涼宮ハルヒの錯綜   作:ドドロット

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第十五話 笹の葉ラプソディ1

6月も終盤に入り、いよいよあの忌々しい湿気が過ぎ去っていくと思ったら、代わりに今度はガンガン照りつける日差しがやってくる、そんな頃のこと。

 

俺は放課後、例の秘密基地喫茶店へと赴いてコーヒーを飲んでいたのだが、ふと思いついたことをスネークに聞いた。

 

「転生の組織図的なのものを教えてくれないか?」

 

「いきなりだな」

 

彼を始め、こなたや銀時等、他の仲間たちも目を見開いて俺を見た。

 

なんで言ったのか。正直、俺自身でもよくわからなかった。俺もこいつらも互いに信用しあっているし、それぐらい聞いても良いんじゃないかと、俺の潜在意識か何かが判断したのだろう。

 

「解った、少し待っていてくれ」

 

判断が早い!スネークは店の奥から(何故あるのか)ホワイトボードを引っ張り出してきてペンを走らせ始める。

そこに書かれた内容は以下だ。

 

(リーダー)

1人 創設者

 

(幹部)

4人

 

(各部門のリーダーたち)

30人

 

(各部門に配属された者たちの総数)

9000〜1万人

 

(転生からの保護を受けて生活している者たち)

数万人

 

(その他)

・本部の所在地は不明

創設者と幹部しか知らない

・支部や研究所、この喫茶店のようなカモフラージュ施設が世界各地に存在する

 

…意外と解りやすかった。いや、実際はもっと複雑なのだが、簡単に表すとこんな感じらしい。

 

 

それから数日後、いよいよハルヒ率いるSOS団は七月へと突入した。流石7月だ、本場としての暑さが5月のソレをマシに思わせてくる。

 

「今日は何の日か知ってる?」

 

昼休みのことである。修学旅行前夜の小学生のような顔でハルヒが言った。大抵こいつが感情豊かな表情を浮かべることは、何かロクでもないことを考えてるというサインだ。

 

「お前の誕生日か?」

 

「違うわよ。たく、あんたは今日が一体どれ程大切な日なんてちっとも解ってないのね。」

 

そうは言っても、俺からすればただのサウナみたいに暑い平日だ。

 

「今日が何月何日か言ってみなさい」

 

「7月7日……もしや七夕がどうとか言い出すつもりじゃ」

 

「もちろん言い出すつもりよ」

 

 

部室棟二階、文芸部に間借りというより寄生しているSOS団のアジトには、正体を知る俺からすればカオスな団員達が揃っていた。

 

「クラウドくん下手くそー」

 

「下手で悪かったな…」

 

早速俺の目に入ったのは青髪オタクのこなたとツンツン金髪頭のクラウドがノートパソコンで対戦ゲームをしている様子だった。

 

「あ、キョンくん!お茶淹れますね」

 

SOS団の癒しの女神こと、朝比奈さんは俺を見るや否やお茶を入れ始めてくださった。

 

「おまたせー!」

 

数十分後、荒々しく扉が開かれて、何やら竹を肩に担ぎながら現れたハルヒ。

 

この竹は学校の裏から無断で切り取ったものらしく、団員達に短冊を吊るすから願い事を書け、と言いそれを渡してきた。

それと、渡された短冊は二枚で、25年後と16年後に叶えてほしい願いを書けとのこと。

 

しかしまあ、いつものようにしなくてもいいことを考えつく奴だ。

 

すると古泉が俺の耳元で、ハルヒには聞こえぬよう

 

「涼宮さんはああ見えて常識というものを理解しておられます。仮にそうでなかった場合、この世界は安定しておらず、とっくに崩壊している可能性すらありますからね。」

 

といつもの爽やかな笑顔で言った。

 

 

そして、皆が書いた短冊の願い事は以下である。

 

ハルヒ『世界があたし中心に回るようにせよ』『地球の回転を逆回転にしてほしい』

 

俺『金くれ』『犬を洗えそうな一戸建てをよこせ』

 

朝比奈さん『お裁縫が上手くなりますように』『お料理が上手になりますように』

 

長門『調和』『変革』

 

古泉『世界平和』『家内安全』

 

こなた『コミケで雨が降りませんように』『神アニメと出会えますように』

 

スネーク『平和』『ダンボールが壊れませんように』

 

トニー『あの2人が平和に暮らせますように』『もしもの時、自分が正しい選択をできますように』

 

銀時『金くれ』『血糖値下げろ』

 

トランクス『平和な世界がいつまでも続きますように』『どんな時でも希望が現れますように』

 

クラウド『迷いがないように』『乗り物酔いに耐性がつきますように』

 

仗助『この髪が一生決まり続けますように』『宝くじで数億円当たりますように』

 

 

「まあ、いいわ。みんな、書いた内容はしっかり覚えておくことね!」

 

そう言うとハルヒは長い笹竹を窓から突き出して固定し、窓側に座り込んだ。先程の威勢はどこへ行ったのやら、その横は憂いの成分を含んでいるように俺は感じて少々戸惑った。

 

俺は試験勉強を再開しようとして教科書を開く、その時

 

「…16年か、長いなぁ」

 

背後でハルヒが小さく呟いた。

 

 

「どこに行くんですか?」

 

「3年前です…。」

 

皆が帰った後、俺は朝比奈さんから受け取った短冊に書かれていた

 

『部活が終わっても部屋に残っていてください⭐︎ みくる⭐︎』

 

というメッセージに従い、彼女と2人でここに残っていた。

で、何をするのか。単刀直入に言おう。タイムスリップだ。

ちなみに長門も帰り際に短冊を渡してきてたのだが、幾何学模様が描かれているだけ何が何だかさっぱり。こんなんトニー辺りに見せないと解読できそうもない。

 

取り敢えず俺は朝比奈さんの指示で椅子に座り目を瞑った。

 

「ごめんね」

 

嫌な予感がして目を開けようとした瞬間、その直後に強烈なやつが俺の意識を奪い去った。

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