遊戯王GX お隣さんに縁がある   作:深山 雅

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前回は大変お恥ずかしいプレイミスをお見せしてしまいました。またあのような事がありましたら、どうぞご指摘下さい。


第3話 新学期と女王

 デュエルアカデミアでの生活がスタートし、俺はこれまでとはまるで違った生活を送ることとなった。

 最も顕著なのがカードパックの購入である。これまでは、少ない小遣いをやりくりしてパックを購入していた。こう言っては何だけど俺の小遣いは本当に微々たるもので、遊戯さんの存在とエンディミオンの恩恵があればこそ色んなカードを手に入れて来られていたが、そうでなければ俺のデッキの完成度は極端に下がっていただろうと断言できるレベルだった。

 けれどアカデミアの購買はありがたいことに、現金のみでは無くDPでの売買も行えた。

 DP。TFやWCSといったゲームをプレイしていれば思い当たってくれると思うが、それはこの世界でも存在していた。

 そのおかげで俺は憧れだったパックの大人買いをすることが出来た。あぁ、素晴らしい。

 

 ちなみにこの前、朝一番で購買に行ってパックをランダムに1つ買ったら【打ち出の小槌】が出て、その日の昼休みに100円を拾った。地味に嬉しかった。

 なのでそれに肖って、『パック占い』なるものを初めてみた。これが偶に当たる。

 うん、毎日パックが買えるだなんて、以前の俺では考えられない。凄い。

 

 これはこれでやる気に繋がるね。

 

 

 さて、そんなある日。

 入学してから数日。授業は未だに基礎的な部分だけで、正直言ってつまらない。ここ数日の睡眠不足も手伝って、凄く眠い。

 なので悪いと思いつつも、授業中にうつらうつらと舟を漕いでしまった……ら、何故かクラス中から笑いが響いてきた。

 え、寝てたのバレた? と思いつつ辺りを見渡すも、俺を指差し笑っている者は1人もいない。

 はて、何事? さっきまでは明日香がクロノス先生に指されてカードの種類について答えてた筈……。

 

 「三沢、何事?」

 

 隣の席に座っている三沢にコッソリと聞いてみた。ちなみに彼は笑ってはおらず、苦い顔だ。

 

 「お前、ひょっとして寝ていたのか? たるんでいるぞ……これは、翔がクロノス教諭に当てられたのだが、答えられなくてな」

 

 三沢の言う通りだろう。暇だからと言って寝て良いわけでは無い。気を付けないと……ってか、夜にもう少し睡眠時間を取ろう。

 しかし、成る程。いつものレッドいびりかと思い至り、俺はそれに肩を竦めた。

 

 「寝てはいないさ。ちょっと意識が飛んでいただけで。でも翔は災難だったな。あいつ、結構あがり症だし」

 

 教室中の笑い声は中々の大きさで、俺たちがひそひそと話していても誰かに気付かれる様子は無い。

 チラッと翔を見てみると、彼は顔を真っ赤にして俯いていた。

 あれはどちらかと言えば、解らなくて恥ずかしがってる顔じゃなくて、解ってるのに答えられなくて悔しいって顔だよね。

 質問の内容までは解らないけど、これまでの授業の流れからしていきなり難易度の上がった質問をしたとも思えないし。

 

 「大人げないなぁ」

 

 クロノス先生を見ながらポツリと呟き、少し呆れる。

 しかし、その呆れは無用なものだったらしい。

 

 「でもさぁ、先生。大事なのは知識だけじゃないっすよね?」

 

 オシリスレッドの自分でも先生に勝っちゃったし、と笑う十代に、今度はレッドの生徒たちから笑いが起こる。

 

 「可哀そうに」

 

 悔しそうにハンカチを噛むクロノス先生を見て、軽く同情する。事実なだけに否定も出来まい。哀れ。

 けど十代。翔のフォローとしてはナイスだけど、お前自身に災いが降りかかってきそうな気がひしひしとするぞ? そんなにフラグを立てて大丈夫なのか?

 

 

 体育の授業は、今日が初めてだった。デュエルアカデミアとて、あくまでも高等学校。専門学校では無い。当然ながら主要5科目や体育などの授業もあるのだ。

 あるのだが……はっきり言おう。翔がキモイ。

 

 「ふへ、ふへへへへへへ」

 

 心ここに非ずな状態でにやけている。もう1度言おう。キモイ。

 

 (何だ、あれ?)

 

 翔のあまりの壊れっぷりに、俺はついつい鮎川先生から隠れて十代に聞いてしまった。けれども十代も解らないらしく、首を捻っている。

 

 (さぁなぁ? さっきまでは普通だったぜ?)

 

 翔が最も行動を共にしているのは、アニキと呼び慕っている十代だ。その次は何故か俺だったりするんだけど……いや、何故かも何も、俺がレッド寮に入り浸った結果なのだが。だって落ち着くんだよ、レッド寮。ちなみに、隼人は寮部屋にほぼ引き籠り状態なため、今の所は日中に行動を共にする姿を見ていない。

 それはともかく、そんな翔だがこの授業には少し遅れてきた。でもその前は十代と一緒にいたはず。

 その十代に解らないのなら、お手上げだ。

 けどまぁ、命に関わることでも無いだろう。そう思って、俺は放っておくことにした。

 

 

 俺が今日、授業中についついお花畑に行ってしまったのにはわけがある。

 寝不足だ。

 この島に来てから今日までの数日間、俺は夜中にあちこちを見て回っていた。

 1つ目は単純に、地理を把握するため。この島はかなり広いので、地図を見るだけでは無く実際に歩いて確かめていたのだ。

 2つ目はアレだ。モクバに頼まれたアレ。何かが掴める保証は無かったけれど、それでも調べておいて損は無いはず。危険なことはするなと言われているけれど、それはつまり、危険じゃない範囲で頑張れってことだろうと解釈している。

 それなら夜中じゃなくて放課後に回れば良かったんじゃないかって? ……うん、今は反省してる。

 ぶっちゃけると、放課後はデュエルしまくってたんだよね。だってDPも欲しいし。

 それにレッド寮に入り浸ったり。だって癒し(ボロアパート・ハネクリボー etc)が欲しかったし。

 でもよく考えると、島内を把握するための数日ぐらい、デュエルを我慢しても良かったかもしれない。実際に授業中に舟を漕いでしまった今となっては本当、マジで反省してる。

 俺はあくまでも学生が本業で、捜査はおまけ。潜入捜査のために学生に扮しているわけでは無いのだから、授業を疎かにしてはダメだ。それを履き違えてはいけない。

 なので今日は放課後に出歩いてます。

 

 と、いうわけで。

 

 「やって来ました廃寮へ」

 

 『ボロイな』

 

 エンディミオンが身も蓋も無く言っている通り、明るい陽射しに中で見た廃寮はもの凄くボロかった。

 少なくとも2年前までは普通に使われていたはずなのに、もう苔は生しているし、窓ガラスはあちこち割れている。扉まで壊れていて、半分開いている状態だ。

 元・特待生寮。現在では単に廃寮と称されているそこは、行方不明者が特に多かった場所である。しかも。

 

 『やはり至極薄いが……闇の気配がするな』

 

 エンディミオンさんがそう仰るのです。

 実は、島内については昨夜の時点でほぼ見回り終えている。それは本当に『見て回るだけ』といった状態で、怪しいなと思うことはあっても深入りはせずに次へと向かっていた。

 結果、この島内で特に怪しく感じた場所は4つ。

 

 1つ目は森の奥にあった建物。見た感じでは研究所のようで、白衣を着た人たちが出入りしていた。地図にはSAL研究所と書いてあったけど、何の研究所なんだ?

 魔力だの闇の力だの関係無く、単純に怪しかった。

 それでも、普通に人々が使用している施設なのは間違いなさそうなので、これに関しては保留にしておくことにした。

 

 2つ目はこれまた森の奥にあった遺跡。何の遺跡なのかは解らないが、何となく時空が歪んでいるような感覚がした。エンディミオンに聞いてみると、精霊世界と非常に繋がり易くなっている状態なんだとか。

 これは後でもっと詳しく調べてみようと思う。精霊世界に迷い込んでしまった人がいても可笑しくは無さそうだし。

 

 3つ目は『場所』というよりも、むしろこの島全体。エンディミオン曰く、地中から微かに力を感じるのだとか……流石の俺も、これは忘れていない。おそらく、封印されている三幻魔のことだろう。

 封印されているってのに、微かとはいえ存在を感じるとは三幻魔は本当に強大な力を有しているようだ。

 だがこればっかりはどうしようもないことだし……何なんだろうな? と誤魔化しておいた。

 

 そして4つ目が、この廃寮だ。理由は上記の通り。エンディミオンさんのお言葉の通りです。

 とはいえそれは本当に微弱なもののようで、俺にはいまいちよく解らない。エンディミオンも、自身の脅威となるレベルではないと断言している。

 けどまぁ。

 

 「外から解らないなら、内側から見るべしってね」

 

 『入る気か?』

 

 「もち」

 

 廃寮に関しては、倫理委員でも調べている。資料にもあったから間違いない。だが、超常現象など端から選択肢に無いであろう倫理委員会と超常現象に重きを置いて考えている俺では、視点はまるで違うはず。直に調べておいても損は無いだろう。

 そのために今日は1人、ここまできたのである。

 

 しかし、廃寮か……何となく、聞き覚えがあるような気がするよなぁ。

 廃寮を見ながら何でだろうと記憶を引っ張り出していると、お魚を銜えて駆け回っているファラオを裸足で追いかける様子が頭に浮かんだ。なにゆえ。

 気を取り直してもう1度記憶を手繰り寄せると、買い物しようと購買まで出かけたけれど財布を忘れてしまっている様子が頭に浮かんだ。なにゆえ。

 

 まぁ、思い出せないのならそれはそれで仕方がない。

 

 「どっちにしろ、そろそろ行くか……どうした、エンディミオン?」

 

 いつまでも門前に佇んでいても仕方が無い。そろそろ突撃しようと声を掛けたがエンディミオンの返事は無く、不思議に思って彼を見上げると背後に視線を向けていた。

 まさか。

 

 『主。誰かがこちらに向かっている』

 

 やっぱりか、こんな時に。

 廃寮への立ち入りは校則違反だ。モクバの話によれば、俺に行方不明事件を探るよう頼んできたことは校長にも伝えていないらしい。どこで誰に漏れて何が起こるか解らないから、とのこと。どんな人外魔境だ、デュエルアカデミア。

 そんな中では当然ながら、例えば『廃寮への立ち入りを特例として認める』といったような便利な特権は貰えていない。校則違反がバレれば、俺だって普通に罰されるのだ。

 

 これは、今日は諦めた方がいいかもしれない。

 

 そう悟って1つ溜息を吐くと、くるりと振り向く。すると道の先に見知った女子生徒が1人いた。彼女は俺の姿を認めると表情を険しくさせ、ずんずんとこちらに歩み寄ってくる。

 

 「あなた、ここで何してるの?」

 

 俺の真正面に仁王立ち、相変わらずの険しい表情で詰問するように問うてくるのは彼女、天上院明日香である。

 何でここにいるのか、というのはこちらの方が聞きたいのだが、そんな内心は出さずに苦笑してみる。

 

 「散歩の途中で何とも趣のある建物を見付けたからさ、ちょっと見学してたんだ。そんなに怒らないでよ、入ってはいないから。ここが、立ち入り禁止だっていう廃寮なんだろ?」

 

 入っていないのは事実なためか(入る気は満々だったが)、明日香の表情はすぐに柔らかくなった。ホッとした、といった感じだろうか。

 

 「そう……ならいいのよ。ただ、ここが危険な場所なのは事実よ」

 

 (だろうね)

 

 廃寮を見ながら溢される明日香の言葉に、俺は内心で頷く。行方不明者云々というよりも、エンディミオンの言葉を重んじたからだ。コイツは腐ってもロード・オブ・マジシャン。精霊としての『格』は極めて高い。そんな彼が断言するのだから、ここに何かがあるのは間違いない。

 明日香は愁いを帯びた眼差しで寮を見詰めてから、その手に持っていた1輪の薔薇を門の前にそっと置いた。

 

 「それは?」

 

 疑問に思って聞いてみたが、明日香は明確な答えを返しはしなかった。

 

 「ちょっとね」

 

 しなかったが、見当は付いた。兄に捧げたのだろう……少し縁起が悪いように感じたのは俺だけか? 花をささげるって、故人じゃあるまいに……。

 しかしそれは個人の自由でもある。なので深くは追及せずに見守っていると、今度はこちらを見てきた。その目には先ほどまでの愁いは既に無く、ただ好戦的な光がある。

 

 「けど、丁度良かった。あなたにデュエルを申し込むわ」

 

 「……は?」

 

 ぱーどぅん?

 

 

 

 

 廃寮の調査をしようと思っていたら何故かデュエルアカデミアの女王様にデュエルを申し込まれた優君です、こんにちわ。

 話を聞くに、入試デュエルで無傷のワンキルをした俺とクロノス先生を負かした十代には、元々興味はあったんだとか。『三沢は?』と聞いてみたけど、『それ誰?』とのこと……まさかアイツ、エアーマンの呪いにでも掛かってるんじゃあるまいな? 入学直後で新入生の顔と名前が一致していないだけであることを祈る。

 それが先日十代が万丈目に勝ち、俺がブルー生を捕まえては『おい、デュエルしろよ』と持ちかけては勝利をもぎ取って行くという噂を聞き、更に興味を持ったのだとか。

 いや、だって……DPが欲しくて……夢だったんだよ、パックの大人買い。エンディミオンのおかげでパック運があるとはいえ、それとこれとは話が別でさ。格上の寮生に勝った方がより多くのDP貰えるもんだから、つい……。反省はしてる。だが後悔はしていない。

 そしてデュエルの申し込みとあらば、断る理由も無い。というわけで。

 

 「「デュエル!!」」

 

明日香 LP4000 

優 LP4000

 

 場所を少し移し、人知れず俺と明日香の初デュエルが始まった。

 

 「私の先攻! ドロー!」

 

明日香 LP4000 手札6枚

 

 先攻は明日香だ。ちなみに先攻後攻はデュエルディスクによってランダムに決められている。決して早い者勝ちではないので、あしからず。

 勢いよくドローする明日香の姿に、ふと思う。

 正直言って、明日香の使うカードはよく解らない。例えば十代はHERO、万丈目はおジャマといったようなイメージがあまり無い。早い話、忘却の彼方である。

 しかし、それはそれで面白い。俺は少しばかりワクワクしながら彼女の出方を窺うことにした。

 

 「私は【ブレード・スケーター】を攻撃表示で召喚!」

 

 『ハァ!』

 

 両腕に文字通りブレードを付けた女性型モンスターが、滑るようにフィールド上に現れた。滑るようにと言うよりも、実際に滑っている。流石はスケーター。

 

【ブレード・スケーター】

通常モンスター

星4 地属性 戦士族 攻撃力1400/守備力1500

氷上の舞姫は、華麗なる戦士。

必殺アクセル・スライサーで華麗に敵モンスターを切り裂く。

 

 「カードを2枚伏せて、ターンエンドよ!」

 

明日香 LP4000 手札3枚

  モンスター (攻撃)【ブレード・スケーター】

  魔法・罠  伏せ2枚

 

 「俺のターン。ドロー」

 

優 LP4000 手札6枚

 

 【ブレード・スケーター】ということは、【サイバー・ブレイダー】を使うのだろうか? 

 まぁいい。何にせよ、俺のやることは変わらない。勝つために最善を尽くすだけだ。

 

 「俺は【マジカル・コンダクター】を召喚。そして【テラ・フォーミング】を発動」

 

【テラ・フォーミング】

通常魔法

デッキからフィールド魔法カード1枚を手札に加える。

 

 今回は初手に【魔法都市】は来なかった。けれど【テラ・フォーミング】が来ているのなら問題無い。むしろ今回、カウンターを乗せるのにはこっちの方が好都合だ。

 むしろ問題なのは……。

 

 (お前、何でいるの?)

 

 小声で隣に尋ねると、エンディミオンは得意げな顔をした。

 

 『主よ、ここ最近我を召喚していないではないか。我をとっておきの切り札だという主の言い分は至極当然だが、ここならあの娘以外に見ている者はいない。しかもあの娘、強いという噂ではないか。さぁ、存分に我を活用するがよい』

 

 初っ端から手札に来ている【神聖魔導王 エンディミオン】を見、俺はその言葉に頷いた。

 

 (そうだね。じゃあ、早速活用させてもらおうか)

 

 でもその前に、準備を整えなければ。

 

 「デッキから【魔法都市エンディミオン】を手札に。そのまま発動。魔法カードの使用により、魔力カウンターが乗る」

 

魔力カウンター:【マジカル・コンダクター】 0→4

 

 俺にはお馴染みの洒落た魔法都市の出現と、同じくお馴染みのお姉さんこと【マジカル・コンダクター】にカウンターが乗るのを明日香は真剣な目で見ていた。どうやら、入試デュエルを見ていたというのは本当らしい。

 さて、今回は早速使おう。

 

 「【マジカル・コンダクター】の効果発動。このカードに乗っている魔力カウンターを取り除き、その個数と同じレベルを持つ魔法使い族1体を手札か墓地から特殊召喚する。俺は4つのカウンターをすべて取り除き、手札からレベル4の【王立魔法図書館】を守備表示で特殊召喚」

 

【王立魔法図書館】

効果モンスター

星4 光属性 魔法使い族 攻撃力 0/守備力2000

このカードがモンスターゾーンに存在する限り、自分または相手が魔法カードを発動する度に、このカードに魔力カウンターを1つ置く(最大3つまで)。

このカードの魔力カウンターを3つ取り除いて発動できる。自分はデッキから1枚ドローする。

 

 現れるのは魔法の英知が集う図書館。しかしいつも思うがこの図書館、名前からして経営者はエンディミオンなのだろうか?

 さて、そのエンディミオンを早速活用するとしますか。

 

 「【闇の誘惑】を発動。デッキから2枚ドローし、手札の闇属性モンスター1体を除外する。2枚ドロー。そして手札の闇属性モンスター、【神聖魔導王 エンディミオン】を除外」

 

 『我を除外するとは何事かぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?』

 

 お前、ちょっと黙ってろ。

 

【闇の誘惑】

通常魔法

自分はデッキから2枚ドローし、手札の闇属性モンスター1体を除外する。

手札に闇属性モンスターが無い場合、手札を全て墓地へ送る。

 

 仕方が無いだろ。手札にもドローカードにも、他に闇属性がいなかったんだから。

 

 (安心しろ、お前はもう1枚デッキに入ってる。そうでなくとも、【異次元からの埋葬】を引けたら墓地に戻してやるし、【D・D・R】を引けたら召喚してやる。引けたらだけど)

 

 『くっ、何故こんなことに……』

 

 初手に【闇の誘惑】と一緒に来たりするからだよ。それにそう嘆くな。時に主力に時に手札コストにと何にでも活用できるお前は、間違いなく俺のエースだよ。俺はお前を信じているからこそこうしているんだ。

 さて、デュエル続行だ。

 

 「魔法カードの使用により、俺のフィールドの3枚にそれぞれカウンターが乗る。そして【魔力掌握】を発動。【王立魔法図書館】にカウンターを乗せ、2枚目の【魔力掌握】を手札に。魔法カードの使用によりまたカウンターを乗せる」

 

魔力カウンター:【魔法都市エンディミオン】 0→2

          【マジカル・コンダクター】 4→0→4

          【王立魔法図書館】 0→3

 

 3つの魔法石を貯めこんだ図書館が、眩い光を放つ。それは、4つのカウンターを乗せきった【魔法族の結界】とよく似た光だ。限界までカウンターが乗ると、大体はああいった光を放つ。優しく、かつ力強い輝きだ。

 そして【王立魔法図書館】にカウンターが溜まったとなると、やることは1つ。

 

 「【王立魔法図書館】のカウンターをすべて取り除き、1枚ドロー」

 

 【図書館】に乗っていたすべての魔法石が一層の輝きを放ち、その真価を発揮する。

 この効果によって俺の手札は4枚になった。新たなドローカードを見て、俺は僅かに自分の口角が緩むのを感じる。そっか、こいつが来たか。それは心強い……が。

 

 

 (来ないなぁ、【サイクロン】や【大嵐】)

 

 

 本当にドローしたかったのは、【サイクロン】や【大嵐】。両者ともにご存知、超便利な魔法・罠除去カードである。【大嵐】は【強欲な壺】や【天使の施し】と同様にOCGでは禁止カードとなっていたが、こちらでは現役である。ひょっとしてペンデュラムが存在しないのが大きいのだろうか?

 まぁそれはそれとして。【ブレード・スケーター】の攻撃力を考えると、明日香はまず間違いなく罠を張ってきている。ブラフの可能性も無いではないけど、『デュエルアカデミアの女王』と呼ばれるほどの人が防御系カードを1枚も引いていないとも思えない。なので出来れば除去カードを引きたかったのだが。

 チラリと明日香を見るが、その表情に焦りは無かった。演技かもしれないが、そうではないだろうと俺の直感が告げている。

 俺の呟きを聞きとがめたのか、エンディミオンが鼻を鳴らした。

 

 『フン。我を除外などするからそうなるのだ』

 

 いや、多分それ関係無い。

 しょうがないか。

 

 「バトル」

 

 バトルフェイズへの移行を宣言すると、明日香がピクリと反応して身構えた。漸く来るか、といった感じである。ゴメンね、メインフェイズが長くて。

 

 「【マジカル・コンダクター】で【ブレード・スケーター】に攻撃」

 

 攻撃宣言はするが、攻撃名は宣言しない。盛り上がりに欠けるとか言うな、どうにも恥ずかしさが抜けきらないんだ。ネーミングセンスにも自信無いし。デュエルが進行して気分が乗ってくればそうでもないんだけどさ。

 そんな俺には何も言わず、【マジカル・コンダクター】は攻撃を放つ……優しいよね、みんな。エンディミオンなんて攻撃名も宣言しないと拗ねるんだよ……あ、ひょっとして。だから俺、最近コイツをあんまり召喚しないのかも。

 そんなバカバカしいことを考えている間にも、【マジカル・コンダクター】が放った魔法波(魔法による波動のようなもの)は【ブレード・スケーター】の間近に迫る。

 しかし同時に、明日香も動いていた。

 

 「トラップ発動、【攻撃の無力化】! その攻撃を無効にするわ!」

 

 起き上がったリバースカードから現れた空間の歪みが、【マジカル・コンダクター】の攻撃を吸い込んでしまう。う~ん、やっぱこうなったか。

 

【攻撃の無力化】

カウンター罠

相手モンスターの攻撃宣言時に発動する事ができる。

相手モンスター1体の攻撃を無効にし、バトルフェイズを終了する。

 

 攻撃可能なモンスターが【マジカル・コンダクター】1体しかいない現状、バトルフェイズを終了させられても何の問題も無い。彼女の攻撃が防がれた時点で終了だしね。

 半ば予測していた結果でもあるので、こちらとしても思うことは無い。むしろ、防御系のカードを早めに使わせることが出来たと前向きに考えよう。

 

 「カードを2枚伏せ、ターンエンド」

 

優 LP4000 手札2枚

  モンスター (攻撃)【マジカル・コンダクター】 カウンター4

         (守備)【王立魔法図書館】 カウンター0

  魔法・罠  (フィールド)【魔法都市エンディミオン】 カウンター2

         伏せ2枚

 

 フィールドは悪くは無い。さて、どう来るか。

 

 「私のターン! ドロー!」

 

明日香 LP4000 手札4枚

  モンスター (攻撃)【ブレード・スケーター】

  魔法・罠  伏せ1枚

 

 ドローカードをチラリと見て、明日香はそのままそのカードを発動させる。それはこの世界において、デッキに必須と言われている魔法カード。

 

 「【強欲な壺】を発動! デッキからさらに2枚ドローする!」

 

 みんながデッキに入れているものだから、誰もが見慣れてしまった不気味な顔の壺。そいつがフィールドに現れ、明日香のドローと同時に消え去る。

 そして明日香の方も、ドローカードを見て微笑む……しかし、俺の方も忘れてもらっては困る。

 

 「魔法カードの使用により、俺の場のカードたちにカウンターも溜まる」

 

魔力カウンター:【魔法都市エンディミオン】 2→3

          【マジカル・コンダクター】 4→6

          【王立魔法図書館】 0→1

 

 これも、魔力カウンターを軸としたデッキの強みだろう。自分だけでなく、相手の魔法発動でもカウンターを溜めるカードは多い。尤も、溜めた所で相手ターンに何か出来るわけではないのだが。

 

 「私は【融合】を発動!」

 

 明日香がディスクに差し込んだのは、俺にとってもよく見慣れた魔法カード。いや、俺は使わないんだけど。毎日デュエルするヤツが使ってるからさ。

 

 「手札の【エトワール・サイバー】と場の【ブレード・スケーター】を融合! 来なさい、【サイバー・ブレイダー】!」

 

【エトワール・サイバー】 (アニメ効果)

効果モンスター

星4 地属性 戦士族 攻撃力1200/守備力1600

このカードは相手プレイヤーを直接攻撃する場合、ダメージステップの間攻撃力が600ポイントアップする。

 

【サイバー・ブレイダー】 (アニメ効果)

融合・効果モンスター

星6 地属性 戦士族 攻撃力2100/守備力 800

「エトワール・サイバー」+「ブレード・スケーター」

このモンスターの融合召喚は上記のカードでしか行えない。

相手のコントロールするモンスターが1体のみの場合、このカードは戦闘によっては破壊されない。

相手のコントロールするモンスターが2体のみの場合、このカードの攻撃力は倍になる。

相手のコントロールするモンスターが3体のみの場合、このカードは相手の魔法・罠・効果モンスターの効果を無効にする。

 

魔力カウンター:【魔法都市エンディミオン】 3→4

          【マジカル・コンダクター】 6→8

          【王立魔法図書館】 1→2

 

 魔法カードの使用によりさらにカウンターは溜まったが、2体のモンスターが融合したことにより強力なモンスターが現れた。

 長い髪を靡かせた女性型モンスター、【サイバー・ブレイダー】。明日香のあの様子からして、恐らくはこのカードこそが彼女のエースなのだろう。

 しかし、やっぱり【サイバー・ブレイダー】か。うぅ、はるか昔、前世で遊戯王仲間の1人に【サイバー・ブレイダー】・【地盤沈下】・【おジャマトリオ】のコンボを綺麗に決められて敗北した苦い記憶が蘇る。尤も、そこまで綺麗にコンボが決まることはそうそう無かったけど……。

 いかんいかん、頭を切り替えろ。

 今、俺の場にモンスターは2体いる。ってことは。

 

 「【サイバー・ブレイダー】は相手フィールド上のモンスターの数によって効果が変わる! あなたの場にモンスターは2体! よって【サイバー・ブレイダー】の攻撃力は倍となる! 《パ・ド・トロワ》!」

 

 『ハァァァァァ!!』

 

 女性型モンスターだからだろう、【サイバー・ブレイダー】が試験時の【ジェネティック・ワーウルフ】のように筋骨隆々になることは無かった。しかし、溢れんばかりの力が漲っているのであろうことは雰囲気から察せられた。心なしかオーラが見えるような気がする。

 

【サイバー・ブレイダー】 攻撃力2100→4200

 

 倍加というのは単純で、しかしだからこそ強力である。これは、どちらかが破壊されるのは免れないか。そう思っていると、明日香は再び動いていた。

 

 「さらに装備魔法【フュージョン・ウェポン】を発動! 【サイバー・ブレイダー】の攻撃力は1500上がる!」

 

【サイバー・ブレイダー】 攻撃力4200→5700

 

 攻撃力を一気に上げてきたか。決めにかかっている、ということだろうか。なるほど、これで【マジカル・コンダクター】に攻撃すれば4000のダメージ。ワンキル達成である。

 しかし、明日香の表情は浮かれてはいない。

 何しろ今さっき、彼女自身がリバースカードで攻撃を防いだのである。俺が同じことをしないとは言い切れまい。

 加えて、【フュージョン・ウェポン】の発動によって【王立魔法図書館】のカウンターは再び満タンとなった。輝く図書館にチラリと視線を向ける明日香。【マジカル・コンダクター】に攻撃が通れば彼女の勝ちだが、止められれば次のターンにまた追加ドローだもんな。

 

魔力カウンター:【魔法都市エンディミオン】 4→5

          【マジカル・コンダクター】 8→10

          【王立魔法図書館】 2→3

 

 だが、次の瞬間にはキッと【マジカル・コンダクター】を見据えた。

 

 「【サイバー・ブレイダー】で【マジカル・コンダクター】に攻撃! 《グリッサード・スラッシュ》!」

 

 『ハァァァァァァァァ!!』

 

 くるくると回転しながら一直線に【マジカル・コンダクター】へと向かってくる【サイバー・ブレイダー】。これを通せば負けである。それはダメだ。俺はディスクに手を伸ばす。【マジカル・コンダクター】の破壊は免れないが……。

 

 「リバースカードオープン。速攻魔法【収縮】。対象は【サイバー・ブレイダー】」

 

【収縮】

速攻魔法

フィールド上に表側表示で存在するモンスター1体を選択して発動する。

選択したモンスターの元々の攻撃力はエンドフェイズ時まで半分になる。

 

魔力カウンター:【魔法都市エンディミオン】 5→6

          【マジカル・コンダクター】 10→12

          【王立魔法図書館】 3

 

 魔法カードの使用によってカウンターが乗り、【収縮】の効果により【サイバー・ブレイダー】の攻撃力は下がる……が、自身の効果と装備魔法により、それでも十分に高攻撃力を持っている。守りきれなくてゴメン、【マジカル・コンダクター】。

 

【サイバー・ブレイダー】 攻撃力5700→3600

 

 『ハァ!』

 

 『キャッ!』

 

 高速スピンから繰り出される【サイバー・ブレイダー】の蹴りに【マジカル・コンダクター】が破壊され、俺のライフも削られる。

 

優 LP4000→2100

 

 「く……だが【魔法都市エンディミオン】の効果により、破壊された【マジカル・コンダクター】に乗っていたカウンターは【魔法都市】に留め置かれる」

 

 【マジカル・コンダクター】の近くに浮かんでいた魔法石は彼女が破壊されても消えることはなく、そのまま周囲に散らばって魔法都市を彩った。

 

魔力カウンター:【魔法都市エンディミオン】 6→18

          【王立魔法図書館】 3

 

 それにしても、一気に乗ったものである。カウンターが溜まりやすい【マジカル・コンダクター】がいたのだから、可笑しなことでは無いけれど。

 明日香は決められなかったことに苦い顔をし、再び【図書館】を見る。次のターンでは追加ドローなのだから、当然である。しかし、これ以上の手は無かったようだ。

 

 「あなたのフィールド上のモンスターが1体になったことで、【サイバー・ブレイダー】の効果も変わるわ! 《パ・ド・ドゥ》! ターンエンドよ!」

 

 モンスターが1体の時の効果は確か……戦闘破壊耐性が付くんだったな。

 

明日香 LP4000 手札2枚

  モンスター (攻撃)【サイバー・ブレイダー】 

  魔法・罠  伏せ1枚

 

 ターンエンドにより【収縮】の効果も無くなるが、【サイバー・ブレイダー】の効果が変わっているために攻撃力の変動は無い。ただ、ソリッドビジョンの【サイバー・ブレイダー】は心なしか重しが取れたような表情になっている。多少は気分に影響していたのだろうか。

 

 「俺のターン。ドロー」

 

優 LP2100 手札3枚

  モンスター (守備)【王立魔法図書館】 カウンター3

  魔法・罠  (フィールド)【魔法都市エンディミオン】 カウンター18

         伏せ1枚

 

 さて、俺のターンだ。正直言ってこの手札では、【サイバー・ブレイダー】を倒せない。しかしならば、さらなる可能性を呼び込むだけのこと。

 

 「【王立魔法図書館】の効果発動。カウンターをすべて取り除き1枚ドロー」

 

魔力カウンター:【魔法都市エンディミオン】 18

          【王立魔法図書館】 3→0

 

 だがこれだけでは終わらない。これは来たぞ、ドローラッシュ。

 

 「2枚目の【魔力掌握】を発動。【王立魔法図書館】にカウンターを乗せ、3枚目の【魔力掌握】を手札に魔法カードの使用によりカウンターが溜まる。そして【強欲な壺】発動。デッキから2枚ドロー。またカウンターが溜まる。【王立魔法図書館】の効果発動。1枚ドロー。そして【魔法都市エンディミオン】の効果発動。【王立魔法図書館】の効果にカウンターを代用する。ドロー」

 

魔力カウンター:【魔法都市エンディミオン】 18→20→17

          【王立魔法図書館】 0→3→0

 

 魔法石が現れては消え、現れては消えを繰り返す。最後に魔法都市に浮かぶ多くの魔法石の内の3つが図書館へと吸い込まれていった。

 これで俺の手札は7枚。7枚もの手札があれば、無限と言ってもいい可能性がある。そして確かに、反撃は充分に可能となった。俺は手札から1枚のカードを選び取る。

 

 「【ディメンション・マジック】を発動。俺の場に魔法使い族モンスターがいる時のみ発動可能。フィールド上のモンスター1体を生贄に捧げ、手札の魔法使い族モンスター1体を特殊召喚する。そしてその後、フィールド上のモンスター1体を破壊できる」

 

 「何ですって!?」

 

 明日香がギョッとしたように眼を剥いた。【ヘル・ポリマー】を知っていたぐらいだから【ディメンション・マジック】も知ってはいるのだろうが、実際にやられると辛いものがあるのだろう。今、彼女の場には【サイバー・ブレイダー】しかモンスターはおらず、【サイバー・ブレイダー】は戦闘破壊には耐性を持っていても効果破壊には無防備だ。

 しかし、それはこちらにとっては好都合。

 

【ディメンション・マジック】

速攻魔法

自分フィールド上に魔法使い族モンスターが存在する場合、自分フィールド上のモンスター1体を選択して発動できる。

選択した自分のモンスターを生贄とし、手札から魔法使い族モンスター1体を特殊召喚する。

その後、フィールド上のモンスター1体を選んで破壊できる。

 

 「俺は【王立魔法図書館】を生贄に捧げる。そして来い、【クルセイダー・オブ・エンディミオン】」

 

 巨大な【図書館】がそのサイズを縮め、フィールドに現れた棺の中へと吸い込まれていく。そしてその棺が再び開いた時、そこにいたのは無機質な【図書館】ではなく人型のモンスターだった。そしてそのモンスターは、勢いよくフィールドに現れる。

 

 『ハァ!』

 

 【クルセイダー・オブ・エンディミオン】。直訳すれば、エンディミオンの十字軍。特徴的な鎧を纏い兜を被った姿は、その名に恥じぬ力強さに満ちている。

 

 『そやつは召喚するのに我は除外か……』

 

 まだ除外を根に持っているらしいエンディミオンが、フィールドに現れた自身の親衛隊の1人を見咎めて拗ねた声を出す。

 お前、ちょっと黙ってろ。

 

 フィールドに現れた彼は勢いそのままに【サイバー・ブレイダー】に手を翳す。既に俺の考えを汲み取ってくれているらしい。

 

 「そして【ディメンション・マジック】の第2の効果。【サイバー・ブレイダー】を破壊する」

 

 その宣言と共に【クルセイダー・オブ・エンディミオン】から魔力が放たれ、それは【サイバー・ブレイダー】を直撃する。

 

 『アァッ!?』

 

 「くっ……【サイバー・ブレイダー】!」

 

 破壊されたエースモンスターに、明日香は悔しげに呼び掛けた。

 さて、俺は俺で続けるぞ。

 

 「俺はこのターン、まだ通常召喚を行っていない。よって【クルセイダー・オブ・エンディミオン】をデュアル召喚」

 

【クルセイダー・オブ・エンディミオン】

デュアルモンスター

星4 光属性 魔法使い族 攻撃力1900/守備力1200

このカードは墓地またはフィールド上に表側表示で存在する場合、通常モンスターとして扱う。

フィールド上に表側表示で存在するこのカードを通常召喚扱いとして再度召喚する事で、このカードは効果モンスター扱いとなり以下の効果を得る。

●1ターンに1度、フィールド上の魔力カウンターを置く事ができる

カード1枚を選択し、そのカードに魔力カウンターを1つ置く事ができる。

この効果で魔力カウンターを置いたターンのエンドフェイズ時まで、このカードの攻撃力は600ポイントアップする。

 

 デュアル召喚により効果モンスターとなった【クルセイダー・オブ・エンディミオン】から更なる力があふれ出し、その魔力は彼の体から立ち上る光となって目視できる。

 

 「【クルセイダー・オブ・エンディミオン】の効果発動。【魔法都市エンディミオン】にカウンターを1つ乗せ、攻撃力を600上げる」

 

 『ハァァ』

 

 【クルセイダー・オブ・エンディミオン】がその手に魔力を込めると緑の魔法石が現れ、それはフィールドへと飛んで行って他の魔法石同様浮遊する。

 

魔力カウンター:【魔法都市エンディミオン】 17→19

 

【クルセイダー・オブ・エンディミオン】 攻撃力1900→2500

 

 【ディメンション・マジック】を使ったこともあり、【魔法都市】に溜まったカウンターはかなりの数だ。

 ほらエンディミオン、そんなに拗ねるぐらいなら2枚目のお前でも手札に来させろよ、ブツブツ言われるのはウザいんだから……そんな気持ちを込めて傍らを睨むと、彼は鼻を鳴らして渋々機嫌を持ち直した。

 

 『それはせん……故意にドローカードを操作するのは、主が嫌がることの1つだ』

 

 解っているじゃないか。

 そうなのだ。エンディミオンならそれも可能らしいが、絆の賜物だというならともかく、又は恩恵というレベルならまだしも、故意にドローカードを操作するのは反則と言っていい。だから好かない。

 さて、デュエル続行だ。

 

 「【クルセイダー・オブ・エンディミオン】でダイレクトアタック」

 

 『セイヤァ!』

 

 【クルセイダー・オブ・エンディミオン】の気合の入った掛け声と共に、その魔法攻撃が明日香へと向かう……いつものことだけど、お前、その掛け声はどうかと思うよ? 戦士族じゃないんだから。

 

 「キャァ!!」

 

明日香 LP4000→1500

 

 俺と明日香のライフが逆転した。けれどその差は殆ど無く、どちらが有利かとはまだ断言できない。油断は禁物である。

 

 「俺はリバースカードを1枚セット。ターンエンド」

 

優 LP2100 手札4枚

  モンスター (攻撃)【クルセイダー・オブ・エンディミオン】 攻撃力2500→1900

  魔法・罠  (フィールド)【魔法都市エンディミオン】 カウンター19

         伏せ2枚

 

 ターンエンドを迎えたことで【クルセイダー・オブ・エンディミオン】の攻撃力は元に戻る。しかし依然としてアタッカーとしてはまずまずのラインにあるので頼もしい。

 反対に明日香は、険しい表情でドローに臨む。

 

 「私のターン! ドロー!」

 

明日香 LP1500 手札3枚

  モンスター 無し

  魔法・罠  伏せ1枚

 

 ドローカードを見た明日香は、そのままそのカードを発動させた。

 

 「マジックカード、【戦士の生還】を発動! 墓地の【エトワール・サイバー】を手札に戻して、召喚!」

 

 『ハッ!』

 

 新たに現れたのは、さっきはフィールドに現れることなく素材として墓地へと送られたモンスターだった。これまた髪の長いお姉さんである。そして明日香は、手札から別のカードを発動させる。

 

 「さらに【死者蘇生】を発動! 墓地の【サイバー・ブレイダー】を特殊召喚!」

 

 『ハッ!』

 

 再び現れる【サイバー・ブレイダー】。流石はエース。絆を感じるよ。しかしこうなってくると、あのドローラッシュをありがたいとしみじみと思う。

 しかし、俺と【魔法都市】だって切っても切れない縁がある。明日香が魔法を使ったことで、またカウンターが溜まる。

 

魔力カウンター:【魔法都市エンディミオン】 19→21

 

 遂に20を超えたか……【マジック・テンペスター】が欲しいぜ。この世界にはシンクロがまだ無いから無理だけど。

 

 「【サイバー・ブレイダー】で【クルセイダー・オブ・エンディミオン】を攻撃! 《グリッサード・スラッシュ》!」

 

 本日2度目の高速スピンで今度は【クルセイダー・オブ・エンディミオン】に迫り来る【サイバー・ブレイダー】。しかし今度は、ちゃんと防御が出来る……相変わらずモンスターは守れないのが少し心苦しいが。

 【サイバー・ブレイダー】の鋭い蹴りが【クルセイダー・オブ・エンディミオン】に直撃し、破壊される。攻撃力の差の関係か、彼は【マジカル・コンダクター】ほどの苦痛は感じなかったようだ。

 そして先ほどと同じくその攻撃の余波が俺にまで届こうとしたが、これは止める。

 

 「トラップ発動、【ガード・ブロック】。その戦闘ダメージを0にし、カードを1枚ドローする」

 

 よくよく出て来る【ガード・ブロック】。ふと思い返すが、コイツにも中々世話になっている。

 そんな俺の眼前に現れる薄いシールドの中、ドローしたカードを確認し……ついつい口元が緩んだ。これはどうやら、次のターンにはまた【サイバー・ブレイダー】にご退場願えそうだ。いや、【エトワール・サイバー】にも。

 俺がその道筋を想定している中、明日香は疑問顔だ。

 

 「ここで【ガード・ブロック】? 【エトワール・サイバー】のダイレクトアタックが残ってるのに?」

 

 確かに、そっちの方がダメージは大きいだろう。しかし勿論、それも防げる自信があるからこそここで発動したのだ。

 疑問があっても攻撃をしないことには勝利は掴めない。明日香は【エトワール・サイバー】に攻撃指示を出す。

 

 「【エトワール・サイバー】でダイレクトアタック! このカードがダイレクトアタックをする時、その攻撃力は600ポイントアップする!」

 

 明日香の指示に応え、【エトワール・サイバー】が滑るようにこちらへと向かう。

 

【エトワール・サイバー】 攻撃力1200→1800

 

 『ハァァァァァ!』

 

 その足を思い切り振り上げ、俺を蹴りつけようとする……が。

 

 からーーーーん

 

 突如鳴り響いた鐘の音に驚いたのか、その動きが止まる。その次の瞬間には、俺と彼女の間に1体の悪魔が現れていた。

 

 「手札より【バトルフェーダー】の効果発動。このカードを特殊召喚し、バトルフェイズを終了させる」

 

 「な!?」

 

 出てくれたぜ、俺の相棒!

 

 からーん からーん

 

 既にバトルフェイズは終了しているため、もう鐘を鳴らす意味は無い。けれどフェーダ-は嬉しそうに体を揺らし、その拍子に鐘が鳴る。

 

 『我は……』

 

 何だかしょげているエンディミオンは放置の方向で。

 

【バトルフェーダー】

効果モンスター

星1 闇属性 悪魔族 攻撃力 0/守備力 0

相手モンスターの直接攻撃宣言時に発動できる。

このカードを手札から特殊召喚し、その後バトルフェイズを終了する。

この効果で特殊召喚したこのカードは、フィールドから離れた場合に除外される。

 

 バトルフェイズが強制的に終了したことで、【エトワール・サイバー】が明日香のフィールドへと戻って行く。

 

 「魔法使い族以外も入っていたのね……私はこれでターンエンドよ!」

 

明日香 LP1500 手札1枚

  モンスター (攻撃)【サイバー・ブレイダー】

         (攻撃)【エトワール・サイバー】

  魔法・罠  伏せ1枚

 

 「俺のターン」

 

 攻略のカードはもう引いている。後はこのドローで【サイクロン】か【大嵐】でも引ければ、憂いもほぼ無くなるのだが。

 

 「ドロー」

 

優 LP2100 手札5枚

  モンスター (攻撃)【バトルフェーダー】 

  魔法・罠  (フィールド)【魔法都市エンディミオン】 カウンター19

         伏せ1枚

 

 ドローカードを見る。引いたカードは……【大嵐】。俺はニヤッと笑ってそのままカードを発動させる。

 

 「【大嵐】発動。フィールド上のマジック・トラップカードをすべて破壊する。そして【魔法都市エンディミオン】の効果発動。このカードに乗っているカウンターを1つ取り除くことで破壊を免れる」

 

【大嵐】

通常魔法

フィールド上の魔法・罠カードを全て破壊する。

 

 【サイクロン】を軽々上回る、文字通りの大嵐がフィールド上に吹き荒れる。しかし荘厳な魔法都市は、1つの魔法石から放たれた魔力によって守られビクともしない。破壊されるのは、俺と明日香の場にそれぞれ1枚ずつ伏せられていたカードのみ。しかも、【大嵐】の発動によってもカウンターは溜まるので、【魔法都市】的にはプラマイ0である。

 

 「クッ!」

 

 激しい突風にだろう、明日香が小さく呻いたのが聞こえた。

 捲れ上がった明日香の伏せカードは【メテオ・レイン】だった。【図書館】を攻撃して発動させる手もあっただろうが、あの時は【マジカル・コンダクター】を優先的に破壊したからなぁ。それ以降は使うタイミング無かったし。

 ちなみに俺の伏せカードは【拡散する波動】である。ブラフのつもりで伏せていたけど、あまり意味は無かったな。

 さて、これで残る気がかりは明日香の握っている手札1枚。気にならないと言っては嘘になるが、こればかりはどうしようもない。ここは臆せず攻めよう。

 

 「俺は【バトルフェーダー】を生贄に、【魔法の操り人形】を召喚」

 

 フィールドにいたフェーダーが、黒い闇の中へと吸い込まれていく。こいつは効果によって特殊召喚された後にフィールドから離れると除外されるから、仕方が無い。さらばだフェーダー。

 

 からーん

 

 ばいばい、とでも言うかのようにフェーダ-が1つ鐘を鳴らして消え去る。代わりに現れたのは、小さなマリオネットを指に付けた糸で操る魔法使いだ。

 

【魔法の操り人形(マジカル・マリオネット)】

効果モンスター

星5 闇属性 魔法使い族 攻撃力2000/守備力1000

このカードがフィールド上に表側表示で存在する限り、自分または相手が魔法カードを発動する度に、このカードに魔力カウンターを1つ置く。

このカードに乗っている魔力カウンター1つにつき、このカードの攻撃力は200ポイントアップする。

また、このカードに乗っている魔力カウンターを2つ取り除く事で、フィールド上に存在するモンスター1体を破壊する。

 

 赤いマントで全身を覆い、顔を全面的に仮面で隠した少し怪しげな魔法使い。しかし大事なのは見た目では無く、効果である。さて、仕上げだ。

 

 

 「3枚目の【魔力掌握】を発動。【魔法の操り人形】にカウンターを乗せる……だが、もうデッキに【魔力掌握】は無いから、サーチは出来ない。そして魔法カードの発動によってカウンターが乗る」

 

魔力カウンター:【魔法都市エンディミオン】 21→22

          【魔法の操り人形】 0→2

 

 「【魔法の操り人形】の効果発動。このカードに乗っているカウンターを2つ取り除くことでフィールド上のモンスター1体を破壊する。そして【魔法都市エンディミオン】の効果発動。このカードに乗っているカウンターを代用することで、【魔法の操り人形】の効果をもう1度発動。【サイバー・ブレイダー】と【エトワール・サイバー】を破壊する」

 

 実際には1つずつ処理を行うべきなんだろうが、ここはもうノリである。

 

 「2体とも破壊ですって!?」

 

 ついつい叫んでしまう明日香の気持ちも解る。無防備なフィールドを晒すことになってしまうもんな。でも、やめる気は無い。

 

魔力カウンター:【魔法都市エンディミオン】 22→20

          【魔法の操り人形】 2→0

 

 【魔法の操り人形】と【魔法都市エンディミオン】から計4つの魔法石がフィールドに集まり、糸に釣られたマリオネットへとその力を注いでいく。マリオネットはギシギシと動きだし、両手に持った短刀を構える。

 さぁ、行け。

 

 「《マリオネット・レクイエム》」

 

 あ、効果名言っちゃった。まぁいいか、ノってきたってことで。

 指示を受けたマリオネットは糸に操られるままフィールドを縦断し、2体のサイバー・ガールに襲い掛かった。魔法石の魔力を受けて輝く短刀を素早く振るい、瞬く間にモンスターたちを屠る……俺が使ってるモンスターだけど、この光景は正直怖いものがある。

 

 「キャア!」

 

 2体のモンスターが破壊されたことで起こった爆発に、明日香が身を庇った。効果破壊なので明日香自身に何かが起こるわけではないが、気持ちは解る。変にリアルなんだよね、ソリッドビジョン。

 よし、ここまで来たらもう後はフィナーレだ。明日香の手札にもよるけど……ここはもうフィニッシュのつもりで行こう。

 

 「【魔法の操り人形】でダイレクトアタック。《マリオネット・カプリチオ》」

 

 未だ明日香のフィールドにいたマリオネットが、それまでとは違う動きを始める。俺の場の魔法使い(本体)が操り方を変えたからだけど、こう、ギシギシクネクネと……うん、怖い。夢に出てきたら魘されそうな光景だよね、凶器を持ったマリオネットに敵意を向けられるって。

 そんな俺の考えは勿論デュエルには何の影響も無く、体勢を整えたマリオネットはそのまま明日香に突進していく……だから怖いって。

 

 「キャァァァァァ!!」

 

 明日香の悲鳴も、心なしか大きかったような気がする。

 しかしまぁ、何はともあれこれで。

 

明日香 LP1500→0

 

 デュエルは終了。

 俺の勝ちだ。

 

 

 

 

 ソリッドビジョンも消え去り、俺と明日香は歩み寄って握手を交わした。

 

 「ありがとう、いいデュエルだった」

 

 俺がそう言うと明日香も小さく笑った。

 

 「そうね。負けたのは悔しいけれど……でも、彼らの言っていたことが少し解ったわ」

 

 「彼ら?」

 

 はて、誰のことでしょうか?

 俺の疑問顔に明日香は苦笑しながら答えてくれた。

 

 「今まであなたが倒してきたブルー生たちよ。みんな言っていたわよ、あなたのこと。淡々とデュエルを進めているように見えるのに気迫は伝わってくる、ですって」

 

 あー、それねぇ。

 俺はちょっと頭を掻いた。そんなつもりは無かったんだけどな。

 

 「淡々と進めているつもりは無いよ。ただ俺は、性格的に少しうっかりしているらしくてさ……あまり熱くなり過ぎないように、出来るだけ冷静さを保とうと必死なんだ。多分、だからだと思う」

 

 割と強く自分に言い聞かせている部分だからね、それは。たま~に、ノリ過ぎると熱くなっちゃうけど。

 俺の言い分に明日香は笑い、なんだか和やかな雰囲気になった。

 これはチャンスかと思い、明日香とPDAの番号交換を申し出た所、快諾してもらえた。

 番号、ゲットだぜ。

 

 

 

 

 

 その後明日香と別れ、俺はレッド寮に向かった。廃寮の探索はまた今度にしよう。

 勝手知ったる他人の家とばかりに、いつも通りに十代たちの部屋に向かう。

 

 「よ。来たぞ」

 

 勿論ノックはしたが、ドア自体は返事が来る前に開ける。この部屋の住人たちももう慣れたようで、特に何も言わない。

 入ってみると、部屋の中心で十代がカードの山とパックの山を前にしていた。それを隼人が3段ベッドの上から眺めている。翔はいないらしい。

 

 「遅かったな。どうかしたか?」

 

 カードから顔を上げ、十代が軽い調子で聞いてくる。俺はドアを後ろ手で閉めながらそれに答えた。

 

 「ちょっとデュエルをしてたんだよ。翔は?」

 

 十代がいるのに翔がいないのは珍しい。そう思って訊ねると、十代と隼人は顔を見合わせ、揃って溜息を吐いた。何事?

 

 「翔なら食堂にいるぜ。なんかずっとボ~っとしてんだよなぁ。時々ニヤニヤ笑うしよ」

 

 「ああ、うん。つまりまだキモイ状態なんだな?」

 

 「身も蓋も無いこと言うんだなぁ」

 

 俺の断言に隼人が苦笑する。尤も、苦笑はするが否定はしないらしい。

 ちなみに。

 俺がこの部屋に入り浸っていることだが、特にこれと言った問題は起こっていない。十代は初めから受け入れているし、翔と隼人は買収済みである。

 具体的には、イエロー寮で出される少し豪華な食事をタッパーに詰め、彼らに差し入れているのだ。高校生という食べ盛りの彼らには、レッド寮の侘しい食卓は何よりも堪えるらしい。俺はまるで神の如く崇められた。

 それに就寝時間前にはイエロー寮に戻るので、寮監の大徳寺先生に注意を受けたことも無い。ただ、多くのレッド生には格下の寮に平気で遊びに来るって奇異の目で見られているけれど。

 閑話休題。

 キモイ状態の翔は放っておいて、俺は十代の向かいに座ってカードの方の山を見る。

 

 「どうしたんだ、コレ」

 

 山の中から1枚のカードを手に取る。そのカードは融合モンスター、【アンデット・ウォーリアー】……十代のデッキにはまず入らないだろうカードだ。

 十代はあぁと頷きながらカードを弄り続ける。

 

 「購買でパックをまとめ買いしたんだ。それを一気に開けたら色んなカードが混ざっちまった」

 

 「1つずつ開封しろよ、後が大変だろ」

 

 例えばこんな風に。一体いくつのパックを買ったらこんな山が出来るんだ?

 俺の苦言は十代には届いていないようで、あからさまにワクワクした顔をしている。

 

 「デュエルアカデミアって凄ェよな! 俺たちの近所のカードショップには売ってねぇようなパックも置いてあったぜ! ワクワクするよな!」

 

 それには同感だ。流石はKC経営の学園。社長様々である。

 色んなカードが見られるそうだったので、そのまま十代のカード整理を手伝うことにした。使えそうな魔法使い族やサポートを見付けたら、譲ってもらうかトレードするかしよう。

 ほぼ引き籠りの隼人もカード自体は好きなようで、身を乗り出してこちらを見ている。

 このカードはああだ、あのカードとのコンボが狙えそうだなどと話しながら手を進めていると、いつの間にか時間が過ぎ去っていた。

 

 「もうこんな時間か……流石に遅くないか? 翔」

 

 時計を見ると、俺はもうそろそろ寮に戻る時間になっていた。十代や隼人も気になってきたようで、少しそわそわしている。

 と、その時。十代のPDAが鳴った。特に構えることも無く気軽に受けた十代だけど、その内容は驚くべきものだった。

 

 『丸藤翔は預かった。返して欲しくければ女子寮まで来られたし』

 

 ボイスチェンジャーでも使っているのか、そこから流れてきたのは無機質な声だった。その内容に十代と隼人は色めき立つ……が。

 

 (これって……明日香の番号だよねぇ?)

 

 『ああ。そうであろう』

 

 ほんの数時間前に番号交換したばかりである。その記憶に残っている番号と十代のPDA履歴に残っている番号は、全く同じだった。

 何を仕出かしたんだ、翔。

 

 「優!」

 

 「ッ!? あ、あぁ。何?」

 

 少し考え込んでいる間に、十代に詰め寄られていた。

 

 「お前、よく散歩してるっつってたよな!?」

 

 「あ、あぁ」

 

 「女子寮まで案内してくれ!」

 

 「あぁ…………え?」

 

 え? 俺も行くの?

 

 

 




 <今日の最強カード>

優 「第3回! <今日の最強カード>コーナー! イェーイ!」

戦 からーん からーん (喜)

優 「今日はゲストにご存知! 【バトルフェーダ-】のフェーダ-を呼んでます! さぁ、テンション上げて行こう!」

戦 からーん

王 『我は除外したというのに……この差は一体……』

優 「さて、今日のデュエル。【サイバー・ブレイダー】や【エトワール・サイバー】がアニメ使用だったりとか細々とした点もあるけど、やっぱり紹介するべきはこのカードでしょ」

【バトルフェーダ-】

戦 からーん (嬉)

優 「ご存知、俺の持ち精霊であり頼れる相棒。ちょっと物静かな悪魔君です……え? 静かなわけじゃない? 喋れないだけ?」

戦 コクコク (頷)

優 「まぁ、それはそれとして。カードとして見ても中々優秀です」

戦 からーん (ドヤ顔)

優 「手札誘発なために奇襲性が高く、バトルフェイズを終了させるという優秀な防御効果。そして場に残るので次ターンの壁にしてよし、シンクロ・エクシーズ素材にしてよし、今回の俺のように生贄にしてよし。しかもフィールドを離れれば除外されるので【一族の結束】の邪魔にもならない。正に出来る悪魔です!」

戦 からーん からーん (喜)

優 「弱点としては、効果発動に特殊召喚を必要とするので【天罰】や【神の警告】が刺さります。それに、特殊召喚自体を封じられている状態ではそもそも発動できません」

戦 からーん (悲)

優 「でも大丈夫だよ、フェーダ-。俺はお前を使い続けるからね」

戦 からーん からーん からーん (歓喜)

優 「裏話としては、そうだなぁ。かつてBIG5とデュエルした時、俺のデッキマスターはフェーダ-だったっけ」

王 『そう、あの時も主は我を選ばなかった』

優 「違う、あの時はフェーダ-が勝手に! いや、フェーダ-のデッキマスター能力がデュエルの決め手になったんだけど! それは解ってるから落ち込むな、フェーダ-!」

戦 ずーん (しょんぼり)

王 『ああ、そうだったな。あの時フェーダ-は呼ばれてもいないのにデッキから勝手に出たんだったな、【クリボー】の如く。しかも【クリボー】よりもさらにステータスが低いということで、BIG5の愚か者にクソミソに詰られる羽目となったのだったな?』

戦 ずーん ずーん (どんより)

優 「追い打ちをかけるな、このバカ王! そんなこと言うようだったら、この先しばらく召喚しないぞ!」

王 『なっ!?』

戦 からーん (おろおろ)

優 「ん? ケンカするなって? お前は優しい悪魔だな」

王 『鬼だ……理不尽だ……』

優 「さて、それじゃあまた次回にて……ちなみに次回は、デュエル描写はあまり入らないらしいよ。十代VS明日香を軽く出すだけだって」

王 『では何なのだ、次回は』

優 「次回! 過去回想によって明かされる事実! 『第4話 ××と××××』! お楽しみに!」

王 『……そこまで楽しみにしている者がいるのか?』
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