リーダーウルフは、我等が初遭遇したウルフと比べ、二回り近くデカく、知性も高いと感じられた……いやいや、いくらなんでもデカ過ぎるじゃろ……
そして、リーダーウルフの取り巻きが4体。サイズは初遭遇ウルフと同等か、気持ちデカい。だが彼奴と違い餓狼の雰囲気はないし、筋肉の付きも更に良く風貌も風格を感じられる。此奴らも強そうじゃな。
「差し詰め、王と四天王ポジション、でしょうか」
「してんのー? よく分からんが、大隊長と小隊長的な感じかの」
「だいたいそんな感じのニュアンスですわ」
大隊長だけにのう!(激ウマギャグ)
それはともかく。リーダー1匹にサブリーダー4匹、サブリーダーが率いる兵隊ウルフ的なのが10匹×4の40。
……ふむ。思ったより数が多く厄介ではあるが。思ったより時間がかかりそうなのが厄介なだけ、じゃ。
「雑兵は老兵と我の従者カタリナで片付ける! ジョッシュとエミーで1体、ガイヤー・マシュー・オスカーで各1体づつ、小隊長格ウルフを対処するのじゃ!」
「「アルちゃん様の加護ぞある!!」」
うむ、良い返事じゃ! 掛け声も一体感が出て来て士気はMAX。これならば、問題なく殲滅出来ようぞ! 時短は、我が身体能力向上の補助系星霊術を皆に使えば解決するじゃろ!
「とりま了解っぽ……いや、やっぱなんかみんなの返事、狂信者っぽくて怖いっぽい!」
「あんま気にすんなってエミー! やる気満々なんだぜ、いい事なんじゃねぇの?」
「はぁ、脳筋……」
「うむ、ジョッシュの言う通り、エミーは心配し過ぎなのじゃ! それに、我の治癒術を受けて身体が熱くなり、一時的にハイになってるだけじゃ。遅くとも明日頃にはいつも通りに戻っとるじゃろ! 多分!」
「えぇ、多分……?」
「そのような些事より、今は魔獣駆除に集中するのじゃ! 皆の者、殲滅〜なのじゃ!!」
「「アルちゃん様の加護ぞあるう↑↑!!」」
「うわ。不安しかないっぽい……コレほんとに大丈夫なのかなぁ……」
「完全にアルちゃん讃歌BOTと化してますわ。盛大に草生えますわね」
ボット? むー、意味の分からん表現じゃが。とにかく殲滅開始! なのじゃ!
ちなみに、リーダーウルフはカタリナが《水分身》で引き付けておるから、気にせずその他を殲滅出来るのじゃ。
⏳
「《
「これで終わりだあ! 《
ザシュザシュ——!!
斬——!!
——グギャオォンッ!?
数分後。シテンノーウルフと雑兵ウルフはほぼ全滅。残りはリーダーのみとなった……一応遠くに予備部隊らしきウルフの生命反応と、人間らしき生命反応1つを感知しておるが、今からそれらをこちらに寄越したところで先に決着が付くし、時間稼ぎにもならぬ。なによりリーダーが潰れれば、群れは機能しなくなるものじゃしの。
という訳で。
継続疲労回復効果の補助術・《
「我とカタリナは、念のため周辺を見回る! 後は任せた!」
「「アルちゃん様の加護ぞある!!」」
「エミー、遠距離から牽制頼む! マシュー、オスカー! 奴にトリプルアタックを仕掛けるぞ!」
「「おうよ!!」」
ほう。どうやら、リーダーウルフ用に連携技を温存していたようじゃの。先にサブリーダー戦で切り札を切っていたら、それを見ていたリーダーウルフに対処されるかも知れぬから、正解じゃな。
ふーむ……よし! これにてウルフ殲滅は完了、後は我等が此度の元凶と話し合って和解すれば、まるっと全部解決なのじゃ!
▲▽
「あーんもうっ! なんで凄腕の治癒術師なんかがいるのよ!? そんなの上から聞いてない!!」
村から数百メートル程離れた小さな林ぃ! 両脇にはべらせ、恐らく護衛として操られているウルフに見張りをさせながら、虹色の色彩が不自然にうごめく球状のナニカに向かって愚痴っている少女……を、私の《水分身》が監視していたぁ!
彼女を発見したのは、村のハンター達を引き連れて前線に辿り着いたアルちゃん様の生命感知によるものぉ! 流石アルちゃん様、戦闘はダメダメですがぁ! 生命力の感知に関しては、超が付く程に優秀なのですぅ!
アルちゃん様曰く、「これも高い治癒能力のちょっとした応用みたいなモノじゃ」らしいですがぁー↑! これ
一応これでも全力索敵とかではなく、高まった治癒力が勝手に見つけた、的な感じらしいですぅ!
アルちゃん様の索敵力はともかくとしまして!
不自然に離れた位置にいるウルフ2体と、ウルフの側にいるのに襲われていない人間。恐らくは、今回の強力なウルフの群れを生み出し操っていた元凶!
「ベテラン3人が、瀕死ながら生還した。それはつまり、ウルフに多少なりとも手傷を負わせて逃げ帰る隙を作った、という事じゃ。だのに接敵したウルフ共は一切負傷しておらず、むしろピンピンしとった。3人が生還出来た事含め、明らかに不自然じゃろ」
「その人間が、今回の全てを仕込んだと?」
「1人の人間に出来る事とも思えぬから、其奴が仕えておる上位存在的なのはいるじゃろうが。まぁそうなるの」
「先に排除してきましょうか?」
「いや、カタリナ抜きにこのウルフの群れは捌き切れぬ、事もないが、時間がかかり過ぎる。そうなると、其奴が不利を悟り逃げ帰るやもしれぬ。我等抜きで終われそうになるまで、隠密モードの《水分身》を飛ばして監視するのじゃ。其奴と話もしたいしの」
「承知致しました」
という訳で、《水分身》に監視させていたのですが。放ったウルフ達が殲滅されそうになった事で逃げそうな感じなので、アルちゃん様を抱えて急行した次第ですぅ! クンカクンカ!!
静かに近付き、普通の声量で会話可能な距離まで接近した所で、私に抱きかかえられた状態でアルちゃん様が元凶少女に語りかけ始めましたぁ!
「どこへ行こうというのじゃ? おぬしを話し合いせねば、今回の騒動は完全決着とはならぬじゃろう?」
「ええっいつの間に!? ていうかなんでお姫様抱っこなのよ!?」
くふふっアルちゃん様と密着最高ですぅ……クンカクンカスゥハァ……はともかく。
「顔ヤバイ! コワイ!」
「やめんかシリアスこわれる」
私は静かにアルちゃん様を下ろし、『深海』をモード:弩にして構える。大変、とっても、大いに名残惜しいですが。お姫様抱っこされたままでは格好がつかないので致し方ありませんね……(血涙を我慢しつつ)
さて。接触出来たので、アルちゃん様に視点を戻します。
ハァ……ハァ……残り香クンクン……
△▼
「カタリナ、護衛のウルフを沈黙さ——」
バシュバシュ——!
「そんなっ! Gニック、Jジャガー!」
「任務完了ですわ」
「いやいや速い速い。最後まで指示を聞かぬか……まぁ良い。カタリナ、犯人の少女が逃げぬよう警戒せよ。間違って殺さぬ様にの」
「任務了解ですわ」
「無理矢理従わらされていただけやも知れぬし、あまり痛い思いをさせるのは可哀想じゃからの。攻撃は最小限に、じゃ。まぁ、極論死んでしまっても問題はないが」
「くっ……!」
そう命令すると、カタリナは殺傷力の多少低い短剣に『深海』を変形させ、姿勢を低くしていつでも飛びかかれる体勢を取る。
「さて。護衛と騎乗用野獣を真っ先に潰しておいてなんじゃが——話し合い、といこうかの? 襲撃者の少女よ」
そう一言述べて、我は少女へ向かって歩き始めた。