涼宮ハルヒの錯綜   作:ドドロット

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前回のハルヒが女かどうかキョンに怪しまれるシーンは無かったことにしました。理由?教えません。


第二話 暴走

「なあ。」

 

俺はハルヒに話しかけた。

 

「自己紹介のアレ、どこまで本気だったんだ?」

 

しかし彼女は不機嫌そうな顔をしてちょっとだけ俺と会話した後

 

「だったら話しかけないで、時間の無駄。」

 

と言い放った。というのも、俺はこいつに「あんたは宇宙人か何かなの?」なんて聞かれて「違う」と答えたんだ。

 

それからというもの、俺は中学校時代から比較的仲の良かった国木田、席の近かった東中出身の谷口、なんか話してたらすぐ仲良くなったこなたと過ごした。

 

ある日の昼休み。俺は上記の3人と席をくっつけて昼飯を食べていた。別に1人で食うのが苦という訳ではないが、やはり周りがワイワイしてる中で、1人だけポツンと飯をとるのは少しばかり寂しい。

 

「お前、この前涼宮に話しかけてたな。」

 

何気にそんなことを言う谷口に俺は頷いた。

 

「訳わからんこと言われて追い返されたろ?」

 

その通りだ。頭の中が宇宙猫になったぞ

 

「ハルヒって中学時代凄かったんだってさ。谷口くんから聞いたよ。」

 

こなたがチョココロネをモグモグしながら口を挟む。

 

「どんな風に凄かったんだ?悪い意味でっての確定として。」

 

谷口は語った。中学校時代は訳のわからんことを言っては訳のわかんことをやり倒してたと。特に有名なのは校庭に謎のドデカい文字を書いた事件らしい。高校生になれば流石に落ち着くだろうと思っていたが、あの自己紹介だった為、そんなことはなかったと。

 

「けどな、変人っぷり以外は完璧なんだぜ、涼宮の奴。」

 

「ほんとかぁ?」

 

「ああ。ツラがよくて、スポーツ万能で成績も優秀。黙って立ってりゃいいのになー。」

 

俺はハルヒの席に目を向けた。性格を除いて完全体、いやパーフェクトな女。俺は頭が痛くなってくるのを感じた。

 

そして時は流れ、ゴールデンウィーク明けの1日目。

俺は以前から気になってることがあった。それはハルヒの毎日変わる髪型についてだ。

 

何となく眺めているうちに法則性に気付いたのだが、曜日が進むごとに髪を結ぶ箇所が一ずつ増えており、月曜日にはリセットされ、しかも金曜日までには一つずつ増やしていく。

 

そして、何を血迷ったのか俺は髪型のことを彼女に聞いた。宇宙人対策か?ってな。

 

するとコイツは相変わらず不機嫌ながらも

 

「いつ気付いたの?」

 

と、返してくれた。

これがきっかけで、俺とハルヒは話すようになった。別に仲良くなった訳じゃない。彼女が少し俺を気に入っただけだ。

 

で、髪型を指摘した次の日のこと。

ハルヒは腰まで届く長さのロングヘアーを肩の辺りで切り揃えてきたのだ。それはそれで無茶苦茶似合ってた。

 

それから数日後のことだった。俺はいつものように下らない妄言をだらだらと並べるハルヒに対して現実的なことを言った。超簡単に表現すると「人間はこれがこうでこうしてきたのだ。だから夢見んな。」って感じのことを。

 

すると彼女は「うるさい」と不機嫌そうに言い放った。図星ってやつだろうか。

 

日差しに眠気を誘われ、因数分解がわからず首をゴキゴキしていた俺を、ハルヒは恐るべき勢いで引っ張り後頭部を机に叩きつけた。

 

「何しやがる!」

 

もっともな怒りで憤然する俺なんか気にせず、コイツは言った。

 

「気付いたわ!ないんだったら作ればいいのよ!」

 

「分かったから、取り敢えず今は座ってろ。授業中だ。」

 

ハルヒを座らせて、じんじんする頭を押さえて前に向き直った俺は、「どーぞ構わず授業を進めてください」と周りにジェスチャーした。なんか坂田の野郎がニヤニヤしてやがる。やめろ、死んだ魚の目でそんなこと顔するな。

 

休み時間になると、ハルヒは俺と、なぜかこなたを連れて屋上手前の階段まで来て停止した。

 

「ハルヒお前…泉とダチだったのか?」

 

「まあね。何か言いたいことでも?」

 

「いや…ダチどころか、俺以外の話し相手すらいないと思ってたもんだから」

 

「殺すわよ?」

 

彼女が殺意の波動にでも目覚めたような眼で俺のネクタイを引っ張っり睨む。ちと怖い。

 

「ハルヒ怖いねぇ〜。」

 

それの様子を横からこなたが見て笑う。

 

その後、ハルヒは俺達に部活作りを手伝ってほしいと言った。

 

「あたしは部室と部員の確保。あんた達は書類を揃えなさい。」

 

そんなこんなで放課後、俺たちは再びハルヒに連れられて旧校舎の文芸部室にたどりつき、彼女は中に入るや否や

 

「これからこの部屋が我々の部室よ!」

 

なんて堂々と宣言した。ここは文芸部の部屋だし、すぐ目の前に文芸部員がいるじゃないか。

 

「別にいいって言ってたわよ!」

 

なんでこんな奴に部室の使用を許可したのだろうか。ハルヒはしばらくすると気が済んだのか

 

「これから放課後、この部屋に集合ね。絶対来なさいよ。来ないとキョンは死刑、こなたは禁錮3時間だから。」

 

桜満開のドス黒い笑顔でそう言うと部室を飛び出して去って行った。てかなんで俺よりこなたの方が罪軽いんだよ。

 

ちなみに本を読んでいる文芸部員の名前は長門有希。俺が話しかけても必要最低限のことしか話さない、ハルヒよりはマシだからそれはそれで変な奴だった。

 

次の日の部室。俺は本を読む長門と週刊誌を読むこなたに囲まれながらぼーっとしてた。すると

 

「やあごめんごめん!遅れちゃった!3人も連れてきたし、うち1人は捕まえるのに手間取っちゃって!」

 

ハルヒが3人誰か捕まえてドアを開けてきた。いや待て、3人だと?何でそんなに捕まえてこれるんだ。

 

「さあ入りなさい!ここがあなた達の部室よ!」

 

彼女がそういうと、その3人が部室に入場した。

 

「今日からここでお世話になるトランクスです。よろしくお願いします。」

 

1人目は例のイケメン、トランクス。

 

「よくわかんねーけど…東方仗助だ。よろしくな。」

 

2人目はリーゼントの男、東方仗助。

 

「あ、朝比奈…み、み、みくるです…。」

 

3人目は中学生か小学生に見間違えられても不思議ではない容姿をした朝比奈みくる。

 

「凄くない!?この子これであたし達より上の2年生なのよ!」

 

「ここどこですかぁ…あたし何で連れてこられたんですかぁ…へぇ!?何で鍵を」

 

「黙りなさい。」

 

ハルヒの威圧感たっぷの声に朝比奈さんはビクッとして黙り込んだ。

 

「どんな人選で彼らを連れてきたんだ?」

 

俺が聞くと

 

「トランクスくんは真面目そうなイケメン枠!筋肉もすごいし!東方くんはこの前柄の悪い生徒をボコボコにしてたのを見かけて、それで戦闘員として引き入れたのよ!それにしても、中々こだわりのあるリーゼントねぇ〜…ちょっと見せなさい!」

 

「お、おう…。」

 

仗助が照れくさそうに自分の髪をハルヒに観察させた。にしても生徒をボコボコにしてたって、彼の髪型を貶したのだろう。

 

「で、みくるちゃんは萌えマスコット要員!特に見なさいこの胸を!ロリ顔の癖にあたしより大きいんだから!」

 

するとハルヒは朝比奈さんの胸を、まるで獲物を前にした獣のような目で見て鷲掴みにした。

 

「わひゃぁぁぁ!!!」

 

叫ぶ朝比奈さん。そんな彼女をお構いなしに胸を揉み続けた。

 

「ハルヒさん…そこまでにした方が…。」

 

そんな様子を見て、トランクスが苦笑いしながら言う。そうだ、お前の言う通りだ。

 

「女の子同士だからいいじゃないの!」

 

アホかお前は。そしてハルヒは朝比奈さんのスカートの中に手を突っ込もうとしたので流石に止めた。

 

「さてと…トランクスくん、東方くん、みくるちゃん。あなた達、他にクラブ入ってる?」

 

「僕はどこにも…。」

 

「ずっと帰宅部だぞ。」

 

「書道部に…。」

 

「じゃあそこ辞めてね、みくるちゃん。我が部活動の邪魔だから。」

 

どこまでも自分本位なハルヒだった。見ていて疲れるね。

 

朝比奈さんは周りを見回したり俺に救いを求める目を向けたり長門の存在に気付いて驚愕した後

 

「わかりました。」

 

と言った。何がわかったんだろう。

 

「でも…文芸部って何をするんですかぁ?」

 

「我が部は文芸部じゃないわよ。」

 

当たり前のように言うハルヒ。朝比奈さんは目を丸くする。そりゃそうだ。俺は目を丸くする彼女へハルヒの代わりに説明した。

 

「ここの部室は一時的に借りてるだけです。あなたやトランクス、東方が入ろうとしているのは、涼宮がこれから作る活動内容未定で名称不明の同好会ですよ。」

 

「えっ………。」

 

「あそこで本を読んでいるのが本当の文芸部員です。ちなみその向かい側にいる青髪のオタクは俺たちと同じハルヒの被害者です。」

 

するとそれを聞いたこなたが顔を上げて

 

「よろしくね〜。あとキョンくん、別にわたしは被害者じゃないよ。ハルヒのやることに興味あるし。」

 

「あるのかよ!」

 

「その意気込みよこなた!で、部活の名前だけど…たった今考えたわ!」

 

「…言ってみろ。」

 

期待値ゼロの俺の声が部室に響く。そして、ハルヒが高らかに部活の名前を叫んだ。

 

「世界を大いに盛り上げるための涼宮ハルヒの団!略してSOS団!」

 

「…。」

 

俺は呆れた表情を彼女に向け、朝比奈さんは諦め切ったように口を閉ざし、長門は部外者、仗助やトランクスは苦笑いし、こなたはパチパチと拍手していた。賛成2、棄権3、多分賛成2で、SOS団は発足となった。

 

好きにしろよ、もう。

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