術式:ガブリアス   作:オールF

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悟と傑が歌姫見下しすぎな感じあるけど、まあ原作もこんなもんだったよな……助けに行く程度には心配してる訳だし……と納得させながら書いた


同級生とパイセンたち

 激動の入学式から1年後。

 龍地にとって東京校の空は北海道の空と比べると相変わらず退屈そうに青く見えた。

 ただ、呪霊の発生数は段違いで、何度飛び回り、祓ったかは分からない。

 しかし、冬から春にかけては呪霊の数が少なく、特に新学期明けを過ぎると任務の数も減少していく。

 グラウンドの端、校舎の影に寝転がりながら、鮫肌龍地は欠伸をひとつ噛み殺す。

 

「暇だなぁ」

 

 ぼやきながらも、その目は鋭い。

 暇を持て余している獣のような、落ち着きのなさがある。

 呪術師としてのアイデンティティが強い龍地は任務がない日はこうしてぐったりしていることが多かった。

 

「私たちが暇な方がいいんだよ、龍地」

「俺らが任務総取りってわけにもいかないしな」

 

 間延びした声が上から降ってきた。

 見上げれば、前髪を垂らした男と白髪の男、夏油傑と五条悟が立っていた。

 龍地は彼らを仲間としてもライバルとしても認識しているが、二人から向けられる視線にはいつも奇妙な熱があった。

 

「ンだよ悟たちもサボりか?」

「まぁな。夜蛾センには龍地探しに行くって言って抜け出してきた」

 

 つまらなくは無いが、こんな天気のいい日に教室にこもりきりというのは身体に悪いと悟は龍地に並んで座る。

 その隣に傑も腰掛ける。

 

「ただ硝子には悪いことしたね」

 

 傑が肩をすくめると、悟が軽く笑う。

 

「どうせサボるってバレてるよ。あいつそういうとこ鋭いし」

「違いねぇや」

 

 龍地は空を見上げたまま鼻で笑うと、サボるためとはいえこの2人がわざわざ自分を探しに来ることはないだろうと目を細める。

 

「で? わざわざ俺探しに来たってことは、なんかあんだろ」

 

 さっきまでの気の抜けた雰囲気に、細い緊張が混じる。

 

「……あるよ」

 

 今度は悟が寝転がらず、座ったまま答えた。

 

「静岡の浜松の洋館。今は誰も住まなくなって心霊スポットとかになってる」

「あ? それがなんだよ」

 

 龍地がゆっくりと視線を向ける。

 

「歌姫先輩と冥さんが行ってる任務なんだけどさ」

 

 傑が言葉を引き取るとそのまま詳細を話し始めた。

 

「一応、等級的にはそこまで高くないはずだし、冥さんもいる。だから、特に心配はないんだけど」

「ンだよ、さっさと言えよ」

 

 傑の言い方から続きは察している。

 しかし、聞かずにはいられなかった龍地は強い眼差しで傑を見た。

 

「……2日、連絡がない」

 

 風が止まったような錯覚。

 さっきまでの春の空気が、一瞬で重くなる。

 

「報告は補助監督が2人が任務に入った知らせから届いていない」

 

 傑の声は静かだが、明らかに警戒が滲んでいる。

 

「途中経過も、撤退判断もなし。完全に沈黙だ」

「歌姫の方に硝子が何回か連絡試してるけど、全部ダメ」

 

 付け足された悟の言葉に、龍地は立ち上がるとコキコキと肩を鳴らし、ストレッチを始める。

 

「……冥パイが雑魚任務で、2日沈黙はねぇな」

「ああ」

「歌姫単独ならともかくね」

 

 傑が頷き、悟も歌姫を卑下しているようでその顔に嘲りの色は見えない。

 

「少なくとも“何か”は起きてる」

 

 悟が、ほんの少しだけ口角を下げた。

 ストレッチを終え、さっきまでの気だるさは完全に消えていた。

 

「……いいねぇ」

 

 低く、獰猛な声。

 

「2人助けたらなんか奢ってくれたり、褒めてくれっかな」

「冥さんに借りを作れるのは大きいんじゃない? 歌姫もお前のことは嫌ってないし、礼はしてくれるっしょ」

「しかしホント龍地は硝子といい、女性が絡む任務には前のめりだね」

 

 傑が呆れ半分に言うと、龍地は眉をひそめた。

 

「別にそんなんじゃねぇよ。知ってるやつが困ってんなら、オレは手を伸ばすだけだ」

「えーほんとに?」

 

 悟が揶揄うように横から顔を覗き込むと龍地は鬱陶しそうに手で払った。

 それを見て傑は薄く微笑む。

 

「龍地は建前よりもそういう本音を言うべきだよ」

「わーったよ。次からそうする……多分」

 

 これ以上話していると冥冥と歌姫が本当に危ういかもしれないし、からかわれるのも面倒だと龍地は「変身」と唱える。

 瞬間、龍地の身体が青紫色の龍鱗に覆われていき、背鰭や鎌のような羽が手に生えてくる。

 

「マッハで解決してくっから、お前らは授業に戻ってろよ」

「いや、 私達もいくよ。冥さんを手こずらせる呪霊だ。ぜひ取り込みたい」

 

 遠回しに祓うなよと釘を刺す傑に龍地は鼻で笑った。

 

「知らねぇよ。邪魔なら全部まとめて吹き飛ばす」

「それをやめろって言っているんだが」

「安心しろよ、瀕死にしときゃいいんだろ? そういうのは得意だ」

 

 軽く肩を鳴らす。

 鱗に覆われた腕が、ぎしりと音を立てた。

 

「ま、いいや。先行ってて」

 

「言われなくても行くが?」

 

 龍地が振り返る。

 

「一応、硝子連れていくわ。あの二人、無事とは限んないし」

「回復役は必要だね」

 

 傑も頷くと龍地もまた頷いた。

 

「じゃ、先行ってくるわ」

 

 飛び立つ際の衝撃波で傑が吹き飛ばされないよう離れてから、龍地は羽を大きく広げて風に乗ると、冥冥たちのいる静岡へと直行する。

 

「あそこか!」

 

 呪力の乱れが著しい館を見つけると、急降下し、館を取り囲む歪な呪力を打ち破るため、鎌状になった両腕を交差させ館へと突っ込んだ。

 

「助けに来たぜ! 先輩ッ!」

 

 瞬間、館を覆っていた呪力の波が乱れ、そのまま館が崩壊すると共に龍地は、館の中で尻餅を着く歌姫と、余裕そうな表情を浮かべ立っている冥冥を見つけた。

 

「パイセン!? 大丈夫かよ! 一体誰が……!」

「お前だよ!!!」

 

 ドラゴンダイブの威力は強烈で、館を破壊するどころか近くの木々も何本か切り倒されており、辺りは阿鼻叫喚の惨状になっていた。

 

「助かったよ鮫肌くん、タイミングとしては上々だ」

 

 冥冥は崩れた瓦礫の上に軽やかに立ったまま、軽く髪を払うと龍地は親指を立てる。

 しかし歌姫の方は納得が行かないのか立ち上がりながら叫ぶ。

 

「建物ごと潰すバカがある!? こっちはこれからだったのに!」

「え? あ、う? し、知るか! 2日も連絡無かったんだろ!?」

「だからって選択肢がそれしかないの!?」

「あるけどこれが一番早ぇ!」

「最悪の最適解やめろ!!」

 

 危うく建物と一緒の運命を辿るところだったと汗をかく歌姫に、冥冥は龍地の一挙手一投足を観測する。

 

(あれが日下部が連れてきた龍の化身ね。会うのは2回目だけど、大した子だ)

 

 冥冥はわずかに目を細める。

 初めて会った時は興味本位、自分の得になるかを見極めるためだった。

 結果はかなりの上玉。

 呪術的には何の後ろ盾もないが、戦闘能力はかなり高い。

 将来的な見込みはあり、お近付きになっておくのも悪くないだろうと挨拶をした冥冥に龍地は「綺麗だなアンタ……ミロカロスか……?」とよく分からないことを言っていたが、こうして助けに来てくれたことを見るに好印象であったらしい。

 

「……ところで鮫肌くん、さっきの2日というのは?」

「あぁ、パイセンたち2日も音信不通だったって悟たちが言ってたんすよ。違うんすか?」

 

 その一言に、歌姫の表情が固まる。

 

「……は?」

「は?」

 

 龍地も怪訝そうに返すと「待って」と歌姫が手で制する。

 

「そんなに経ってない。せいぜい……半日、いや——」

「1日も経ってないはずだよ」

 

 冥冥が静かに言葉を継ぐ。

 その声音には、確信があった。

 

「呪霊の結界の効果かな。外界との時間がズレるのはたまにあるんだ」

「精神と時の部屋かよ」

「なにそれ」

「知らねぇのかよ」

 

 今度読ませてやるよと龍地が言うと、納得が言ったように肩を竦めた。

 

「時間ごと閉じ込めるタイプか。そりゃ連絡も途切れるわなぁ」

「まあこういうことを想定して私を呼んだみたいだけど、想定以上だったわけだ」

 

 これはもうちょっとふっかけても文句は言われなさそうだと冥冥はふふふと微笑む。

 その瞬間。

 

「——っ、歌姫!!」

 

 冥冥の声が鋭くなる。

 歌姫が振り返るよりも先に、その背後、崩れた瓦礫の影から、巨大な骸骨頭がぬるりと姿を現した。

 空洞の眼窩。歪んだ顎。貧弱な下半身と反比例するように異様に長い腕が、歌姫へと伸びる。

 

「っ——!?」

「パイセン!」

 

 じしんでは全員巻き込む。

 ドラゴンダイブでは歌姫ごと。

 穴を掘るには時間がない。

 それらの思考で反応が、わずかに遅れる。

 龍地が踏み込むよりも速く。

 

「——間に合ったね」

 

 軽い声が届くと共に、骸骨呪霊の下からさらに大きなワームのような呪霊が飛び出してくる。

 

「なっ……!?」

 

 歌姫の目の前で、その巨大な呪霊が、一瞬で拘束される。

 

「食うなよ、あとで取り込む」

 

 呪霊に対する静かな声。

 振り向けばそこには、前髪を垂らした呪霊を従える男、夏油傑の姿があった。

 

「油断大敵ですよ、歌姫先輩」

「傑!!」

 

 龍地が叫ぶと傑はカッコつけるように微笑んだ。

 

「はいはい、お待たせ」

「歌姫センパーイ、大丈夫ですか〜?」

「硝子!!」

 

 そして、彼の呪霊に乗ってきたのであろう五条が気の抜けた声で現れる。

 その隣には家入硝子の姿もあり、唯一後輩の中で自分を軽んじていないと感じる存在の登場に歌姫は歓喜し、涙を目に浮かべた。

 そんな歌姫の姿を見ながら、冥冥は駆けつけてくれた後輩たちに感謝を述べつつ、あることを尋ねる。

 

「みんなありがとう。ところで……誰か帳は?」

「「「「あ」」」」

 

 見事に揃った間抜けな声が、崩れた館跡に響く。

 

「……降ろしてないのね」

 

 冥冥が、静かに微笑むが目は一切笑っていない。

 最初に誤魔化したのは悟だった。

 

「いや〜その、急ぎだったし?」

「緊急案件だったからね」

 

 夏油もさりげなくフォローするが、歌姫が即座にキレた。

 

「民間人に見られたらどうするのよ!? 今の爆音と崩壊!!」

 

 周囲を見れば、無惨に抉れた地面、倒れた木々、崩壊した建物の残骸。

 どう見ても隠蔽不能の惨状だった。

 

「まぁ、これは鮫肌のせいでしょ」

「オレぇ!?」

 

 硝子がため息をつきながら、この惨状を生み出した龍地へと責任の矛先を向ける。

 

「……どうせ今から補助監督が死ぬ気で処理すんだろ、オレは学んだぜ」

「そんなこと学ぶな! それに隠蔽するのは呪術連よ!」

 

 歌姫のツッコミが冴え渡ると共に、帳を降ろす前に館を破壊した龍地が悪いか、帳は自分が降ろすからと言っていた悟が悪いか。

 どちらが悪いかで学級裁判をした結果、裁判長夜蛾正道の下した判決は両成敗だったという。

 




音速で飛べるのにしんそくも空を飛ぶも覚えないバランス調整の被害者、それがガブリアス
でもやっとしんくうはを覚えるようになったらしい
えらいね。
どうせならドラゴン専用の先制技も作って♡

オリ主に対する周りからの評価とかいる?

  • 書いてくれ必要だろ
  • 邪魔(必要なし)
  • (どちらでもいい)
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