ONEPIECE ANOTHER DREAM   作:徳武

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第四十七話「夜汽車のクザン 〜アイスクリームの天ぷら〜」

「夜汽車のクザン 〜アイスクリームの天ぷら〜」

夜のフーシャ村駅。

終電間際のホームには、

潮風と、

遠くで聞こえる借金取りの怒鳴り声だけが残っていた。

 

借金取り(クザァァァン!!逃げるなァァァ!!)

 

クザンは、

肩をすくめるようにして夜汽車へ乗り込んだ。

 

ドアが閉まる。

列車がゆっくりと動き出す。

 

車内は薄暗く、

蛍光灯が時々チカッと瞬き、

そのたびにクザンの影が揺れた。

 

クザン(……働いたら負け……

でも……捕まったら……もっと負け……)

 

座席に腰を下ろすと、

膝の上に置いた駅弁の包みを静かに開いた。

 

包み紙には、

「特製・夜行幕の内 1100円」

と書かれていた。

 

クザン(……1100円……

今の俺には……高かったな……)

 

◆駅弁の中身(豪華版)

厚めのかまぼこ

 

冷めても旨いローストンカツ

 

ふっくら白米

 

だし巻き卵

 

きんぴらごぼう

 

たくあん3枚

 

鮭の塩焼きの端

 

ちくわの磯辺揚げ

 

そして……天ぷら(紙に包まれている)

 

クザン(……天ぷら……

最後の楽しみだな……)

 

クザンは、

まず“かまぼこ”に箸を伸ばした。

 

◆かまぼこ

厚めに切られたかまぼこ。

噛むと、ぷりっとした弾力が返ってくる。

 

クザン(……かまぼこなんて……

いつぶりだ……)

 

海軍時代、

宴会で山ほど出てきたかまぼこを思い出す。

 

クザン(……あの頃は……

こんなの……当たり前だったな……)

 

夜汽車の窓に映る自分の顔は、

疲れ切っていた。

 

◆トンカツ

冷めても旨いローストンカツ。

噛むと肉の甘みがじんわり広がる。

 

クザン(……トンカツか……

昔はよく食った……

揚げたてのやつ……

サクサクで……

腹いっぱい食って……

笑ってた……)

 

今のトンカツは冷めている。

でも――

 

クザン(……うまいな……

腹……減ってたんだな……俺……)

 

噛むたびに、

“昔の自分”と“今の自分”の差が胸に刺さる。

 

◆白米・だし巻き・鮭・ちくわ

(哀愁の描写は前回と同じため省略せず、自然に流す)

 

白米はふっくらしていた。

だし巻き卵は優しい味。

鮭の端はしょっぱくて、

ちくわは白逃げを思い出させた。

 

クザン(……俺の人生……

どこで間違えたんだろうな……)

 

夜汽車の揺れが、

心の奥の何かを揺らす。

 

◆そして、天ぷらの包みを開く

クザン(……さて……

最後の楽しみだ……)

 

紙を開く。

 

中から出てきたのは――

衣がふわっと膨らんだ、丸い天ぷら。

 

クザン(……なんだ……これ……)

 

箸で割る。

 

中から、

白いものがとろりと溶け出した。

 

クザン(……これは……)

 

口に運ぶ。

 

冷たい甘さが、

衣の熱でふわっと広がった。

 

クザン(……アイス……

アイスクリームの……天ぷら……)

 

その瞬間、

クザンの胸の奥で、

何かが“カチッ”と音を立てた。

 

◆クザン、原点に戻る

クザン(……そうだ……

俺は……

アイスクリーム屋なんだよ……)

 

夜汽車の窓に映る自分の顔が、

少しだけ笑った。

 

クザン(逃げてて……どうする……

またやればいいじゃねえか……

アイス売ればいいんだ……

俺は……

アイスクリーム屋なんだ……)

 

夜汽車は闇の中を走り続ける。

でもクザンの心には、

小さな灯りがともっていた。

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