小金原全 ゴールドロジャー この世の全てを手に入れた男と人々の尊敬を集めるが 実際はただの浮浪者で酔っ払い
猿山麦田 通称 ルフィ
玉木茶々 通称 お玉
赤坂恵比寿 通称 赤紙のシャンクス
熊田ボニー 通称ボニー
ボニー
夕暮れの風車村。
お玉は茶屋を閉め、いつものように空き地へ向かっていた。
お玉(今日はボニーちゃん来るでやんすかね……)
すると、空き地の真ん中に、
ボロボロのマントを羽織り、
酒瓶を抱え、
地面に寝転がっている男がいた。
???(……ぐび……ぐび……)
お玉(ひっ!? だ、誰でやんすか!?)
男はゆっくりと起き上がり、
酒臭い息を吐きながら名乗った。
男(……ワシは……ゴールドロジャー……)
お玉(ゴ、ゴールドロジャー!?)
そう、彼は世間で“伝説の海賊王”と呼ばれる男。
しかし実態は──
全財産をギャンブルで溶かした
家もない
風呂にも入らない
酒と賭け事が生きがい
ただの浮浪者
だが村人たちは、
「伝説の海賊王を粗末に扱うわけにはいかない」
という空気を読み、
誰も真実を言わない。
ロジャー(……腹が……減った……)
お玉(えっ……あ、あの……お金は?)
ロジャー(……ない……)
お玉(ないんかい!!)
そこへ村人Aが走ってきた。
村人A(お玉ちゃん!その人は……あの伝説の海賊王ゴールドロジャー様だよ!)
お玉(えっ!? この酔っ払いが!?)
村人A(しっ!声が大きい!
ロジャー様はな……“偉大な冒険の果てに全財産を失った”んだ……!)
お玉(ただのギャンブル負けじゃないんでやんすか!?)
村人A(しっ!!)
ロジャー(……腹が……減った……)
村人A(お玉ちゃん……頼む……ロジャー様にお汁粉を……)
お玉(ええええええ!?)
だが、ロジャーはお玉の手をそっと握った。
ロジャー(……太陽の……神よ……)
お玉(えっ!?)
ロジャー(……お前の店の……お汁粉は……世界一……)
お玉(……!)
お玉の胸がじんわり熱くなる。
お玉(……わかったでやんす。
お汁粉……作ってくるでやんす)
ロジャー(……恩に……きる……)
■ 茶屋にて
お玉は急いでお汁粉を作り、ロジャーに渡した。
ロジャー(……うまい……うまいぞ……!)
お玉(そんなに喜んでくれるなら……作った甲斐があるでやんす)
そこへボニーが駆けてきた。
ボニー(お玉ー!今日も校長ダンス──って、誰このおじさん!?)
お玉(伝説の海賊王らしいでやんす……)
ボニー(えっ!? この酔っ払いが!?)
ロジャー(……酔っ払いじゃ……ない……海の……王だ……)
ボニー(いや酔ってるじゃん!!)
そこへシャンクスが現れた。
シャンクス(おいおい……ロジャーじゃねえか)
お玉(赤紙さん、知ってるんでやんすか!?)
シャンクス(まあな……昔ちょっと世話になった)
ロジャー(……シャンクス……酒……くれ……)
シャンクス(ほらよ)
ロジャー(恩に……きる……)
ボニー(赤紙さん、なんでそんなに優しいの?)
シャンクス(こいつはな……“誰よりも自由に生きた男”なんだよ)
お玉(自由……)
シャンクス(たとえ今がどん底でもな)
ロジャー(……自由……最高……)
ロジャーはそのまま地面に倒れて寝始めた。
お玉(寝たでやんす!!)
シャンクス(まあ、放っとけ。こいつはこう見えて、誰よりも“人に愛される才能”があるんだ)
ボニー(ただの酔っ払いなのに?)
シャンクス(そういうやつほど……人は放っておけないんだよ)
お玉(……なんか、わかる気がするでやんす)
お玉はそっとロジャーに毛布をかけた。
お玉(……おやすみでやんす、ロジャーさん)
ロジャー(……太陽の……神よ……)
お玉(えっ……また太陽の神!?)
シャンクス(こいつは昔から“太陽の神”を信じてるんだよ)
ボニー(えっ……校長のこと!?)
シャンクス(いや、別のやつだ)
お玉(ややこしいでやんす!!)
三人は大笑いした。
■ その夜
ロジャーは寝言で呟いた。
ロジャー(……自由は……奪えねえ……)
お玉(……自由……)
お玉は胸に手を当てた。
お玉(……おらも、誰かを自由にできる人になりたいでやんす)
夜風が優しく吹き、
お玉の願いを運んでいった。