ヴィンスモーク・サンジ
ルフィの秘密基地に、キュロスと名付けられたボロ小屋にかけられた、秒針が三時で止まっている時計。デザインが格好いいと、ルフィがいつも持ち歩いている。ちなみにデザインはスモークサーモンを模している。
魚沼隆司(通称 甚平)
魚屋の店主であり、フィッシュヒューマン。純日本人で、常に甚平姿。子供のルフィを可愛がる子煩悩な一面を持ち、ガープからマグロを仕入れている。
豚の骨 ブルック
サカズキの店で使われていた、肉をそぎ取った後の骨。ルフィが可哀想だと、裏庭に埋まっていた骨を掘り起こしてポケットに入れている。ルフィは命が宿っていると思い、話しかけている。周りからは同情の目で見られている。
ナミ(本名:小沢 奈美恵)
美人芸者。副業はみかん泥棒。両親を失ったルフィに同情し、盗んだみかんで餌付けして甘やかしまくった張本人。ルフィが盗みを働くようになった原因を作ってしまった。
深夜三時、ルフィは目を覚ました。植物状態だと言われているルフィだが、実は夜中だけ外出して仲間達と冒険をしていたのだ!もちろん、他の皆は知らない。
「よーし!今日も冒険に行くぞ!サンジ、ブルック、ついてこい!」
ルフィは、豚の骨のブルックと壁掛け中時計のサンジに話しかける。しかし、返事はない。
「……返事がない。ただの屍と時計のようだ」
「聞こえる、聞こえるよ、お前たちの声が!」
妄想のサンジとブルックが応える。
「今日はどこに行くんだ船長!ヨホホホホ!夜中しか外に出られないなんて不自由ですねー、ルフィさん。私、ただの豚の屍ですけどー。ヨホホホ」
ルフィが独り言を言っていると、前からマキノさんのバーで深酒して泥酔状態のジンベエが歩いてきた。
「なんじゃ?こんな時間に小鬼がなにをしておるのじゃ?ん?お前、ルフィか!?いや、そんなはずない。飲みすぎたのかのう」
「ジンベエさん、フィッシュアンドチップスちょうだい!」
「そんなもん持ち歩いているわけがなかろう……なんてな。非常食としていつも持ち歩いておるんじゃ。ジャーン!フィッシュアンドチップス缶詰じゃ!これをやるから、早く帰って寝るんじゃぞ!」
「ありがとう、ジンベエさん!今から仲間達と冒険に出るんだよ。ジンベエさんも俺の船に乗りなよ」
「船?そんなもんどこにあるんじゃ!」
「あれだ」
ルフィが指を刺した方向には、一台のゴムボートがあった。
「わしゃー、太ってるからのう。沈みかねんからな」
「ジンベエさんは魚人じゃないか?溺れるわけないじゃん。白ひげさんが、あいつは魚人だから海中でも息ができるって言ってたよ!」
「まーた嘘吐いたのか、あのロクデナシは。わしは正真正銘の人間じゃ。人間離れしてるとか、白ひげから馬鹿にされたことはあるがな」
ふと気づくと、ルフィの姿は消えていた。
「やっぱり飲みすぎじゃな。ガープさんのマグロが美味くて飲みすぎてしまったわい」
その頃、ルフィは仕事帰りにみかんを盗もうとしたナミを、海岸近くの平屋で発見した。
「ナミ姉!みかん盗むなら俺のもくれよ!」
「ルフィ?また夜遊びしてるの?まあ、両親もいないし寂しいもんね。いいこ、いいこ」
そう、ナミはルフィが目覚めたという事実を認識していたが、関係者には黙秘していて、夜な夜な甘やかしていたのだ!
「そうだ、ルフィ。アイス食べたくない?今の時間ならクザンさんのアイスがなんとただで食べ放題!」
「アイス、俺くうー!」
「じゃあいこっか!深夜の静まった村を徘徊する、大人の泥棒と少年は非行に走っているのだあー!」
「よし、ついた!あとはコッソリ盗んで。私はバニラで、ルフィはハーゲンダッツでしょ?」
「ハーゲンダッツ!俺喰う!」
ナミがクザンの冷凍庫に忍び込み、冷凍庫に手をかけたそのとき!
「おやー、先客かい?」
そう、黄猿がいたずらしに来たのだ!
「泥棒するつもりでも見逃すよー。おじさんからしても都合がいいからねー。いっぱい食べるんだよー。ただ、もうすぐでブレーカー落とすから早めにねー」
「アイス、ダメになっちゃうじゃん!クザンさんに言うよ!」
「泥棒の君たちにそんなこと言える訳ないよねえ。ルフィ、目覚めたんだねー。だいぶ前から気づいていたよー」
二人は後ろめたいので、お互い見なかったことにした。対クザン、アイス泥棒同盟である。
「黄猿、ナミ、ルフィのアイス海賊同盟だー!」
「ルフィ!大声出さないの!見つかっちゃうでしょ!さっさとほしいアイス持って撤収!」
「ハーイ、ナミ姉。俺、肉もくいてえよー」
「隣はサカズキさんの鉄板焼き屋。でもまだ灯りが灯ってるのよねー。起きてたらまずいし、他で泥棒かなー。そうだ!さっきからあげクン買ったんだった。これで我慢してね。早く帰らないとバレちゃうから、今日はここまで」
「わかった!今度は肉がいい。明日もやる?」
「泥棒は週に一度だけ!来週も日曜日の深夜三時、待ち合わせはあのゴムボート。了解?」
「ヨーソロー!」
正確に言えば、ルフィは完全に目覚めているわけではない。一種の夢遊病なのだ。無意識の中で、バーでの会話や、周りの人間が話している言葉を歪曲して頭の中で構成していたのだった。
「おじさんだって好きで悪いことしてるんじゃないんだよー。飛脚だけじゃ病気のうちの猿、ラブーンが死んじゃうんだよー」
「黄猿おじさんもつらいんだ。俺達はもう仲間なんだ」
ルフィは寝床に戻り、また再び長い眠りにつくのだった。