイスクリームを買っていこー
ノジコは特に気にする様子もなく仕事を続けた。
その頃、サターン聖は自分がなにをしているのかもわからず、オマルカーで移動していた。
カラカラカラー
クザン(あららー あれは目的のブツじゃないの!
クザンがサターン聖をみつけ壁から顔を出し、様子を伺っている様子だ。
サターン(わしはどこに行こうとしてるんだ 思い出せん
トイレを見て大声で叫ぶ。
サターン(そうだ!トイレに行こうとしてたんじゃないか わしも年じゃな。
サターンはオマルにまたがっているのも忘れ、フルチンでトイレに歩き出す。
クザン(今だ!
クザンは全速力でサターン聖のオマルを背負い逃げ出す。
クザン(やったー 成功したぞ 老人ホームでオマルを盗む計画、即ちアイスタイム作戦、成功だ!
クザンはイム教施設を出ると、ハーフメットをかぶり、オマルにまたがって漕ぎ出す。このオマルは自走式ではなくペダルで漕ぐタイプで、黄猿のドライジーネに形は似ているが三輪車である。
カラカラカラ~
クザン(やっぱいいね この乗り心地。どこに売ってるのかもわからなかったから、盗みにきちまったよ。まあイムのところでは奴隷にされてたんだから、報酬だよこれは。
スモーカー(よう クザン なにしてんだ それドライジーネか?なんでそんなメットかぶってるんだよ。
クザン(これは俺の足だよ、スモーカー。乗り物乗ったらかぶるのこれ常識。
スモーカー(臭いな、それはオマルではないのか?
クザン(俺は別にオマルが欲しいわけではない、夢の中でこういうものを漕いでいた気がする。
スモーカー(まあ、お前の勝手だがな。
クザン(ちょっとそこのトイレ寄っていくわ。
スモーカー(それですればいいじゃねえか。まあいっか、またな。
スモーカーは去っていった。
クザンは公衆トイレに入るとサターン聖の大便をトイレに流し、トイレの外にある蛇口についてるホースでオマルを洗い出す。
クザン(じじいの糞が入っているんじゃ、落ち着いて漕げないからな。
クザンは綺麗になったオマルをゆっくりと漕ぎ出す。
そこに飛脚中の黄猿がドライジーネで現れた!
黄猿(お前はクザン! こんなところで何をしているんだ~い。
クザン(てめえ、黄猿!
黄猿(おっと~、仕事中だからねー。お前に構っている暇はないんだよー。
黄猿はドライジーネにまたがり、地面を蹴り、逃げ出す。
クザン(甘いぜ、黄猿! この俺のオマルにはペダルがあるんだ。ご自慢のドライジーネで逃げられると思うのかよ!
二人のドライジーネとオマルとのレースが始まった。
キキー! キュルキュルキュルー 二人の暴走は止まらない。通りがかりの人を轢きそうになる。
通りがかりの人(きゃあ!危ない、そんな乗り物で暴走しないでよ!
黄猿(なかなかやるねー、クザン。でもさー。
黄猿はスピードをあげる。そう、彼は本気を出していなかった。舐めプをしていたのだ!
黄猿(三輪車じゃ二輪にはおいつけないんだよー。おしかったねえー。
クザン(クソ! 追いつけねえ、速すぎる。これが光速の飛脚か!
クザンは全速力で追いかけたが黄猿を見失ってしまった。
クザン(仕方がないな、あの野郎。今度見つけたら許さねえ!
クザンは疲れてまたゆっくりオマルを漕ぎ出した。
そこにベン・ベックマンが登場し、オットセイをリードに繋いで立っていた。
ベック(ヒサシブリダナクザン。
クザン(おー、あんたかベックマン。息災のようだな。オットセイの散歩か?
ベック(モチロンダオマエモゲンキソウダナコイツウンドウブソクダカラアルカセテイタ。
クザン(そうか。まあまた今度占いに行くよ。占い代まけてくれよ。
ベック(カンガエテオク。
ベックは去った。
クザンが自宅に戻るとノジコが店の前に来ていた。
ノジコ(クザンさん、さっきパンゲア前にいたよね? 帰って来たの?
クザン(まあな。見てたのか?
ノジコ(私、あそこにバイトに行ってるからさ。
クザン(そうか。
ノジコ(チョコミントひとつ頂戴。
クザン(ちょっとまっててな。
クザンは裏庭にオマルを隠すと裏口から店に入り、アイスをノジコに渡す。
クザン(毎度ありー。また来てくれよー。
ノジコ(うん。またくるねー。あ、ゲンさんのも買っていきたいからチョコバニラカップアイスひとつくれる?
クザンはドライアイスをカップアイスが入れられた箱に入れて渡した。
クザン(ゲンさんにもよろしくな。
ノジコ(うん。またね。
クザン(あー足が疲れたー。黄猿の野郎、毎日あんなの乗ってるのか。こりゃ筋肉痛になりそうだ。
一人になった店内でクザンは呟いた。